公開日:2024年07月26日
最終更新日:2024年07月26日
多くの経営者は、売上や利益の向上、自社サービスの向上や競合他社との差別化、資金繰りの管理、従業員のモチベーション向上など、さまざまな経営課題に直面しています。これらの問題を社長一人で対処するのは限界があります。そこで、役員や従業員がそれぞれの役割を分担し、組織として経営を行う必要があります。
近年では、CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)など、各責任者(総称して「CxO」)を設定し、役割を分担する組織体制を採用する企業が増えています。そして、各分野の専門家が経営の様々な側面を担当し、企業全体の効率性と効果性を高めています。
CFOは、CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)とともに経営の意思決定を行う重要職です。
CFO(Chief Financial Officer)は企業の財務担当最高責任者であり、企業の財務戦略の立案、実行、監督を行います。
担当業務は会社によって異なりますが、経理・予算・財務・税務のほか、経営戦略、資本政策、M&Aなどの戦略管理、IR、内部管理などを担当することもあり、業務内容は非常に多岐に渡ります。
CFOは最高財務責任者として、企業の財務部門を統括し、経営に深く参画する役職です。主な業務は以下の通りですが、企業の規模や成長段階(創業期、拡大期、IPO前後、企業再生など)に応じて役割が変わります。
・ファイナンス(財務・経理・税務など) 企業の資金調達、財務戦略の立案、資本構成の最適化、投資計画の策定、リスク管理を担当します。また、財務諸表の作成、予算管理、コスト管理、税務コンプライアンスも行います。 ・ストラテジー(経営企画・M&A・広報IRなど) ・コーポレート(人事・総務・法務など) |
創業期には資金調達や資本政策が重要であり、拡大期には成長戦略やM&Aが中心となります。IPO前後では規制対応や投資家対応が増え、企業再生期には財務再構築やコスト削減が焦点となります。CFOは企業のニーズに合わせた柔軟な対応が求められます。
CFOのミッションは、「資本効率を上げて企業価値を最大化する」ことです。会社に投下した資金を効率よく運用して利益を稼ぐこと、そしてその実現に向けて戦略を策定して実行する役職です。
企業のビジョンを設定し、そのビジョンを実現するための戦略を立案します。CEOは企業の全体的な方向性を決定し、各部門のパフォーマンスを監督し、企業の成功に責任を持ちます。また、外部のステークホルダーとの関係構築や企業の公共イメージの管理も重要な役割の一部です。
近年は、CEO、COO、CFOといった責任者(総称して「CxO」)を設定する企業が増えています。
COO(Chief Operating Officer)は、企業の業務執行責任者であり、日常の運営と業務の効率化を担当します。CTO(Chief Technology Officer)は技術部門の最高責任者で、技術戦略の立案と実行を担当します。CFOは財務の専門家で、企業の財務的健全性と成長を確保するために財務戦略を担当します。
CEO(最高経営責任者) | 経営全体を見渡し、戦略立案と意思決定を行い、企業の方向性を決める役職。 |
COO(最高執行責任者) | CEOの策定した方針に基づき、業務を執行する責任者であり、CEOのビジョンを具体化する役割を担う。 |
CFO(最高財務責任者) | 運営資金を確保し、投資の意思決定を行う。資金以外にも経営資源の調達が役割に含まれることもあり、人事を担当するCHRO(最高人事責任者)を置く企業もある。 |
CTO(最高技術責任者) | テクノロジーが経営上の重要事項となっている企業において、技術戦略を担当する役職。 |
CFO(Chief Financial Officer)は、最高財務責任者として企業の財務部門を統括し、経営に参画する役職です。主な業務は財務、経理、税務といったファイナンス関連ですが、企業の規模や成長段階に応じて役割は異なります。
CFOの主な役割の一つは財務管理です。
企業の資金調達、資本構成の最適化、投資計画の策定といった重要な業務を含みます。CFOは企業の財務戦略を立案し、実行することで、企業の成長と持続可能性を確保します。また、CFOは企業のリスク管理を担当し、市場の変動や経済状況の変化に対応するための対策を講じます。
ベンチャー企業などにおいては、以下の業務が主となります。
・資金繰り管理 現状の資金繰りを把握し、将来の資金状況を予測します。資金が不足したり、余剰になったりしないよう管理します。 ・資金調達 |
企業の財務諸表の作成、予算管理、コスト管理、財務分析などを行います。財務諸表は、投資家やその他のステークホルダーにとって重要な情報源です。CFOはこれらの諸表の正確性と信頼性を確保するために、経理部門を監督し、内部統制を強化します。また、CFOは予算の策定と管理を行い、企業の資金を効率的に活用するための戦略を立てます。
日常的な業務は、経理担当がおこないますが、決算業務についてはCFOが相当程度には関与することが大切です。
・入出金管理 事業運営では日常的に多くの入出金が発生します。出金に関しては、資産購入、仕入代金や賃料、サービス利用料などの支払い手続きを行います。入金については、売上代金の回収を管理し、債権の回収状況を確認します。どの相手先の債権が回収されているか、未回収債権がないかも管理の一部です。 ・記帳・決算 |
税務管理もCFOの重要な役割の一つです。企業の事業活動には様々な税金の支払いが伴います。法人として事業を行うことで発生する「法人税」、消費者から預かり納付する「消費税」、従業員の給与から源泉徴収して納付する「所得税」などです。
税務申告のための税金計算は税理士に委託することが一般的ですが、戦略的な税務メリット・デメリットを検討する際にはCFOの関与が重要です。たとえば、M&Aや組織再編を行う場合、課税リスクは大きな検討課題となることが珍しくありません。CFOはこれらのスキームを検討・指揮する立場にあるため、税務に関する一定の知識と理解が必要です。
CFOは税務効率を最大化するための戦略を策定し、企業の利益を最大化するための税務プランニングを行います。
CFOは会社全体の視点を持ち、数値管理に長け、企業のお金を管理する存在です。したがって、常に「サービスに資金を投下するのか、それとも技術に資金を投下するのか」といった全社最適を考え、自然と全社視点の経営を考えるマインドを持つ必要があります。CFOの全社視点と数値管理の能力は、会社経営において重要な役割を果たします。
CFOの主要な業務には経営理念、経営戦略、経営計画の策定が含まれます。経営理念は、企業が存在する理由、目指す目標、具体的な進む方向を決めるものです。ミッション(使命・目的)、ビジョン(目標)、バリュー(行動指針)を設定し、経営陣がこれを適時に更新し、適切に運用できる環境を整えることが理想です。さらには経営理念に沿った行動を求め、組織のメンバーをモチベートする指針としても重要です。
経営戦略は、企業が継続的に売上や利益を上げるための基本方針を定めるものです。具体的には「誰に」「何を」「どのように」売るかを定義します。
経営計画は、経営戦略に基づき、具体的な行動指針を定めるものです。生産計画、販売計画、出店計画、投資計画など、各行動計画について「いつ」「誰が」「どのように」行うかを詳細に計画し、文書化します。損益計画(P/L)、資金計画(C/F)、財務計画(B/S)などの数値計画も詳細に策定し、環境の変化に応じて修正を行い、常に会社の規範としての位置づけを維持します。
CFOは、主に数値管理を担当し、分析的で論理的な側面が強い役職です。CEOが直感的で感覚的なタイプも多く、その感覚を補完するために、CFOは論理面を支えます。経営理念の言語化や社内への浸透、経営戦略の論理的な支えなど、CFOの役割は多岐にわたり、企業の成功に大きく寄与します。
PDCAの「Plan」である「経営計画の策定」は、CFOがフォローしつつCEOが中心に行います。これに基づいて、経営理念、経営戦略、経営計画が具体化されます。「Do」フェーズでは、策定した経営計画に基づき、主にCOOがその実行を担当します。
「Check」フェーズでは、CFOの役割が非常に重要です。CFOの数値管理能力や分析力、論理力が活かされる場面であり、経営計画と実績を比較して分析し、必要な対策を講じます。定量面では、売上や利益が経営計画通りに進んでいるか、十分な資金が創出され、必要な分野に投下できているか、設定した目標数値(KPI)が達成されているかを確認します。
定性面では、顧客からの製品やサービスに対する評価や、組織や従業員が経営理念・経営戦略・経営計画に沿って動いているか、設定したアクションプランの進捗状況などを確認し、様々な課題や問題を把握し、対応を検討します。
定量面の評価には月次決算が重要であり、毎月の実績を計画と比較して剥離を分析し、経営陣に共有して、課題の認識と対応を協議します。また、社内の問題点をタイムリーかつ確実に吸い上げる仕組みを構築することも、CFOや経営企画部署の重要な任務です。
CFOは全社的な分野に関わりますが、特に重要なのが組織再編、M&A、IPOです。
・組織再編 組織再編では、会社組織をどのように設計するかが焦点となります。企業が複数の会社から構成されている場合、合併や会社分割を検討します。合併のメリットとしては、税務上のメリット、資金管理の効率化、管理業務の重複回避などが挙げられます。一方、会社分割のメリットは、企業文化や人事制度の違いに対応しやすくなることです。これらのメリット・デメリットを比較分析し、最適な方針を策定するためには、CFOとして会社法、会計、税務の知識が必要です。 ・M&A ・IPO CFOは企業の財務状況を整備し、売上や利益の成長を示すための詳細な財務報告を作成します。投資家との対話を通じて、企業のビジネスモデルや成長戦略の説明を行い、企業の魅力や将来性をアピールする役割も担います。 |
CFOは企業の財務部門を統括し、企業の経営において重要な役割を果たします。CFOの役割は、企業の財務戦略の立案と実行、資金調達、資金管理、財務リスクの管理など、多岐にわたります。経営陣と協力して実行します。
担当業務には、資金繰りの管理、資金調達計画の立案と実行、M&Aや組織再編の戦略策定と実行、IPOプロジェクトの監督などが含まれます。
中小企業の場合、CFOの業務の一部を税理士に依頼することもあります。イメージとしては、スポットでCFOを配置するようなイメージです。CFOは会計や財務に詳しいことが求められますが、税理士は税務だけでなく、資金調達、事業承継、M&Aに関するサポートも提供できるため、幅広い依頼に対応することができるのです。
freee税理士検索では、数多くの事務所の中から、CFO的な立場で経営に関与してくれる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
\ CFOについて相談できる税理士を検索 /
監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、相談することができます。