エンジェル税制|対象企業の要件は?どれくらい節税になる?

公開日:2019年11月15日
最終更新日:2019年12月02日

目次

  1. エンジェル投資家とは
    • 小口エンジェル・個人エンジェル
    • 支援型ファンド
  2. エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)とは
    • 経費として取り扱われる
    • エンジェル税制の対象企業とは
  3. エンジェル税制の申請手続き
    • 投資を受けた企業が申請する
    • 投資を受けた企業が書類を送付
    • 投資をした個人が確定申告する
  4. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)とは、その企業に投資を行った人が受けられる税制優遇措置。
  • 一定の基準をクリアした中小企業に投資をした個人投資家について、所得税が減税される。
  • エンジェル税制には、優遇措置Aと優遇措置Bの2つの優遇措置がある。

 

エンジェル税制とは、正式名称を「ベンチャー企業投資促進税制」といいます。創業間もない中小企業を応援するために、その企業に投資を行った人が受けられる税制優遇措置です。

この記事では、エンジェル税制の内容や要件、申請の仕方などについてご紹介します。

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エンジェル投資家とは

エンジェル税制についてご紹介する前に、エンジェル投資家の意味についてご紹介します。資本主義経済でいう「エンジェル」とは、投資家のことです。
応援したい起業家を支援していこうという意識をもった個人投資家や起業をいいます。

古来は、画家や作家、音楽家などの活動を支えるパトロンという存在がありました。パトロンが売れない画家や作家、音楽家などの生活をサポートすることで人材を育てていったのです。エンジェル投資家は、このパトロンの企業版ともいえます。

小口エンジェル・個人エンジェル

最近は小口エンジェル・個人エンジェルが増加しています。
この背景には、昨今の株式の上場ラッシュがあります。株式を売却した個人に多額の資金が蓄積され、日本社会にエンジェルとなることができる資産家が確実に増えているということです。

エンジェル投資家のなかには、純粋に「起業家のビジネスに共感し、社会の課題を解決したいという思いをサポートしたい」という思いから投資をする人も多くいますが、多くのエンジェル投資家の目的は、出資したお金のキャピタルゲインを得ることです。
つまり、投資した企業が上場することを期待して、上場前の企業の株式を安く買って、株式上場後の株式を高く売ることで、その差益を目的としています。

たとえば、かつてのアップルやマイクロソフト、グーグルやフェイスブックも同様です。
マイク・マーラという投資家は、アップル株式の3分の1を買い占めました。アンディ・ベクトルシャイムは、グーグルがまだ会社になる前から20万ドルを投資しました。

支援型ファンド

もうひとつは、インターネットの普及によって、投資ファンドのような仕組みが生まれていることです。たとえば「市民風車」です。
市民風車とは、「原発などに頼らずに、自然エネルギーで電気をつくりたい」という思いに共感した市民が中心となって、それぞれの地域で建設され、自然エネルギーを生み出して自家消費以外を電力会社などに販売しています。
出資に参加した市民は延べ3,800名を超えています。
このように、支援型ファンドには自分の資金を少しでも役立ててほしいと考えている個人投資家が存在していて、今後ますます増え続けていくとみられています。

参照:特定非営利活動法人(NPO)北海道グリーンファンド「市民風車」とは

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エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)とは

エンジェル税制とは、「ベンチャー企業投資促進税制」といい、一定の基準をクリアした中小企業に投資をした個人投資家について、所得税が減税される制度です。

エンジェルが増えても障害となるのが、日本の税制でした。投資した中小企業が上場しなかったり倒産したりしても、出資金が戻らず投資家たちに何の得もなくなってしまうからです。

アメリカでは、寄附をすると基本的にはほとんどのケースで税制メリットが生じます。しかし日本では、国が定めた自治体や義援金、日本赤十字社、認定NPO法人などごく少数の団体以外へ寄附しても、ほとんど恩恵がありません。
そこで、登場したのが「エンジェル税制」です。

経費として取り扱われる

エンジェル税制には、以下の優遇措置Aと優遇措置Bの2つの優遇措置があります。

①優遇措置A
(対象企業への投資額-2000円)をその年の総所得金額から控除
つまり、出資額から2000円を差し引いた金額が、自分の総所得金額から控除されるということです(ただし、控除対象となる投資額の上限は、総所得金額×40%と1,000万円のいずれか低い方です)。
投資にもかかわらず個人所得の計算上では、経費として取り扱われるのと同じ意味を持つということになります。
②優遇措置B
対象企業への投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除
出資した中小企業への投資額が、ほかに所有する株式売却益から差し引かれるという制度です。上記①の要件もそろっている場合には、両社を比較して有利な方を活用することもできます。

なお、②の場合には控除対象となる投資額の上限はありません。

参照:経済産業省「エンジェル税制のご案内」

エンジェル税制の対象企業とは

エンジェル税制の対象となる企業は、優遇措置Aと優遇措置Bで要件が異なります。

優遇措置Aの対象となる企業
①創業(設立)3年未満の中小企業であること
②以下の要件を満たすこと
設立年数 要件
1年未満かつ最初の事業年度を未経過 研究者あるいは新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上。
1年未満かつ最初の事業年度を未経過 研究者あるいは新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上で、直前期までの営業キャッシュフローが赤字。
1年以上~2年未満 試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超で、直前期までの営業キャッシュフローが赤字。または、新事業活動従業者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上で、直前期までの営業キャッシュフローが赤字。
2年以上~3年未満 試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超で、直前期までの営業キャッシュフローが赤字。または、売上高成長率が25%超で、直前期までの営業キャッシュフローが赤字。
優遇措置Bの対象となる企業
①創業(設立)10年未満の中小企業であること
②以下の要件を満たすこと
設立年数 要件
1年未満 研究者あるいは新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上。
1年以上~2年未満 試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超。または新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員が10%以上。
2年以上~5年未満 試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の5%超。
5年以上~10年未満 試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の5%超。

さらに、①特定の株主グループからの投資の合計が5/6(約83%)を超えない企業であること、②大規模法人(資本金1億円超等)および当該大規模法人と特殊な関係(子会社等)にある法人の所有に属さないこと、③未登録・未上場の株式会社で、風俗営業等に該当する事業を行う会社でないことなども必要となります(認定投資事業組合経由で投資する場合またはグリーンシートエマージング銘柄に投資する場合で優遇措置Bを利用する場合には、②の要件は必要ありません)。

また、減税の対象となる個人についても、以下の要件があります。

①金銭の払込みによって、対象となる企業の株式を取得していること
②対象企業が同族会社である場合には、所有割合(持株割会または議決権保有割合)が、大きいものから第3位までの株主(およびその親族やその関係者等)の所有割合を順に加算して、その割合がはじめて50%超になるときにおける株主に属していないこと

対象となる企業や減税対象となる個人の要件については、以下のエンジェル税制適用可否判断フローで確認することができます。

また、資金調達前に、ベンチャー企業がエンジェル税制の対象か否かについて確認を受けることができる「事前確認制度」という制度もあります。

参照:中小企業庁「事前確認制度の概要および確認企業一覧」

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エンジェル税制の申請手続き

エンジェル税制の適用を受けるためには、投資を受けた企業が、確認書の発行申請を行う必要があります。また、投資をした個人は確定申告をする必要があります。

投資を受けた企業が申請する

自社がエンジェル税制の対象企業であることを確認したら、以下の書類を用意して経済産業省に申請する必要があります。

申請書
定款
登記事項証明書
株主名簿
従業員数を証するもの
投資をした個人と企業間の投資契約書の写し

場合によっては、直前期の決算書や確定申告書が必要になることもあります。

投資を受けた企業が書類を送付

投資を受けた企業は、投資をした個人に経済産業大臣の確認書を交付します。
この時には、投資をした個人が減税対象要件を満たしていることの確認書を、企業側で作成する必要があります。

投資をした個人が確定申告する

投資をした個人が優遇措置を受けるためには、確定申告をする必要があります。
この確定申告では、企業から交付された上記書類が必要となります。

その際には、以下の書類が必要となります。

①経済産業局長等が発行した確認書
②発行会社が交付する一定の株主に該当しない旨の確認書
③株式投資契約書(グリーンシートについては、発行会社の勧誘資料と投資家の誓約書)の写し
④株式異動状況明細書
⑤証券会社から交付を受けた取引報告書又は発行会社から交付を受けた買付通知書
⑥清算結了の登記事項証明書、破産手続開始の決定の公告等
⑦株式等に係る譲渡所得税等の金額計算明細書
⑧株式等に係る譲渡所得税等の金額計算明細書(特定権利行使株式及び特定投資株式分がある場合)
⑨特定(新規)中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除の明細書
⑩所得税の確定申告書付表(特定投資株式に係る譲渡損失の繰越控除用)
⑪特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額の寄附金控除額の計算明細書

参照:中小企業庁「確定申告の手続きについて」

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まとめ

以上、エンジェル税制の意味や対象となる要件、申請手続きの方法などについてご紹介しました。中小企業として自社のビジネスモデルが対象となる場合には、エンジェル税制を検討するのもよいでしょう。
また、個人投資家も確定申告をすることで減税措置を受けることができますので、支援したい企業がある場合には、税理士に相談してエンジェル税制の利用を検討するのも一考でしょう。

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