減資とは|意味と必要な手続き、仕訳を分かりやすく

公開日:2021年09月16日
最終更新日:2021年09月21日

目次

  1. 減資とは
    • (1)有償減資とは
    • (2)無償減資とは
    • (3)100%減資とは
  2. 減資をする際に必要な手続き
    • (1)減資は株主総会決議が必要
    • (2)減資に関する債権者の異議手続き
    • (3)減資の登記
  3. 減資で必要な会計処理
    • (1)有償減資の会計処理・仕訳
    • (2)無償減資の会計処理・仕訳
  4. まとめ
    • 減資について相談できる税理士をさがす

この記事のポイント

  • 減資とは、資本金を減少させること。
  • 無償減資とは、資本金の額を減少させるのみの減資。
  • 有償減資とは、資本金の額を減少させ同時に株主に金銭を交付する減資(旧商法)。

 

減資とは、資本金の額を減少させることです。
減資には、株主への払戻を伴う有償減資と株主への払戻を伴わない無償減資があります。
この記事では、減資の意味や、有償減資、無償減資の違い、減資の会計処理などについてご紹介します。

減資とは

減資とは、資本金の額を減少させることをいいます。
減資を行う目的はケースバイケースですが、典型的な例は経営を立て直すためです。
十分な会社財産を保有していれば、減資を行わなくても株主に対する利益分配は可能でしょう。しかし、株主に対して利益分配を行うことができないような業績不振によって資金難に陥った会社の場合には、再建のために新たな出資を受けようとしても、出資する側としてみれば出資するだけの魅力に欠けることになります。
このような時には配当を可能にするために、減資によって出資しやすい財務状況にするわけです。

株主に分配する場合、資本金を配当に充てることはできませんから、いったん資本金の額を減少させて「その他資本剰余金」を増加させ、その後にその他資本剰余金を原資として剰余金の配当をすることになるというわけです。

また、会社の事業を縮小するために減資を行うこともあります。
採算に合わない事業の資産を売却したものの、その売却代金を再投資する投資先が見つからない場合には、その売却代金が株主に返還することが考えられます。有効な投資先が見つからない場合には、その資金は株主に返還した方が、会社の資本効率向上の観点からいえば、望ましいといえます。
ただし中小企業の場合には、資金調達は容易ではないことから、手元資金を厚くしておきたいものです。したがって中小企業の場合では、実際には株主に対して資本の払戻しを行うケースは少ないといえます。

(1)有償減資とは

有償減資とは、資本金の額の減少のうち、会社の財産の減少を伴うものです。「実質的減資」と呼ばれることもあります。
会社法では、旧商法と違い金銭等を交付することによって資本金を減少させるという概念がなくなり、減資を行うことと金銭等を払い戻すこととは個別の取引として扱われます。そのため、法的には有償減資という言い方はしなくなりました。
また、会社法では減資は資本金の額を減少させる手続き(従来の「無償減資」)と整理されました。

ただし、資本金の額の減少とその後の剰余金の配当とを一連の取引として実施することによって、従来の有償減資と同様の効果を得ることもできますので、ここでは有償減資と呼び説明します。

減資においては、減資をしてもそのままでは資本金が減少しその分その他資本剰余金が増加するだけで、資本金と資本剰余金の合計額に増減はありません。

つまり従来の有償減資のように減資によって金銭を交付して資本そのものを減少しようとする場合には、資本金の減少とあわせてその他資本剰余金の増加の後に、増加したその他資本剰余金を原資とした剰余金の分配を行う手続きによって、株主に払い戻しを行うか、または自己株式を取得して同日以降その償却を行うことになります。

(2)無償減資とは

無償減資とは、資本金の額を減少させるのみの減資で「形式的減資」と呼ばれることもあります。
つまり、資本金の額の減少のうち、会社の財産の減少を伴うものが有償減資、伴わないものが無償減資ということになります。
たとえば、資本金の減少額の全額を「その他資本剰余金」に計上する場合には、以下の会計処理を減資の効力発生日に行うことになります(資本金の減少額を20,000とします)。

借方 貸方
資本金 20,000 その他資本剰余金 20,000

無償減資は、純資産の内訳を組み替えているに過ぎないわけで、純資産の額は変わらず、当然資産にも変化はありません。ではなぜ無償減資を行うのかといえば、それは資本金を少なくすることによって、税金が優遇されることが多いからです。

また、減資によって増加した「その他資本剰余金」は、赤字が続いている会社の欠損てん補に充てて欠損金額を減らすことができます。
資本剰余金と利益剰余金は、混同することが禁じられていますが、利益剰余金がマイナス残高の時にその他資本剰余金で補てんすることは、資本剰余金と利益剰余金の混同にはあたらないとされています。

参照:企業会計基準委員会 「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」

その他資本剰余金で欠損金額をてん補することができれば、貸借対照表上で繰越利益剰余金がマイナス表示されない場合でも税務上は繰越欠損金が減少したとは取り扱われず、青色申告法人の7年の繰越欠損金がそのまま残りますので、次期以降に繰り越すことができます。

(3)100%減資とは

会社更生や民事再生において、既存株式の100%減資とスポンサーに対する第三者割当増資を行われることがあります。この第三者割当増資を含むスキーム全体を、100%減資と呼ぶことがあります。
100%減資とは、財務的困難に陥った会社が無償減資を行うとともに、発行済株式のすべてを消滅させることをいいます。発行済株式のすべてを全部取得条項付株式として、この全部取得条項付株式を会社が取得します。また、同時に第三者割当増資を実施することで、無償減資による欠損てん補を実現し、株主を刷新することができるため、企業再建の手段として用いられる手法です。

たとえば、オーナー企業においてオーナーが保有する株式を会社が無償で買い受けて売却したうえで、買収先に大規模な第三者割当増資を行うことで、抜本的に財務内容を改善することができます。

100%減資のメリットは、既存株主を強制退場させることができるという点にあります。既存株主にとっては、強制退場され権利を奪われることになりその株主は不利益を受けますが、スポンサーによる資本注入なしに事業の継続ができない状態なのですから、事業再生のためには、この方法がとられることがあります。

減資をする際に必要な手続き

減資によって資本金を減少させる場合には、株主総会の特別決議が必要です。また、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し資本金等の額の減少について、異議を申し立てることができます。

(1)減資は株主総会決議が必要

資本金を減少させる場合には、株主総会の特別決議によって、以下の事項を定める必要があります。

①減少する資本金の額
②減少する資本金の額の全部または一部を準備金とするときは、その旨および準備金とする額
③資本金の額の減少がその効力を生じる日

なぜ株主総会の特別決議が必要なのかといえば、それは「基本的に株主の払込財産である資本金を、株主に分配可能なその他資本剰余金に変えることが、事業規模の縮小など会社の根幹に関わる事態を生じることが多いため」とされています。

このため、欠損のてん補を目的として欠損の額を超えない範囲で、資本金の額を減少する場合には、株主総会の普通決議によることとなります。
また、資本金の額の減少と同時に株式を発行し、資本金の減少の効力発生日後の資本金の額は、効力発生日前の資本金の額を下回らない場合には、取締役または取締役会の決議によります。

(2)減資に関する債権者の異議手続き

減資は、特殊な例を除き一般的には株主にとって利益があり、会社債権者にとっては不利益な行為です。なぜなら、減資をすると株主に対する配当などを行いやすくするからです。
したがって、株式会社が資本金の額を減少する時には、その会社の債権者は、異議を申し立てることができます。
この場合には、株式会社は以下の事項を官報に公示して、債権者には個別に催告する必要があります。

①資本金の額の減少の内容
②株式会社の計算書類に関する以下の事項
・最終事業年度に係る貸借対照表を公告している場合にはその検索方法
・特例有限会社であるために公告を要しない場合にはその旨
・最終事業年度がない場合にはその旨
・これら以外の場合には、最終事業年度に係る貸借対照表の要旨の内容
③債権者が一定の期間内に異議を述べることができるか

債権者が上記③の期間内に異議を述べなかった時には、その債権者は資本金の額の減少について承認をしたものとみなされます。
もし債権者が異議を述べた時には、株式会社は資本金を減少しても、債権者を害するおそれがない時をのぞき、その債権者に対して弁済を行うか、相当の担保を提供するなどする必要があります。

(3)減資の登記

減資の効力が発生した時には、効力発生後、本店所在地において2週間以内に、支店所在地においては3週間以内に変更登記をしなければなりません。この時には、株主総会議事録、公告、個別催告の実施を証明するための書面の添付が必要です。
詳細については、税理士等に確認してミスのないように手続きを行いましょう。

減資で必要な会計処理

無償減資は、単なる資本金という計数の減少であり、税務上資本金等の額に変動はありません。また、資本の払戻も生じないのでみなし配当による課税関係も発生しません。
一方、減資に伴い剰余金の配当を行う場合(従来の有償減資)には、減少した資本金等の額の増加となるので、資本金等の額に変動はありませんが、資本の払戻が生じるので、払戻額が当該払戻株式に対応する場合には、上回る部分がみなし配当となり、利益積立金を減算することになります。

なお、有償減資と無償減資の会計処理については、以下のとおりです。

(1)有償減資の会計処理・仕訳

有償減資の場合には、会計処理を以下のように行います。

A社は、令和3年6月の株主総会において、資本金の額を100減少し、その他資本剰余金とすること、およびその効力発生日を7月1日とすることを決議した。なお、当該資本金の額を減少した効力発生日において、増加した剰余金100を配当することについても、併せて決議した。

効力発生日令和3年7月1日

・資本金の額の減少額

借方 貸方
資本金 100 その他資本剰余金 100

・剰余金の配当額

借方 貸方
その他資本剰余金 100 未払配当金 100

(2)無償減資の会計処理・仕訳

無償減資の場合には、会計処理を以下のように行います。

A社は、令和3年6月の株主総会において、資本金の額を100減少し、その他資本剰余金とすること、およびその効力発生日を7月1日とすることを決議した。

効力発生日令和3年7月1日

・資本金の額の減少額

借方 貸方
資本金 100 その他資本剰余金 100

※決議した資本金の額の減少額について、会計処理を行います。

まとめ

以上、減資についてご紹介しました。
減資は資本金の額を減少させる行為であり、特殊な減資を除いてはそれ自体が株主に不利益を課すものではありません。しかし債権者にとっては不利益になることから、手続きには株主総会決議、債権者の異議などが必要になります。
また、減資の効力が発生した時にはその旨を期限以内に登記しなければなりません。

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