就業規則に記載すべき内容と運用ポイント(サンプル付)

公開日:2019年11月28日
最終更新日:2019年11月28日

目次

  1. 就業規則は会社のルールブック
    • 就業規則の記載事項
    • 就業規則の手続きの流れ
  2. 就業規則の作成義務のある会社
    • 常時10人以上の従業員を使用する会社
    • 10人未満の会社も作成すべき理由
  3. 就業規則の運用ポイント
    • 従業員の代表者の意見を聞く
    • 周知の徹底が必要不可欠
    • 就業規則は適宜見直しすべき
    • 変更した時には届出が必要
    • 不利益変更の際の注意点
  4. 就業規則の構成
    • 厚生労働省のモデル就業規則
    • 労働時間・休日のサンプル例
    • 変形労働時間制のサンプル例
    • 専門業務型裁量労働制のサンプル例
    • 企画業務型裁量労働制のサンプル例
    • 服務規律の内容
    • ハラスメントの防止
    • 懲戒の注意点
  5. まとめ
    • 社労士をお探しの方

この記事のポイント

  • 就業規則は、常時10人以上の従業員を雇用している場合に作成する必要がある。
  • 就業規則の記載事項は、絶対的記載事項、相対的必要記載事項)、任意的記載事項がある。
  • 作成した就業規則は、労働基準監督署に届け出ることが必要がある。

 

就業規則とは、始業時刻と就業規則、休憩時間などの労働時間や賃金の決定法や計算方法、退職事由とその手続きや解雇事由など、従業員が会社で働くうえでのルールをまとめたものです。

就業規則は、常時10人以上の従業員を雇用している場合には、必ず作成しなければなりません。しかし従業員が9人以下の会社でも、後々のトラブル防止のためには就業規則を定めておく方がよいでしょう。

就業規則は会社のルールブック

就業規則とは、賃金や労働時間、休憩時間、休日などの労働条件や、会社のルールなどを定めて文書化したものです。
会社によっては、インターネットからダウンロードした就業規則をそのまま使っているケースもありますが、就業規則は、会社の規則や業種、雇用形態によって盛り込むべき内容が異なりますので、自社の状況に合った就業規則を作成することが重要です。

就業規則の記載事項

就業規則に盛り込む事項については、労使トラブルに発展しやすい労働条件を明確にするために必ず記載する事項(絶対的記載事項)と、記載する義務はなくても定める場合には記載が必要な時効(相対的必要記載事項)、任意に記載する任意的記載事項があります。

絶対的記載事項
労働時間関係
始業時間および就業時間
休憩時間、休日、休暇
交代勤務(シフト勤務など)の場合の終業時転換に関する事項
賃金関係
賃金の決定、計算、支払方法
賃金の締め切り・支払い時期
昇給に関する事項
退職関連
退職に関する事項(解雇の事由も含む)

相対的記載事項
退職金(適用者の範囲、決定法、計算方法、支払方法、支払時期)
臨時の賃金(賞与)、最低賃金に関する事項
食費、作業用品などの負担に関する事項
安全衛生に関する事項
職業訓練に関する事項
表彰制度
制裁(懲戒処分)
その他、入社規定、職務規定、休職制度など

任意的記載事項
就業規則の目的
変更手続きなど

就業規則の手続きの流れ

従業員が10人以上の会社は、就業規則を作成する義務があり、作成した就業規則は、労働基準監督署に届け出ることが必要です。
その際には、労働組合や従業員代表による意見書を添付する必要があります。なお、就業規則を変更する時には、「就業規則変更届」と意見書の提出が必要です。
また、従業員への周知を徹底することも求められています。

① 就業規則を作成する
 自社の状況に合ったものを作成します。
 
② 従業員の代表者から意見を聞く
従業員の代表者(従業員の過半数を代表して選ばれた管理監督者の立場ではない人、または従業員の過半数が入る労働組合の意見を聴取する必要があります。

③ 労働基準監督署に届け出る(代表者の意見書を添付)
就業規則を労働基準監督署長に届け出る時には、代表者の意見書を添付します。
本社と本社以外の事業場の就業規則が同じ内容である場合には、本社で、一括に届出ができます。

④ 職場に周知する
就業規則は、従業員の誰もが閲覧できる状態にしておくことが求められます。

⑤ 就業規則の効力が発生

就業規則の作成義務のある会社

就業規則は、すべての会社が作成しなければならないというわけではありません。
就業規則を作成する義務があるのは、常時10人以上の労働者を使用する使用者(会社や個人事業主など)です。

常時10人以上の従業員を使用する会社

労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し行政官庁に届けなければならない旨について規定しています。
「常時10人以上」とは、正社員以外のパートやアルバイトなども含み、行政官庁とは、常時10人を使用する事業場を管轄する労働基準監督署長をいいます。

10人未満の会社も作成すべき理由

労働基準法では「10人以上」と定められてはいますが、従業員が9人以下の会社でも就業規則は作成した方がよいでしょう。
労使間で労働条件をめぐってトラブルが起こった時などに、就業規則があれば「うちの会社は、このようなルールがある」と双方で確認することができるからです。

また、従業員が9人以下でも、最低限守るべきルールは必要です。出社も退社も各人の事由で何の規定もなければ、業務の効率が上がりませんし、出勤日や休日の定めがなければ、誰がいつ出社してくるかも分かりません。
したがって、従業員の人数に関わらず、就業規則はぜひ作成することをおすすめします。

就業規則の運用ポイント

就業規則は、ただ作成すればよいというものではありません。
前述したとおり、就業規則を作成したら従業員の代表者から意見を聞き、意見書とともに労働基準監督署長に届け出る必要がありますし、受理された就業規則は、誰でも閲覧できるような状態にしておかなければ効力を持ちません。

従業員の代表者の意見を聞く

就業規則の届出の際には、就業規則と一緒に「意見書」を添付します。
この意見書とは、就業規則の内容に対して、従業員の代表者(従業員の過半数を代表して選ばれた管理監督者の立場ではない人か、または従業員の過半数が入る労働組合の意見を書面にしたものです。
意見書を作成する際には、従業員代表もしくは労働組合に就業規則の内容を説明して、内容に対する意見を記載してもらいます。
なお、パート従業員に適用される就業規則を作成・変更する際には、労働者代表が正社員であったとしても、パート労働者を代表する者の意見書が必要です(パートタイム労働法)。
従業員代表などの意見を聴取しなかった時には、労働基準法違反となり罰金の対象となります。

周知の徹底が必要不可欠

就業規則は、従業員への周知を徹底することが求められます(労働基準法106条)。
社内や各作業場の見やすい場所に常時備え付けたり、書面で、従業員に交付したり、社内LAN内のフォルダに格納しておくなどの工夫をして、職場に十分周知しなければなりません。この周知を徹底することで、ようやく就業規則の効力が認められるようになり、従業員に命じることができるようになります。

たとえば、従業員を懲戒処分しようとしても、従業員から「就業規則など見たことがない」と指摘されると、使用者と労働者の間の労働条件が不十分となり、懲戒処分が否定されてしまう可能性もありえます。

就業規則は適宜見直しすべき

就業規則は、1度作成すればそれで終わりというわけではありません。
1年に1度は、会社の状況や、法改正・社会動向・裁判例などに沿って内容を見直すことが必要です。

労務に関係する法律は、毎年のように改正が行われているため、就業規則のなかで法令に反する内容は、無効・違反となってしまいますので、注意しましょう。

変更した時には届出が必要

就業規則を変更する時には、就業規則変更届と意見書の提出が必要です。
変更する際にも従業員代表などの意見書が必要であり、意見を聴取しなかった時には、就業規則の作成時と同様に、労働基準法違反となり罰金の対象となります。

不利益変更の際の注意点

経営状態の悪化などの理由で、労働条件を下げざるを得なくなり、就業規則を変更することもあるでしょう。しかし、それが従業員にとって不利益な変更となる場合には、原則として事前に従業員の個別の同意が必要です。
また、時間外労働や変形労働制などを変更する場合には、労使協定を締結する必要があります。

就業規則の構成

就業規則の構成は、次のような構成が一般的です。

①タイトル
株式会社○○ 就業規則 とタイトルを記載します。

②目次
条文が多い場合には、最初に黙示を記載するとよいでしょう。

③本文
前文を記載し、その後、本文(第1章 第1条…)を記載します。

厚生労働省のモデル就業規則

厚生労働省労働基準局監督課では、就業規則に記載する事項について、モデル就業規則を発表しています。
モデル就業規則では、「採用・異動等」「服務規律」「休暇等」「賃金」「欠勤等の扱い」「退職及び解雇」「退職金」「安全衛生及び災害補償」「職業訓練」「表彰及び制裁」「無期労働契約への転換」「公益通報者保護」「副業・兼業」について各条項が規定されています。
就業規則は、自社の状況に応じた内容を盛り込むべきですが、始業時間および就業時間
休憩時間、休日、休暇、交代勤務(シフト勤務など)の場合の終業時転換に関する事項などの絶対的記載事項や、後々トラブルに発展しやすい服務規律などについては、参考にすることをおすすめします。

参照:厚生労働省「モデル就業規則」

労働時間・休日のサンプル例

就業規則では、所定労働時間について「1日8時間、週40時間」とだけ規定するのではなく、必ず始業時刻と終業時刻を規定します。
法定休日については、具体的な記載は必須ではありませんが、休日の振替をする場合には、就業規則に必ず規定する必要があります。

(所定労働時間)
第○条 所定労働時間は、次のとおりとする。
  始業時刻 午前10時00分
  終業時刻 午後 6時00分

(休日)
第○条 休日は次のとおりとする。
  ①土曜日
  ②日曜日
  ③国民の祝日
  ④その他、会社が定める日

交替勤務を必要とする部署において、会社は4週間を通じて4日以上の休日となるシフト表を前月給与締切日までに作成し通知する。
業務の都合により必要な場合には、あらかじめ休日を他の日に振り替えることがある。休日を振り返る場合には、あらかじめ振り替える日を指定して従業員に通知する。

変形労働時間制のサンプル例

変異労働時間制については、起算日と対象期間を記載します。この内容は就業規則ではなく労災協定で定めることもできます。具体的に所定労働日、始業・終業時刻がどのように決まるかも規定しておきます。

(1年単位の変形労働時間)
第○条 1年単位の変形労働時間制に関する労使協定を締結することで、1週間の所定労働時間についても、対象期間を平均して40時間以内で定めるものとする。

2. 1年単位の変形労働時間の起算日は、毎年4月1日とする。対象期間は4月1日から翌年3月31日とする。

3. 1年単位の変形労働時間制の労働時間ごとの所定労働時間、始業・終業時刻および休憩時間は次のとおりとする。

○月~○月
1日7時間30分
始業・終業時刻
  始業時刻 午前10時00分
  終業時刻 午後 6時00分
休憩時間
正午~午後1時00分

専門業務型裁量労働制のサンプル例

専門業務型裁量労働制の対象者についても、休日労働・深夜労働の割増賃金は必要なので、休日労働・深夜労働の前に所属長の許可を受ける許可制とする旨します。
所定休日について「みなし労働時間」を適用する場合には、労使協定を含め追加規定が必要です。

(専門業務型裁量労働制)
第○条 専門業務型裁量労働制は、労使協定で定める対象従業員について規定する。

2. 裁量労働対象者の所定労働時間、休日、休憩時間は、○条による。ただし、休憩時間帯については、業務の必要に応じて裁量により変更すること可能である。

3. 休日または深夜に労働する場合については、あらかじめ所属長の許可を求めなければならない。

4. 所定労働日の労働時間その他必要な事項については、労使協定の定めによる

企画業務型裁量労働制のサンプル例

企画業務型裁量労働制の場合には、上記「専門業務型裁量労働制」と異なり、労働者の同意が必要となります。

(企画業務型裁量労働制)
第○条 企画業務型裁量労働制は、労使委員会の決議で定める対象従業員について規定する。

2.  企画業務型裁量対象者は、労使委員会の決議で定める基準について満たしていることが必要である。また、企画業務型裁量労働制の対象となることについて同意を得たものとする。

3. 会社は、裁量労働対象者に対し、業務遂行の手段および時間配分などについて、従業員の裁量に委ねることにより勤務させる。

服務規律の内容

就業規則服務規律で定める服務規律としては、業務遂行上の遵守義務と労働者としての遵守義務があります。
出退社時刻の厳守や、許可・報告手続きの徹底、備品・機械などの取扱注意義務、会社の信用を傷つける行為の禁止、在職中に知りえた企業機密の漏えい禁止などは、明文化しておきましょう。

(服務)
第○条 労働者は、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遂行するとともに、会社の指示命令に従い、職務能率の向上および職場秩序の維持に努めなければならない。

(遵守事項)
第○条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。
① 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと
② 職務に関連して自己の利益を図り、又は他よ不当金品借用若くは贈与を受ける等不正な行為を行わないこと
③ 勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。
④ 会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。
⑤ 在職中及び退職後においても、業務上知りえた会社、取引先等の機密を漏えいしないこと。
⑥ 酒気を帯びて就業しないこと
⑦ その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと。

ハラスメントの防止

職場における嫌がらせをハラスメントといい、ハラスメント行為を放置すると、加害者だけではなく会社も責任を追及されるなど、深刻な問題に発展します。
ハラスメントには、セクハラ・パワハラ・マタハラなどさまざまなハラスメントがありますが、どのような行為がハラスメントに当たるのか、ハラスメント行為を行った者はどのような処分を受けるのかといった点は、就業規則に明文化するだけでなく、日頃から従業員に啓蒙周知しておくことが大切です。

(セクシュアル ハラスメントの禁止)
第○条 性的言動によって、他の労働者に不利益や不快感を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

(職場のパワーハラスメントの禁止)
第○条 職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に下、業務の適正な範囲を超える言動によって、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えるなど、就業環境を害するようなことをしてはならない。

(妊娠・出産・育児休業・介護休業等パワーハラスメントの禁止)
第○条 妊娠・出産等に関する言動および妊娠・出産・育児・介護等に関する制度または措置の利用に関する言動によって、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

(その他あらゆるパワーハラスメントの禁止)
第○条 前条までに規定するもののほか、性的指向、性自認に関する言動によるものなど、職場におけるあらゆるハラスメントによって、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

懲戒の注意点

懲戒とは、就業規則などに違反した者を処分することです。
懲戒の種類は会社ごとに決めますが、一般的な内容は以下のとおりです。
下にいくほど重い処分となります。

①戒告…違反行為について口頭で注意する。
②譴責(けんせき)…違反行為について注意し、始末書を提出させる。
③減給…始末書を提出させ、一定の賃金を控除する。
④停職…懲戒処分として、一定期間出勤させない。
⑤論旨解雇…本来は懲戒解雇すべき行為であるが、退職願の提出を勧告する。
⑥懲戒解雇…罰として、解雇する。

従業員は、業務を遂行するうえで、会社に損害を与える可能性はありますが、小さな怠慢によって生じた軽い損害まで求めることは適当ではありません。
権利の濫用とならないよう、懲戒処分を行う時には十分な注意が必要です。

まとめ

以上、就業規則の届出や記載内容、運用するうえで注意したいポイントなどについてご紹介しました。
就業規則は10人以上の従業員を雇用している事業場では必ず作成する必要があります。また、盛り込むべき内容について自己流でアレンジしたりすると、後々トラブルに発展する可能性があります。社会保険労務士などの専門家と相談しながら、自社に最適な就業規則を作成するようにしましょう。

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