営業キャッシュフローとは|投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローとの関係

公開日:2019年12月27日
最終更新日:2021年07月20日

目次

  1. まずキャッシュフロー計算書について知っておこう
    • (1)「キャッシュフロー」が重要な理由
    • (2)キャッシュフロー計算書の3つの区分(営業・投資・財務)
    • (3)キャッシュフロー計算書と貸借対照表(B/S)との関係
    • (4)キャッシュフロー計算書と損益計算書(P/L)との関係
  2. 3つのキャッシュフローを知っておこう
    • (1)営業キャッシュフローは商売でのお金の出入り
    • (2)投資キャッシュフローは資金運用によるお金の出入り
    • (3)財務キャッシュフローは資金調達のお金の出入り
    • (4)3つの区分のバランスから分析してみよう
  3. 営業キャッシュフローはプラスでなくてはならない
    • (1)営業キャッシュフローがマイナスだと倒産する可能性!?
    • (2)営業キャッシュフローの「間接法・直接法」を知っておこう
    • (3)営業キャッシュフローの中身はここを注意する
    • (4)営業キャッシュフローと投資・財務との関連も見る
    • (5)営業キャッシュフローを改善させる方法
  4. まとめ
    • 営業キャッシュフローについて相談できる税理士を探す

この記事のポイント

  • キャッシュフロー計算書は、3つの区分でキャッシュの流れを見る計算書類。
  • 営業キャッシュフローは、事業活動によるキャッシュの出入り。
  • 営業キャッシュフローは、プラスであることが基本。

 

キャッシュフロー計算書とは、一事業年度のキャッシュの動きを知るために作成する計算書のことです。キャッシュフロー計算書では、どこに資金を使い、どのように資金を増やしたのかを把握することができます。

キャッシュフロー計算書は、上場企業には作成が義務づけられていますが、中小企業では作成が義務づけられているわけではありません。
しかし、キャッシュフローは人体でいえば血液にたとえられるもので、ひとたび流れが止まれば、会社が倒産してしまうこともあるのです。

ですから、会社の経営を安定させるためには、売上や利益だけでなく「どこに資金を使ったか」「どのように資金が増えたか」といったキャッシュフローにも目を配ることが大切です。

資金の状態をいつでも把握し経営を安定させるためには、中小企業にこそ必要な計算書といえるでしょう。
この記事では、キャッシュフロー計算書の分析の仕方や、他の決算書との関係性についてご紹介するとともに、営業キャッシュフローの意味についてご紹介します。

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まずキャッシュフロー計算書について知っておこう

キャッシュフロー計算書は、1年間の会社のお金の流れ、つまりどのような理由でお金が入ってきたのか(キャッシュイン)、そしてどのような理由でお金が出て行ったのか(キャッシュアウト)をあらわした表のことです。
「キャッシュフロー」とは、キャッシュインからキャッシュアウトを差し引いた収支のことをいいます。

キャッシュフロー計算書は、支出より収入が多ければプラスに、収入より支出が多ければマイナスになります。

損益計算書でも現金の流れは見ることができますが、損益計算書に記載された利益=現金ではありません。
商品を売った時にすぐに代金を受け取れば、売上の計上と入金は一致します。しかし、月ごとにまとめて代金を受け取る掛け売りの場合などは、売上を計上しても入金は翌月以降になりますから、利益=現金とはなりません。

一方、キャッシュフロー計算書は、現金収支をその性質によって3つ(営業・投資・財務)に区分して表示します。
そしてキャッシュフロー計算書を見れば、「資金がどのような理由で増加(または減少)したか」を把握することができるので、売上や損益だけでは分からない資金の流れを見ることができるようになるのです。

(1)「キャッシュフロー」が重要な理由

キャッシュフロー計算書を見れば、会社に余裕があるのか、それとも危機的な状況にあるのかが一目瞭然です。

先ほどご紹介したように、損益計算書の利益=現金ではありませんから、「利益を出しているのに、手元に資金が残っていない」というケースがあります。手元の資金がなくなって払うべき代金が払えなれば、会社はたちまち倒産に追い込まれてしまいます。

このように会社の利益と資金の流れは必ずしも一致するわけではないのです。どんなに利益を出していても、資金がショートしてしまうことがあります。そして会社が倒産する直接の原因が、このような「資金不足」によるものです。
倒産の理由としてしばしば「損失の計上」や「販売不振」などと説明されることも多いですが、それはキャッシュフローのバランスがくずれ、資金(キャッシュ)不足に陥ってしまった原因にすぎません。

会社の経営状態を分析するためには、損益計算書や貸借対照表からももちろん把握することができますし、これらも欠かせない計算書ですが、損益計算書は「一会計期間における損益の状況を表す計算書」であり、貸借対照表は「決算期末時点における損益の状況を表す計算書」なので、これらの計算書から、資金の動きを把握しようと容易なことではありません。

そのため、会社の経営状態を分析するためには、キャッシュの動きを表す「キャッシュフロー計算書」も併せてチェックすることが大切になるというわけです。

売上や損益ばかりを見て、損益が黒字であるにもかかわらず倒産する「黒字倒産」を引き起こさないためにも、キャッシュフロー分析は、必要な経営分析なのです。その意味で、会社がつぶれるかつぶれないかという命運を決めるのが、キャッシュフローであるといえるでしょう。

(2)キャッシュフロー計算書の3つの区分(営業・投資・財務)

キャッシュフロー計算書は、上から「営業活動によるキャッシュフロー(以下、営業キャッシュフロー)」、「投資活動によるキャッシュフロー(以下、投資キャッシュフロー)」「財務活動によるキャッシュフロー(以下、財務キャッシュフロー)」という区分で記載されています。
この3つの区分の合計金額がプラスだったら、この1年間で増えたお金をあらわし、マイナスだったらこの1年間で減ったお金をあらわします。

(3)キャッシュフロー計算書と貸借対照表(B/S)との関係

貸借対照表とは、決算期末時点における損益の状況を表す計算書で、資金をどこから調達してどのように運用しているかを表している決算書です。
キャッシュフロー計算書は、貸借対照表と関係が深く、貸借対照表の資産や負債の増減は、キャッシュフロー計算書で表示される資金のプラス・マイナスに直結しています。

会社の事業活動によって、資金は資産に姿を変えることがありますし、資産が資金に姿を変えることもあります。また、借金をして資金が増えることもありますし、借金を返済すれば資金は減ることになります。
このような資金の動きを一定期間で区切った上で計算したものが、キャッシュフロー計算書であり、一定期間の終点時点での資産・負債の状況を表したものが貸借対照表ということになります。

(4)キャッシュフロー計算書と損益計算書(P/L)との関係

損益計算書とは、一会計期間における損益の状況をについて段階ごとに表示して、最終的に「当期純利益」がどのような過程を経て生み出されたのかを表している計算書です。
「当期純利益」とは一会計期間に計上されるすべての収益から,すべての費用を差し引いて計算される当期の最終的な純利益のことをいいます。

この「当期純利益」は、費用、収益とも資金主義によって計上されているわけではなく、費用は発生主義、収益は実現主義によって計算されていますので、損益計算書上の「当期純利益」は、実際にその会社がその期に獲得したキャッシュとはズレが生じていることになります。
また、損益計算書に表されるのは収益と費用であり、キャッシュの増減ではありません。キャッシュフロー計算書は、資金の流れを表すものであり、損益計算書を補完する役割を果たしているということになります。

これまでも述べてきたように、会社を経営していくうえでは、「利益」を出して「キャッシュ」を増やす経営をしていくことが必要です。損益計算書は、この「利益」を生み出す力を表し、キャッシュフロー計算書は、この「キャッシュ」を生み出す力を表しているといえるでしょう。

経営を安定させ、利益とキャッシュを生み出す力を身につけるためには、損益計算書とキャッシュフロー計算書の両方の数字をみながら、問題点を解決していくことが大切です。

損益計算書 貸借対照表 キャッシュフロー計算書
どんなものか 一会計期間における損益の状況(経営成績)を表したもの 一定期間の終点時点での資産・負債の状況を表したもの 現金の動きを一定期間で区切った上で計算したもの
作成する目的 会社の経営成績を表すため 資産と負債を把握するため キャッシュの流れや量を把握するため
何を表しているか 会社の一定期間の利益 決算期末時点における損益の状況 会社の生み出した資金の量・流れとその原因
作成方法 複式簿記による帳簿から作成する 複式簿記による帳簿から作成する 収入・支出を項目別に集計(直接法)
損益計算書をもとに加減算して作成(間接法)

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3つのキャッシュフローを知っておこう

キャッシュフロー計算書の重要性や、他の決算書との関係を理解したところで、キャッシュフロー計算書について詳しく見ていきましょう。
キャッシュフロー計算書では、資金の流れを要因ごとに「営業キャッシュフロー」、「投資キャッシュフロー」、「財務キャッシュフロー」の3つの区分に分けて表示します。ここでは、キャッシュフロー計算書の区分ごとの読み方をご紹介します。

区分 内容 判断基準
営業活動による
キャッシュフロー
会社が通常の事業活動をして稼いだお金。
ここでいう「お金」は、損益計算書でいう「利益」とは違い、あくまで「お金」の増減をあらわす。
プラスであることが基本。
投資活動による
キャッシュフロー
会社が工場を建設したり株を売買したりしたお金の動きをあらわす。 マイナス=成長企業。マイナスであることが望ましい。
財務活動による
キャッシュフロー
会社が銀行から借りたお金や返済したお金の出入りをあらわす。
※借入の残高という意味ではない。
プラス=借金が増えている(ただし積極的なことに使うためなら悪いこととも言いきれない)。
マイナス=借金が減っている(借金の返済が進んでいる(ただし返済に追われている可能性もある)。

(1)営業キャッシュフローは商売でのお金の出入り

営業キャッシュフローは、「営業活動(商売)によるキャッシュフロー」で、売上や仕入、経費の支払など会社の本業でどれだけのお金を稼いでいるかを表します。3つのキャッシュフローのなかで、最も重要なキャッシュフローである、プラスであることが基本です。

営業キャッシュフローは、商品の仕入れ、原材料の仕入れ、経費の支払い、商品や製品の売上による収入といった、資金の「出」と「入り」を表しています。

営業キャッシュフローは本業による稼ぎを表すため、プラスの数値であることが大前提です。プラスになっていれば、本業でしっかりキャッシュを残しているということを表しています。

逆にマイナスになった場合は、「売上が不振である」「売上が上がっていても、現金の回収が上がっていない」「経費が多すぎている」といったことが考えられるので、原因を究明して早急に対策を考えなければなりません。

起業時のように先に現金が出ていくといった特別な事情がない限り、営業キャッシュフローは必ずプラスであるべきです。

(2)投資キャッシュフローは資金運用によるお金の出入り

投資キャッシュフローは、「投資活動によるキャッシュフロー」で、設備投資や企業買収など、将来の事業拡大のためにどれだけお金を使っているか、投資からどれだけ回収しているかなど、資金を投じる活動に伴うキャッシュフローを表しています。

営業キャッシュフローが、会社の本来の事業活動から生じたプラスのキャッシュフローであるのに対して、投資キャッシュフローは、会社の事業活動の維持発展のために投じるキャッシュフローであるといえます。
したがって、投資キャッシュフローを見ることで、会社がどのような投資活動に力を入れているかが分かります。

投資キャッシュフローはマイナスになったとしても、それが将来のために積極的に投資していることが原因であれば、来期以降の業績がよくなる可能性があるということになります。一方、設備や株式などを売却した場合は、投資キャッシュフローはプラスになりますが、将来のための投資よりも資産の売却を優先していることの表れともいえます。

(3)財務キャッシュフローは資金調達のお金の出入り

財務キャッシュフローは、「財務活動によるキャッシュフロー」で、出資の受け入れや金融機関からの借入など資金調達によるキャッシュフローを示しています。
どのような資金を調達し、それを返済しているのかを示す情報です。
財務キャッシュフローは、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを調整するものでもあり、財務キャッシュフローを見ると、足りないキャッシュをどのような手段で補充したのかが分かります。

たとえば、財務キャッシュフローがプラスの場合は、お金を調達していることを意味するものですから、毎年プラスが続いている場合には、その分負債が増えることになりますので、よほど右肩上がりで成長している会社でない限り注意が必要ということになります。

一方、借入金を返済した場合は財務キャッシュフローがマイナスになりますが、その分負債も減少することになります。したがって、財務キャッシュフローがマイナスであることは、一般的にはよいことではありますが、「実は営業キャッシュフローが投資活動に回らず借金の返済にあてられている」という可能性もあります。

財務キャッシュフローについては、資金の増減の要因を分析した上で、会社の事業活動に見合ったものかどうかを確認することが大切です。

(4)3つの区分のバランスから分析してみよう

キャッシュフローを分析するためには、営業キャッシュフローだけでなく区分ごとの増減を確かめる必要もあります。

全体ではキャッシュフローがプラスであっても、営業キャッシュフローのマイナスを財務キャッシュフローで補っている場合には、会社の状態はあまり良好とはいえません。

営業キャッシュフローがマイナス、投資キャッシュフローと財務キャッシュフローがプラスという会社であれば、経営面で厳しい状況で、本業の赤字を投資と財務で補っているということになります。
特に、財務キャッシュフローの比率が大きい場合には、その会社は借入に依存した経営体質であるということになります。
この状態が続き、いずれ資金調達が行き詰まると、倒産する可能性が高くなってしまいます。

また、将来の事業拡大のために多額の投資をして投資キャッシュフローがマイナスになった場合は、営業キャッシュフローが良好でも全体のキャッシュフローはマイナスになってしまいます。将来に向けて積極的な投資をしていると判断できますが、投資は、あくまで本業から稼ぎ出した営業キャッシュフローの中から行うことが理想的であるということも視野に入れておく必要があります。

このように、キャッシュフロー計算書では、各区分のバランスを見ながら経営判断をしていくことが必要です。

優秀なA社 積極投資型B社 非常に危険なC社
営業活動によるキャッシュフロー プラス(+) プラス(+) マイナス(-)
投資活動によるキャッシュフロー マイナス(-) マイナス(-) プラス(+)
財務活動によるキャッシュフロー マイナス(-) プラス(+) プラス(+)
評価 営業キャッシュフローがプラスなので、優良な企業といえる。営業活動によるキャッシュフローが大きいほど優良。 積極的に投資活動を行っている。資金面に余力があって投資活動に積極的と見ることもできる。 営業キャッシュフローがマイナスで、危険な状態。本業で稼げておらず、借入で現金を調達している。

営業キャッシュフローはプラスでなくてはならない

ここまでは、キャッシュフロー計算書のしくみやキャッシュフロー計算書の3つの区分についてみてきましたが、ここで営業キャッシュフローを詳しく見ていきましょう。

営業キャッシュフローは、通常の事業・商売の活動からきちんと現金が入ってきて、最終的にどのくらい残ったのかを示すものですから、キャッシュフロー計算書のなかでも最も重要な区分であり、営業キャッシュフローはプラスでなくてはなりません。そして、営業キャッシュフローが多いということは、お金を生み出す能力が高いということであり、優良な企業の第一条件ということがいえます。

(1)営業キャッシュフローがマイナスだと倒産する可能性!?

起業したばかりであったり、事業の方向性を大きく転換したりといった事情があれば、営業キャッシュフローがマイナスになることも仕方ないかもしれません。
しかしそのような事情がなく何年も営業キャッシュフローのマイナスが続くようであれば、その会社はいずれ資金繰りに行き詰まり、倒産する危険性が高いといえます。

営業キャッシュフローがプラスである会社は、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローでお金をまわして設備投資や借金の返済に使うこともできます。
しかし営業キャッシュフローがマイナスであれば、設備投資や借金の返済を行うために借金に依存せざるをえなくなります。

しかし、営業キャッシュフローには、投資活動と財務活動以外の取引によるキャッシュフローや、災害による保険金収入、損害賠償金の支払いなどの全てが表示されます。
つまり、本業とはいえ臨時的な取引による増減も含まれるので、単年度だけで判断することはできません。

(2)営業キャッシュフローの「間接法・直接法」を知っておこう

営業キャッシュフローには、間接法と直接法という計算方法があります。
多くの会社のキャッシュフロー計算書は、間接法で作成されていると思っておいて問題はありません。

間接法

間接法における営業キャッシュフローの区分のスタートは、税引前当期純利益です。現金商売であれば、最終の当期純利益と同額のお金も残っているはずという考え方にもとづき税引前当期純利益から逆に計算する方法で、キャッシュフローの収支の状況をとらえ、儲けとお金のズレを生む原因を加減算します。

そして間接法では、税引前当期純利益に相当するキャッシュがいったん入金したものと考え、損益計算書と実際の現金収支との違いをプラス・マイナスして、現金ベースの営業キャッシュフローに計算しなおしていきます。

税引前当期純利益±増減の原因=現金および預金の増減
直接法

一方直接法では、営業キャッシュフローを営業収入、仕入れ支出など重要な取引ごとに総額でまとめます。
はじめに営業収入は損益計算書の売上に売掛金・受取手形の純増減額を加減算して売上による入金額を算出します。仕入れに関する費用も、損益計算の売上原価ではなく、実際に資金が流出した「商品仕入支出額」です。

現金および預金の増加-現金および預金の減少=現金および預金の増減

直接法によるキャッシュフロー計算書は、それぞれの項目が総額で表示されているので、収入および支出の金額が表示されたとおりに理解できます。
なお、投資活動と財務活動は原則として直接法による表示のみとなっています。
間接法より理解しやすいのですが、作成に時間がかかるというデメリットがあります。

(3)営業キャッシュフローの中身はここを注意する

営業キャッシュフローを分析する際には、その中身を吟味します。
キャッシュフローを改善するための初めの一歩は、利益を確保することですから、税引前当期純利益はプラスであるべきです。
減価償却費は資金流出のない費用であり、キャッシュフローを助ける項目なので税引前当期純利益に加算します。ただ、減価償却費は過去の投資結果を回収しているものですから、会社の将来の収益力をあらわすものではありません。そこで、税引前当期純利益の額が少なかったり、または税引前当期純利益がマイナスなのに減価償却費で営業キャッシュフローのプラスを確保していたりする会社は、来年度の営業キャッシュフローが減少することも予想されます。
したがって、営業キャッシュフローは、税引前当期純利益と減価償却費のバランスを見て、減価償却費に頼り過ぎていないかをチェックする必要があります。
また、在庫や売上債権が営業キャッシュフローにリスクを与えていないかもあわせてチェックすべきです。

(4)営業キャッシュフローと投資・財務との関連も見る

通常、積極的に設備投資を行っている会社であれば、投資キャッシュフローはマイナスとなります。反対に不要な資産を売却するなど資産工場の見直しをしている会社では、投資キャッシュフローはプラスになることも考えられます。
また、財務キャッシュフローでは、増資や新規の借入金の増加があればプラスとなり、借入金の元金返済や配当金支払いなどがあればマイナスになります。

会社にとって理想的なキャッシュフローとは、営業活動から多くのキャッシュを生み出し、そのお金を投資活動として積極的に設備投資をし、それでも余剰があれば財務活動において借金返済や株主還元としてお金を使う、というパターンです。

したがって、3つの活動を通して1事業年度中の資金が増加したのか減少したのか、また、事業年度末の資金残高はいくらか、というポイントも重視する必要があります。もちろん、前期末の残高より増加していることが望ましいのですが、使途が明確でない資金をため込んで有効活用していない会社は、成長性に問われます。
つまりキャッシュが潤沢な会社だからといって、キャッシュフロー経営がうまくいっている会社とは限らないのです。

(5)営業キャッシュフローを改善させる方法

当然のことながら、キャッシュフローや損益、資産は分析するだけでは不十分で、分析した結果を経営に活かすことではじめて効果が表れるといえます。

営業キャッシュフローを改善させるためには、それぞれの勘定科目の中身をチェックする必要があります。

売上は増えているか
損益計算書で、前の年と比較した売上の増加率を確認します。売上の増加率はさまざまな指標と比較して相対的に評価することが重要です。売上の増加率がプラスであっても、物価の上昇率や業種別の成長率を下回っていれば、実質的に事業が成長できていないことになるからです。

売上債権を減少できないか
売上債権は減少させることで、キャッシュを増やすことができます。
売掛金の早期回収のために、取引先と回収条件を見直してくれるよう交渉してみましょう。もし既存の取引先で難しい場合には新規の取引先については、、売掛金の早期回収ができるような契約条件を提示するなど、対策を講じましょう。
また、長期滞留している債権があれば、弁護士を活用するなどして早期回収をはかります。

支払サイトを短くできないか
支払い条件を見直して支払いサイトをのばし、ゆっくり払えるものはゆっくり払います。

コストは適正か
損益計算書では、売上だけでなくかかったコストが適正かどうかについても検証することも大切です。
コストの中でも、特に人件費はかかりすぎないようにしなければなりません。人件費は一度膨らむと簡単に削ることはできないからです。給与カットなどで人件費を無理に削ると、従業員のやる気まで削ってしまい業績に悪影響を及ぼすこともあります。

広告宣伝費も検証が必要なコストの一つです。幅広く顧客を集めるためには一定の広告費は必要ですが、費用対効果をよく見極めるようにしましょう。

資産は有効に活用されているか
決算分析では、資産が有効に活用されているかについての分析も大切です。資産の効率性を測る指標はいくつかありますが、代表的なのが総資産利益率(ROA)でしょう。営業利益(または当期純利益)を総資産で割って求めます。総資産利益率が高ければ、より少ない資産で利益を生み出し、資産が有効に活用されていると判断することができます。

資金調達に無理はないか
貸借対照表は、左右の合計額である「総資産」=「総資本」の数字をチェックします。
貸借対照表はバランスシート(B/S)と呼ばれているとおり、総資産と総資本の額は常に同額です。
総資本とは、お金をどう集めたのかを表し、総資産はお金を具体的にどのように使ったのかを表します。小さい総資産で多くの年商を稼ぎ出す会社は、お金の効率がよく回転率の高い会社ということができます。
また、貸借対照表の右側に表示されている「負債」と「総資産」の金額バランスを見ることで資金調達に無理がないかを見ることもできます。

費用を抑える方法はないか
会社の収益性を改善するためには、売上を伸ばすか費用を抑える方法を考えます。売上を伸ばすためにかえって費用がかかることもありますが、収益につながっていない費用を洗い出して削ることで収益性を改善していきます。

資産と負債のバランスは問題ないか
会社の財務の安全性は、キャッシュフローの内訳や資産と負債のバランスなどで判断します。借入に過度に頼ると、財務の安全性は低下していきます。収益性を改善してキャッシュフローを良くすることで、資産と負債のバランスも改善していくことになります。

まとめ

以上、営業キャッシュフローを中心に、キャッシュフロー計算書の意味や他の決算書との関係などについてご紹介しました。
キャッシュフローが悪化し、たとえば手形が不渡りになるようなことがあれば、会社は信用を失い銀行からの融資を受けることもできず、一気に倒産に向かって進むことになってしまいます。

とくに、最近のような厳しい経済情勢下では、資金繰りをしっかり把握し、資金繰りの目途をつけることこそが、経営を左右するといっても過言ではないのです。

このような資金繰りを把握するためのキャッシュフローや損益計算書、貸借対照表の財務分析は、経営者自身でもある程度はできます。しかし、正確に経営分析を行うためには、やはり専門家のサポートを受けることがおすすめです。

中小企業に対して専門性の高い支援を積極的に行っている税理士に相談すれば、キャッシュフローの分析や、改善にもつながるための対策について、アドバイスを受けることができます。税理士などの専門家のサポートはそれなりに費用がかかりますが、経営のレベルアップのためには、必要経費と考えるべきでしょう。

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