公開日:2022年03月29日
最終更新日:2024年04月16日
機械装置(機械及び装置)とは、企業の経営目的のために所有・使用している印刷機械、食料品製造機械、工作機械などの製品等を製造するための設備です。
機械装置は償却性資産であるため、一般の減価償却によって耐用年数にわたり毎期費用化されます。
また、租税特別措置法に基づく特別償却の制度があります。
機械装置の豆知識
機械装置とは、事業用に所有し使用している機械や装置です。機械装置は、集合体として機能するという考え方から、「総合償却」という計算方法がとられています。税法においては、一般の減価償却のほか、租税特別措置法による特別償却制度があります。
中小企業者等が機械等を取得した場合には、優遇制度が設けられています。
また、中小法人には、数多くの税額控除があります。特別償却が課税繰延措置であるのに対して、税額控除は、算出税額から控除できる永久免税措置で、減税効果は絶大です。
ただし、無制限に税額控除ができるわけではなく、当期の法人税額に制度ごとに定められた一定割合を掛けた額までと制限されています。税額控除を取り切れなかった場合には、翌期に繰越せるものと繰越せないものがあります。せっかくの税額控除ですから、このように取り切れない場合には、あえて利益を出して税金を増やし、税額控除を取り切るのもひとつの手です。
どちらが自社にとってメリットがあるかは、税理士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。
機械装置とは、事業目的のために所有・使用している機械や装置をいいます。
工場の各種製造設備や自走式の機械、コンベアー、ホイスト、起重機等の運搬装置その他の付属設備です。
機械装置は、個々の機械が独立して用役を提供するものではなく、個々の機械を構成部分とする集合体として機能して、最終製品を生産するものです。
したがって、耐用年数も個々の資産のものではなく、設備に含まれるすべての機械の加重平均による「総合耐用年数」による総合償却という計算方法がとられます。機械装置は、この点が他の有形固定資産と異なります。
機械装置とは工場で使用する以下のような製造設備、搬送設備、作業用機械などをいいます。
工具以外の動力で動く工場の設備であり、購入代金だけでなく据付費などそれを取得するために要した費用も合算して計上します。
・コンプレッサー ・プレス機 ・起重機(クレーン) ・ブルドーザー ・切断機 ・チェーンブロック ・研削盤 ・ベルトコンベアー ・パワーショベル |
「工具器具備品」とは、事業のために使われる道具や工具で耐用年数が1年以上、取得価額が10万円以上のものを処理する時の勘定科目です。
「機械装置」は租税特別措置の対象資産となりますが「工具器具備品」は、租税特別措置の対象資産とならないため、「機械装置」と「工具器具備品」の区分は重要になります。
参照:国税庁「減価償却資産における「機械及び装置」と「器具及び備品」の区分について」
一般的には「機械及び装置」は製造業における製造ラインを構成する設備であり、「工具器具備品」は事業活動に使用される小規模な資産とされます。
「工具器具備品」は、具体的に以下のような事業に使われる道具や設備をいいます。
工具 | 機械に取り付けられた加工用の道具 | 加工工具、切削工具、取付工具 |
器具 | 道具や容器で、製品の加工に直接使用しないもの | 試験機器、測定機器、計量器、送風機 |
備品 | 工具・器具以外のもの | 応接セット、キャビネット、コピー機、パソコン、看板、金庫、テレビ、自動販売機、書画・骨とう品、観葉植物 |
「構築物」とは、土地の上にある建物以外の工作物のことです。
「構築物」も「機械装置」と混同しやすいものですが、構築物とは以下のような工作物に関する支出を処理する時に使用する勘定科目です。
・舗装費用 ・路面補修 ・井戸 ・花壇 ・用水池 ・トンネル ・煙突 ・水槽 ・庭木 |
機械装置は、個々の機械を構成部分とする集合体として機能すると考えられることから「総合償却」という方法で計算します。
また税法での取り扱いでは、一般の減価償却の方法のほか租税特別措置に基づく特別償却という制度も設けられています。
機械装置は個々の機械が独立して用役を提供するものではなく、個々の機械を構成部分とする集合体として機能すると考えられます。
そこで、機械装置は「総合償却」という計算方法で行います。
総合償却は、減価償却対象となる資産をグルーピングして、グルーピングした資産の平均耐用年数を用いて減価償却費の計算を行う方法です。
機械装置は、他の有形固定資産と異なり、耐用年数も機械装置を設備一体とみる「総合耐用年数」が用いられます。
機械及び装置の耐用年数表(抜粋)
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総合償却とは、減価償却対象となる資産をグルーピングしたうえで、一定の減価償却方法で一括計算する方法ですが、総合償却では個々の資産の未償却残高が明らかにされませんから、個々の資産の簿価は管理されていないことになります。そこで、総合償却資産の一部について除却等があった場合には、この除却価額をどう算定するかが問題となります。
この場合には、原則として総合耐用年数による「未償却残高方式」が適用されます。
未償却残高方式とは 個々の資産の取得価額と平均耐用年数を基礎とする方法。 除却資産の簿価は、総合耐用年数を基礎として計算した除却時における未償却残高を用います。 |
ただし、継続的に適用することを条件として以下の個別耐用年数による「未償却残高除却方式」や、「配賦簿価法」も認められます。
個別耐用年数による「未償却残高除却方式」とは 除却資産について個別耐用年数を基礎として計算した除却時における未償却残高として、処理している場合に認められる方法です。 |
「配賦簿価法」とは 総合償却資産の償却額を、個々の資産に合理的基準に基づいて配布している場合に認められる方法です。その帳簿価額を基礎として除却額の計算をすることが認められます。 |
機械装置の一部の除却の仕訳例 「医療用機器製造設備(耐用年数10年、旧定率法)のうち、A機械(耐用年数8年、取得価額60万円、取得後6年経過)を16万円で売却した。6年経過後の未償却残価率は、耐用年数12年は0.316、耐用年数8年は0.178とする。なお、総合償却の償却費をA機械に合理的に配賦した場合の簿価は15万円とする。また、消費税率は10%とする。」 未償却残高除却方式
個別耐用年数方式
配賦簿価除却方式
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減価償却制度には、租税特別措置法に基づく特別償却制度があります。
特別償却とは、産業政策を目的に減価償却に関する税務上の特例として認められた償却法をいいます。
特別償却は、普通の減価償却の損金算入枠とは別に特別に認められるもので、取得時に取得原価の一定割合の償却を認めるものと、一定期間普通の限度の枠を超える一定の割合の割増を認める「割増償却」があります。
税務上は、特別償却費を損金経理する方法、剰余金の処分によって特別償却準備金として積み立てる方法のいずれについても認められますが、会計上は取得時に取得価額の一定割合の償却を認める特別償却は、規則的・継続的な減価償却とはいえず費用計上することは認められません。そのため、会計上は特別償却について利益処分方式を採用し、納税申告書で調整する必要があります。
中小会計指針においても、少額の場合を除いては特別償却費の計上は認められず、特別償却準備金を積み立てるという処理を行います。特別償却準備金を積み立てた場合には、翌期以降7年間にわたって均等に切り崩していきます。
機械装置の特別償却の仕訳例 「医療用機器製造設備(取得価額1000万円、耐用年数10年、定率法:償却率0.200)を期首に取得した。この機械について取得価額の30%を特別償却する。」 取得時
決算時
翌期時
300万円÷7×(1-35%)=278,571円 |
機械装置とは、企業の営業目的のために所有、試用している印刷機械や食料品製造機械、電子部品製造機械などの製品等を製造するための設備であり、償却性資産です。他の有形固定資産と異なり、総合償却という計算方法がとられますので、耐用年数については注意が必要です。
また、税法の取り扱いでは租税特別措置法に基づく特別償却が認められています。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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