公開日:2019年11月19日
最終更新日:2022年03月29日
教育訓練給付金とは、労働者が自ら主体的な能力開発の取組みまたは中長期的なキャリア形成を支援することを目的として、教育訓練受講に支払った費用の一部が助成される制度です。
自己啓発は労働者自らが行うものですが、このような教育訓練給付金が自己啓発を行うことの後押しとなることもありますので、会社として積極的なサポートを行うことが大切です。
教育訓練給付金は、大きく「一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」があります。
一般教育訓練給付金は、一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者または一般被保険者であった「離職者」が教育訓練機関に支払った費用を助成する制度です。
対象となる教育訓練は、英会話やパソコンスクール、通信教育など比較的手軽に受講できるものが多く、活用しやすい内容となっています。
支給対象者は、一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者または一般被保険者であった「離職者」であり、以下の要件を満たしている必要があります。
①受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上あること
②受講開始日時点で被保険者でない方は、離職日の翌日から受講開始まで1年以内であること(ただし、適用対象期間の延長が行われた場合は最大20年以内)
③前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始日前までに3年以上経過していること
④厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了したこと
厚生労働大臣の指定内容は、「厚生労働大臣指定一般教育訓練講座一覧」にまとめられている他、インターネットの「教育訓練給付制度 厚生労働大臣訓練講座検索システム」で検索することもできます。
教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%に相当する額となります。ただし、その額が10万円を超える場合は10万円となります。また、4,000円を超えない場合は支給されません。
さらに、受講修了日から1年以内に資格取得等し、被保険者として雇用されたまたは雇用されている等の場合には20%の追加支給(合計70%、年間上限56万円)を受けることができます。
教育訓練支援給付金の支給を申請するためには、受講終了後、本人がハローワークで下記書類を提出する必要があります。
①教育訓練給付金支給申請書(受講終了後、指定教育訓練実施者が用紙を配布します) ②教育訓練終了証明書(受講終了後、指定教育訓練実施者が用紙を配布します) ③領収書 ④キャリアコンサルティングの費用の支給を申請する場合は、「キャリアコンサルティングの費用に係る領収書」、「キャリアコンサルティングの記録」、「キャリアコンサルティング実施証明書」 ⑤運転免許証や住民票など本人・住所確認書類 ⑥マイナンバー確認書類 ⑦雇用保険被保険者証 ⑧教育訓練給付適用対象期間延長通知書 ⑨返還金明細書 ⑩払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード ⑪教育訓練経費等確認書(ハローワークホームページでダウンロードできます) ⑫郵送による申請(やむをえない事情がある時のみ認められます) |
専門実践教育訓練給付金も、一般教育訓練給付金と同様に一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者または一般被保険者であった「離職者」が教育訓練機関に支払った費用を助成する制度です。
専門実践教育訓練の教育訓練給付金は、対象となる教育訓練が看護師、美容師、調理師、社会福祉士、歯科衛生士、理学療法士などの専門学校への入学や、税務や会計など実務に直結した知識を学べる資格試験予備校や大学院の講座など、専門性が高く長期間にわたる職業訓練を受ける場合に受けられる給付金です。
参照:厚生労働省「専門実践教育訓練給付金、教育訓練支援給付金についてのリーフレット」
2018年1月に専門実践教育訓練給付金の改正がありました
専門実践教育訓練の受講中に支給される給付金の上限額について変更があり、また、初めての場合を除き、支給要件期間として雇用保険に加入していた期間が3年以上(改正前は10年以上)に緩和されることになりました。
受講者が支払った教育訓練経費の50%が支給されます。さらに資格取得等下場合には、追加で教育訓練費の20%(合計70%)が支給されます。
支給の上限額は年間40万円ですが、資格取得等下場合には、年間56万円となります。
提出書類は、専門実践教育訓練給付金の手続は、訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングにおいて就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記載したジョブ・カードの交付を受けたあと、下記の書類をハローワークへ提出します。
【受講前の提出書類】 この手続は、受講開始日の1か月前までに行う必要があります。 ※支給を受けるための支給申請は、別途手続が必要です(※後述) ①教育訓練給付金および教育訓練支給給付金受給資格確認表(ハローワークで配布) 【申請する時の提出書類】 |
以上、教育訓練給付金についてご紹介しました。
教育訓練支援給付金以外は、離職していない場合も受けられる給付金なので、従業員に制度概要を案内してみることをおすすめします。
従業員が自己啓発の費用をすべて個人で支払うことは、負担になることも考えられるため、このような教育訓練給付金の制度を案内するほか、受講料の金銭的な援助や図書費の補助、教育訓練休暇の付与、資格手当の支給などの支援策もあわせて検討し、従業員の自己啓発を促すことは、人材を活用し会社を発展させるためにも必要な施策です。
なお、ここでご紹介した教育訓練支援給付金以外にも、従業員教育を行う場合には助成金を受給できる場合があります。
具体的には、休業、教育訓練や出向を通じて従業員を雇用したり高年齢者・障害者・母子家庭の母など就職困難者を雇用したりして、一定の要件に該当した場合に休業手当、賃金などの一部が助成されます。
参照:厚生労働省「各種助成金・奨励金等の制度」
助成金の種類は数多く、必要な要件はそれぞれ異なるため、助成金の受給を検討する場合には、社会保険労務士のサポートを受けることをおすすめします。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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