助成金とは|中小企業が活用したい主な助成金

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2022年03月28日

この記事のポイント

  • 助成金とは、主に厚生労働省が実施している返済不要の交付金のこと。
  • 助成金は、人を雇用した時、雇用を維持した時、失業者が自立した時などに受給できる。
  • 助成金は、申請の形式要件を満たしていれば、原則として交付が認められる。

 

助成金とは、主に厚生労働省が実施している返済不要の資金のことをいいます。
経済産業省が実施している助成金もありますが、これらは名称が助成金となっているだけで、内容は研究開発を目的としていて実質補助金と同視できるものも多くあります。
ここでは、厚生労働省が実施している助成金をご紹介します。

助成金とは

助成金とは、主に厚生労働省が実施している返済不要の交付金です。
人を雇用した時、雇用を維持した時、失業者が自立した時、労働環境を改善した時などに受給することができます。

助成金は通年で公募が行われているので、いつでも申請することが可能ですし再提出をすることも可能です。受給できる助成金があれば、ぜひ活用しましょう。

(1)助成金の目的

助成金は、主に労働者の職業安定や事業の発展を目的としています。
たとえば「産業雇用安定助成金」は、新型コロナウイルス感染症の影響によって事業活動の一時的な縮小を余儀なくされ、従業員の雇用維持を目的として在籍型出向により従業員を送り出すまたは当該従業員を受け入れるなどの雇用維持を目的としています。

(2)助成金と補助金の違い

助成金と補助金はどちらも返済不要な交付金ですが、さまざまな点で違いがあります。

助成金と補助金の違い

助成金 補助金
管轄省庁
(制度の提供者)
厚生労働省が中心 経済産業省および自治体が中心
支援の目的 主に雇用関係
(雇用の増加・安定、能力開発など)
設備投資、技術開発、商店街活性化、CO2削減など
財源 雇用保険料 各種税金
申請の形態 申請型 公募型
再申請 何度でも申請することができる 原則として不可
難易度 条件に該当し申請すれば、高い確率で受給できるケースがほとんど 倍率が高い(10倍~20倍)
金額 数10万円~100万円程度 数100万円~数億円(5000万円程度が中心)
募集期間 通年 1年に1度がほとんど

・助成金は「申請型」
補助金は、公募期間中に申請書類を提出し、審査を経て交付が決定される「公募型」ですが、助成金は、申請の形式要件を満たしていれば、原則として交付が認められる「申請型」となりますので、高い確率で受給することができます。

・財源が違う
補助金の財源は、国民から徴収した税金ですが、助成金の財源は従業員の雇用保険料です。従業員を雇用している会社であれば、どこでも加入しているので、予算の変動が少なく安定した財源といえます。

・申請期間
補助金は、公募期間が決まっていて、公募開始から締め切りまで数週間~1カ月程度と短くなっています。一方、助成金は通年行っていていつでも申請することができます。また、再提出することも可能です。
ただし、それぞれの助成金で予算枠が決まっているので、一定期間で締め切られることもあります。

主な助成金の種類

厚生労働省が実施する助成金は、雇用の安定と労働環境の改善を目的とした制度が中心で、多くの種類があります。
従業員を新規で雇用したり、雇用を維持したり、従業員を教育したり、障害者や高齢者を雇用したりした時に受給することができます。
内容や条件は毎年のように変更されますので、ここでは内容や条件について比較的変更が少ない助成金についてご紹介します。詳細については必ず厚生労働省のホームページで確認するようにしてください。

(1)トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、「一般トライアルコース」「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」「若年・女性建設労働者トライアルコース」があります。

一般トライアルコース
未経験の仕事に就く人や、数年安定した仕事に就いていない人など、就職が困難な求職者を、試行雇用(3カ月など)で採用した場合に受給できる助成金です。
対象者1人あたりの支給額は最大4万円(母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合は最大5万円)です。

参照:厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」

障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
障害者の早期就職の実現のための助成金です。
障害者を原則3カ月試行雇用することで、その適性や能力を見極めて、継続雇用できるようにすることを目的とした助成金です。
精神障害者を雇用する場合には、月額最大8万円を3カ月、月額最大4万円を3カ月受給することができます。それ以外の場合には、月額最大4万円を最長3カ月受給することができます。

令和3年4月1日から、テレワークによる勤務を行う場合、トライアル雇用期間を6か月まで延長可能となっています。

参照:厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」

建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)
若年者または女性を、建設技能労働者として一定期間試行雇用することで受給できますが、(1)から(13)まで分けられていて、そのコースごとに定められた措置を実施することが必要です。若年・女性建設労働者トライアルコースは、1人あたり月額最大4万円(最長3カ月間)が支給され、雇用管理制度助成コースは整備助成として、第1回は57万円、第2回に85.5万円が助成されるなど、個々のコースによって助成額が異なります。

参照:厚生労働省「建設事業主等に対する助成金」

(2)特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、生涯現役コース、被災者雇用開発コース、障害者初回雇用コース、長期不安定雇用者雇用開発コースなどの種類があります。

生涯現役コース
雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者を、ハローワーク等の紹介により、1年以上雇用することが確実な場合に支給されます。支給額は、対象労働者の類型と企業規模に応じて異なります。短時間労働者以外の者の支給額は、70万円(助成対象期間1年)です。新型コロナウイルス感染症の影響により実労働時間が減少した場合、支給額を減額しない特例が実施されています。

参照:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)」

特定就職困難者コース
高年齢者、障害者、母子家庭の母など、就職が困難な人を雇用すると支給されます。
支給額は、大企業と中小企業で異なります。また、高年齢者、母子家庭の母など誰を雇用したかでも異なります。

参照:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」

その他、「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」「3年以内既卒者等採用定着コース」などがあります。支給要件や支給額については変更されることも多いため、厚生労働省のホームページで確認したり、社会保険労務士に相談したりすることをおすすめします。

(3)キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、正社員化コース、賃金規定等共通化コースなどがあります。
有期契約労働者等に、教育訓練を実施した時などに支給されます。

正社員化コース
有期契約労働者等の正規雇用労働者・多様な正社員等への転換等について助成されます。
就業規則または労働契約その他これに準じるものに規定して制度に基づいて、パートや派遣労働者を正社員または無期雇用に転換したり、そのための計画書を作成しその計画に沿った取り組みを行ったりした時に支給されます。

参照:厚生労働省「正社員化コース」

賃金規定等改定コース
有期契約労働者等の賃金規定等を改定した場合に助成されます。すべて又は一部の有期契約労働者などの基本給の賃金規定等を、増額改定した場合に支給されます。
参照:厚生労働省「処遇改善コース(賃金規定等改定) 」

(4)人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コースなどがあります。

特定訓練コース
正社員の若年労働者に、職業能力開発促進センター等が実施する在職者訓練(高度職業訓練)、事業分野別指針に定められた事項に関する訓練や講習を行った場合に支給されます。

参照:厚生労働省「特定訓練コース」

一般訓練コース
労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職業訓練の計画書を作成し、その訓練を実施したい場合に助成されます。訓練にかかった経費や、訓練期間中の賃金に一部が助成されます。

参照:厚生労働省「一般訓練コース」

(5)65歳超雇用推進助成金

定年を65歳以上に引き上げた会社に対して、助成するものです。
定年制度を廃止した際にも助成されます。

令和4年度65歳超雇用推進助成金については、65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用管理制度の整備等、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業主に対して助成するものであり、次の3コースで構成されています。

・65歳超継続雇用促進コース
・高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
・高年齢者無期雇用転換コース

参照:厚生労働省「65歳超雇用推進助成金」

(6)両立支援助成金

従業員が仕事と家庭の両立をしやすいよう取り組みをした時に支給される助成金です。
「出生時両立支援コース」「介護離職防止支援コース」などがあります。

参照:厚生労働省「両立支援助成金」

出生時両立支援コース
男性従業員が育児休業を取得する場合に支給されます。
参照:厚生労働省「出生時両立支援コース」
介護離職防止支援コース
介護休業を取得したり、働きながら介護を行ったりなど、仕事と介護の両立が可能となるよう、勤務制度を整備するなどの取り組みを行った会社に支給されます。
参照:厚生労働省「介護離職防止支援助成金」
育児休業等支援コース
育児休業を取得、職場復帰する場合に助成されます。
参照:厚生労働省「育児休業等支援コース」

助成金の申請

助成金は、会社が受給条件を満たしていれば、高い確率で受給することができます。
しかし、助成金は国の制度なので、義務づけられた社内制度が未整備の場合には、当然支給されません。
受給条件を満たしていない場合や書面での説明が不十分な場合には、申請時に窓口で指摘してもらうことができます。また、社会保険労務士に相談すれば、要件の確認や申請書類の作成までサポートをしてもらうことができます。

(1)まず必要となる前提条件

助成金を受け取るために必要な要件は、個々の助成金によって異なりますが、前提条件として、以下の社内制度については最低限整備しておく必要があります。

①週20時間以上働く人に対する雇用保険の加入が義務づけられています。
②株式会社であれば、社会保険への加入していること
③授業員を10人以上雇用している場合には、就業規則を作成し届出を行っていること

その他、労働保険料を滞納なく納めていること、全従業員分の法定三帳簿(労働者名簿、出勤簿またはタイムカード、賃金台帳または給与明細書」があることなどの労務管理ができているかも、確認する必要があります。

(2)届出や計画書が必要となることも

助成金の申請は、助成金によって異なりますが、新規雇用や制度の導入によって受給できる助成金は、事前に届出をしたり計画書を作成したりする必要があります。
申請前に雇用したり制度を導入したりすると、申請自体ができなくなってしまうこともありますので注意しましょう。

まとめ

以上、助成金の意味や補助金との違い、助成金の種類についてご紹介しました。
社会保険労務士や税理士に相談すれば、補助金や助成金を申請するための前提条件が整備されているか確認することができますし、助成金の申請手続きまでサポートをしてもらうこともできます。
前述したとおり、助成金の内容は毎年のように変更されますし、必要書類や手続きが変更されることもありますので、早めに相談することをおすすめします。

助成金について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から助成金について相談できる社会保険労務士を検索することができます。

助成金について相談できる社会保険労務士をさがす

監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で社会保険労務士を検索し、助成金について相談することができます。

クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計なら会計帳簿作成はもちろん、日々の経理業務から経営状況の把握まで効率的に行なうことができます。ぜひお試しください!




PageTop