公開日:2023年03月13日
最終更新日:2023年10月17日
公開会社は、取締役会を置くことが義務付けられていますが、非公開会社の機関は、取締役1名と株主総会があれば体裁は整いますので、取締役会や監査役を置くかどうかは、会社の任意です。
取締役が1名であれば、そのまま代表取締役となり、取締役が複数いれば、その中の1名が代表取締役になります。
会社の機関設計は、公開会社と非公開会社で大きく異なります。
まず、公開会社は、取締役会の設置が義務付けられています。これは、株式の譲渡が自由に行われ、株主構成が変動することが想定されていて、経営の意思決定は取締役に委ねられるからです。そして、取締役に合議体を組織させることが株主の利益保護に資すると考えられるからです。
一方、非公開会社は、会社の株主が自ら経営に関する意思決定を行うことが可能な会社もあります。そこで、非公開会社の場合には取締役会を設置しないで、株主総会を万能の機関とすることも可能です。
会社法では、会社の実情に応じた機関設計を可能とするため、個々の会社の実情に応じて、資本金の額・負債総額、株式譲渡制限の有無といった基準によって、機関設計の選択肢が用意されており、以下の8つの基本原則が示されています。
1 | すべての株式会社は、株主総会のほか、取締役を設置しなければならない。 |
2 | 以下の株式会社は、取締役会を設置しなければならない。 ①公開会社 ②監査役設置会社 ③監査等委員会設置会社 ④指名委員会等設置会社 |
3 | 取締役会を設置する場合(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社をのぞく)には、監査役を設置しなければならない。ただし、公開会社ではない会計参与設置会社はこの限りでない。 |
4 | 会計監査人を設置する場合(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社をのぞく)には、監査役を置かなければならない。 |
5 | 監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならない。 |
6 | 監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かなければならない。 |
7 | 指名委員会等設置会社は、監査等委員会を置かなければならない。 |
8 | 大会社には、監査役および会計監査人を置かなければならない。ただし、公開会社でない場合はこの限りでない。 監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社は、大会社か否かを問わず、会計監査人を置かなければならない。 |
前述した、会社法の機関設計に関する基本原則に従い各機関を組み合わせると、非公開会社で大会社でない場合には、7つのパターンがあることになります。
株主総会 | 取締役 | 取締役会 | 監査役 | 会計参与 | |
1 | 〇 | 〇 | |||
2 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
3 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
4 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
5 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
6 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
7 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
公開会社は、取締役会の設置が義務付けられていますが、非公開会社は、取締役会を設置するか否かを選択することができます。
設立当初で最も多いパターンは、以下の3つです。
①取締役1名のみ ②代表取締役1名+取締役1名 ③取締役会(取締役3名)+監査役(または会計参与) |
取締役が複数いる場合には、その中から1名が代表取締役になります。
取締役が3名以上いる場合には、取締役会を設置することができますが、その場合には監査役(または会計参与)を置かなければなりません。
旧会社法で制限されていた取締役の数や監査役の数が緩和されたこともあり、監査役や会計参与は、ある程度会社が大きくなった段階で設置を検討するケースが多いといえます。
非公開会社では、取締役が3名以上の場合に取締役を設置することができ、取締役会を設置する場合には、監査役(または会計参与)を併せて選任する必要があります。
設立時から3名以上の取締役を置くことはあまりなく、多くは株主がそのまま取締役となっているような小規模な会社からスタートするケースがほとんどでしょう。
したがって、経営上の事項を決議する必要性が少ないため、取締役会を設置すべきケースはあまりありません。ただし、取締役が3名以上いる場合で経営方針をしっかりと話し合って決めたいという場合や、コンプライアンスのしっかりした会社だと見せたい場合などは、取締役会の設置を検討しましょう。
なお、取締役会は、会社がある程度成長した段階で設置することもできます。この場合は、監査役(または会計参与)も併せて選任しなければなりません。
取締役会を設置する場合には、株主総会の特別決議によって定款を変更し、取締役会を設置したこと、及び監査役(または会計参与)の選任)について、登記することが必要です。
取締役1名の場合には、その人がそのまま代表取締役となります。
取締役会の設置も必要ありません。
代表取締役は複数いても構いませんが、そのような複雑な機関設計にする場合には、専門家に相談するようにしましょう。
なお、取締役の任期は原則として2年ですが、全部の種類の株式が譲渡制限株式である場合には、定款で定めれば最長10年とすることができます。
取締役が複数いる場合には、任期途中で解任したいときに、正当な理由がないと損害賠償請求をされてしまう可能性がありトラブルの元ですが、取締役1名で譲渡制限会社の場合には、迷わず1番長い10年としておきましょう。
任期が切れると、同じ人が継続して役員を続ける場合でも、役員の変更登記をしなければならず、そのつど印紙代がかかるからです。
機関設計は、取締役会を設置するか否かがポイントとなります。
公開会社は、取締役会の設置が義務付けられていますが、非公開会社は取締役会を設置するか否かを選択することができます。
取締役会を設置しない株式会社では、一定事項について株主総会決議事項としますが、取締役会を設置する株式会社では、取締役会決議事項とされます。
また、取締役会を設置する会社でも、取締役会を設置しない会社と比べると株主総会の開催まで時間が要するなどの理由から、取締役会の権限とされるものもあります。
取締役1名の場合には、そのままその人が代表取締役となり、取締役会の設置について検討する必要はありませんが、仲間と起業するケースなどで、経営方針をしっかり話し合って決めたいなどの事情がある場合には、取締役会の設置を検討するのもよいですが、会社の規模が拡大した段階で、株主総会の特別決議によって定款を変更し、取締役会の設置を検討するとよいでしょう。
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