NPO法人の給料|平均値は?源泉所得税の徴収は必要か

公開日:2019年12月24日
最終更新日:2022年11月23日

この記事のポイント

  • NPO法人とは、「特定非営利活動促進法(NPO法)」に基づいて、認証を受けて法人になった団体。
  • NPO法人は法人格が与えられ、社会的信頼を得られるなどのメリットがある。
  • NPO法人の有給職員への給与や賞与、協力者への報酬を支払う際には、所得税の源泉徴収が必要。

 

NPO法人とは、NPO法にもとづいて設立される法人のことをいいます。

他の株式会社などの法人と異なり、利益を上げることを主な目的として活動することはできませんが、主な活動目的としていない場合には収益目的の事業を行うこともできます。市民の自発性を活かし、社会貢献活動を行うのに適した法人であるといえます。

NPO法人とは

NPOは、英語で「Non-Profit Organization」といい、民間非営利組織の略です。
この「非営利組織」には、社団法人や社会福祉法人、宗教法人、学校法人などのほか、生協、町内会などの組織もNPOに含まれます。
「NPO法人」は、これらのNPOのなかでも特に「特定非営利活動促進法(NPO法)」に基づいて、認証を受けて法人になった団体のことをいいます。

NPO法人は、所轄庁の認証を得れば誰でも設立することができ、資本金や基金、費用も法的には必要ありません。

法人は、大きく営利法人(株式会社や合同会社など)と非営利法人(学校法人医療法人など)に分類されますが、NPO法人は非営利法人です。

NPO法は、阪神・淡路大震災での自発的で迅速な市民団体の活動が注目されたことで立法化され、その後数回改正され、NPO法人を通じて市民活動がますます活発化することが期待されています。

なお、NPO法人の「特定非営利活動」とは、NPO法で掲げられている20の活動内容に該当し、不特定多数の人々のためになる活動であることが必要です。
20項目すべての活動を行う必要はなく、1つでも該当していればそれで構いません。

1 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2 社会教育の推進を図る活動
3 まちづくりの推進を図る活動
4 観光の振興を図る活動
5 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7 環境の保全を図る活動
8 災害救援活動
9 地域安全活動
10 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
11 国際協力の活動
12 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13 子どもの健全育成を図る活動
14 情報化社会の発展を図る活動
15 科学技術の振興を図る活動
16 経済活動の活性化を図る活動
17 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18 消費者の保護を図る活動
19 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
20 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

NPO法人を設立すると、ボランティア活動を行うグループと違い法人格が与えられるという点を挙げることができます。法人格が与えられることで、部屋を借りる際にNPO法人名義で借りることができますし、NPO法人名義で銀行口座をつくることができます。
また、NPO法人の情報は都道府県や内閣府のサイトで公開されているので、社会的信頼を得ることができます。

収益事業から得られた利益をのぞき原則として課税されません。株式会社などのような会社であれば、事業の種類にかかわらず獲得した利益のすべてが課税対象となりますので、NPO法人には税制上大きなメリットがあるといえます。

ただし、実際には単発のイベントで出店してそこで収益を得たからといって、それだけで収益事業と判断されることは少ないでしょう。気になる点があれば、税理士などに相談して確認することをおすすめします。

なお、NPO法人は、都道府県庁に毎年「事業報告」を行わなければなりません。
東京都の場合には、この事業報告が3年以上未提出の場合には、NPOの認証が取り消されてしまいます。

また、理事などの変更があった場合には、登記を変更するだけではなく、都道府県庁に届け出ることが必要です。定款を変更する場合には特に手続きが面倒で、NPO法人を設立する時と同じように事業計画書や予算関係の書類を作成し、審査を受けるなど時間がかかります。

(1)NPO法人は過大な報酬支給はNG

事業活動に関する基準(4号基準)とは、NPO法人の事業活動が適正に行われているかどうかを判定する基準で、以下の基準1~4まですべてをいたしている必要があります(NPO法45条1項4号)。

基準1 次に掲げる活動を行っていないこと
①宗教の教義を広め、儀式行事を行い、信者を強化育成すること
②政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対すること
③特定の公職の候補者もしくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれに反対すること

基準2 役員等に対し特別の利益を与えないなど特定の者と特別な関係がないものとして下記の一定の基準に適合していること
①職務内容や職員給与、他の類似NPO法人の役員報酬と比較して、役員等への過大な報酬支給を行わないこと、報酬及び給与支給に関し特別の利益を与えないこと
②役員等又は役員等が支配する法人に対し、著しく安価な資産の譲渡をしないこと、資産譲渡等に関して特別の利益を与えないこと
③役員等に役員選任、法人の財産運用、事業運営に関し特別の利益を与えないこと
④営利目的の事業を行う場合、上記基準1①~③の宗教的活動、政治的活動を行う者や特定の公職の候補者もしくは公職にある者に対して寄附を行わないこと

基準3 実績判定期間の事業費総額のうち、特定非営利活動に係る事業費の占める割合又はこれに準ずる割合が80%以上であること

基準4 実績判定期間における受入寄附金総額の70%以上を特定非営利活動に係る事業費に充てていること

つまりNPO法人は、職務内容や職員給与、他の類似NPO法人の役員報酬と比較して、役員等への過大な報酬支給を行ってはならないこととされています。

(2)役員報酬については名簿記載が必要

NPO法人設立認証の際に提出する書類としては、役員名簿があります。
この役員名簿には、理事や監事の氏名と役職、住所又は居所を記載します。役員のうち、役員報酬を得ている者がいる場合、この役員名簿に報酬の有無を記載します。この場合、「報酬の有無」という欄を設けて、そこに「有」「無」と記載することになります。

(3)給与支払いの際は源泉徴収が必要

役員報酬を得ている者がいる場合に支払う報酬や、原稿料、講演料等、協力者への報酬を支払う際に、所得税の源泉徴収が必要です。また職員の住民税について特別徴収を選択した場合は、その徴収も行わなければなりません。

(4)NPO法人の平均給与額【令和2年度調査】

特定非営利活動法人に関する実態調査によると、「役員の年間役員報酬額」について、認証法人の平均値は99.2万円、認定・特例認定法人では、120.2万円となっています。

「常勤の役員報酬を得る役員」については、認証法人の平均値は101.5万円、認定・特例認定法人では、123.4万円となっています。

参照:内閣府「令和2年度特定非営利活動法人に関する実態調査」

(5)NPO法人の年末調整と確定申告

NPO法人も、収益事業で得た利益については、法人税や消費税が課されます。
また、有給職員を雇用したら、「給与支払事務所等の開設届出書」を税務署へ提出する必要があります。また、給与を支払う際には給与源泉所得税の徴収事務が毎月発生します。基本給以外の各種手当は、内容によって課税・非課税が分かれますので、かならず税理士に確認しましょう。
また、有給職員の住民税の特別徴収を選択する場合には、住民税もあわせて法人が給与から徴収し、市区町村へ納めます。

原稿料、講演料等の報酬を支払う時には、その10%を報酬源泉所得税として徴収し、翌月10日までに税務署へ納付しなければなりません。なお、支払先が法人の場合は、徴収の必要はありません。
なお、給与の支給人員が常時10人未満の場合には、事務作業の負担を軽減するために、これらの作業を毎月行わず、年2回にまとめる納期の特例を受けることも可能です。

法人税や消費税の確定申告は、担当者の負担がかなり大きくなることから、団体の活動の繁忙期とずれるようスケジュールを組みましょう。

まとめ

NPO法人は、職務内容や職員給与、他の類似NPO法人の役員報酬と比較して、役員等への過大な報酬支給を行ってはならないこととされており、NPO法人の平均給与額は、「常勤の役員報酬を得る役員」については、認証法人の平均値は101.5万円、認定・特例認定法人では、123.4万円となっています。
そして、有給職員に給与を支払う際には、給与源泉所得税の徴収事務を行う必要があります。
また、収益事業で得た利益については、法人税や消費税が課されます。
これらの税務が遅れると、追徴課税等、法人に損害が生じますので、余裕のあるスケジュールで、計画的に作業を行うようにします。

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