JASDAQ(ジャスダック)とは|2022年4月4日からどう変わったか

公開日:2019年12月27日
最終更新日:2022年07月25日

この記事のポイント

  • JASDAQ(ジャスダック)とは、東京証券取引所が運営していた市場。
  • ジャスダックは、東証再編により廃止された。
  • ジャスダック「スタンダード」上場企業は東証スタンダード市場に、ジャスダック「グロース」上場企業は東証グロース市場に引き継がれた。

 

JASDAQ(以下、ジャスダック)とは、東京証券取引所が運営している市場で、2004年に証券取引所化されました。

ジャスダックは、市場区分が「スタンダード」と「グロース」に区分されていましたが、東証再編により廃止され、2022年4月4日からジャスダック「スタンダード」上場企業は東証スタンダード市場に、ジャスダック「グロース」上場企業は東証グロース市場に引き継がれることとなりました。

JASDAQ(ジャスダック)とは

ジャスダックは、東京証券取引所が運営している大手、新興・成長企業向けの市場でした。
そして、ジャスダックは市場区分が「スタンダード」と「グロース」に区分されているという特徴がありました。

スタンダード
一定の事業規模と実績を有する成長企業が対象

グロース
特色のある技術やビジネスモデルを有し、より将来の成長可能性のある企業が対象

(1)東証再編でジャスダックは廃止に

ジャスダック証券取引所では、信頼性や安定性のある大規模企業だけでなくても、将来性や成長性が投資家から高く評価されるような企業の株式上場が可能な上場基準が定められていました。
ジャスダックは、市場区分が「スタンダード」と「グロース」に区分されていましたが、東証再編により廃止され、2022年4月4日からジャスダック「スタンダード」上場企業は東証スタンダード市場に、ジャスダック「グロース」上場企業は東証グロース市場に引き継がれることとなりました。

(2)東証再編で市場区分は「プライム」「スタンダード」「グロース」に

東京証券取引所(以下「東証」)には、2022年4月3日まで「市場第一部」「市場第二部」「マザーズ」「ジャスダック(スタンダード・グロース)」の4つの市場区分がありました。

しかし、各市場区分のコンセプトなどの課題が指摘されていました。
これらの課題を受けて、東証は市場区分の見直しに向けた検討を進め、2022年4月4日に、「プライム市場・スタンダード市場・グロース市場」の3つの市場区分をスタートさせました。


引用:日本取引所グループ「市場区分見直しの概要」

プライム市場は市場第1部、スタンダード市場は、市場2部やジャスダックのスタンダード、グロース市場はジャスダックのグロース、東証マザーズとイメージが近いとされてます。
東証の市場再編をめぐっては、市場1部企業がプライム市場に残留できるかが注目されていますが、スタンダード市場やグロース市場を選択したものの、上場基準に達していない企業の行く末も注目されています。

従来の市場区分 2022年4月からの市場区分
市場1部 プライム
市場2部
ジャスダックのスタンダード
スタンダード
ジャスダックのグロース
東証マザーズ
グロース市場

(2)ジャスダックスタンダード→東証スタンダードへ

ジャスダックス「スタンダード」の上場企業の多くは、2022年4月4日より東証スタンダード市場が引き継ぐこととなりました。
東証スタンダードの主な上場基準は、以下のとおりです。

項目 スタンダード市場への新規上場
株主数
(上場時見込み)
400人以上
流通株式
(上場時見込み)
・流通株式数 2,000単位以上
・流通株式時価総額 10億円以上
(原則として上場に係る公募等の見込み価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額)
・流通株式比率 25%以上

(3)ジャスダックグロース→東証グロースへ

ジャスダックス「グロース」の上場企業の多くは、2022年4月4日より東証グロース市場が引き継ぐこととなりました。
東証グロースの主な上場基準は、以下のとおりです。

項目 グロース市場への新規上場
株主数
(上場時見込み)
150人以上
流通株式
(上場時見込み)
・流通株式数 1,000単位以上
・流通株式時価総額 5億円以上
(原則として上場に係る公募等の見込み価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額)
・流通株式比率 25%以上

ジャスダック廃止・東証再編で知っておきたいワード

2022年4月に始まった東証再編ですが、ほかにも上場制度も新しく整備されたり、TOPIX改革が行われたりといった変化もありました。
ここでは、ジャスダック廃止・東証再編とあわせて知っておきたいキーワードについてご紹介します。

(1)上場制度が整備された

上場制度のうち、「新規上場基準」「上場維持基準」「経過措置」などが新しく整備されました。
従来は、新規上場基準の水準が高いものの、一方で上場廃止基準が緩いという大きな差がありました。
しかし新制度では、上場維持基準が新規上場基準と同程度に引き上げられました。
なお経過措置として、上場維持基準に抵触したとしてもすぐに上場廃止となるわけではなく、抵触した項目について一定の計画書を開示することで、上場維持を可能とする制度も設けられました。

今回の制度変更に伴い、企業は上場維持の難易度が高くなり、企業価値の向上に継続的に取り組む必要が強く求められることとなりました。

(2)TOPIX改革の実施

TOPIXとは、東証株価指数と呼ばれるものです。
TOPIXは主にプライム市場の上場銘柄で構成されることになりますが、スタンダード市場やグロース市場の銘柄でも一部対象となる可能性があります。
今回の見直しで、流動性が乏しかったり時価総額が小さかったりする銘柄は、TOPIXから段階的に除外されることとなり、業績や財務内容が反映する株価形成になることが期待されています。

(3)コーポレートガバナンス・コードが改定

コーポレートガバナンス・コード(CGコー)とは、株主をはじめとした利害関係者の立場を踏まえ、上場企業が公正かつ迅速な意思決定をおこなうための「企業統治の原則指針」をいいます。
CGコードは「基本原則」「原則」「補充原則」で構成され、気候変動についての情報の開示などが新たに設定されました。
CGコードは東証再編と並行して議論されてきましたが、上場する市場区分によって対応が求められる原則が異なることになりました。プライム市場とスタンダード市場は、すべての原則が適用され、さらにプライム市場はスタンダード市場より高い水準の原則が求められます。一方、グロース市場は基本原則のみ対応すればよいこととなっています。

まとめ

東証は、市場区分の見直しに向けた検討を進め、2022年4月4日に、「プライム市場・スタンダード市場・グロース市場」の3つの市場区分をスタートさせました。
「グロース」とは成長企業向けの市場で、主幹事証券会社がビジネスモデルや事業環境などを基に評価・判断され、「プライム」・「スタンダード」は、一定の事業規模等を有する成長企業が対象となります。
いずれの市場を選択するにせよ、株式上場をするためにはさまざまな基準があり必要な書類も多々あります。
また、主幹事証券会社や監査法人、印刷会社などの協力が必須となります。

主幹事証券会社 株式の引受業務、上場準備に関するコンサルティング、実質審査などを行います。
監査法人 上場申請のための会計監査、株式上場のための調査など、全般的なアドバイスを行います。
税理士 税務に関するアドバイスや税務対策を行います。
弁護士 法務全般のリスク対策、種類株式の設計などを行います。
弁理士 特許権などの知的所有権がある場合には、その管理とアドバイスを行います。
信託銀行 株式事務代行業務、株主総会運営実務等について、アドバイスを行います。
ベンチャーキャピタル 上場準備段階において、資金提供を行います。
印刷会社 上場適格株券の印刷、有価証券届出書の印刷などを行います。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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