公開日:2023年10月19日
最終更新日:2023年10月19日
株式会社の所有者は、株主です。株主とは株式会社の出資者で、保有する株式の数に応じて、原則として議決権や配当などの平等な扱いを受けます。
株主の権利は、大きく分けて自益権と共益権があります。
株式会社の出資者を株主といい、その地位や権利を株式といいます。
株式とは、会社法では株券ではなく株主の地位や権利のことを意味します。
株主の義務は、株式の価額を出資することであり、出資が済んだ段階で株主となり、株主になった後は一切の義務はなくなります。
一方、株主の権利はいくつもあり、その権利は大きく自益権と共益権に分かれます。
株主とは、株式を保有する人であり、株主こそがその会社の所有者です。
株主は1人ということもありますが、大企業では何十万人も株主がいることもあります。その場合には、その何十万人と会社を共同所有していることになります。
ちなみに、株式会社以外の持分会社では、出資者のことを「社員」と呼びます。
株主の権利は、その性質によって大きく自益権と共益権に区分されます。
自益権とは、株主の各個人にとって利益となる権利で、代表的なものとしては剰余金配当請求権(剰余金から配当を受ける権利)があります。
共益権とは、株主全体にとって利益となる権利で、代表的なものとしては株主総会における議決権があります。
なお、株主の権利は、行使要件によって単独株主権と少数株主権に区分することもできます。
自益権とは、株主個人が会社から直接に経済的利益を受ける権利です。
主な自益権としては、以下のようなものがあります。
・剰余金の配当を受ける権利 株主への配当などの原資となる剰余金について、配当を受ける権利です。 ・残余財産の分配を受ける権利 ・株主買取請求権 |
株式会社は、定款の定めによってこれらの権利を制限した株式を発行することはできますが、その場合でも剰余金の配当を受ける権利・残余財産の分配を受ける権利のどちらも一切与えないということは許されません。
なぜなら、株式会社は基本的に経済活動で利益を上げて、それを株主に分配することを目的として利用されることを想定しているからです。
共益権とは、会社の経営に参加したり経営を監査したりする権利です。
主な共益権としては、以下のようなものがあります。
・議決権 ・株主提案権 ・株主総会招集請求権 |
株主の権利は、性質によって「自益権」と「共益権」に区分され、行使要件によって「単独株主権」と「少数株主権」に区分されます。
単独株主権とは、株主が1株でも保有していれば行使することができる権利で、少数株主権とは、一定割合以上の議決権または発行済株式を保有する株主だけが行使できる権利です。
これらの株主の権利とそれぞれの要件をまとめると、以下のようになります。
区分 | 権利の内容 | 議決権数・株式数 の要件 |
保有期間 の要件 |
|
自 益 権 |
単 独 株 主 権 |
剰余金の配当を受ける権利 | - | - |
残余財産の分配を受ける権利 | - | - | ||
反対株主の株式買取請求権 | - | - | ||
共 益 権 |
議決権 | - | - | |
株主総会における議題提案権 | - | - | ||
定款閲覧等請求権 | - | - | ||
株主名簿閲覧等請求権 | - | - | ||
代表訴訟の提起権 | - | 行使前6カ月 (公開会社でない会社は要件なし) |
||
取締役の違法行為差止請求権 | - | 行使前6カ月 (公開会社でない会社は要件なし) |
||
少 数 株 主 権 |
株主総会招集の請求権 | 総株主の議決権の3%以上 | 行使前6カ月 (公開会社でない会社は要件なし) |
|
株主総会における議題提案権 (取締役会設置会社) |
総株主の議決権の1%以上 または300個以上の議決権 |
行使前6カ月 (公開会社でない取締役会設置会社は要件なし) |
||
取締役の解任請求権 | 総株主の議決権の3%以上 または発行済株式の3%以上 |
行使前6カ月 (公開会社でない会社は要件なし) |
||
解散請求権 | 総株主の議決権の10%以上 または発行済株式の10%以上 |
- |
株主は、その所有する株式の内容・数に応じて平等に取り扱われなければなりません。また、株主が所有する株式の引受価額を限度とする有限責任です。
このように、株主の権利にはいくつかの原則があります。
株主平等の原則とは、株主はその所有する株式の内容および数に応じて、平等に取り扱わなければならないという原則です。
ただし、この原則は「各株式の内容に応じて」とされていることから、種類株式発行会社が、株式の内容に応じて種類株主間で異なる取り扱いをすることもできます。
株主平等の原則がなければ、多数派株主が持株比率以上に会社の利益の分配を受けることも可能となりかねず、他の株主は株式投資からほとんど収益が期待できないという事態になりかねません。
したがって、株主平等の原則は、株式投資の収益の予測可能性を高め、株式投資を促すというメリットがあるといえます。
ただし例外として、非公開会社では、剰余金の配当を受ける権利、残余財産の分配を受ける権利、議決権について、株主ごとに異なる取り扱いをする旨を定款で定めることもできます。
株主有限責任の原則とは、株主が所有する株式の引受価額を限度として、それを越えて、会社あるいは会社の債権者に対して責任を負わないことをいいます。
たとえば、今会社が解散して清算手続きに入り、会社の債務は1億円ですが資産が6,000万円しかないというケースで考えてみましょう。
この場合、まず6,000万円は会社の債権者に対して債権額に応じて分配されます。そして、差額の4,000万円については、株主は責任を負わず債権者が損失を負担することになります。
株主有限責任の原則は、株主の責任を有限とすることで、多数の一般投資家から出資を募ることができるというメリットがあります。
株式譲渡自由の原則とは、株主は所有する株式を自由に譲渡することができるという原則です。
株主は、株式買取請求権などを行使できる場合を除いては、原則として会社に対して出資の返還を求める権利はありません。
そのため、投資資本を回収するためには株式の譲渡によることが原則となります。
ただし、非公開会社等では株主間の個人的な信頼関係が重視され、好ましくない者が株主になることを回避したいというケースもあります。
そこで、このような場合には定款に株式の譲渡制限を記載することで、株式の譲渡を行うためには会社の承認が必要とすることもできます。
定款で譲渡が制限された株式を、譲渡制限株式といいます。
株主は、会社との関係でさまざまな権利を持っています。
株主の権利は、大きく自益権と共益権があり、また単独株主権、少数株主権の区別があります。
会社は株主のものですから、会社の経営に口出ししてほしくないような人に株主になってもらうと、後々トラブルに発展することもあります。
したがって、会社を設立し運営する際には、株主の権利を正確に理解しておくことが大切です。
会社の経営に口出ししてほしくないような人から資金を出してもらう場合には、出資ではなく借入という方法を検討するようにしましょう。
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