会社の健康診断|一般健康診断と特殊健康診断

公開日:2019年12月19日
最終更新日:2019年12月19日

目次

  1. 会社の健康診断実施義務
    • 健康診断の種類
    • 健康診断の受診対象者
    • 健康診断をするタイミング
    • 受診時間の賃金
  2. 一般健康診断とは
    • 一般健康診断の受診対象者
    • 一般健康診断の種類
    • 一般健康診断の診断項目
    • 特定業務従事者の健康診断の項目
  3. 特殊健康診断とは
    • 特殊健康診断の受診対象者
    • じん肺健診の受診対象者
    • 歯科医師による健診の受診対象者
    • 労働者の健康診断受診義務
    • 特殊健康診断の費用負担
  4. まとめ
    • 社会保険労務士をお探しの方

この記事のポイント

  • 会社には、雇い入れている労働者の健康管理する義務がある。
  • 契約社員、アルバイト、パートなどの雇用形態である場合にも、一定の要件を満たして場合には、同じように健康診断を実施する義務がある。
  • 健康診断には、大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断がある。

 

会社には、安全配慮義務といって、社員が心身ともに健康な状態で仕事ができるように管理する義務があります。そこで、雇用している正社員全員に入社した時と入社時から1年以内の時期に、健康診断を実施する義務があります。

また、契約社員、アルバイト、パートなどの雇用形態である場合にも、一定の要件を満たして場合には、同じように健康診断を実施する義務があります。

健康診断には、大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断があります。特殊健康診断とは、法令で定められた業務、または特定の物質を取り扱う労働者に対して実施する必要のある健康診断です。

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会社の健康診断実施義務

会社には雇い入れている労働者の健康管理する義務があります。労働安全衛生法では「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。」と定められています。

健康診断の種類

健康診断には、大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断があります。一般健康診断とは、職種に関係なく、労働者の雇入れ時および雇入れ後1年以内ごとに一回、定期的に行う健康診断です。特殊健康診断とは、放射線業務や特定化学物質を取り扱う業務など、有害な業務に従事する労働者が受ける健康診断です。

健康診断の受診対象者

常時使用する従業員(正社員)は、全員が受診対象者です。契約社員、アルバイト、パートなどの雇用形態でも、正社員の週所定労働時間の3/4以上働く労働者に対しては、健康診断を実施する義務があります。また、1/2以上3/4未満の労働時間でも、健康診断を実施するのが望ましいとされています。1/2未満の労働時間の場合には、実施すべきとする規定はありません。

1. 雇用期間の定めのない者(正社員)
2. 雇用期間の定めはあるが、契約の更新により1年以上(注)使用される予定の者
3. 雇用期間の定めはあるが、契約の更新により1年以上(注)引き続き使用されている者

(注)特定業務従事者(深夜業、有機溶剤等有害業務従事者)にあっては6カ月以上

健康診断をするタイミング

正社員の場合には、労働者雇入れの際に、雇入時の健康診断を実施する必要があります(安衛則第43条)。また、定期健康診断として、1年以内ごとに1回健康診断を実施する必要があります。(安衛則第44条)
ただし、特定業務従事者(有害な化学物質を扱う業務に従事している人、坑内における業務や深夜業を含む業務に従事している人)は、定期検診の最低実施頻度を6ヵ月以内に1度行う必要があります(ただし、胸部X線検査については、1年以内ごとに1回、定期に行えば足りることとされています)。また、一般健康診断以外のじん肺健診などの検査を行わなければならない場合もあります。

受診時間の賃金

一般健康診断は、一般的な健康確保を目的として事業者に実施義務が課されているため、受診のための時間についての賃金は労使間の協議によって定めるべきものになります。
ただし、受診に要した時間の賃金については、事業者が支払うことが望ましいとされています。

受診時間の賃金を事業主が支払うことが望ましいとした判例

一般健康診断は、一般的な健康の確保を図ることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行われるものではないので、受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく、労使協議によって定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業主が支払うことが望ましい(昭47.9.18基発第602号)

これに対して特殊健康診断は、業務の遂行に関して、労働者の健康確保のため当然に実施しなければならない健康診断です。そのため、特殊健康診断の受診に要した時間は労働時間であり、賃金の支払いが必要となります。

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一般健康診断とは

一般健康診断とは、職種に関係なく、労働者の雇入れ時および雇入れ後1年以内ごとに1回、定期的に行う健康診断です。

一般健康診断の受診対象者

正社員は、全員が健康診断実施義務の対象者です。アルバイト、パートなどの雇用形態でも、正社員の週所定労働時間の3/4以上働く労働者に対しては、健康診断を実施する義務があります。また、1/2以上3/4未満の労働時間でも、健康診断を実施するのが望ましいとされています。契約社員の場合は契約の更新によって1年以上の雇用が見込まれている場合には、健康診断の対象者となります。

一般健康診断の種類

事業者に実施が義務づけられている健康診断には、以下の種類があります。

健康診断の種類 対象となる労働者 実施時期
雇入時の健康診断(安衛則第43条) 常時使用する労働者(一定の要件を満たす契約社員、アルバイト、パートなども含む) 雇入れの際
定期健康診断(安衛則第44条) 常時使用する労働者(特定業務従事者を除く※1) 1年以内ごとに1回
特定業務従事者の健康診断(安衛則第45条) 労働安全衛生規則第13条第1項第2号(※1)に掲げる業務に常時従事する労働者 左記業務への配置替えの際、6か月以内ごとに1回
海外派遣労働者の健康診断(安衛則第45条の2) 海外に6か月以上派遣する労働者 海外に6か月以上派遣する際、帰国後国内業務に就かせる際
給食従業員の検便(安衛則第47条) 事業に附属する食堂または炊事場における給食の業務に従事する労働者 雇入れの際、配置替えの際

一般健康診断の診断項目

事業主は、労働者の雇入れ時および雇入れ後1年以内ごとに1回、定期的に実施する必要があります。会社に対する健康診断の義務は、厚生労働省が定める労働安全衛生法にて以下の通りに規定されています。

雇い入れ時の健康診断の項目
労働安全衛生規則第43条では、労働者を雇い入れた際に、健康診断を行うことが義務づけられています。雇い入れ時に実施する必要のある一般健康診断の項目は、以下の通りです。

・ 既往歴及び業務歴の調査
・ 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
・ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
・ 胸部エックス線検査
・ 血圧の測定
・ 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
・ 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
・ 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
・ 血糖検査
・ 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
・ 心電図検査

定期健康診断の項目
労働安全衛生規則第44条では、1年以内ごとに1回、定期的に健康診断を行うことが義務づけられています。定期健康診断で実施する必要のある一般健康診断の項目は、以下の通りです。

・ 既往歴及び業務歴の調査
・ 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
・ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
・ 胸部エックス線検査及び喀痰検査
・ 血圧の測定
・ 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
・ 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
・ 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
・ 血糖検査
・ 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
・ 心電図検査

ただし、身長、腹囲、胸部エックス線検査など、一定の項目については、医師が必要でないと認めるときは省略することができます。

特定業務従事者の健康診断の項目

健康診断は、労働者の作業内容・作業環境などを考慮して適切に実施する必要がありますので、下記の業務に常時従事する労働者については、6カ月以内ごとに1回健康診断を実施する必要があります。

・ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
・ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
・ ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務
・ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
・ 異常気圧下における業務
・ さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
・ 重量物の取扱い等重激な業務
・ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
・ 坑内における業務
・ 深夜業を含む業務
・ 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
・ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
・ 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
・ その他厚生労働大臣が定める業務

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特殊健康診断とは

特殊健康診断とは、一定の有害業務に従事する労働者に対する健康診断です。有害業務が身体に影響を及ぼすことを未然に防ぐことを目的としていて、作業内容および作業環境と特殊健康診断結果との関連を検討するために行われるもので、6カ月以内ごとに1回実施することを事業主に義務付けています。

特殊健康診断の受診対象者

特殊健康診断の対象者は、以下の有害な業務に常時従事する労働者です。

・ 屋内作業場等における有機溶剤業務に常時従事する労働者
・ 鉛業務に常時従事する労働者
・ 四アルキル鉛等業務に常時従事する労働者
・ 特定化学物質を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者および過去に従事した在籍労働者(一部の物質に係る業務に限る)
・ 高圧室内業務又は潜水業務に常時従事する労働者
・ 放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入る者
・ 除染等業務に常時従事する除染等業務従事者
・ 石綿等の取扱い等に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者および過去に従事したことのある在籍労働者

じん肺健診の受診対象者

特殊健康診断とは別に、常時、粉じん作業に従事する労働者および従事したことのある労働者は、雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの時、および離職した時に、「じん肺健診」を受診する必要があります。そして、じん肺の所見があると診断された場合には、労働局に健診結果とエックス線写真を提出する必要があります。

粉じん作業従事との関連 管理区分 健康診断の頻度
常時粉じん作業に従事 1 3年以内ごとに1回
常時粉じん作業に従事 2 1年以内ごとに1回
常時粉じん作業に従事したことがあり、現在は非粉じん作業に従事 2 3年以内ごとに1回
常時粉じん作業に従事したことがあり、現在は非粉じん作業に従事 3 1年以内ごとに1回

※じん肺管理区分とは
じん肺管理区分とは、じん肺健康診断の結果を管理1から管理4までに区分しているもので、この管理区分に応じて健康管理を行う必要があります。

・ 管理1
じん肺の所見がないと認められるもの

・ 管理2
エックス線写真の像が第一型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの

・ 管理3
エックス線写真の像が第二型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
エックス線写真の像が第三型又は第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)でじん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの

* 管理4
エックス線写真の像が第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1を超えるものに限る。)と認められるもの
エックス線写真の像が第一型、第二型、第三型又は第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの

歯科医師による健診の受診対象者

塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者は、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及び当該業務についた後6か月以内ごとに1回、歯科医師による健診も受診する必要があります。

特殊健康診断(法令で義務づけられているもの)には、その業務内容に応じて、次のものがあります。

鉛健康診断
鉛業務に常時する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際およびその後6ヶ月以内(はんだ付け等の一定の業務については1年以内)ごとに実施する必要があります。

特定化学物質等健康診断
特定化学物質を製造または取り扱う業務に常時従事する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際およびその後6か月以内ごとに実施する必要があります。

石綿健康診断
石綿を製造または取扱う業務に常時従事する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際およびその後6か月以内ごとに実施する必要があります。

電離放射線健康診断
放射線業務に従事する労働者で管理区域に立ち入る者に対し、雇い入れの際または当該業務への配置換えの際およびその後6か月以内ごとに実施する必要があります。

有機溶剤健康診断
有機溶剤の製造または取扱い業務に常時従事する労働者を雇い入れる際、または当該業務へ配置換えの際およびその後6か月以内ごとに実施する必要があります。

高気圧業務健康診断
高圧室内業務または潜水業務に従事している労働者に対して、雇い入れ時、配置換えの際、およびその後6カ月以内ごとに実施する必要があります。

四アルキル鉛健康診断
四アルキル鉛等の業務に従事している労働者に対して、雇い入れ時、配置換えの際およびその後3カ月以内ごとに実施する必要があります。

労働者の健康診断受診義務

労働者は、事業者が行なう健康診断を受けなければならない義務があります。
ただし、事業者が指定した医師または歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合で、他の医師又は歯科医師の行なう労働安全衛生法に基づく健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出した時には、事業者が行なう健康診断を受診する必要はなくなります。

特殊健康診断の費用負担

特殊健康診断は、事業の遂行により当然実施する必要がある性格のものです。したがって、特殊健康診断の受診費用は会社が負担するべきものとされています。
また、健康診断は、所定労働時間内に行われることが原則で、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間にあたると解釈されますので、もし所定労働時間外に特殊健康診断を行った場合は、割増賃金を支払う必要があります(昭和47.9.18 基発第602号)。

※一般健康診断の受診時間についても、その費用は事業主が負担すべきとしていますが、賃金の支払いについては、義務とまではしていません。

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まとめ

会社が安全配慮義務を怠り、健康診断を実施しないで、労働災害などの損害が合った場合には、会社は損害賠償をしなければならないこともあります。なお、この安全配慮義務には、メンタルヘルス対策もふくまれていて、労働者が50日以上の職場では年1回のストレスチェックの実施が義務づけられています。

ストレスチェックは無料で使用できるツールもあります。「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するためにも、このようなツールを上手に活用しましょう。

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