労働分配率の計算方法と目安

公開日:2019年11月19日
最終更新日:2021年06月16日

目次

  1. 労働分配率とは
    • (1)労働分配率の計算式
    • (2)労働分配率の目安は50%
    • (3)規模別・業種別労働分配率を見てみよう
  2. 労働分配率を適正に保つためには
    • (1)人件費削減は従業員のモチベーションを下げる
    • (2)労働分配率と労働生産性の関係を見てみよう
    • (3)労働生産性を高める方が健全
  3. 労働分配率のまとめ
    • 労働分配率について相談できる税理士を探す

この記事のポイント

  • 労働分配率とは、付加価値に占める人件費の割合のこと。
  • 人件費が高くなれば、労働分配率が高くなる。
  • 労働分配率の目安は50%。高すぎるのは危険だが低すぎても問題。

 

労働分配率とは、付加価値からみた人件費の水準です。
つまり、人件費が会社の付加価値に対してどのくらいの割合になるかをみる指標です。
労働分配率は高すぎると経営を圧迫しかねませんが、低すぎれば従業員のモチベーションを下げてしまうことになるので、適切な水準に保つことが大変重要です。

この記事では、労働分配率の計算方法や適切な水準などについてご紹介します。

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労働分配率とは

会社の費用のうち、なんといっても一番大きいのは人件費です。給料手当と役員報酬は、会社が直接支払う大きな費用です。さらに広い意味では、法定福利費と福利厚生費も人件費と考えられます。

労働分配率に使う人件費は、このように広い意味での人件費です。付加価値に対して会社がどのくらい人件費を使っているのかという割合を見るための指標です。

付加価値とは、売上によって新たに生み出した価値のことです。たとえば、仕入れ血が30円の商品を100円で売り上げた場合には、付加価値は70円です。小売業や卸売業などの場合には、売上総利益(売上高から売上原価を差し引いたもの)とイコールと考えてよいでしょう。

(1)労働分配率の計算式

労働分配率とは、会社が生み出した付加価値を労働力つまり人件費にどれだけ分配したのかを見るための指標で、以下の計算式で計算します。

労働分配率=人件費÷付加価値×100
人件費
人件費には、給料手当と役員報酬だけでなく退職金や福利厚生費なども含みます。
役員報酬+給料賞与+退職給与+法定福利費+福利厚生費+退職年金掛金+賞与引当金繰入額+退職給付引当金繰入額+教育費
付加価値
付加価値とは、売上により新たに生み出した価値のことです。
付加価値の最大の特徴は、従業員の人件費を費用ではなく、利益の配分と捉える点です。付加価値は、給料として従業員に支払われたり、配当として投資家に配分されたりします。
そして、この付加価値のうち給料などの人件費が占める割合が労働分配率です。付加価値の計算方法は、控除法、加算法があります。

付加価値の額を計算する方法は、控除法、加算法があります。

控除法(中小企業庁方式)

付加価値=売上高-外部購入価額

加算法(日銀方式)

付加価値=人件費+金融費用+減価償却費+賃借料+租税公課+経常利益

(2)労働分配率の目安は50%

労働分配率は、会社の規模や業種によって差がありますが、だいたい50%が目安と言われており、70~80%になると経営は厳しいと言われています。
ただし、サービス業や運送業など、人間の労働力による仕事の割合が高い会社の場合には高くなる傾向がありますので、一概に「目安は○%だ」といえないところです。したがって比較する際には、同業他社と比較する方がよいでしょう。
また創業間もない会社の場合には利益が少ないため、労働分配率も高めになりがちなので、創業からどのくらい経っているのかも判断基準に入れるべきでしょう。

(3)規模別・業種別労働分配率を見てみよう

労働分配率は、会社の規模や業種によって差があります。

まずは、財務省が公表している「法人企業統計調査年報」で大企業、中規模企業、小規模企業の労働分配率をみてみましょう。

参照:財務省「法人企業統計調査」

上記表から分かるように、労働分配率は会社の規模によって大きく差があります。したがって、労働分配率は、同規模と会社と比較する必要があります。

次に業種別の労働分配率を見てみましょう。

人間の労働力による仕事の割合が高い運輸業、農林漁業、教育、学習支援業などは労働分配率が高いことが分かります。一方、不動産業や物品賃貸業など人間の労働力による仕事の割合が低い業種は、労働分配率が低くなっています。

参照:財務省「法人企業統計調査」

労働分配率を適正に保つためには

従業員の立場からすれば、人生の貴重な時間と労力を提供しているのですから、できるだけ多くの給料をのぞむでしょうし、多くの給料をもらえればモチベーションはアップするでしょう。しかし会社を経営するという観点からみれば、会社を安定的に発展させるためには、労働力にばかり付加価値を分配することは危険です。

(1)人件費削減は従業員のモチベーションを下げる

労働分配率が業種平均と比較して明らかに高すぎるようであれば、何らかの改善をしなければなりません。放置しておけば利益を圧迫しかねないからです。
しかし、だからといって人件費を削り過ぎると従業員のモチベーションを下げてしまうことが懸念されます。従業員のやる気が失われてしまってはなんの意味もありませんし、結果として優秀な従業員を失う結果になりかねないからです。

(2)労働分配率と労働生産性の関係を見てみよう

労働分配率を適正に保つためには、労働生産性との関係から検討する必要があります。
労働分配率は、計算式を変化させることで労働生産性との関係が見えてきます。

労働分配率=人件費÷付加価値×100

=(人件費÷付加価値)×(従業員数÷従業員数)

=(人件費÷従業員数)×(従業員数÷付加価値)

=(人件費÷従業員数※①)÷(付加価値÷従業員数※②)

①…1人あたりの人件費
②…労働生産性

上記の計算式から労働分配率と労働生産性の関係をふまえ、それぞれの数値が高いか低いかを見てみると以下の4つのパターンに分けることができます。

労働分配率が低く労働生産性が高い
…付加価値は高いが給与が低い(内部留保が多い・従業員のモチベーション低下のリスク)

労働分配率が低く労働生産性も低い
…付加価値が低く給与が低い(業績は低迷状態)

労働分配率は高いが労働生産性は低い
…付加価値は低いが給与は高い(利益を圧迫するリスク)

労働分配率が高く労働生産性も高い →BEST!
…付加価値が高く給与も高い(業績は向上)

(3)労働生産性を高める方が健全

労働分配率は、人件費を削減することで高めることができますが、労働生産性を高めることでも上がるのです。労働分配率が高すぎて利益を圧迫するからといって人件費を削減するのではなく、できるかぎり労働生産性を上げる努力を行い、労働分配率についてはできるだけ低く抑え、同時に人件費の水準を同業他社と同等またはそれ以上に保つことが理想といえるでしょう。

労働分配率のまとめ

会社は、高い付加価値を目指しながら、従業員のモチベーションや競合他社の人件費などを考慮して労働分配率を決定する必要があります。労働分配率を下げれば優秀な人材の確保が難しくなりますし、労働生産性が低くなる可能性があります。
そこで、人件費の割合を検討する際には、労働分配率を高めるのではなく労働生産性を高めるための方法を検討するようにしましょう。
労働生産性が向上すれば、企業の利益が増え労働分配率もおのずと低下します。そうすることで人件費を上げる余裕もでき、従業員のモチベーションをアップさせることにもつながりさらに労働生産性を高める結果を生みます。
実務上はなかなか難しいところではありますが、企業の業績を伸ばす好循環を生むためにも、労働生産性を高めあわせて労働分配率を高める努力は非常に大切なのです。

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