固定資産税はいつ払うの?軽減措置はある?【令和5年度改正反映】

公開日:2019年12月12日
最終更新日:2024年02月02日

この記事のポイント

  • 固定資産税とは、不動産を保有することに課せられる税金。
  • 固定資産税は、毎年1月1日現在の不動産の所有者に課せられる。
  • マンション大規模修繕工事の固定資産税減額措置がある(令和5年~)。

 

固定資産税とは、土地や家屋などの固定資産を所有している時に課税される税金です。
毎年1月1日時点の固定資産の所有者に対して課税されます。

第1期の納付月(毎年4月~6月頃)に、納税通知書が送付されますので、それに従って年4回に分けて納付することになります。

固定資産税とは

固定資産税とは、土地や家屋を所有している人に対して課せられる税金です。
土地や家屋のほか、会社で使っている機械なども税法上の経費となる償却資産などにも課税されます。
なお、不動産を取得した時に課税される「不動産取得税」は国税ですが、固定資産税は市町村税(東京23区では都)です。

土地
田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地)
家屋
住家、店舗・工場(発電所・変電所含む)、倉庫、その他の建物
事業用の償却資産
構築物、機械・装置、工具・器具及び備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税法又は所得税法上、減価償却の対象となるべき資産。ただし、自動車税、軽自動車税の課税対象となるものは除く。

なお、土地、家屋などの固定資産税は、法人税や所得税のように納税者自らが申告する「申告納税主義」ではなく、課税する側が納税者に税額を通知する「賦課課税方式」です。ただし、事業用の償却資産については1月末までに申告し、市町村が申告をもとにして評価額を決定します。

(1)固定資産税はいつ払うか

固定資産税は、毎年1月1日時点で、固定資産台帳に所有者として登録されている人に対して、第1期の納付月に納税通知書が送付され、その通知書に従って年4回に分けて納付することになります。
第1期の納付月は、各地方公共団体の条例によって定められていますが、一般的には4月~6月頃です。

東京都の場合には、6月(第1期)、9月(第2期)、12月(第3期)、2月(第4期)の年4回です。

なお、1月1日時点で登録されている人が納税義務者となりますので、仮に1月2日以降に対象資産を売却したとしても、その年の税金は支払わなければならないことになるので注意が必要です。

(2)固定資産税の税額計算法

固定資産税の税額は、「固定資産税評価額×1.4%」で計算します。

固定資産税の税額=固定資産税評価額×税率(標準税率は1.4%)

固定資産税の税率は市町村ごとの条例で定められていますが、標準税率は1.4%となっていて、90%以上の市町村がこの標準税率を採用しています。

この固定資産税評価額の評価方法については、総務大臣が全国一律の「固定資産税評価基準」として細かく規定しています。さらにニ段階目の措置として、実際の固定資産税では評価額に対して政策的にさまざまな調製や特例、軽減措置などを設けていて、これらを加味して課税標準額を算出します。

固定資産税の課税対象となるのは「固定資産税評価額」は、不動産取得税などの課税標準にもなっています。

(3)固定資産税以外の不動産保有にかかわる税金

固定資産税は不動産の保有にかかわる税金ですが、不動産の保有に対する税金としては、都市計画税(市町村税)があります。
都市計画税とは、都市整備に充てるための財源として、市町村が徴収する税金です。都市計画法で市街化区域に指定されているエリアに土地や家屋を所有している場合には、固定資産税のほかに、都市計画税が課されます。
※地価税、特別土地保有税は、現在は停止されています。

(4)所有者不明土地等にかかる固定資産税制度創設(令和2年~)

所有者不明の土地については、以前から問題が指摘されていました。これを受けて所有者不明の土地等に係る固定資産税への対応制度が創設されました。
令和2年4月から条例が施行された後に、現所有者であることを知った人については、令和3年度からの固定資産税について、以下のとおり適用されます。

①土地または家屋の登記簿上の所有者が亡くなり、相続登記がされるまでの期間、相続人など現に所有している人に対しては、市町村の条例により、氏名、住所など必要な事項を申告させることができる。

②調査等を行ってもなお固定資産の所有者が1人も明らかにならない場合には、事前に使用者に通知をしたうえで、使用者を所有者とみなし、固定資産課税台帳に登録し、固定資産税を課す。

参照:総務省「所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応」

(5)大規模修繕工事の軽減措置(令和5年~7年3月)

一定の大規模修繕工事を行ったマンションについては、工事翌年度の建物部分の固定資産税が軽減されます。
軽減割合は、1/6~1/2で市町村により異なります。また、1戸当たり100㎡相当分までとなります。

大規模修繕工事とは、たとえば長寿命化に向けた屋根や床の防水工事や、外壁塗装工事などです。
軽減措置の適用を受けるためには、①築20年以上・10戸以上のマンションで、②長寿命化のための工事を過去に1回以上行っている、③工事に必要な積立金が確保されているなどの要件を満たす必要があります。

固定資産税の特例措置

固定資産税については、広さによって課税標準の減額措置が設けられています。また、新築住宅やバリアフリー回収に係る特例措置も設けられています。

(1)固定資産税の住宅用地に関する課税標準特例措置

住宅のある敷地全体のことを住所用地といいます。
住所用地は、広さによって小規模住宅用地と一般住宅用地に分けられ、それぞれに課税標準の減額措置があります。
※空き家対策の推進に関する特別措置法に基づく勧告の対象となった特定空き家等については、住宅用地特例の対象とはなりません。

①小規模住宅用地(200㎡以下)
課税標準額 = 評価額 × 1/6
②一般住宅用地(200㎡を超える部分)
課税標準額 = 評価額 ×1/3

(2)新築住宅に対する固定資産税の軽減措置

新築住宅の床面積が50㎡以上280㎡以下(戸建て以外の賃貸マンションなどの場合は40㎡~280㎡以下)の住宅は、居住用部分のうち120㎡までの部分に相当する税額が3年間(3階建て以上の中高層耐火住宅は5年間)は、1/2に減額されます。
これは、新築住宅の場合当初の固定資産税負担が大きいことに対する配慮です。

床面積の条件
自己所有の住宅(居住部分): 50㎡以上280㎡以下
店舗併用住宅: 居住用部分が1/2以上

(3)バリアフリー改修工事に伴う固定資産税の特例措置

平成19年(2007年)4月1日から令和6年(2024年)3月31日までの間、65歳以上の高齢者や要介護、要支援の認定を受けている人、障がい者などが居住する家屋については、補助金などを除いた50万円以上の一定のバリアフリー改修工事を行った場合、翌年度分の固定資産税が、1/3に減額されます(令和4年度の改正により適用期限が2年延長)。
ただし、固定資産税の減額は100㎡分まで(改修後の床面積は50㎡以上)までが限度とされます。

適用を受けるために必要なこと工事完了日から3カ月以内に、固定資産税減額申告書や適用対象者の証明書、バリアフリー改修工事の内容が確認できる書類等またはその写しを当該家屋が所在する市区町村の窓口に提出することが必要です。

参照:国土交通省「バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置」

この特例に該当するバリアフリー改修工事は、以下のaからhに該当する工事で、工事費用の合計額が50万円を超えるもの(補助金分を除く)をいいます。

a 廊下の拡幅
b 階段の勾配の緩和
c 浴室改良
d トイレ改良
e 手すりの設置
f 屋内の段差の解消
g 引き戸への取替え工事
h 床表面のすべり止め

(4)省エネ改修工事に伴う固定資産税の特例措置

平成19年(2007年)4月1日から令和6年(2022年)3月31日までの間、一定の省エネ改修工事を行った場合には、固定資産税が減額される特例があります。
具体的には、平成26年(2014年)4月1日に損していた住宅(賃貸住宅をのぞく)について、令和6年(2022年)3月31日まで60万円以上の省エネ改修工事を行った場合、翌年度の固定居資産税が1/3に減額されます(令和4年度の改正により、要件等が変更となり適用期限が2年延長)。

工事完了日から3カ月以内に、固定資産税減額申告書、増改築等工事証明書等の書類またはその写しを当該家屋が所在する市区町村の窓口に提出することが必要です。

参照:国土交通省「省エネ改修に係る固定資産税の減額措置」

(5)住宅耐震改修に伴う固定資産税特例措置

昭和57年(1982年)1月1日以前からある住宅について、一定の耐震改修工事を行った場合には、原則として工事完了日の翌年度のその住宅への固定資産税が1/2減額されます。
この特例措置が適用されるためには、居住部分で1戸あたり120㎡相当分までが限度で、50万円超の耐震改修工事を行うなど一定の要件に該当する必要があります。なお、この特例は令和6年(2024年)3月31までの特例措置です(令和4年度の改正により適用期限が2年延長)。

参照:国土交通省「耐震改修に係る固定資産税の減額措置」

(6)固定資産税の負担調整措置

負担調整措置とは、3年に1度行われる土地の固定資産税評価額の評価替えによる税負担の増大を緩和するために設けられている措置です。
固定資産税評価額は、3年に1度見直されますが、3年の間に大きな地価の変動等があることもあります。その変化を1度に課税標準に反映させると、税負担が急激に増加してしまいます。そこで、このような税負担を均衡化させるために前年度の標準をあわせて考慮するなどの措置が講じられます。
前年度の課税標準をあわせて考えるなど、固定資産税の負担調整が行われます。
前述したとおり、新型コロナ感染症拡大に伴い、令和3年度に限っては、負担調整措置方によって税額が増える土地については、前年度の税額に据え置かれるという特別な措置が講じられました。

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まとめ

以上、固定資産税の納付時期や納付方法、納税義務者、軽減措置などについてご紹介しました。
前述したとおり、固定資産税については新型コロナ感染症拡大に伴う特別な措置が講じられたりさまざまな特例措置が導入されたりしている一方で、所有者不明土地等に係る固定資産税の対応制度が創設されるなど、毎年のように税制改正が行われています。
所有している住宅がこれらの要件に当てはまる場合には、税額アップを避けるためにも不動産の税務に詳しい税理士に相談してアドバイスを求めましょう。

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