輸出入取引の経理処理・税務処理

公開日:2018年11月06日
最終更新日:2018年11月06日

目次

  1. 輸出入取引の経理処理
    • 貿易のしくみ
    • 海外取引の消費税
  2. 製品を輸出する
    • 輸出取引
    • 輸出売上の消費税
  3. 製品を輸入する
    • 輸入仕入の消費税

輸出入取引の経理処理は、国内の経理処理より難解です。
国内税法だけでなく、相手国の税法について理解することが必要ですし、貿易や為替といった、経理以外の周辺知識が必要になることもあるからです。

例えばインコタームズという国際規則は、国税庁などのホームページでも知識があることが前提で説明されています。また、これらの基礎知識があることで、輸出取引の際の売上計上、輸入取引の際の仕入計上タイミングについての理解することができます。

そこで、ここでは、輸出入取引の経理処理についてインコタームズという国際規則などの貿易の基礎知識も交えながらご紹介していきます。

輸出入取引の経理処理

日本企業が海外で事業を行う場合には、国際税務について配慮する必要があります。
海外には、日本の税法と全く違う税法が別に存在します。つまり海外取引に関係する国の数だけ税法がありますので、それぞれの国の税法を理解し検討する必要があるからです。

しかし、後述する製品を輸出する場合についていえば、海外の税法を意識する必要はそれほどなく、基本的には日本の税法についてだけ検討すればよいことになります。
とはいうものの、売上計上をするタイミングにおいては、貿易についていくつかの基礎知識が必要になるということになります。

貿易のしくみ

輸出入取引の経理処理を理解するうえで、知っておきたいのが貿易についての基礎知識です。なかでも貿易条件(貿易取引における運賃、保険料などの条件)については、国際的に統一された定義を取り決めたインコタームズという国際規則があります。

貿易条件というと、FOB、CFRなどを耳にしたことがある人もいると思いますが、これらはいずれもインコタームズの規則のなかに規定されたものであり、貿易取引における条件を定めたものです。

貿易条件の分類 インコタームズの規則

あらゆる輸送形態に適用される規則 1 EXW Ex Works 工場渡し 売主は、売主の敷地(工場や倉庫)で買主に約定品を移転し、それ以降の費用・リスクは買主が負担する。
2 FCA Free Carrier 運送人渡し 売主は、運送人(運送業者)に約定品を引き渡すまでの費用(及び輸出通関費用)・リスクを負担し、それ以降の費用・リスクは買主が負担する。
3 CPT Carriage Paid to 輸送費込み 売主は、運送人に約定品を引き渡すまでのリスクと指定仕向地までの運送費用を負担する(保険料は買主が負担する)。それ以降の費用・リスクは買主が負担する。
4 CIP arriage and Insurance Paid to 輸送費・保険料込み 売主の引渡義務については、CPTと同じ。ただし、約定品の指定仕向地までの運送費用に加えて、保険料についても売主が負担する。
5 DAP Delivered at Place 仕向地持込渡し 売主は、輸入地の指定されたターミナル以外の場所(到着した輸送手段の車上や船上)までの費用、リスクを負担する。それ以降の費用・リスクは買主が負担する。
6 DAT Delivered at Terminal ターミナル持込渡し 売主は、輸入地の指定されたターミナル(埠頭、倉庫、陸上・鉄道・航空輸送ターミナルなど)までの費用・リスクを負担する。それ以降の費用(関税等を含む)・リスクは買主が負担する。
7 DDP Delivered Duty Paid 関税込み持込渡し 売主が、指定仕向地まで約定品を送り届けるまでのすべての費用(関税なども含む)・リスクを負担する。
海外輸送等に適用される規則 8 FAS Free Alongside Ship 船側渡し 売主は、指定船積港の本船の船側に約定品を置く時点までの費用・リスクを負担する(船までは積み込まない)。それ以降の費用、リスクは買主が負担する。
9 FOB Free on Board 本船渡し 売主は、指定船積港の本船に似乙を積み込むまで(約定品を本船の船上に置くまで)の費用・リスクを負担する。それ以降の費用・リスクは買主が負担する。
10 CFR Cost and Freight 運賃込み 売主の引き渡し義務はFOBと同じだが、CFRの場合には、約定品の指定仕向港までの運送費用も売主が負担する。
11 CIF Cost, Insurance and Freight 運賃保険料込み 売主の引き渡し義務はFOBと同じだが、CIFの場合には、約定品の指定仕向港までの運送費用に加えて、保険料も売主が負担する。

参照:日本貿易振興機構(ジェトロ)「インコタームズ2010」

インコタームズの規則は2010年に改訂され、11種類の規則が規定されています。
この11種類の規則は、大きく①あらゆる輸送形態に適用される規則と、②海外輸送等に適用される規則の2つに分類されています。

例えば、輸入消費税の関係では、よく関税の課税価格がCIF価格と表現されることがありますし、移転価格税制に関して国税庁が制定している移転価格事務運営要領では、「貿易条件について、一方の取引がFOBであり、他方の取引がCIFの場合」などという表現がされたりしています。

つまり、CIF、FOBなどのインコタームズの規則についての基礎知識は、当然理解していることが前提の説明や表現が多いということです。

ちなみに、上記のインコタームズの規則に沿ってCFR、CIF、FOBを比較すると以下のようになります。

つまり、インコタームズの規則(貿易条件)によって、売主や買主の費用負担が変わり、取引価格が変わってくることになるわけです。

海外取引の消費税

消費税は、国内で事業者が事業として対価を得て行う課税資産の譲渡等が課税対象となります。
この場合の課税資産の譲渡とは、①資産の譲渡、②資産の貸付、③役務の提供という3つの区分に分類されています(※一定の取引(非課税取引は、土地や有価証券の譲渡、貸付金の利息)は、消費税の課税対象とならない非課税取引です)。
そのうえで、海外取引に関する消費税がどのように課税するかについて検討していきます。

前述したとおり、消費税は「国内」において行う資産の譲渡などが課税対象です。
したがって、海外が関係する取引について検討する際には、資産の譲渡等は国内で行われたかどうかの判断が重要となります。
国外で行われた資産の譲渡等は、そもそも消費税の課税対象ではない(非課税)となるからです。
したがって、資産が所在していた場所が国内にあるか、役務の提供が行われた場所が国内にあるかどうかなどについて判定をしていくことになります(※後述)。

製品を輸出する

海外に拠点を持たず国内で製品やサービスを生産し、輸出しているという取引の場合には、国内売上と同様に法人税が課税され、海外で課税されることはありません。
したがって、国際税務の基本的問題である二重課税について、それほど注意が必要なことはありません。

輸出取引

輸出取引の場合には、売上の計上のタイミングについて注意が必要です。
そこで、まずは輸出の流れについて、大まかに見てみましょう。

①製品を工場や倉庫から出荷する
②製品を通関(輸出または輸入する人が税関から許可を受ける手続き)させる
③製品を積む
④製品を海外の取引先に引き渡す

国内で売り上げた場合には、多くの企業が、①の出荷時点で売上を計上します。輸出売上の場合には、前述した貿易条件にもよりますが、③の製品を積む時点とするのが一般的です。
したがって、売上を計上して納税を行うタイミングは、国内の売上の場合より少し遅くなるということになります。

輸出売上の消費税

輸出売上については、消費税は課税されるかについてですが、前述したとおり、消費税の課税対象は、国内で事業者が事業として対価を得て行う課税資産の譲渡等です。
これは、国内売上の場合には消費税が課税され、取引先には消費税分も併せて請求するということを意味します。
したがって、輸出売上については取引先に消費税を請求する必要はありませんから、輸出売上については消費税が免税されるということになります。

製品を輸入する

輸出をする場合には、売上が計上され法人税等を負担することになりますが、製品を輸入しただけでは、税負担は発生しません。
税負担は利益(所得)に対して課税されるものであり、一般的に利益(所得)が発生するのは物を買った時ではなく、物を売った時だからです。

つまり、製品を輸入する製品取引について税負担が発生するのは、輸入した製品を実際に国内で販売したタイミングとなります。

では、輸入仕入の計上は、いつ行えばよいのでしょうか。まずは輸入仕入の流れは、大まかに見てみましょう。

①仕入先が製品を工場や倉庫から出荷する
②仕入先は、通関手続き後、製品を船などに積む
③製品を輸入通関させる
④製品を検収(条件・数量・仕様などについて確認し受け取ること)する

国内仕入の場合には、④の検収時点で仕入を計上するのが一般的です。一方、輸入仕入の場合には、貿易条件によりますが、②の仕入先による船などへの積み込み時とするのが一般的です。

したがって、仕入を計上するタイミングが国内での仕入れを計上するタイミングより少し早くなるということになります。

輸入仕入の消費税

輸出売上については消費税が免税になりますが、輸入仕入の場合には消費税の課税対象となります。消費税の税率自体は、国内取引と同様ですが、輸入消費税の場合には、税率を乗じる対象、つまり課税標準に特徴があります。
具体的には、輸入に伴って発生する関税が課税標準に含まれ、輸入貨物の価格又は数量を課税標準として、これに税率を掛けて、関税や消費税が課されます。

輸入消費税の課税標準=関税課税価格+関税(+酒税等の個別消費税)

参照:税関「課税価格の計算方法」

以上、輸出入取引の経理処理・税務処理についてご紹介しました。無料で使える「税理士検索freee」では国際税務、海外税務にノウハウを持つ税理士を探すことができます。検索機能はニーズに合わせて細かく検索することができるので、探してみてはいかがでしょうか?また、コーディネーターによる「紹介」サービスもあるのでご利用ください。

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