輸出・輸入の基礎知識|輸出入者符号とは?消費税はかかる?

公開日:2018年11月06日
最終更新日:2022年07月07日

この記事のポイント

  • 輸出売上は、国内売上より売上計上が早く、消費税はかからない。
  • 輸出仕入は、国内仕入より仕入計上が早く、消費税がかかる。
  • 輸出入の場合は、相手国によって適用される税法や慣習が異なるので国ごとの検討が必要。

 

輸出・輸入取引の経理処理は、国内の経理処理より難解です。
国内税法だけでなく、相手国の税法について理解することが必要ですし、貿易のしくみや為替といった、経理以外の周辺知識が必要になることもあるからです。

たとえば「インコタームズ(Incoterms)」という国際規則や租税条約は、国税庁などのホームページでも、知識があることが前提で説明されています。

そこで、ここでは、輸出入取引の経理処理についてインコタームズという国際規則などの貿易の基礎知識も交えながらご紹介していきます。

輸出入の基礎知識

日本企業が海外で事業を行う場合には、国際税務について配慮する必要があるとともに、相手国の慣習等についても理解しておく必要があります。
海外には、日本の税法と全く違う税法が別に存在します。つまり海外取引に関係する国の数だけ税法がありますので、それぞれの国の税法を理解し検討する必要がありますし、国によって商慣習は大きく異なるからです。

(1)国際税務って何?

税法は、国ごとに定められています。
国内企業であれば、まずは日本の税法を理解する必要がありますが、輸出・輸入の際には、同時に相手国の税法も考えなければなりません。
とはいうものの、国際税務はかなり複雑です。そこでまずは、輸出入を行ううえで知っておきたい主な制度とその制度の目的を、大まかに理解しておきましょう。

制度名 目的 内容
租税条約 二重課税の防止を目的とする制度 二重課税の廃除や脱税の防止を目的とする条約。日本は、2022年6月1日現在で、83条約等、149か国を締結している。一般的に対先進国の租税条約は効果が大きい一方で厳しい条件が課されており、対新興国の租税条約では効果は限定的だが、適用条件は緩い傾向がある。

▶ 租税条約とは|二重課税を排除するための内容とは

外国子会社配当益金不算入制度 海外子会社は、海外で課税されているため、海外子会社からの配当については、日本では一定額まで課税しないとする制度
参照:財務省「外国子会社配当益金不算入制度の概要」
外国税額控除 発生した二重課税を緩和または排除する制度 海外で支払った税金について、日本でも税金を支払っている場合は、そこから差し引いてよいとする制度。

▶ 外国税額控除とは|計算方法・確定申告の方法

移転価格税制 二重課税を発生させる制度 海外子会社と取引する場合に、所得の海外移転を防止(租税回避等を防止)するために、日本にも応分の利益を取戻し、課税する制度。

▶ 移転価格税制で知っておきたい8つのポイント

タックス・ヘイブン対策税制 租税回避の対抗策として導入された制度で、低税率国の海外子会社の所得についても、日本で課税することを目的とする制度。

▶ タックス・ヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)とは

過小資本税制 利息が損金算入されるからと言って、海外のグループ会社からの借入を増やし過ぎないようにするために、一定の支払利子の損金算入を認めないこととする制度。
参照:財務省「過少資本税制の概要」

(2)貿易のルールって?

輸出入取引の経理処理を理解するうえで、知っておきたいのが貿易についての基礎知識です。なかでも貿易のルール(貿易取引における運賃、保険料などの条件)については、国際的に統一された定義を取り決めたインコタームズ(Incoterms)という国際規則があります。

貿易条件というと、FOB、CFRなどを耳にしたことがある人もいると思いますが、これらはいずれもインコタームズの規則のなかに規定されたものであり、貿易取引における条件を定めたものです。
2020年1月1日には、インコタームズ2020が発効されました。

参照:独立行政法人日本貿易振興機構「インコタームズ2020」

インコタームズの規則は2010年に改訂されましたが、2020年のインコタームズ2020では、インコタームズ2010にあったDATが消滅し、これに代わってDPUが新設されました。

たとえば、輸入消費税の関係では、よく関税の課税価格がCIF価格と表現されることがありますし、移転価格税制に関して国税庁が制定している移転価格事務運営要領では、「貿易条件について、一方の取引がFOBであり、他方の取引がCIFの場合」などという表現がされたりしています。

FOBとは、「売主は、指定船積港の本船に似乙を積み込むまで(約定品を本船の船上に置くまで)の費用・リスクを負担する。それ以降の費用・リスクは買主が負担する。」という内容であり、CIFとは「売主の引き渡し義務はFOBと同じだが、CIFの場合には、約定品の指定仕向港までの運送費用に加えて、保険料も売主が負担する。」ということになります。

つまり、インコタームズの規則(貿易条件)によって、売主や買主の費用負担が変わり、取引価格が変わってくることになるわけです。

EXW Ex Works 工場渡し 売主は、売主の敷地(工場や倉庫)で買主に約定品を移転し、それ以降の費用・リスクは買主が負担する。
FCA Free Carrier 運送人渡し 売主は、運送人(運送業者)に約定品を引き渡すまでの費用(及び輸出通関費用)・リスクを負担し、それ以降の費用・リスクは買主が負担する。
CPT Carriage Paid To 輸送費込 売主は、運送人に約定品を引き渡すまでのリスクと指定仕向地までの運送費用を負担する(保険料は買主が負担する)。それ以降の費用・リスクは買主が負担する。
CIP Carriage and Insurance Paid To 輸送費・保険料込 売主の引渡義務については、CPTと同じ。ただし、約定品の指定仕向地までの運送費用に加えて、保険料についても売主が負担する。
DAP Delivered at Place 仕向地持込渡し 売主は、輸入地の指定されたターミナル以外の場所(到着した輸送手段の車上や船上)までの費用、リスクを負担する。それ以降の費用・リスクは買主が負担する。
DPU Delivered at Place Unloaded 荷卸込持込渡し 運送手段からの物品の荷卸義務を売主に課し完了した時に引き渡しが完了する。
DDP Delivered Duty Paid 関税込持込渡し 売主が、指定仕向地まで約定品を送り届けるまでのすべての費用(関税なども含む)・リスクを負担する。
FAS Free alongside Ship 船側渡し 売主は、指定船積港の本船の船側に約定品を置く時点までの費用・リスクを負担する(船までは積み込まない)。それ以降の費用、リスクは買主が負担する。
FOB Free on Board 本船渡し 売主は、指定船積港の本船に荷物を積み込むまで(約定品を本船の船上に置くまで)の費用・リスクを負担する。それ以降の費用・リスクは買主が負担する。
CFR Cost and Freight 運賃込 売主の引き渡し義務はFOBと同じだが、CFRの場合には、約定品の指定仕向港までの運送費用も売主が負担する。
CIF Cost Insurance and Freight 運賃保険料込 売主の引き渡し義務はFOBと同じだが、CIFの場合には、約定品の指定仕向港までの運送費用に加えて、保険料も売主が負担する。

(3)消費税はかかる?かからない?

消費税は、国内で事業者が事業として対価を得て行う課税資産の譲渡等が、課税対象となります。
この場合の課税資産の譲渡とは、①資産の譲渡、②資産の貸付、③役務の提供という3つの区分に分類されています。
(※一定の取引(非課税取引は、土地や有価証券の譲渡、貸付金の利息は、消費税の課税対象とならない非課税取引です)

消費税は「国内」において行う資産の譲渡などが課税対象ですから、海外が関係する取引について検討する際には、資産の譲渡等は国内で行われたかどうかの判断が重要となります。
国外で行われた資産の譲渡等は、そもそも消費税の課税対象ではない(非課税)となるからです。

したがって、資産が所在していた場所が国内にあるか、役務の提供が行われた場所が国内にあるかどうかなどについて判定をしていくことになりますが、まずは、「輸出売上については、消費税は課されない」「輸入仕入については、消費税が課される」と理解しておきましょう。

(4)輸出入者符号って何?

また、これらの基礎知識があることで、輸出取引の際の売上計上、輸入取引の際の仕入計上タイミングについての理解することができます。

しかし、後述する製品を輸出する場合についていえば、海外の税法を意識する必要はそれほどなく、基本的には日本の税法についてだけ検討すればよいことになります。
とはいうものの、売上計上をするタイミングにおいては、貿易についていくつかの基礎知識が必要になるということになります。

輸出入者符号とは、通関の迅速化を図るためのNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)の輸出入申告書等の輸出入者符号の欄に入力するコードです。
法人については、マイナンバー制度における「法人番号」を入力することになっていますが、JASTPROで「紐付け登録」をすることで自動的に法人番号に変換する機能もあります。

登録すると、初めて通関依頼をされる場合でも、コードを伝えるだけで全国の港、空港での通関で正確で迅速な通関手続きを行うことができます。

参照:一般財団法人日本貿易関係手続簡易化協会「日本輸出入者標準コード」

コード番号取得のメリットについて、独立行政法人日本貿易振興機構では、以下の点を挙げています。

・取り扱い貨物の正確かつ迅速に手続きを行うことができる。
・口座振替による納税が可能となる。
・輸入関税および消費税の納税について、銀行または保険会社からの担保提供を条件に、輸入時から3カ月まで納付期限の延長が可能となる。
・包括審査が適用される。
・海上保険における包括保険の適用:海上保険料請求書(デビットノート)を省略し、契約の海上保険レートから換算した一定の数値で通関が可能となる。
・輸入申告の簡易申告制度、輸出申告の特定輸出申告制度、包括評価申告制度などの利用が可能となる。

参照:独立行政法人日本貿易振興機構「輸出入者符号取得のメリット」

(5)輸出入の支援機関は?

輸出入を検討する企業を支援する機関としては、ジェトロ、税理士等を挙げることができます。また、日本政策金融公庫では、「海外展開・事業再編資金」の融資を通じて、海外展開を図る企業のサポートを行っています。

ジェトロ(JETRO・独立行政法人日本貿易振興機構)
ジェトロ(JETRO・独立行政法人日本貿易振興機構)とは、海外進出を支援するために、海外ビジネス情報を提供しさまざまな支援を行う機関です。

海外ビジネス情報を提供するほか、貿易実務のオンライン講座、海外展開の計画立案など、サポートを行っています。

参照:ジェトロ(日本貿易振興機構)

税理士
輸出入する場合には、日本国内の税制に相手国の税制が加わるため、どの国の税法がどのように適用されるのかを検討しなければなりません。
取引に関係する国の数だけ税法があるため、それぞれの国の税法を検討する必要があるわけです。

国際税務に精通した税理士であれば、この点について十分な検討を行い、タックスプランニングを行ってくれます。

▶ 国際税務・海外税務にノウハウを持つ税理士一覧

輸出入取引ケース別ポイント・仕訳

輸出・輸入といっても、海外に拠点を持たない場合には、それほど考えるべきことは多くありませんが、輸出売上や輸入仕入は、国内の売上や仕入より経常タイミングが早くなること、そして消費税の処理についての知識が必要です。
そこでここでは、輸出・輸入の基礎知識とよくある仕訳例についてご紹介します。

(1)海外に製品を輸出する

輸出取引の場合には、売上の計上のタイミングについて注意が必要です。
そこで、まずは輸出の流れについて、大まかに見てみましょう。

①製品を工場や倉庫から出荷する
②製品を通関(輸出または輸入する人が税関から許可を受ける手続き)させる
③製品を積む
④製品を海外の取引先に引き渡す

国内で売り上げた場合には、多くの企業が、①の出荷時点で売上を計上します。輸出売上の場合には、前述した貿易条件にもよりますが、③の製品を積む時点とするのが一般的です。
具体的には、船荷証券の日付等で売上を計上します。

「商品100万円を円建で、輸出した。船積基準で処理を行う。」

①通関時
仕訳なし

②船積時

借方 貸方
売掛金 1,000,000 売上高 1,000,000

輸出売上には、消費税は免税されます。したがって、輸出売上について、取引先に消費税を請求する必要はありません。

(2)海外から製品を輸入する

輸入取引の仕入計上日としては、船積証券などの書類を入手した日、通関日、現品を引き取った日などが考えられます。

①仕入先が製品を工場や倉庫から出荷する
②仕入先は、通関手続き後、製品を船などに積む
③製品を輸入通関させる
④製品を検収(条件・数量・仕様などについて確認し受け取ること)する

国内仕入の場合には、通関日をもって仕入を認識し、決算日に輸送中の輸入貨物で船積証券を入手しているものについては、「未着品」として計上する方法がとられるケースが多いようです。

「商品100万円を、輸入した。通関日基準で処理を行う。」

①船荷証券入手時の仕訳
仕訳なし
※船荷証券を転売するときは、以下のとおり未着品を計上する。

借方 貸方
未着品 1,000,000 買掛金 1,000,000

②通関時

借方 貸方
仕入 1,000,000 買掛金 1,100,000
仮払消費税等 100,000

輸出売上については消費税が免税になりますが、輸入仕入の場合には消費税の課税対象となります。消費税の税率自体は、国内取引と同様ですが、輸入消費税の場合には、税率を乗じる対象、つまり課税標準に特徴があります。
外国貨物の課税標準は、関税課税価格いわゆるCIF価格(運賃、保険料込み価格)に、消費税以外の個別消費税の額および関税の額に相当する金額を加算した合計額です。

(3)海外に支払いをする

海外に、製品や商品の輸入代金などを支払う場合には、支払い内容、租税条約などについて考慮する必要があります。

①支払の内容

②日本の税法をもとに、源泉徴収が必要か判断する

③租税条約を検討する

①支払いの内容
海外企業が、日本の国内源泉所得を得ていれば、源泉徴収が必要となりますが、このときの具体的な判定方法は、支払いの内容によって決まっていますので、まず支払いの内容を検討します。

②日本の税法をもとに、源泉徴収が必要か判断する
たとえば、ロイヤリティについては、日本国内で使用している場合には源泉徴収が必要となりますし、輸入代金については、基本的には源泉徴収は不要であり、借入金の利子や配当については、源泉徴収が必要になることがあります。

③租税条約を検討する
租税条約については、①所得の源泉地に係る規程、②限度税率にかかる規定を検討します。
所得の源泉地については、租税条約条約によって変わることがあります。
たとえば、ロイヤリティは、日本では使用地主義が採用されていますが、多くの会社では、支払者の所在地国である「債務者主義」がとられています。この考え方によれば、日本企業が支払者である場合には、使用料は国内源泉所得となります。
また、租税条約によって源泉税が減免されることもありますので、その点も留意する必要があります。

(4)海外から入金がある

海外企業から入金を受ける場合には、海外での源泉徴収、つまり「何か差し引かれていないか」を確認する必要があります。
具体的には、自社が発行した請求書と実際の入金額を比較して、源泉徴収の有無を確認します。
海外企業の場合には、日本との租税条約をチェックしないで現地の税法のみで適応し、間違った税率で源泉徴収してくるケースもありますので、その点も踏まえて確認することが大切です。

なお、海外で支払った税金は、日本でも税金を支払っている場合は、そこから差し引くことができます(外国税額控除)。
さらに、源泉徴収した外国法人税が控除限度額を上回るときには、その超過額または逆に外国法人税が控除限度額を下回るときの余裕額は、ともに将来3年にわたって、繰越が可能です。

(5)外貨建てで取引をする

海外企業との取引は、外貨建てで行うことがあります。
法人税法上は、外貨建取引を行った場合の円換算額は、その時点の為替レートによって換算した金額となり、為替レートは基本的にTTMを使用することとされています。

外貨建てで売上を計上するとき
「外貨建で1万ドルの売上を計上した。取引日の為替レートは、1ドル80円であった。」
100,000×80=800,000

借方 貸方
売掛金 800,000 売上高 800,000
外貨建てで仕入を計上するとき
「外貨建で1万ドルの売上を計上した。取引日の為替レートは、1ドル80円であった。」
100,000×80=800,000

借方 貸方
仕入 800,000 買掛金 880,000
仮払消費税等 80,000

外貨建ての仕入取引等で、取引先に関して支払った前渡金があるときは、この前渡金は、支払った時点の為替レートで換算されます。前渡金が充当される部分については、前渡金を支払ったときの為替レートによる換算額として、残りは、仕入計上時の為替レートによる換算額とします。

「外貨建取引で、前渡金7,000ドルを送金し、後日1万ドルの仕入を計上した。前渡金支払い時の為替レートは1ドル90円、仕入計上時の為替レートは11ドル80円である。」

①前渡金支払い時
7,000ドル×90=630,000

借方 貸方
前渡金 630,000 普通預金 630,000

②仕入時
7,000ドル×90+3,000ドル×80=870,000
消費税:10,000×80×10%=80,000

借方 貸方
仕入 870,000 前渡金 630,000
仮払消費税等 80,000 買掛金 320,000

まとめ

輸出入の際には、国際税務や貿易のルールの基礎知識が不可欠です。これらの基礎知識があることで、輸出取引の際の売上計上、輸入取引の際の仕入計上タイミングについて理解することができます。

基本的には日本の税法についてだけ検討し、それから海外の税法を意識します。
不明点等ある場合には、早めに国際税務に精通している税理士に確認し、経理システムの構築までサポートしてもらうことをおすすめします。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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