工業所有権とは?種類、耐用年数、仕訳を解説

公開日:2024年07月08日
最終更新日:2024年07月08日

この記事のポイント

  • 工業所有権とは、特許権、実用新案権などを処理する勘定科目。
  • 工業所有権は、それぞれの耐用年数によって減価償却を行なう。
  • 工業所有権は、無体財産権として無形固定資産の部に資産計上される。

 

工業所有権とは、産業の発展に寄与するための価値ある権利として保護される知的所有権の一種です。
工業所有権は、それぞれの耐用年数によって減価償却を行います。

工業所有権とは

子業所有権とは、知的所有権の一種で、一般的には特許法によって保護される「特許権」、実用新案法によって保護される「実用新案権」、意匠法によって保護される「意匠権」および商標法によって保護される「商標権」の4つを指します。

(1)特許権

特許権とは、産業上発明した製品、製造方法を法的に保護する権利で、特許権を持っている企業はその製品、製造方法を独占的に使用、譲渡することができます。また、他社に利用させる場合には、特許使用料などを受けとることができます。
特許権は、知的財産権の一種であり、無形固定資産に属します。
特許権を有償取得した場合には、取得時の支出額で評価され、耐用年数にわたって定額法で償却します。

(2)実用新案権

実用新案権とは、実用新案法に基づいて登録された産業上の物品の形状、構造、組み合わせについての考案を独占的・排他的に行使できる権利を管理するための勘定科目です。
いわゆる発明とは異なり、新規性や進歩性が比較的低い考案でも認められるもので、簡単に言えば「ちょっとした発明」です。たとえば「布団叩き」などのような生活用品が該当します。
したがって、中小企業や個人発明家にとって重要な知的財産権であり、何か新しく作り出した特徴があれば、実用新案の対象になります。
実用新案権の耐用年数は、5年です。

(3)意匠権

意匠権とは、意匠法に基づいて登録された意匠(物品の形状、模様、色彩に関するデザイン)を行使できる権利を管理するために使う勘定科目です。独自のデザインを保護し、模倣品から企業の利益を守るために不可欠な役割を果たします。
意匠法上の権利期間は登録から20年で、耐用年数は7年です。意匠権は、企業のブランド価値や製品の競争力を高める重要な資産として、貸借対照表の無形固定資産に計上されます。

(4)商標権

商標権とは、商標法に基づいて登録された証憑を、独占的・排他的に行使できる権利を管理するために使う勘定科目です。
証憑とは、文字、図形、記号、立体的な形状など(たとえば、ロゴマークやトレードマークなど)のことで、商標法に基づいて登録した場合には、その証憑を独占的・排他的に使用することができます。
商標権は、無形固定資産として計上され、残存価額ゼロの定額法によって均等償却されます。耐用年数は10年です。

工業所有権の処理仕訳

工業所有権は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権のそれぞれの耐用年数によって、定額法で減価償却を行います。

特許権:8年
実用新案権:5年
意匠権:7年
商標権:10年

(1)特許権を取得した

特許権には、他者から取得する場合と自社の発明によって取得する場合の2つがあります。他者から取得した場合には、特許権の取得価額、特許料、出願料、その他の登録にかかったすべての付随費用を計上します。

一方、自社の発明による特許権の場合、試験研究費の処理方法によって計上する金額が異なります。繰延資産として処理している場合は、試験研究費の未償却残高と付随費用の合計額を計上し、支出年度の費用として処理している場合は、付随費用のみを計上します。また、自社発明による特許権の場合、付随費用を取得原価に含めなくてもよいとされています。

特許権の有効期限は原則として出願から20年ですが、償却年数は税法上8年とされており、会計上では個別に勘案して決定します。

「試験研究費として繰延資産計上していた特許権(未償却残高200万円)を取得した。取得にかかった登録免許税1万円は費用処理する。」

借方 貸方
特許権 2,000,000 試験研究費 2,000,000
借方 貸方
租税公課 10,000 現金 10,000

(2)商標権を取得した

商標権は、デザイン作成のためにデザイン会社に支払ったデザイン料は、商標権として処理をします。登録費用については、資産計上してもよいですし、費用処理することもできます。
商標権の耐用年数は10年です。

「ロゴマークの作成に関して、デザイン料110万円を支払った。登録するための費用として、登録免許税1万円(費用処理)と諸経費27万5,000円がかかった。」

借方 貸方
商標権 1,000,000 普通預金 1,375,000
支払手数料 250,000
仮払消費税等 125,000

まとめ

工業所有権とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権を処理する時に使う勘定科目です。特許は新しい発明に与えられ、商標は製品やサービスの出所を識別します。意匠権は製品の外観の独創性を保護します。工業所有権は、定額法でそれぞれの耐用年数によって減価償却します。
不明点は、早めに税理士に相談して適切に処理を行うことが大切です。

工業所有権について相談できる税理士をさがす

freee税理士検索では、数多くの事務所の中から、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の処理や経理作業などについて相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

\ 工業所有権について相談できる税理士を検索 /

都道府県
業種

工業所有権の税理士相談Q&A・経験談を見る

・受け取ったロイヤルティーの税区分を教えてください。
「海外子会社から受け取ったロイヤルティー(工業所有権)の税区分を教えてください。

この記事の監修・関連記事

監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

 

PageTop