自己資本の意味・他人資本との違いとは

公開日:2019年11月08日
最終更新日:2020年05月25日

目次

  1. 自己資本とは
    • 他人資本との違い
  2. 自己資本の項目
    • 資本金・資本剰余金
    • 利益剰余金
  3. 自己資本から分かる財務分析
    • 自己資本比率
    • 自己資本利益率(ROE)
  4. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 「自己資本」とは、貸借対照表の純資産のこと。
  • 株主から調達した資金・会社が企業経営活動から獲得した利益の留保額から構成される。
  • 自己資本を増加させることは、会社の経営を安定させることにつながる。

 

純資産の部には、株主から投資を受けたお金や会社が稼いだ利益の金額が区分されています。これらは返済する必要がないことから、自己資本と呼ばれています。
これに対して負債の部にはいずれ支払わなければならない金額が表示されるため「他人資本」と呼ばれます。

自己資本を増加させることは、安定した会社経営には欠かせませんが、自己資本の中でも特に会社が獲得した利益を留保することが重要となります。

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自己資本とは

自己資本とは、貸借対照表の純資産のことをいいます。
貸借対照表とは、会社の財政状態を表す決算書で、左右に分かれた構造になっていて、左右の合計値が必ず一致することから「バランスシート・B/S」とも呼ばれます。
左側には会社の「資産」が表示されていて、右側には会社がよそから借りている「負債」と、会社自身のお金である「純資産」が表示されています。

自己資本は、株主から調達した資金および会社が企業経営活動から獲得した利益の留保額から構成されていますので、返済する必要がない会社の資金ということになります。
これに対して他人資本とは、負債はなど銀行などに返済等をする必要がある借入金などの金額のことをいいます。

つまり、他人資本より自己資本を増加させる方が、会社の経営を安定させることにつながるということができます。

他人資本との違い

自己資本が返済する必要がない金額であるのに対して、負債は銀行などに返済等をする必要がある借入金などの金額であることから「他人資本」と呼ばれています。
この「他人資本」には、借入金などのほか、買掛金(後払いで仕入れた場合など、いずれ支払わなければならないもの)や支払手形(期日が来たら、支払わなければならない義務)などが含まれます。

したがって、貸借対照表で他人資本である負債の占める割合が多い場合には、返済等の必要がある資金が多いということになりますから、注意が必要です。

自己資本の項目

自己資本(純資産)は、株主が払い込んだ資本金や、会社が設立してからの会社の儲けのなかから蓄積されてきた利益の合計値である利益剰余金などで構成されています。

これらが増加することは、当然資金を増やすことになりますから、「純資産が増えると資金が増える」ということです。

なお、自己資本(純資産)を見る時には、「資本金・資本剰余金」と「利益剰余金」を区分することが大切です。たとえば、下記のA社とB社の純資産額は同じですが、仮にA社とB社が清算したことを考えると、A社の方は利益剰余金が多いので、A社の株主の方がB社の株主より利益を多く受け取ることができます。
つまり、貸借対照表の純資産を見る時には、その総額だけでなく項目を区分してみることが必要です。

資本金・資本剰余金

資本金とは、会社設立や増資時に株式の発行などによって株主から集めた資金等のうち、会社が資本金とした部分です。
この資本金の額は、会社が自由に決めることができます。
資本金の額は大きければ大きいほど安心というイメージがありますが、資本金は「株主からこれだけのお金を集めたことがある」という過去の実績を表す数値に過ぎず、現在の価値を表す数値ではありません。
資本金として表示されるのは、あくまで元手を表しているだけでその分の現金がまだ会社にあるとは限りません。
もちろん、過去にそれだけの資本金を集めたということは、その会社を信頼し魅力を感じることができた事業モデルがあったことを示しているとはいえますが、資本金の額が大きくても、実は会社の財政状態が悪いということもありますので、「資本金の額=安定している会社」とは言い切れないということに注意しましょう。

なお、資本剰余金は、増資時に株主から集めた資金等のうち、資本金とされなかった部分の金額です。

利益剰余金

利益剰余金は、利益、正確にいえば当期純利益の蓄積です。
当期純利益は、役員や従業員に給料を支払い、金融機関に利息を支払い、国や自治体への税金を加味して最終的に残った利益のことであり、株主の取り分を表します。
とはいっても、稼いだ利益をすべて株主に配当する必要はありません。会社が成長するための投資に使うこともありますし、使わなかった分は繰越利益剰余金というかたちで表示されます。

自己資本から分かる財務分析

自己資本は、貸借対照表の純資産のことをいいますが、この自己資本の割合を見ることで、経営分析をすることができます。
たとえば、自己資本比率は、総資産に占める純資産の割合を表します。負債より純資産の金額が大きいほど、自己資本比率は高くなります。
また、自己資本利益率(ROE)は、当期純利益を株主資本で割って計算します。このROからはどれだけ投資家が出したお金が有効活用されているといるかを判断することができます。

自己資本比率

自己資本比率とは、会社経営の安全性を分析することができる指標です。
借入より自己資本が多い方がより健全な会社ということがいえますが、金額だけ見ても状況を正確につかむことができません。そこで、分かりやすくパーセンテージであらわします。

自己資本比率=自己資本÷(他人資本+自己資本)×100

自己資本比率が高いほど、経営が安定していて倒産しにくいということができます。
たとえば、会社が到達した資金が100である会社があるとします。この会社の自己資本が40で他人資本が60だとすると、この会社の自己資本比率は、以下のように計算することができます。

40÷(60+40)×100=40(%)

つまり、この会社の自己資本比率は40%となり、資金のうち60%を借入金などの他人資本で賄っていることになります。自己資本比率が低い会社は、借入金などに依存した経営を行っている訳ですから、会社の資金繰りは厳しいはずです。当然、銀行からの融資も受けにくくなります。

自己資本比率が低い場合には、資本金を増やす、つまり株主を募って増資を行えば達成できます。とはいえ増資をするということは、それはそれで時間もコストもかかるものです。そこで現実的には、会社が自力で稼いで利益を上げて「利益剰余金」を増加させていく努力をしなければならないということになります。利益剰余金が増加すれば純資産つまり自己資本が増えますので、自己資本比率も高くなるというわけです。
利益剰余金が大きい会社が優良な会社だと言われるのは、そのためです。

とはいえ、どの会社でも、借入金以外に商取引での仕入債務や税金の未払い分などを抱えているので、他人資本をゼロにするのは不可能です。したがって、他人資本である負債の額は総資本の半分以下に抑えておきたいものです。

自己資本利益率(ROE)

自己資本利益率とは、「Return On Equity」略してROEと呼ばれるもので、株主資本利益率と呼ばれることもあります。ROEは、当期純利益を株主資本で割って計算します。

ROE=当期純利益÷純資産合計×100

ROEは、自己資本のうち、特に当期純利益の占める割合を示す指標です。
当期純利益とは、損益計算書の一番下に表示される、税引き後の最終利益です。
当期純利益として獲得した儲けは、配当として株主に分配して残りは利益剰余金として、会社内部に留保されます。利益剰余金は、会社の株式の価値を高める効果があるので、当期純利益は株価の上昇部分と株主への還元部分の源と見ることができます。

ROEが高いということは、それだけ投資家が出したお金が有効活用されているといえるので、ROEが高い会社に投資すれば将来配当の額が期待できるということがいえます。

日本企業のROEは、5%~8%程度と言われていますが、10%以上が一応の目安となっており、15%以上なら、かなり優秀といわれています。

なおこの自己資本利益率(ROE)は、前述した自己資本比率(自己資本が総資本で占める割合)が高いほど上がりくい傾向があります。
確かに自己資本の割合が大きいことは安全とはいえますが、資本の効率という観点からみれば、必要以上に自己資本の割合が高いというのも考えものです。
なぜなら、収益性という観点からみれば、より小さな資本で大きな利益を上げることも大切だからです。
つまり、安全性という観点からみれば自己資本比率が高いのはよいことですが、収益性という観点から見ればそうとも言い切れないということになります。
したがって、自己資本利益率が低い場合には、売上高利益率を向上させるなどの対策が必要です。

売上高利益率
売上高利益率は、損益計算書における各段階利益の売上高に対する比率のことで、「各段階利益÷売上高」という計算式で求めます。
売上高総利益率は、会社の内部環境や外部環境によって大きく変化するものです。原料や原価が高騰すれば、製造コストが上昇してしまいますので、売上総利益率が低下します。したがって、その場合には製品の販売価格への反映や製造コストを削減するための努力を行う必要があります。

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まとめ

以上、自己資本の意味や他人資本との違い、自己資本の割合から分析できる指標などについてご紹介しました。
自己資本は貸借対照表の純資産のことであり、資本金、資本剰余金、利益剰余金などの項目があります。自己資本が大きい会社でも株式公開や増資で資本を増やした場合と、利益を上げてその利益を内部留保して自己資本が大きくなった場合があります。
したがって、自己資本が同じ金額の会社でも、そのなかの細かい項目もきちんと確認することが大切です。

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