上場基準とは|マザーズとジャスダックの違いとは

公開日:2019年11月29日
最終更新日:2019年11月29日

目次

  1. 株式上場基準とは
    • 上場するメリット
    • 上場審査で求められる基準
    • 株式市場の種類・マザーズとジャスダックの違い
    • マザーズの上場基準
    • ジャスダックの上場基準
  2. 上場するまでのスケジュール
    • 上場にかかるコスト
    • 上場を意識したら、誰に相談すべきか
  3. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • マザーズは、東京証券取引所が、新興企業向け市場として1999年に新設した市場。
  • ジャスダックは、東京証券取引所が運営する株式市場。
  • 上場審査で求められる基準は、それぞれ「実質審査基準」と「形式要件」がある。

 

会社を経営するうえでは、多額の設備投資、研究開発費、運転費などが必要となることがあります。特に事業規模が拡大していく過程においては、資金不足が常に経営課題となります。
そして、これらの問題を解決するひとつの方法が株式上場です。
ただし、株式上場のためには、各市場で必要となる一定の基準が存在します。これを「上場基準」といいます。

▶ 株式上場(IPO)支援に強い税理士を探す

株式上場基準とは

株式上場(「IPO」Initial Public Offering)とは、自分の会社を「株」という商品に形を変えて、市場で自由に売買してもらうことです。募集または売り出しという方法によって、上場時に株式を買ってもらうことになります。
「募集」とは、会社自体にお金が入る形態であり、「売出し」とは、既存株主にお金が入る形態です。

株式上場するためには、市場ごとに規定されている株券上場審査基準等に定められる一定の基準を満たす必要があります。これを「株式上場基準」といいます。
上場審査基準には、株主数、上場時価総額、純資産の額、監査意見などがあり、上場するためにはこれらの基準をすべて満たす必要があります。

上場するメリット

株式上場をすると、多くのメリットが会社にもたらされます。
株式市場を通じて、広く一般投資家から資金を調達できますし、知名度が向上するので広告宣伝効果が期待できます。
また、上場準備の過程で社内の経営体制が整備されますし、創業者である株主は上場時の売出しによってキャピタルゲインを得ることができます。

また、株式上場していない会社の場合、相続財産の大半が自社株というケースが多いのですが、上場会社であれば事業運営体制を変えずに相続した株式を市場を通じて売却できます。結果的に相続税の納税資金に充てることができるので、事業承継がスムーズに行われるというメリットもあります。

上場審査で求められる基準

上場審査で求められる基準には、「実質審査基準」と「形式要件」があります。
形式要件とは、実質審査基準の前段階で、形式的な数値や一定の事実関係の存在などによって、上場可能か判断する要件です。
この要件を満たさない会社は、上場審査までいくことができません。

形式要件とは、財務数値(純資産、利益など)、株主数、株式数など、上場時までに必要な数値達成ルールが中心です。この形式要件は、取引所ごとに数値基準が少しずつ異なります。

要件に示された数値を見ると、達成が難しいと感じるかもしれませんが、この数値は今すぐ達成しなければならないわけではありません。あくまで上場時までに達成すればよい数値です。

株式市場の種類・マザーズとジャスダックの違い

新規上場市場は、大きく「一般市場(本則市場)」と「新興市場」の2つに分類することができます。
「一般市場(本則市場)」とは、東証1部・2部で既存の大企業中心の市場です。従来は「一般市場(本則市場)」しかなかったため上場のハードルが高く、その結果「上場企業=大企業」ということになっていました。
しかし1990年代末以降に、マザーズ、ジャスダックなどの新興市場が開設され、上場の門戸が大きく開かれるようになりました。

○一般市場(本則市場)
東証1部・2部、名古屋証券取引所などがあります。
東京証券取引所(東証)には日本を代表する大手上場企業の大半が上場しています。
東証の一般市場(本則市場)に上場するのはかなりハードルが高く、上場時価総額、純資産額、利益額に一定の要件が求められます。
○新興市場
・マザーズ
マザーズは、東京証券取引所が、新興企業向け市場として1999年に新設した市場です。
次世代を担う成長企業にとって、直接金融による資金調達の手段を早期に実現することを目的としています。東証の基準には達しない発展途上の企業でも上場をすることができるということで注目を集めています。
マザーズは、高い成長可能性をもつ企業を対象としています。

・ジャスダック
ジャスダックは、東京証券取引所が運営する市場で、従来は東証の一般市場(本則市場)とマザーズ市場の中間にあるイメージでしたが、マザーズ同様に利益額を問わないグロースができたため、アーリーステージの企業でも上場可能となっています。

ジャスダックは、もともとは「店頭売買有価証券市場」として、日本証券業協会の管理監督のもとで本則市場の補完的立場を担っていました。つまり、取引所に上場はしていないが各証券会社の店頭で売買されるという意味で、「店頭銘柄」と呼ばれていました。
ジャスダックは、「新しい産業や中堅・中小企業に幅広くエクイティ資金を供給し、成長を支援するとともに、投資家にとって魅力的な投資機会を提供」することを基本理念としています。
またジャスダックは、「スタンダード」(一定の事業規模と実績を有する成長企業を対象)と「グロース」(特色ある技術やビジネスモデルを有し、より将来の成長可能性に富んだ企業群を対象)という2つの区分を設けています。

マザーズの上場基準

マザーズは、高い成長可能性を有していると認められる企業を、上場対象としています。したがって、優れた技術やノウハウを持ち、成長可能性が認められる企業は、マザーズの上場対象会社ということができます。
マザーズは、流動性や迅速性、透明性を重視していて、事業計画が予定通り進捗しているかについて、タイムリーに投資家がチェックできるよう四半期の業績の開示を義務づけていて、年に2回以上、投資に関する説明会を行うことが義務づけられています。

また、流動性については、以下の3つの基準を設けています。

①上場申請日から上場日の前日までの期間に、1,000単位以上の公募または公募および売出しを行うことが必要です。最低500単位以上の公募を行うことが必要となります。

②上場に際して実施される公募または売出しによって、特別利害関係者を除く1単位以上の株式を保有する株主を新たに300人以上つくる見込みがあることが必要です。

③上場日における時価総額が10億円以上となる見込みがあることが必要です。

項目 有価証券上場規程
(マザーズ形式要件)
株主数
(上場時見込み)
200人以上
(上場時までに500単位以上の公募を行うこと)
流通株式
(上場時見込み)
1. 流通株式数 2,000単位以上
2. 流通株式時価総額 5億円以上
3. 流通株式数(比率) 上場株券等の25%以上
時価総額
(上場時見込み)
10億円以上
事業継続年数 新規上場申請日から起算して、1年前以前から取締役会を設置して継続的に事業活動をしていること
純資産の額(上場時見込み)
利益の額又は時価総額
(利益の額については、連結経常利益金額)
監査意見 対象年度は、2事業年度(虚偽記載なし、かついずれも適正意見であり、直前期は無限定適正意見であること)
株式事務代行機関の設置 東証の承認する株式委事務代行機関に委託しているか、または当該株式事務代行機関から株式事務を受託する旨の内諾を得ていること
株式の様式 東証に定める様式に適合しているか、またはその旨が取締役会において決議済であること
指定保管振替機関における取り扱いに係る同意 指定保管振替機関(株式会社証券保管振替機構)における株券等の取り扱いに同意または同意する見込みであること

ジャスダックの上場基準

ジャスダックの形式基準(スタンダート)の内容については、以下の通りとなります。

項目 有価証券上場規程
(ジャスダック スタンダート)
株主数
(上場時見込み)
300人以上
上場時価総額 自己株式を除き、上場日において10億円以上(見込み)
利益の額又は時価総額
(利益の額については、連結経常利益金額)
直前事業年度において、当期純利益1億円以上が計上されていること。ただし、上場日における上場時価総額が50億円以上(見込み)である場合には、当期純利益金額および経常利益金額は問わない(赤字でも可能)。
監査意見 対象年度は、2事業年度(虚偽記載なし、かついずれも適正意見であり、直前期は無限定適正意見であること)
取締役会の設置 上場申請日から起算して、1年以前からの取締役会を設置していること(協同組合組織金融機関である場合には、これに相当する期間)
その他 株式事務代行機関の設置、株券の様式、株式の譲渡制限、指定保管振替機関における取り扱いに係る同意。

マザーズと比較すると、利益の額について原則的に経常利益1億円以上が求められている点と、純資産額が2億円以上であることが求められるという点が異なります。また、上場申請のための報告書(通称Ⅱの部)の作成が求められている点もマザーズと異なる点です。
ジャスダックは、他の新興市場と比較すると、上場のハードルは高いといえるでしょう。

▶ 株式上場(IPO)支援に強い税理士を探す

上場するまでのスケジュール

株式上場するためには、上場予定時期の3年前までに上場準備室を設置する必要があります。各部門から調整能力・事務処理能力の高い人材を集め、プロジェクトチームを結成します。
また、あわせて社内体制や資本政策の大まかな方針も決めます。

さらに、監査法人の監査、上場準備室の設置、主幹事証券会社の選定など、長期にわたる準備作業が必要となります。
株式上場までの大まかなスケジュールは、以下の通りです。

なお、上場準備スケジュールを作成しても、その内容を確実に実行するためにチェックして、予定通りに進んでいない場合には、手順変更や担当者の補強、変更の必要の検討などを行う必要があります。
経営者は、順調に準備作業が進んでいると思っていても、実は準備作業が進んでおらず上場が延期になるケースもあります。

このようなことが起こらないようにするためには、上場準備作業の進捗管理を行う上場準備室長を選任し、監査法人や証券会社なども巻き込んでいくことが必要です。

上場にかかるコスト

ケースバイケースで異なりますが、上場するためには、さまざまなパートナーが必要であり、それに応じてかなりの費用がかかります。

証券会社へのコンサルティング報酬や監査法人への監査報酬、申請書類などの印刷代、株式事務代行手数料など、株式上場までにはトータルで数千万円から数億円かかることになります。
収益の拡大イメージと併せて、これらの費用の負担も検討しておかないと、費用が増大するたびに収益が圧迫されますので、かならずこれらの費用を事業計画に盛り込んでおきましょう。

監査法人など ショート・レビュー:150万円~400万円
監査報酬:300万円~2000万円
コンフォートレター(株券等または社債券の発行者に関する調査報告):200万円
日本証券業協会など 上場審査料:100万円
上場手数料:200万円~1500万円
年間手数料:60万円~150万円
証券会社など 引受手数料:公募価格×株式数×手数料率(5~7%)
証券会社コンサルティング報酬:500万円~2000万円
公開申請費用 Ⅰの部、Ⅱの部、半期報告書等の作成費用:200万円~300万円
パンフレット、会社説明などの作成費用:200万円
印刷・公告費用 株券印刷:150万円~250万円
有価証券届出書作成:100万円
目論見書(経営での利益や経営そのものの潤沢を目論む書類):
300円~500円×作成部数
公告費
その他 上場コンサルタント報酬:500万円~1000万円
証券事務代行費用:400万円

上場を意識したら、誰に相談すべきか

株式上場を意識したら、まず顧問税理士や顧問弁護士に相談することをおすすめします。上場するまでは、主幹事証券会社や監査法人、弁理士、印刷会社などさまざまなパートナーが必要ですが、特に税理士は会社に対する上昇基準を達成するための税務アドバイスや税務対策などについて、アドバイスを受けることができます。

また、上場準備に関するコンサルティングを行う外部コンサルタントを活用するのも効果的な場合があります。ただし、その場合でも顧問税理士を通じて紹介を受ける方が、結果的に十分なサポートを受けることができるでしょう。

▶ 株式上場(IPO)支援に強い税理士を探す

まとめ

以上、上場基準の意味や、マザーズとジャスダックの基準の違い、上場するための大まかなスケジュールについてご紹介しました。
株式上場は、多くの費用がかかりますし大変な準備作業が必要です。しかし、株式上場によって資金調達力は高まりますし、それによって投資拡大、人員強化なお業績が向上しやすい経営体質を得ることができるのです。
上場基準の数値だけ見ると、とても達成できないと思うかもしれませんが、株式市場は将来の企業発展の第一歩です。
いずれ上場を考えている経営者は、まず顧問税理士や弁護士に相談し、必要な準備などについてアドバイスを受けることをおすすめします。

税理士をお探しの方

税理士検索freeeでは2,000以上の事務所の中から株式上場や上場基準について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
株式上場(IPO)支援に強い税理士を探す

株式上場(IPO)支援にノウハウを持つ税理士を探す

地域から株式上場(IPO)支援に実績がある税理士を探す

より細かいカテゴリから税理士を探す

人気記事

タグ一覧

業種

その他

PageTop