海外進出する時に知っておきたい国際税務・租税条約

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2020年01月10日

目次

  1. 日本企業の国際化
    • 増加する中小企業の海外進出
    • 国の支援体制
  2. 国際税務とは
    • 租税条約とは
    • 租税条約は締結国ごとに違う
    • 日本の租税条約ネットワーク
    • 租税条約と国内法との関係
    • 租税条約が締結されていない場合
  3. 租税条約・その他の注意点
  4. まとめ
    • 国際税務に強い税理士をお探しの方
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この記事のポイント

  • 海外進出をする際には、国際的な税務に関する理解と検討が欠かせない。
  • 国際取引においては、日本国内の税制に相手国の税制も加わり、さらにどちらの国にどこまで課税権があるかといった問題がある。
  • したがって、税務問題が企業の利益に大きな影響を及ぼすことがある。

 

国内市場の成熟化などを理由に、企業が海外展開する動きが改めて注目されています。

海外展開を検討する際には、さまざまな課題について検討する必要がありますが、この際には国際的な税務に関する理解と検討が欠かせません。

企業の国際取引においては、税務問題が時として企業の利益やキャッシュ・フローの最大化に大きな影響を及ぼすことがあるからです。

ここでは、海外進出する際に必要な、国際税務に関する基本的な考え方についてご紹介します。

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日本企業の国際化

日本企業の海外展開をする動きが、活発になってきています。
2016年度末における現地法人数は、2万4,959社となっていて、依然として増加傾向にあります。

業種別にみると、製造業が1万919社、非製造業は1万4,040社という結果で、全産業に占める割合は、製造業が43.7%、非製造業が56.3%という結果になっています。

引用:経済産業省「第47回 海外事業活動基本調査概要」1表 業種別現地法人分布

増加する中小企業の海外進出

前述した経済産業省の海外事業活動基本調査によると、大企業のみならず、大手企業だけでなく中小企業の海外進出が活発になってきています。
また、日本企業が海外進出する以外でも、国内において外国企業等との取引を行う企業も増えています。

進出国については、北米、アジア、欧州の現地法人数はいずれも減少していますが、中国、ベトナム、タイ、シンガポールなどのASEAN諸国やインドなどへの進出は増加傾向にあり、欧米ではなくアジア諸国への進出が顕著になっています。

引用:経済産業省「第47回 海外事業活動基本調査概要」1図現地法人の地域別分布比率の推移

国の支援体制

海外進出が活発になった背景としては、国内市場の成熟化、ビジネス戦略上の理由があるのはもちろんですが、さまざまな支援体制が整備してきたことがあげられます。

たとえば、日本企業の海外進出を支援している日本貿易振興機構JETRO(ジェトロ)のさまざまな支援制度です。
進出計画案の策定 、国内での予備調査、現地紙調査、現地法人設立の流れなどについてレクチャーを受けることができるほか、JETRO(ジェトロ)を活用したさまざまな事例を紹介しています。

また、中小企業基盤整備機構も、海外展開を検討・実施している中小企業向けに初期の計画段階から進出後のフォローアップまで、さまざまな支援制度を用意しています。
海外ビジネスの専門家が無料でアドバイスをしてくれるほか、経費補助により海外調査や、外国語Webサイトの作成等を支援します

また、各地の商工会議所、各都道府県や市区町村などでも、海外進出を支援する体制を強化していますので、これらの情報収集は積極的に行うようにしましょう。

参照:日本貿易振興機構(JETRO)

参照:中小企業基盤整備機構

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国際税務とは

前述したように、海外進出する際には国際税務について理解すること、検討することが不可欠です。いわゆる「国際税務」の問題です。
ところが、ひとくち国際税務の問題といっても、そもそも、国際税務とは何を指すのでしょうか。

実は、国際税務という名称の税法がある訳ではありません。
国際税務は、いわば企業の国際取引についての税務面の取扱を定義した分野を指した言葉といえまるのです。

したがって、国際税務とは、関連する税法や所得税、法人税、日本が外国政府と締結した租税条約、相手国の税法についての検討など、多岐にわたる関連税法や諸問題を包括した分野と捉える必要があります。

国際間となると、日本国内の税制に相手国の税制も加わり、さらにどちらの国にどこまで課税権があるかといった問題もあり、問題は極めて複雑です。
海外における税負担を最小限に抑え、これらの問題について慎重に慎重を重ねて検討し、有効なタックス・プランニング(税務戦略)を企画・立案する必要があるのです。

租税条約とは

企業が海外で事業を展開する際の税法上の取扱については、現地の国内法を確認するのはもちろんですが、その国内法に優先するものとして租税条約があります。

租税条約とは、国際的な二重課税の回避および脱税を防止するために、二国間の共通の課税ルールを定めた国家間の合意です。この租税条約の締結によって、納税者は二重課税となるのを回避でき、事業活動を行うことができるのです。
租税条約と国内税法の規定が異なる場合には、まず租税条約の取り決めが優先されます。
したがって、相手国が、日本との租税条約締結国である場合には、まず租税条約について確認する必要があります。

租税条約は締結国ごとに違う

租税条約は、国際的な条約と言うわけではなく、二国間条約です。
したがって、A国とB国と取引している場合には、A国とB国の租税条約の内容によって税率は変わることになります。
これは、租税条約が二国間のそれぞれの経済状況を考慮して、慎重に協議することで締結されているからです。

したがって、海外展開をする際には、それぞれの国と締結したそれぞれの租税条約の内容を確認する必要があります。

また、租税条約では、その条約ごとに誰が適用対象となるかを規定しています。
日米租税条約では、アメリカに設立された法人はすべて適用可能となっていますが、香港に設立された法人の場合には、「管理および支配の主たる事務所が香港内になければ」対象とはならないとされています。

日本の租税条約ネットワーク

日本が租税条約を締結している国は、2018年8月時点で70条約、123か国となっています。

参照:財務省「我が国の租税条約ネットワーク」

租税条約と国内法との関係

日本においては、租税条約は国内の税法に優先して適用されますので、条約締結国における法人・個人と取引する際には、まず租税条約を確認する必要があります。
ただし、租税条約の規定が国内法より不利となる場合には、国内法の規定が適用されます。

租税条約が締結されていない場合

前述したとおり、日本が租税条約を締結している国は、2018年8月時点で123か国であり、租税条約が締結されていない国・地域の方が、未だに多いのが現状です。
したがって、租税条約を締結していない国に進出したり、租税条約を締結していない国と取引したりする際には、税負担がどのようになるのかについて、十分注意する必要があります。

租税条約の目的は、二重課税の排除と脱税の防止なので、租税条約を締結している国との取引では、ほとんどの場合で、税負担が軽くなるよう配慮されています。
しかし、租税条約が締結されていない場合には、このような配慮がされず軽減措置もないため、税負担が想像以上に重くなる可能性があります。

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租税条約・その他の注意点

租税条約については、未締結の国の方が多いという現状に驚かれる人も多いのではないでしょうか。
しかし、海外展開をする際には、租税条約だけでなく、さらに取引国同士の租税条約にも気を配る必要があります。
たとえば、A国、B国ともに日本が租税条約を締結している場合で、A国とB国の間では租税条約を締結していないという場合には、海外に自社グループの拠点を作ろうとする際に、予想外の税負担を課せられることもあります。

したがって、海外進出する際には、国際税務に精通している税理士に相談士、その国の租税条約について事前に調査し、タックス・プランニングについてシミュレーションをしておくなどの準備が不可欠なのです。

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まとめ

以上、海外進出する時に知っておきたい国際税務・租税条約についてご紹介いたしました。関係する国によって税法が違うので海外進出をお考えの際は、国際税務に強い税理士に相談することをお勧めします。

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