資本コストとは?計算方法や目安について解説

公開日:2024年07月18日
最終更新日:2024年07月18日

この記事のポイント

  • 資本コストは企業が資金調達に際して負うコストのこと。
  • 資本コストには「負債コスト」と「株主資本コスト」がある。
  • WACCは負債コストと株主資本コストを加重平均した資金調達コストのこと。

 

資本コストとは、企業が資金調達の際に負う費用を指します。資本コストには、債権者への支払いを含む「負債コスト」と、株主への報酬を含む「株主資本コスト」があります。この2つのコストを加重平均したものがWACC(加重平均資本コスト)です。WACCは、企業の全体的な資金調達コストを評価するために使われます。

資本コストとは

資本コストとは、企業が資金を調達する際にかかるコストです。
資金提供者としては、債権者と株主がいます。つまり、企業から見れば「コスト」ですが、資金を提供する側から見れば、企業に対して要求する利回りです。
負債とは、銀行からの借り入れや債券の発行などで、債権者に対する利息支払いを伴います。
一方、株主資本は株式の発行によって調達され、株主に対する配当金や株価上昇の形で報酬が支払われます。
債権者に対する資本コストを「負債コスト」といい、株主に対する資本コストを「株主資本コスト」といいます。

この2つの資金調達手段に対するコストを合算して評価するのが資本コストです。特に、負債コストと株主資本コストを加重平均したものをWACC(加重平均資本コスト)と呼び、企業の全体的な資金調達コストを評価するために重要な指標となります。

(1)負債コスト

負債コストは、企業が銀行からの借り入れや債券発行などの負債を通じて資金を調達する際に負うコストです。主に利息の支払いで、通常は固定の支払義務を伴います。負債コストは、借入金利や市場金利に影響されるため、金融市場の動向によって変動しますので、適切な負債管理は企業の安定した成長と経営の健全性を保つうえで非常に大切です。

(1)株主資本コスト

株主資本コストは、企業が株主から資金を調達する際にかかるコストです。株主はリスクを負う代わりにリターンを期待して投資するため、企業はその期待に応える必要があります。株主資本コストは、企業の財務状態や市場の状況によって変動し、一般にリスクの高い投資ほど高くなります。

(3)株主資本コストの計算式

負債コストは利息ですから計算方法は簡単ですが、難しいのは株主資本コストの計算方法です。なぜなら、株主は期待している利回りを明示しないからです。
株主資本コストの計算には、CAPM(Capital Asset Pricing Model、資本資産評価モデル)がよく用いられます。資本資産価格モデルによれば、株主資本コストは以下の一時式で計算されます。


この計算式は、株主が要求する期待収益率を算出するために使われます。具体的には、リスクフリーレートに市場リスクプレミアムをベータ値で調整して加えたものが株主資本コストとなります。

リスクフリーレートとは、株式市場の変動に左右されない債券の利回りで、日本では10年物の国債の利回りなどが使われます。

この式は、国債などの政府系債券の利回りは、株式市場の変化に左右されないという仮定の元手、個別株式のリスクプレミアムと株式市場全体のリスクプレミアムの倍数で表現されるということを意味しています。

(4)WACCの計算式

WACC(加重平均資本コスト)とは、負債コストと株主資本コストを加重平均して1つにまとめたものです。「Weighted Average Cost of Capital」の略で、頭文字をとって「WACC(わっく)」と呼ばれます。
WACCは、以下の計算式で計算されます。

WACC(%) = (rD(1−T)×D / (D + E) + rE × E / (D + E)) × 100
rDは負債コスト、rEは株主資本コスト、Tは実効税率、Dは負債、Eは株主資本です。

難しい計算式に見えるかもしれませんが、実は簡単な内容となっていて、たとえば、債権者から200万円、株主から100万円を調達した場合、負債コストが2%、株主資本コストが8%とすると、「200万円×2%+100万円×8%=12万円」の資本コストで300万円の資金を調達したということになります。
そして、これを率で表すと12万円/300万円×100=4%となります。これがWACCです。

資本コストを利用した経営手法

資本コストを理解し経営に活用することは、企業の財務戦略において重要です。資本コストは、企業がどのように資金を調達し、それに対してどの程度のコストがかかるかを示します。これに基づいて、企業は新たな投資プロジェクトの評価や資金調達手段の選択を行います。例えば、資本コストが高い場合、新規プロジェクトの期待リターンが資本コストを上回るかどうかを慎重に検討する必要があります。これにより、企業は効率的な資本配分を実現し、株主価値の最大化を目指すことができます。

(1)会社の資本コスト

資本コストを理解し、それを経営に活用することは、企業の財務戦略において極めて重要です。資本コストが高くなると利益が圧迫され、株価が下落するリスクがありますが、資本コストを抑えることができれば、利益を多く手元に残すことができ、企業価値が向上し、株価も上昇する傾向があります。したがって、資本コストが高い場合には、新規プロジェクトの期待リターンが資本コストを上回るかどうかを慎重に検討し、効率的な資本配分を実現し、株主価値の最大化を目指すことが重要です。

(2)事業の資本コスト

個別の事業やプロジェクトごとに資本コストを計算し、その分析結果を経営判断に活用することも重要です。各事業のリスクプロファイルや資金調達手段に応じて資本コストを評価することで、より正確な投資判断が可能になります。新規事業に対する投資判断を行う際には、その事業の予想される収益が資本コストを上回るかどうかを評価し、企リスクとリターンを適切にバランスさせることができます。また、事業ごとの資本コストを把握することで、資源配分の最適化やコスト削減の機会を見出すことができます。

(3)資本コストを下げるには

資本コストは、企業が資金調達の際に負担する費用であり、少なければ少ないほど企業にとって有利です。資本コストが大きいと、その分だけ株主や債権者に支払う金額が増えてしまいます。
資本コストを下げる方法としては、以下のような方法があります。

リスク情報の開示
リスク情報を開示することで、金融機関や投資家の不安を解消し、より低い金利で資金を調達することが可能になります。また、株主も過度な期待を持たずに済むため、配当に対する期待値が下がり、結果的に資本コストの低下が見込めます。

低金利で借入れる
低金利での借入れは、資本コストを抑えるための重要な手段です。例えば、ある企業が年利5%で1000万円を借入れると、年間の利息は50万円になりますが、年利3%で同じ金額を借入れると利息は30万円となり、資本コストが20万円減少します。

長期の資金調達
短期的な資金調達よりも長期的な資金調達を行うことで、金利変動のリスクを減らし、安定した資本コストを実現できます。長期の低金利ローンや社債の発行などが有効です。

資産の効率的運用
企業の資産を効率的に運用し、投資収益率を高めることで資本コストを下げることができます。例えば、不動産や設備などの資産を適切に管理し、最大限の収益を上げることが重要です。

ある企業は、新しい工場を建設するために資金調達を行う際に、企業がリスク情報を十分に開示し、信頼性の高い事業計画を示すことで、金融機関から年利2.5%の低金利で融資を受けることができました。また、同時に変動金利ではなく固定金利を選択することで、金利上昇のリスクを避け、安定した資本コストを維持しています。この結果、資本コストを抑えつつ、計画通りに工場を建設し、事業拡大に成功しました。

まとめ

資本コストは企業の資金調達や投資判断において重要な役割を果たします。株主資本コストと負債コストを適切に評価し、それを経営戦略に反映させることで、企業は効率的な資本配分を実現できますし、資本コストを理解し活用することで、企業は競争力を高め、株主価値を最大化することができます。

資本コストについて相談できる税理士をさがす

資本コストの評価や活用については、企業の財務戦略や資本コストの評価に精通している税理士に相談してみましょう。適切な税理士を見つけることで、企業の財務健全性を高め、効率的な資本運用をサポートしてもらうことができます。なお、相談する税理士は、企業の業種や規模に応じて選ぶことが重要です。
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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
 

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

 

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