公開日:2019年05月23日
最終更新日:2022年03月29日
都心に家を持っていると、それほど広くない土地でも数億円という評価がつくことがあります。
そしてその高額な土地を相続した時には、相続税を支払うために居住用の土地や事業用地を手放さなければならないというケースが起こります。
このような居住用や事業用の土地の相続税を軽減しようとする目的で創設されたのが、「小規模宅地等の特例」です。
「小規模宅地等の特例」とは、相続財産に被相続人(亡くなった方)の住居用や事業用に使用していた宅地、貸付事業用宅地について一定の要件を満たす場合に、その土地の評価を下げることで相続税額を減らすことを目的とした特例です。
この特例は、相続や遺贈によって土地を取得した場合、その土地が被相続人の生活の基盤となっていた場合に、その事情に配慮して税負担を軽くしようとする目的で創設されました。
小規模宅地等の特例の適用を受けられる土地は、3種類です。
①特定居住用宅地(居住用宅地) 被相続人(または被相続人と生計を共にしていた親族)が住んでいた土地。 上限は330㎡ ②特定事業用宅地(店舗や事業用の宅地) ③貸付事業用宅地(賃貸用の宅地)
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被相続人が住んでいた自宅の敷地を「特定居住用宅地」といい、その土地を相続する人が一定の要件を満たしていれば、最大330㎡までの部分について、評価額を80%減額することで相続税の負担を軽減することができます。
配偶者が相続する場合や配偶者以外の相続人が継続して申告期限まで居住または保有することが要件となっています。二世帯住宅や老人ホームに入居した場合でも、一定の条件を満たしていれば適用されます。
400㎡以内の事業用宅地で、親の事業を子どもが申告期限までに引き継ぐ場合に適用されます。事業開始が相続開始前3年以内でないことなどが条件です。
最大400㎡までの部分について、評価額を80%減額することで相続税の負担を軽減することができます。
賃貸マンションや駐車場などの不動産貸付の土地で、相続人が申告期限までに事業を引き継ぐ場合に適用されます。
最大200㎡までの部分について、評価額を50%減額することで相続税の負担を軽減することができます。
事業開始が相続開始前3年以内でないことなどが条件です。
前述したとおり小規模宅地等の特例は、貸付事業用宅地にも適用されます。
これを1億円の現金を持っていた場合と、6,000万円で土地を購入し、4,000万円の賃貸マンションを建てた場合とで比較してみましょう。
1億円すべてが現金のままなら、評価額が1億円です。
したがって、相続人はこの評価額1億円をもとに計算されます。
しかし、1億円のうち6,000万円で土地を購入すると、評価額は8,800円まで下げることができます。
土地6,000万円×80%=4,800万円+現金4000万円(1億円-6,000万円)=評価額8,800万円 (土地が実勢価格の80%で評価された場合) |
さらにこの土地に4,000万円の賃貸マンションを建てると、評価額は以下のようになります。
借地権割合は70%、借家割合30%のケース 土地:4,800万円×(1-70%×30%)=3,792万円 建物:4,000万円×60%×(1-30%)=1,680万円 評価額合計:5,472万円 |
このケースで小規模宅地の特例を活用すると、土地の評価額は50%下げることができますので、評価額は以下まで下げることができます。
土地:3,792万円×(1-50%)=1,896万円 建物:4,000万円×60%×(1-30%)=1,680万円 評価額合計:3,576万円 |
つまり、現金のままであれば評価額1億円で相続税が計算されますが、賃貸マンションを建てて小規模宅地の特例を活用すれば、評価額を3,576万円まで下げることができ、大幅に相続税を節税することができます。
以上、小規模宅地等の特例の内容についてご紹介しました。ここでご紹介したように、小規模宅地等の特例の適用を受けることができれば、大きな節税効果が期待できることになりますが、この特例は賃貸マンションを建てるケースにも活用することができます。
しかし、相続税の節税対策は、中長期計画を立てて地道に行うことこそが、最も効果がある方法ということができます。
小規模宅地等の特例を利用する方法以外にも、節税する方法はたくさんあります。
早めに相続対策に精通した税理士に相談して、可能な限り早く節税対策を始めることをおすすめします。
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また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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