解雇のルール|トラブルを防ぐポイントと必要な手続き

公開日:2019年11月22日
最終更新日:2019年11月22日

目次

  1. 解雇とは
    • 普通解雇
    • 整理解雇
    • 懲戒解雇
    • 論旨解雇(論旨退職)
  2. 解雇のルール
    • 普通解雇の判断基準
    • 法律で禁止されている解雇とは
  3. 解雇手続き
    • 解雇予告
    • 解雇予告手当
    • 解雇手続きの例外
  4. まとめ
    • 社会保険労務士をお探しの方

この記事のポイント

  • 解雇は、大きく分けて普通解雇、整理解雇、懲戒解雇、諭旨解雇の4つの種類がある。
  • 解雇事由は限定的に解釈される。
  • 合理的な理由のない解雇は、解雇権の乱用として無効となる。

 

解雇とは、会社が労働者との労働契約を一方的に解約する行為で、大きく分けて、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇、諭旨解雇の4つの種類があります。

会社は労働者を自由に解雇することができず、解雇する場合には厳しい制限があります。合理的な理由のない解雇は、解雇権の乱用として無効となります。

ここでは、普通解雇・整理解雇・懲戒解雇・論旨解雇(論旨退職)のそれぞれの意味と要件などについて、ご紹介していきます。

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解雇とは

解雇とは、労働契約を将来にわたって解約するという使用者(会社など)の意思表示をすることをいいます。

民法では、期間の定めのない契約(いわゆる正社員)の場合、会社と労働者は、いつでも解約の申し入れをすることができるとしていて、解約を申し入れた日から2週間経過すると、雇用は終了するとされています(民法627条1項)。

しかし、だからと言って2週間前に通知すれば簡単に解雇できるとなってしまうと、労働者の生活が安定しません。

そこで、解雇を行う場合には法律によって一定のルールに基づいた手続きが必要であり、また解雇が禁止される期間が定められています。
解雇は、大きく普通解雇、整理解雇、懲戒解雇、諭旨解雇の4つの種類に分類されますが、それぞれの種類によってルールや要件、手続きは異なります。

普通解雇

普通解雇とは、労働者側に債務不履行がある場合にそれを理由として将来的に労働契約を解消する行為です。

普通解雇でいう「債務不履行」には、能力不足だとか遅刻や欠勤が多い、協調性がないなどの理由が当てはまるケースで、通常は就業規則などで規定します。

就業規則規定例
・ 身体または精神の障害により、業務に耐えられないと認められる場合
・ 就業状況または職務能力が著しく不良のため、就業に適さないと認められる場合
・ 休職期間が満了した時点で、なお休職事由が継続し、復職できない場合

整理解雇

整理解雇とは、会社が経営上の必要性に迫られて、人員削減したり、天災事変などの理由によって解雇したりするものです。

整理解雇は、他の解雇と異なり会社側の事情による解雇なので、整理解雇をする場合には、以下の4つの要件を満たすことが必要とされています。

① 人員削減の必要性
人員削減を実施する際に、不況、経営上の必要性が強く求められていることが必要で、単に業績悪化という程度の理由では不十分です。
人員削減をしなければ、会社の存続自体が危ぶまれるほどの差し迫った状況であることが必要です。

② 解雇回避努力
賃金カットや経費削減など、解雇以外の手段で出来る限り解雇を回避するために努力したことが求められます。

③ 被解雇者選定の合理性
被解雇者を選定する際には、客観的で合理的な基準を設定することが必要です。そして、その基準に従って公正に適用して選定することが必要です。

④ 手続きの妥当性
就業規則等に解雇の手続きが規定されている場合には、その手続きに従って行う必要があります。また、労働者と誠意を持って協議し、労働者の納得を得るよう努力をすることも求められます。

懲戒解雇

懲戒解雇とは、労働者の業務命令違反、秩序保持義務違反、不正行為、企業利益侵害行為などの理由で解雇するものです。
懲戒解雇は、「罰」という意味合いの解雇なので、退職金が減額または支給されない会社がほとんどですし、解雇予告手当が支払われないケースもあります。

ですから懲戒解雇するためには、あらかじめ以下の体制を整備しておくことが必要です。

① 労働者の合意
懲戒とされるほどの行為が労働者側にあり、労働者がそのことについて同意していることが必要です。

② 就業規則の規定
懲戒の事由や、懲戒の内容などについて、就業規則に記載されていることが必要です。

③ 懲戒手続き
労働者に弁明の機会が与えられることが必要です。

論旨解雇(論旨退職)

論旨解雇(論旨退職)とは、懲戒解雇を若干緩和した解雇処分をいいます。
懲戒解雇は、退職金も解雇予告手当も支払われないケースが多いのに対して、論旨解雇(論旨退職)は、退職願の提出などを即し、それに応じない場合に懲戒解雇とされるので、いわば会社側の温情処分といえます。

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解雇のルール

労働者を解雇するためには、合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。
解雇に関する法律は労働契約法に規定があり、解雇手続きは労働基準法に規定がありますが、具体的にどのような場合に解雇できるのかという法律はありません。
なぜなら、解雇にはさまざまなケースが考えられるため、具体的に規定するのは不可能だからです。

ただし、労働契約法16条では、「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」として、解雇の権利濫用は無効と規定しています。
したがって、解雇事由は適用がかなり限定的に解釈されるものであるという点に注意が必要です。

普通解雇の判断基準

普通解雇をする際に必要な「客観的に合理的な理由」とは、就業規則の解雇事由に該当するか、判断していくことになります。
たとえば、就業規則に「勤務成績または勤務態度が不良であって、改善の見込みがない時」という規定に労働者が該当いた場合でも、以下の内容を具体的に確認する必要があります。

・適切な教育・訓練・指導があったか
・勤務成績・勤務態度が不良であるという証拠はあるか
・回数・頻度はどうか

なお、上記の内容に該当していたとしても、その内容が社会通念に照らして妥当かどうかは別問題です。
解雇が妥当であると認められるためには、「能力不足を改善すべき再教育を行ったか」「配置転換などの解雇回避の努力義務は行ったか」「能力不足である、勤務態度が悪いという証拠はあるのか」などについて、慎重に判断する必要があります。

法律で禁止されている解雇とは

以下の解雇は、法律で禁止されます。

労働基準法
①国籍、信条などを理由とする解雇
②解雇制限期間中の解雇
③行政への申告を理由とする解雇

男女雇用機会均等法
①女性であることを理由とする解雇
②女性が結婚、妊娠し、または出産したことを理由とする解雇

育児・介護休業法
①休業の申し出をし、または休業をしたことを理由とする解雇
②子の看護休暇や介護休暇の申し出をし、または休暇を取得したことを理由とする解雇

労働組合法
①組合員であることを理由とする解雇
②労働組合に加入、労働組合を結成しようとしたことを理由とする解雇

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解雇手続き

解雇手続きは、30日前に予告するか30日分の平均賃金を支払う必要があります。
ただし、天変地異や労働者の責任である場合は、認定を受ければ解雇手続きなしで解雇することができます。
また、臨時的雇用者(日々雇用される者など)には、原則として解雇手続きは不要です。

解雇予告

解雇予告とは、会社が労働者を解雇する際には、30日以上前から解雇の予告をする必要があるという規定です(ただし、懲戒解雇の場合には「即時解雇」もあります)
労働基準法第20条では、会社が労働者を解雇しようとする場合には、30日以上前にその予告をしなければならないとされています。
そして、30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないと規定しています。

なお、解雇予告は口頭で行うこともできますが、後日トラブルになった場合にその証明が難しくなるので、原則として文書で行います。
そして、その予告を行ったことで法律関係が確定し、労働者が合意しない限り使用者が一方的に予告を取り消したり、予告した解雇日を変更することができなくなります。

解雇予告手当

30日以上前に予告をしない場合は、予告に代えて30日分以上の解雇予告手当を支払うことが必要です。30日分以上の手当を支払えば、予告期間をおかずに解雇することができます。
この解雇予告手当は、解雇の申し渡しと同時に支払う必要があり、この手当を支払わない限りは解雇の効力は生じません。

また、解雇手続きは20日分の解雇予告手当を支給して10日前までに解雇予告をするというように、相当日数分の解雇予告手当を支払えば、その日数分だけ解雇予告期間を短縮することができます。
たとえば10月1日に解雇を通告され、10月19日以降は会社に出勤しないように通告された場合には、18日後に解雇されたことになるため、会社は労働者に「30日-18日=12日」の12日分の解雇予告手当を支払えばよいということになります。

また、天変地異などで工場が倒壊した場合は、労働者が重大なミスをした場合の解雇については、解雇予告や解雇予告手当が必要ない場合もあります。

解雇手続きの例外

以下の場合には、解雇予告や解雇予告手当の支払いをせずに解雇することが認められています。

①天変地異その他やむを得ない事由のために、事業の継続が不可能となった場合
②労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合

この例外的な措置の適用を受けるためには、労働基準監督署長に「解雇予告除外認定申請書」を提出して認定を受ける必要があります。

解雇予告除外認定申請書の記載事例

また、以下のような臨時的雇用者には、解雇手続きは不要です。

①日々雇用される者
②2カ月以内の期間を定めて雇用される者
③季節的業務に4カ月以内の期間を定めて雇用される者
④試用期間中の者

ただし、①は1カ月を超えて引き続き雇用されることになった場合、②、③は所定の期間を超えて引き続き雇用されることになった場合、④については14日を超えて引き続き雇用されることになった場合には、解雇手続きが必要となります。

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まとめ

以上、解雇の種類や必要な手続き、解雇する際の判断基準などについてご紹介しました。解雇については、厳格に法律で規定されていて、解雇が禁止されているケースもありますし、解雇するためには解雇予告や解雇予告手当が必要です。

これらの手続きを行わなかったり、正当な解雇事由であると認められなかったりする場合には、解雇そのものが無効となりますし、労働者側から損害賠償請求をされることもあります。
解雇の要件については、社会保険労務士などに相談して就業規則に明確に規定をし、解雇のルールについてしっかり理解しておく必要があります。

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