事業承継でM&Aを活用するメリット・デメリット

公開日:2018年10月31日
最終更新日:2019年05月22日

目次

  1. 事業承継とM&A
    • M&Aとは
    • 事業承継はなぜ問題か
  2. M&Aのメリット
    • 廃業より有利
    • 従業員の雇用確保・取引先の継続
    • 経営者のメリット
  3. M&Aのデメリット
    • 会社のキャッシュ・フロー
    • 時間がかかる
  4. M&Aを進めるためには
    • 相談先を探す
    • 候補先探し
    • 交渉
    • 基本合意・デューデリジェンス
    • 契約書の締結
  5. まとめ

M&Aは、大企業だけではなく中小企業にも大いに活用できる手法です。

特に、後継者不在問題を抱える事業承継では、M&Aが非常に有効な手法であり、実際にM&Aを利用して、事業承継を成功させたケースも増え始めています。

ここでは、事業承継を成功させるためのM&Aの具体的な手法、メリット・デメリット、注意しなければならないポイントなどについてご紹介します。

事業承継とM&A

日本経済の基盤を支える中小企業ですが、経営者の多くはいわゆる団塊の世代であり、少子高齢化社会を迎えて、後継者にどのように事業承継を行えばよいのかという、事業承継問題が大きな課題となっています。

以前は事業承継というと、子どもなどの親族に承継するケースが多くを占めていましたが、「息子や娘に継ぐ意思がない」「そもそも子どもがいない」などの問題から、第三者に事業を承継したり廃業したりするケースが増えてきました。
中小企業庁の発表によると、親族外承継が増えていることを示しています。

引用:中小企業庁 財務課「事業承継に関する現状と課題」

政府としても、このような後継者不在問題を支援するために全国に「事業引継ぎ支援センター」を設置したり、事業承継税制を拡充する施策などを行ったりしています。

引用:中小企業庁「事業承継」

M&Aとは

M&Aとは、M&Aは、Mergers and Acquisitions(合併と買収)の略語です。
以前は、M&Aというと「身売り」や「経営上の敗北」といったネガティブなイメージが強かったのですが、最近は、このようなイメージも大きく変わりました。

とくに、ここ数年で中小企業のM&Aは着実に増加し、事業承継における後継者不在問題を解決するためにメリットのある1つの選択肢となっています。

事業承継はなぜ問題か

日本はすでに人口の減少が始まっていて、商品やサービスに対する需要は低下し、市場の縮小は深刻な事態を引き起こしています。
大都市の人口は若干増加しているものの、地方の多くは人口減少傾向が強く、それに伴い商品やサービスに対する需要は減少します。

以上のような背景から、子どもに事業を承継させたいと思う経営者は少なくなり、子どもの方も継ぐ意思がないことが、事業承継の後継者不在問題を深刻化させているのです。

「事業承継対策はなぜ必要か~事業承継対策すべき企業の特徴」を読む

「円滑に事業承継を進めるためのポイント、スケジュール」を読む

「事業承継のポイント|納税資金、後継者育成、自社株評価」を読む

M&Aのメリット

最近は、中小企業でM&Aが増えています。
もちろん、事業の成長や拡大を目指した戦略的な目的で行われることも多いのですが、先に述べた後継者不在問題を解決するための手法として、M&Aによる会社売却が有効な選択肢として検討されるケースが増えています。
実際、M&Aの利用には、多くのメリットがあります。

「M&Aとは|M&Aの方法、種類、交渉から契約締結まで」を読む

廃業より有利

廃業は、簡単ではありません。
従業員の雇用の問題もありますし、取引にも深刻な影響を与える可能性もあります。
さらに、会社が債務を抱えているなどの事情があれば、その債務を支払わなければなりません。廃業するということは、実は想像以上に大変な手続きが必要になるのです。

従業員の雇用確保・取引先の継続

後継者が不在でも、M&Aを利用すれば事業を存続させることができます。
従業員の雇用を維持することもできますし、取引先との取引も継続することができます。

経営者のメリット

経営者自身も、株式譲渡によって利益を得ることができます。
また、事業承継でM&Aを選択したら、会社を売却して経営者も引退するものと思っている人も多いと思いますが、M&Aにもさまざまな手法があり、経営者は引退することもできますし、引き続き経営に携わる方法もあります。

M&Aのデメリット

M&Aはメリットの多い手法ではありますが、デメリットもあります。
デメリットに配慮せずにM&Aを進めてしまうことがないよう、これらのデメリットもしっかり理解を深めておく必要があります。

会社のキャッシュ・フロー

M&Aを成功させるためには、会社に魅力がないと条件が不利になってしまいます。
少なくとも売却対象となる事業は、キャッシュ・フローがプラスになっている必要があります。
M&Aの買い手は、その事業のキャッシュ・フローに魅力を感じて売却価格を算出していることも多いからです。
また、魅力のない会社には、そもそも振り向いてくれる人が少ないという点についても理解しておく必要があります。

時間がかかる

M&Aの実行には、時間がかかります。
規定・規則などを整備する必要がありますし、充分に時間をかけて計画を練る必要があります。すぐに買い手が見つかるとは限りません。
見つかるまでの時間は、焦らないことが大切です。事業のキャッシュ・フローをプラスにすること、魅力がある会社を作ることなどに力を尽くすようにしましょう。

M&Aを進めるためには

M&Aを進めるためには、まず相談先を決める必要があります。
自力で買い手を見つけるのは困難ですし、有利な交渉を行うためには、さまざまな注意点があるからです。
ここでは、M&Aの具体的な進め方を検討していきましょう。

相談先を探す

M&Aの相談先については、事業引継ぎ支援センターが全国に設置されています。
「相手をどのように探せばいいのか」「交渉や契約の流れはどうなるのか」などについて相談に乗ってもらうことができます。

引用:中小企業庁「事業承継」

また、M&Aアドバイザーという仲介会社に相談することもできます。
M&Aアドバイザーとは、M&A案件に専門的に請け負っている仲介会社のことです。

もちろんこれらの機関や会社を利用しなくてもM&Aをすることは可能ですが、M&Aを実行するためにはさまざまな交渉や契約書のチェックなどすべてを経営者自ら行わなければならなくなりますので、一度相談してみるとよいでしょう。

「事業承継(M&A)の相談先まとめ」を読む

候補先探し

事業譲渡の買い手候補を探します。
ヒアリングを通じて候補先をピックアップし、候補先へ打診をします。

交渉

興味を持つ相手があらわれたら、交渉を開始します。
希望条件を提示し、詳細資料を開示したり、毛相手から意向表明書や趣意書をもらったりします。会社見学や工場見学、社長同士の面談が行われることもあります。

基本合意・デューデリジェンス

基本合意とは、仮契約のことで「私の会社を譲渡します」「あなたの会社を譲り受けます」という意思表示を書面にしたものです。
いつ頃M&Aを実行するのか、どのような条件で実行するのかなどについて記載されます。

デューデリジェンスとは、買収する側の会社が、買収される側の会社の調査・評価をすることです。会計処理や税務処理が正しく行われているか、取引先と交わしている契約に瑕疵や問題点がないかなどについて、調査・評価をします。

契約書の締結

デューデリジェンスや諸条件の交渉の結果、お互い異議なしとなれば、最終的な条件を記載した合意契約を締結します。
この時、譲渡後の引継ぎ体制についても話し合いが行われます。
さまざまな協議が負われた、双方が押印、代金決済を行ない、役員変更登記を済ませて、M&Aが完了することになります。

まとめ

以上、事業承継でM&Aを活用するメリット・デメリットについてご紹介しました。ただ、ひとくちにM&Aと言っても、会社全部を他の会社に譲渡してしまう方法や、会社の一部を他の会社に譲渡する方法など、さまざまな種類・手法があり、下記の記事で説明しているのであわせてご覧ください。

「M&Aとは|M&Aの方法、種類、交渉から契約締結まで」を読む

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