相続の手続き・まとめ|死亡届提出から相続後の各種手続きまで

公開日:2019年08月10日
最終更新日:2019年08月10日

目次

  1. 相続時の手続き
    • (1)死亡届の提出
    • (2)葬儀を行う
    • (3)遺言の調査・確認
    • (4)相続財産の確定
    • (5)相続人の確定
    • (6)被相続人死亡年の所得税の申告・納付
    • (7)遺産分割協議を行う
    • (8)相続税の申告
  2. 相続後に必要な手続き
    • (1) 預貯金の名義変更
    • (2) 不動産の相続登記
    • (3) 生命保険金の請求手続き
    • (4) 年金受給権者死亡届の提出
    • (5) 遺族基礎年金・遺族厚生年金の請求手続き
    • (6) 寡婦年金の請求手続き
    • (7) 死亡一時金の請求手続き
    • (8) 埋葬料・葬祭料の請求手続き
    • (9) 株式、自動車、公共料金の名義変更手続き
    • (10)住宅ローン抵当権の抹消手続き
  3. まとめ
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この記事のポイント

  • 相続時には、さまざまな手続きが必要となり、期限が決まっているものも多い。
  • 平成29年(2017年)から始まった法定相続情報証明制度を利用すると効率的。
  • 相続税を納めなければならない場合は、10カ月以内に申告・納付を行う。

 

亡くなった人のことを「被相続人」といい、被相続人の財産を相続する人を「相続人」といいます。被相続人は、原則として財産をどのように分けるのか遺言書などで自由に指定することができますが、遺言書などがない場合には、相続人になれる人は民法で決まっていて、これを「法定相続人」といいます。また、相続人には相続できる順位や割合も決まっています。

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相続手続きは、想像以上にお金と手間がかかるものです。
相続税を払うべきか払わないでよいか検討する必要がありますし、葬儀やお墓にどれくらい費用をかけるべきかなどについても考えなければなりません。

大切な人を亡くした悲しみのなか、やらなければならないことは次から次へと出てきます。
そこで、この記事ではそれぞれの手続きをもれなく行うことができるよう、相続の手続きをまとめてご紹介します。

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相続時の手続き

相続とは、亡くなった人の財産を残された人たちが引き継ぐことをいいます。
すべての相続人が納得できるよう、円満な形で遺産を相続するためには、さまざまな手続きを適切に進めていく必要があります。

(1)死亡届の提出

まず必要となるのが、死亡届の提出です。
死亡届がないと火葬を行うこともできませんし、墓地に埋葬することもできません。
死亡届の提出期限は死亡した日から7日以内と定められていますが、死亡診断書は葬儀社で葬儀の見積もりを取る時にも必要になりますので、できるだけ早く市区町村役場の窓口に死亡届を提出するようにしましょう。

なお、死亡届を提出する時には、あわせて「死亡診断書」を提出しなければなりません
死亡診断書は、病院側で発行手続きを進めてくれます。

このほか、届出人の印鑑、健康保険被保険者証、国民年金手帳、介護保険被保険者証、埋葬許可証交付申請書(窓口でもらうことができます)なども必要になります。

(2)葬儀を行う

葬儀を行う際には、葬儀費用を準備しなければなりません。
以前は、人が亡くなると、金融口座は凍結されてしまい、遺産分割協議がおわるか相続人全員の同意がないと引き出すことができなくなるので、現実には葬儀を執り行ったあと、現金で費用を支払うケースがほとんどでした。
しかし、2019年7月1日からは、一定額については相続人が単独で引き出すことができるようになり、葬儀費用などの必要な資金を引き出せないという不便さは解消されました。

ただし、だからと言って必要以上に勝手に預貯金を引き出してしまうと、被相続人の財産の相続を承認したことになりますので、後になって借金など被相続人のマイナス財産があることが分かっても、相続を放棄することができなくなる可能性もありますので注意しましょう。

また、葬儀の領収書は大切に保管しましょう。埋葬や火葬、納骨などの葬儀費用や寺へのお布施などは、後々相続税申告を行うことになった時に控除の対象となり、税金の負担を抑えることができるからです。
なお、「香典返戻費用」や「初七日の費用」などは、控除が認められません。
控除が認められるもの、認められないものは細かく決められていて、税理士でもない限り判断を下すのは困難です。
ですから、葬儀に関する出費の領収書はすべて保管しておくようにしましょう。
なお、お布施などは領収書をもらうことができないことも多いですが、その場合には日付と金額をメモして残しておきましょう。

(3)遺言の調査・確認

葬儀の後は、遺言書があるか確認します。
最近は、「終活」という言葉が広く知られるようになりエンディングノートを作成する人も多いですが、エンディングノートには法的な効力はありません。
したがって、エンディングノートに記載してある内容は、正式な遺言書としての効力はありません。
被相続人が自分で書いた遺言を「自筆証書遺言」といいますが、遺言書があった場合には、勝手に開封しないように注意してください。
自筆証書遺言は、家庭裁判所で相続人が立ち会うなかで開封しなければならずこれを守らないと罰金などが科されることがあります。
家庭裁判所では、開封後遺言の方式に関するすべての事実を調査して、検査調書を作成してくれます。

なお、2020年7月1日からは、「自筆証書遺言の保管制度」がスタートされ、法務局で自筆証書遺言を保管してもらうことができます。この場合には、前述した検認の手続きが不要となります。

遺言書には自筆証書遺言のほかに公正証書遺言という形式で作成される遺言書もあります。
公正証書遺言とは、公証役場で作成し保管されているものですが、この公正証書遺言があったとしても自動的にその内容がすべて認められるというわけではありません。

たとえば、遺言書の内容が「財産を家族以外に譲る」と書いてあったりすると残された家族が生活するうえで困ることになってしまいます。そこで、残された家族には遺留分減殺請求権という一定の財産に対する権利が認められています。
したがって、いくら遺言書があるからといって、その内容のすべてが有効になるというわけではありませんので、もし遺言書が見つかったら、相続税に詳しい税理士などの専門家に早めに相談するとよいでしょう。

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(4)相続財産の確定

相続が発生すると、相続人は相続の開始日から3カ月以内にどれぐらいの相続があるのかを把握し、相続するか否かを決めなければなりません。
相続財産にはプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれますので、借金の方が多い場合には、相続放棄の手続きを行います。
相続放棄をするとはじめからその人は相続人にならなかったとみなされます。
なお、相続財産がプラスになるか否かが分からない時には、限定承認申述書を家庭裁判所に提出すれば、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を受け継ぐことになります。

3カ月以内に相続財産をすべて把握し、相続するか相続放棄をするかを決めるのは、かなり大変な作業です。とはいえ、これらの作業を行わず相続放棄の手続きを行わないでいると、莫大な借金があった時に大変なことになります。早めに税理士や司法書士などの専門家に相談し、サポートを依頼するのがおすすめです。

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(5)相続人の確定

前述した相続財産の確定と同時に行うのが、相続人の確定です。
「相続人が誰か分からない」というケースはあまりありませんが、戸籍謄本を取り寄せると、意外なところに相続人がいることもあります。
相続人を調査するためには、出生時から死亡時までのすべての戸籍を取り寄せる必要があります。自分で行うこともできますが、大変な手間がかかることもありますので、これも早めに税理士や司法書士などの専門家に相談するのがよいでしょう。

なお、戸籍謄本は、不動産の相続手続きなどの際にも必要となりますが、その都度戸籍謄本を取り寄せるのは大変な作業です。
そこで、平成29年(2017年)から始まった法定相続情報証明制度を利用するのがおすすめです。法定相続情報証明制度は、一度法務局に法定相続の情報を登録しておけば、その後相続手続きに戸籍謄本が必要な時には、法務局が法定相続情報一覧図を発行してくれる制度です。

法定相続情報証明制度|5つのメリットと2つのデメリット

(6)被相続人死亡年の所得税の申告・納付

被相続人が亡くなった日か4カ月以内に行わなければならないのが、被相続人の確定申告(準確定申告)です。
その年の1月1日から亡くなった日までが対象期間で、相続人が代行する必要があります。
提出は、被相続人の所轄の税務署で行いますが、その際には相続人全員で共同で提出するのが原則となっています。

(7)遺産分割協議を行う

遺産分割協議とは、相続人が集まって残された財産をどのように分けるのか協議をすることで、協議がまとまったら遺産分割協議書を作成します。協議においては、相続人のうち誰か1人でも反対すれば成立しませんし、特定の相続人を除外して協議書だけ作成しても、その協議書は無効となります。
相続税の申告期限は相続開始後10カ月以内と決められていますので、遺産分割協議書はできればその期限内に作成する必要がありますが、協議がまとまらない場合には調停、裁判などが行われることになります。
調停や裁判を行うことになると弁護士費用などがかかりますし、何より過大なストレスがかかることになります。
できるだけ穏便に協議を進め、全員が納得できる遺産分割協議書を作成できるように努力するようにしましょう。

(8)相続税の申告

相続財産を概算し相続税を申告する必要がある時には、10カ月以内に相続税の申告手続きを行います。相続税がかかる人が申告をしないと、税務調査の対象となり追徴税や延滞税が加算されることになってしまいます。
なお、相続税の申告は納税をする人だけが行うものではありません。
相続税にはさまざまな軽減措置が設けられていて、配偶者の税額は大幅に軽減されますし、その他にも小規模宅地の特例を活用することで納税額を削減することができます。
しかし、これらの特例を利用したい場合には、相続税の申告が必要です。

相続税を申告すべきなのか、利用できる特例があるのかなどは、早めに税理士に相談し確認するとよいでしょう。

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相続後に必要な手続き

遺産分割協議がまとまり、遺産分割協議書を作成したら、預貯金の名義変更や不動産の相続登記などの各種手続きを行います。

(1) 預貯金の名義変更

相続が発生すると、被相続人の口座は凍結されますので、一定の額以上は自由にお金を引き出すことができなくなります(農協など一部の金融機関では、口座を閉鎖しないこともあります)。

そこで、決められた書類を提出して名義変更を行う必要があります。
預貯金の名義変更では、金融機関所定の払戻依頼書に必要事項を記入し、相続人全員の署名押印が必要になります。
また、被相続人の戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、死亡届出書などの提出も求められます。
必要書類は、金融機関ごとに多少異なりますので、手続きを行う際には事前に銀行に確認しておくようにしましょう。

(2) 不動産の相続登記

不動産の登記手続きは、一般の方にとって一生に一回あるかないかという手続きなので、そのため「何をどうしたらよいか分からない」と不安に思われる方も多いでしょう。
けれども、登記をしないまま放置してしまうと、その後新たに相続が発生して相続人が増えた時に登記手続きが煩雑になりますし、いざという時に不動産を売却できない…などさまざまなトラブルが発生する原因になります。このようなトラブルを回避するためにも、相続登記だけでなく、相続に関する手続きは早めに行うようにしましょう。
なお、登記をする際には登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)がかかりますので、固定資産税評価証明書も準備しておきましょう。

(3) 生命保険金の請求手続き

被相続人が生命保険に加入していた場合には、保険金の請求手続きを行います。
死亡保険金は、他の相続財産と異なり受取人固有の財産として認められているので、遺産分割協議がまとまるまで凍結されるということはありません。
なお、「被相続人は、生命保険には加入していなかったはず」と思っていても、相続人が把握していない生命保険があることもあります。しかし、保険会社から「保険金を払います」とわざわざ連絡をしてくれることはないので、勝手に「加入していないだろう」という判断しないで、できる限り調べてみましょう。

生命保険の保険金請求手続きは、保険会社に連絡することが必要ですが、その際には証券記号番号や死亡原因、保険証券の有無や、死亡前の入院の有無などを尋ねられることがあります。保険証書など用意できるものは、連絡する前に準備しておきましょう。

なお、子どもが知らないうちに親が子どもの生命保険に加入して保険料を本人に代わって支払っているケースがありますが、その場合には子どもがそれを引き継いだ方が新たに加入するより有利なケースがあります。その場合には、その契約の名義変更手続きが必要となります。

(4) 年金受給権者死亡届の提出

亡くなった方が年金受給者であった場合には、亡くなった日から10日以内(国民年金は14日以内)に、市区町村または社会保険事務所に「年金受給権者死亡届」を提出する必要があります。

なお、年金受給者が亡くなった場合、遺族が受け取ることができる「未支給年金」といわれる制度があります。
受取資格が発生しても年金の請求手続きがしなかった場合、遺族が請求すると2年間の年金を受け取ることができます。
この手続きに提出期限はありませんが、年金受給者死亡届を提出する時に同時に行うのが一般的です。

(5) 遺族基礎年金・遺族厚生年金の請求手続き

遺族年金には、受給者が加入していた年金によって異なります。国民年金に加入していたなら、「遺族基礎年金」、厚生年金に加入していたなら「遺族厚生年金」となります。
遺族基礎年金の対象となるのは、死亡した人によって生計を維持していた子のある妻や子で、遺族厚生年金の対象となるのは、孫や55歳以上の夫、父母、祖父母まで対象となります。
年金額は個々の状況によって異なりますので、年金事務所に問合せましょう。

(6) 寡婦年金の請求手続き

国民年金に加入していた夫が亡くなった時、18歳未満の子がいない妻には、妻が60歳から65歳になるまで寡婦年金と呼ばれる年金が支給されます。
支給額は、夫が受け取るはずだった老齢基礎年金の4分の3です。
寡婦年金は、妻が65歳になって自分自身の老齢基礎年金を受けられるようになると打ち切りになります。また、再婚した場合にも打ち切られます。

(7) 死亡一時金の請求手続き

死亡一時金とは、遺族厚生年金や遺族基礎年金を受け取ることができない遺族を救済することを目的とした制度です。
受給資格者は、前述した寡婦年金と死亡一時金のどちらかを選ぶことができます。60歳まで独身でいるなら、寡婦年金の方が有利になりますが、その前に再婚する予定があるなら、死亡一時金の方が有利となります。
なお、死亡一時金を受ける権利の時効は、亡くなった日の翌日から2年です。
これを過ぎると受け取ることができなくなりますので、早めに手続きを行なってください。

(8) 埋葬料・葬祭料の請求手続き

亡くなった方が国民健康保険に加入していた場合には、「葬祭料」を請求することができます。請求できるのは遺族や葬儀を執り行った人で、額は自治体によって異なりますが、2万円~7万円前後で設定されています。
「葬祭料」の請求は、亡くなった方の住所地の市町村役場の国民健康保険課です。

また、国民健康保険以外の健康保険に加入していた場合には、「埋葬料」を請求することができます。支給される額は、10万円~98万円で決められていて、亡くなった方の標準報酬月額の1カ月分です。
「埋葬料」の請求は、勤務先の所轄社会保険事務所か健康保険組合です。

(9) 株式、自動車、公共料金の名義変更手続き

株式を相続した場合には、信託銀行に連絡して行います。相続人が複数いる場合には、相続が合意するまで株式の名義変更はできませんし配当を受け取ることはできません。

また、自動車を所有していた場合には、15日以内に名義変更の手続きをする必要があります。自動車検査証、遺産分割協議書または遺言書、戸籍謄本などが必要になります。

この他、電気、ガス、水道なども名義変更してサービスを使用しなければなりませんが、これらの名義変更は電話だけで済ませられるケースがほとんどです。
ただし、注意すべきなのが電気、ガス、水道の料金を口座から引き落としていた場合です。これまでもご紹介してきたとおり、被相続人の死亡後は、その口座が凍結されることになりますから、これらの料金も引き落とされなくなります。最終的には電気やガスが止められてしまうことになりますから、早めに口座の変更手続きを行なうようにしましょう。

(10)住宅ローン抵当権の抹消手続き

住宅ローンを組んで家を新築・購入した場合には、亡くなった方が住宅ローンを残している時に遺族がローンの支払いができず家を売却しなければならない状態にならないよう、団体信用保険にかけられています。
民間の銀行で住宅ローンを組んでいる場合には、団体信用保険はほぼ100%強制加入されているはずです。
団体信用保険に加入していれば、亡くなった方が住宅ローンを支払っている途中でも、残債を肩代わりしてくれることになります。

団体信用保険によって残債を返済できたら、抵当権抹消手続きを行いましょう。この抵当権抹消手続きは自分で行わなければならず、抵当権を設定した時の登記済証や金融機関等からの抵当権者の抹消登記申請の委任状などが必要になります。

まとめ

以上、相続の手続きについてご紹介しました。
ここまで見てみると、相続に関する手続きがとても多いことに驚かれた方も多いのではないでしょうか。
とくに、相続財産の調査や相続人の確定、遺産分割協議や相続税申告などは、専門的な知識が必要となりますし、税額が軽減される特例措置などについて適用されるか検討することも必要です。
これらの多くの手続きは期限が決まっているものも多く、大切な方を亡くされた悲しみのなかで段取りよく進めるのは至難の業です。

これらの相続手続きは、税理士や司法書士などに相談することで、作業の一部を代行してもらうこともできます。なかには、公共料金の名義変更まで代行してくれるケースもあります。

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