定率法|定額法との違い・償却率を分かりやすく解説

公開日:2022年02月09日
最終更新日:2022年03月20日

この記事のポイント

  • 「定率法」とは、耐用年数の初期に多くの減価が生じ、使用するうえで減価が少なくなっていくと仮定する償却方法。
  • 「定率法」は、初期に多くの費用計上を行うことができるので、税務上は有利である。
  • 税務署にとくに届出をしていない時には、この「定率法」を採用しているとみなされる。

 

有形固定資産(土地以外)は、使用や時の経過とともに資産価値が減少しますから、資産の使用可能期間にわたって減価償却によって費用化します。
この減価償却の方法は、一般的には定率法または定額法が採用されます。

この記事では、このうち「定率法」の意味や計算方法などについてご紹介します。

定率法とは

定率法とは、「耐用年数(※)の当初に多くの減価が生じ、使用が進むにつれて減価が少なくなっていく」と仮定する減価償却の方法で、耐用年数の期間中、最初のうちに多くの減価償却費を計上し、それから徐々に減価償却費が減っていきます。
税務署にとくに届出をしていない時には、この「定率法」を採用しているとみなされます。

※「耐用年数」とは、固定資産の一般的な使用可能期間のことです。耐用年数が5年であれば、5年にわたって減価償却費を計上していくことになります。
税法では、固定資産の種類、構造、利用方法によってそれぞれの固定資産の耐用年数を規定しています。

(1)定率法と定額法の違い

定率法は「耐用年数の当初に多くの減価が生じる」という考え方に基づく償却方法でしたが、定額法は、「耐用年数の期間にわたって一定額の減価が生じる」という考え方に基づく償却方法です。
したがって、定額法では毎期同じ減価償却費を計上します。

定額法:毎期同じ減価償却費を計上
定率法:最初のうちに多くの減価償却費を計上

なお、減価償却の方法には、他にも「生産高比例法」などの方法がありますが、生産高比例法は実際の利用量や採掘量を基準とした特殊な償却方法で、税法上は鉱業権や鉱業用の固定資産にしか認められていません。
したがって、中小企業の経理では定額法と定率法をおさえておくだけで十分でしょう。

なお、定額法や定率法は、購入した時期によって計算方法が異なります。固定資産は保有年数が長いので、改正前の法律が適用されることもありますので注意が必要です。

(2)定率法の償却率と計算方法

定率法は、200%定率法ともいわれます。これは平成24年4月1日以後に取得した資産についての償却方法で、「200%定率法」は以下のように償却します。

減価償却費 = 期首末償却残高 × 定額法の償却率 × 200%

期首未償却残高:期首に未償却となっている残高のことで、定率法では最初の年に大きく減少し、その後は徐々に減少幅が小さくなっていきます。

定率法の償却率は、定額法の償却率×200%となります。つまり、償却を始めた最初の年度では定額法の2倍の減価償却費を計上できることになり、税務上有利となります。その後の年度では計上する減価償却費がだんだんと減り、途中から定額法のような計算に切り替わります。

減価償却費 = 改定取得価額(※) × 改定償却率(※)

※改定取得価額:計算方法が切り替わる期の期首の未償却残高のことです。
※改定償却率:残りの耐用年数で適正な減価償却ができるように設定された一定の率で、耐用年数省令で定められています。
参照:デジタル庁「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」

たとえば、取得価額1万円の固定資産で耐用年数10年の固定資産のケース(償却率0.200)では、以下のようになります(分かりやすくするために、数値を小さくしています)。

年数 減価償却費 帳簿価額 計算
1年 2,000 8,000 10,000×0.200=2,000
2年 1,600 6,400 8,000×0.200=1,600
3年 1,280 5,120 6,400×0.200=1,280
4年 1,024 4,096 5,120×0.200=1,024
5年 820 3,276 4,096×0.200=820
6年 656 2,620 3,276×0.200=656
7年 655 1,965 ①2,620×0.200=524
②10,000×0.06552=655
③上記①より②が大きいため、655(2,620×0.250)
8年 655 1,310
9年 655 655
10年 654 1

(3)200%定率法と250%定率法とは

減価償却については、平成19年度と平成24年度に税制改正がありました。
平成19年度の税制改正では250%定率法という償却方法が導入され「より多くの減価償却費を計上できるように」とする内容の改正がされました。

平成24年度の税制改正では、250%定率法について再考され「やっぱり250%では、減価償却費を多く計上し過ぎではないか」という意見が取り入れられたことから、200%定率法が導入されたわけです。

上記の税制改正のとおり、定率法は短期間に2度の税制改正が行われたことになります。同じ定率法でも固定資産の購入時期によって、減価償却の計算方法が変わるということです。したがって、まずは資産の購入時期がいつなのかを確認します。

平成19年4月1日以後に取得した固定資産:定額法or250%定率法
平成24年4月1日以後に取得した定率法を使う固定資産:定額法or定率法(200%定率法)

上記のとおり、平成19年4月1日から平成24年3月31日までに取得した固定資産について定率法を選んだ場合には、「250%定率法」となります。
そして、平成24年4月1日以降に定率法を選択した固定資産については、定率法の償却率は定額法の償却率×200%となります。
(※ただし、経過措置として平成24年3月31日以前に開始し、かつ平成24年4月1日以後に終了する事業年度において、平成24年4月1日からその事業年度終了の日までの期間内に取得した場合には、従前の250%によって償却することができます。)

250%定率法

減価償却費 = 期首末償却残高 × 定額法の償却率 × 250%

その後、定額法のような計算方法に切り替わります。

減価償却費 = 改定取得価額 × 改定償却率

(4)旧定率法(平成19年3月31日以前)とは

旧定率法とは、平成19年3月31日以前に取得した固定資産の償却方法であり、今後取得する固定資産には適用されません。
旧定率法では、固定資産を購入した初年度に取得価額にそのまま償却率を掛け、2年目以降は期首の未償却残高に償却率を掛ける方法で減価償却を行います。
旧定率法の償却率は、耐用年数が終わる時点で取得価額の10%が残るよう調整されていて、償却率は税法で定められた償却率表を使います。

参照:国税庁「旧定額法と旧定率法による減価償却(平成19年3月31日以前に取得した場合)」

(5)定率法を選択できる固定資産は

定率法は、どの固定資産にも使用できるわけではありません。たとえば、建物や構築物、建物付属設備などは、定額法しか選択できません。

法定償却方法(法人の場合)

固定資産の種類 法定償却方法 選択可能な償却方法
建物 定額法 定額法
建物附属設備 定額法 定額法
構築物 定額法 定額法
機械設備 定率法 定額法または定率法
車両運搬具 定率法 定額法または定率法
工具器具備品 定率法 定額法または定率法
無形固定資産 定額法 定額法

参照:国税庁「減価償却に関する改正 」

(6)少額の固定資産を購入した時

購入した固定資産が安価なものであった場合には、購入してすぐに経費としてよいという取り扱いが認められています。

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から令和4年3月31日までの間に取得して事業の用に供した場合には、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。
ただし、この規定にはその年度で取得価額の合計額が300万円までの固定資産に適用できるという上限が定められています。
この規定は、資本金1億円以下または従業員が500人以下の青色申告法人や青色申告個人事業者に適用されます。
参照:国税庁「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」

一括償却資産の特例
20万円未満の固定資産を購入した場合には、所定の書類を添付すれば資産を一括して3年間で均等に償却することができます。
つまり、3年で取得価額の3分の1ずつを経費計上していきます。
参照:国税庁「減価償却のあらまし」

(7)会計ソフトを活用しよう

「クラウド会計ソフト freee会計」では、固定資産台帳へ資産登録することで、減価償却費の記帳を自動で行います。
固定資産台帳には、購入した金額、資産分類、取得日、耐用年数、償却方法、期首残高の6点を登録するだけで、面倒な償却計算が必要なくなります。

固定資産の基本情報を登録
固定資産の基本情報を登録します。
勘定科目が分からない場合でも、「クラウド会計ソフト freee会計」側で、資産の名前から勘定科目を推測して提示してくれるので、迷わずに登録することができます。

償却方法を登録
固定資産の償却方法を登録します。
償却方法も、「クラウド会計ソフト freee会計」側で、勘定科目から償却方法を推測して提示してくれます。

まとめ

定率法は、減価償却の代表的な計算方法で、耐用年数の期間中、最初のうちに多くの減価償却費を計上し、その後徐々に減価償却費が減っていくという償却方法です。固定資産をいつ事業に使い始めたかによって、償却方法が異なりますので、不明点等は税理士にアドバイスを受けてから処理をすることをおすすめします。

定率法について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、定率法の意味や計算方法について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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