法人住民税|均等割と法人税割とは?

公開日:2019年12月11日
最終更新日:2022年07月11日

この記事のポイント

  • 「法人住民税」は、法人税・法人事業税とともに「法人3税」と呼ばれる。
  • 法人住民税には、道府県民税と市町村民税の2つがあり、それぞれに均等割と法人税割とがある。
  • 法人住民税は、法人税と同様、事業年度末から原則として2カ月以内に申告し納付しなければならない。

 

法人がさまざまな税金を納める必要がありますが、なかでも代表的なのが法人3税と言われる「法人税」「法人住民税」「法人事業税」です。

このうち「法人住民税」は、地方公共団体が提供する行政サービスに必要な費用に充てるためにその地方公共団体に事務所や事業所などがある法人に対して課される地方税です。

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法人住民税とは

法人住民税とは、都道府県または市町村に事務所や事業所などがある法人に課される税金です。個人に課税される住民税と区別するために「法人住民税」と呼ばれます。

法人住民税には、道府県民税と市町村民税の2つがあり、それぞれ法人税割と均等割から成り立っています。

ただし、東京特別区だけに所在する法人については、区の分と合わせて「法人都民税」とされます。

(1)法人住民税は均等割と法人税割がある

法人住民税は、道府県民税と市町村民税から成り立ち、それぞれ均等割と法人税割があります。

法人
住民税
道府県民税 均等割 資本金・従業員数などに応じて課税される
法人税割 法人税額を基礎として課税される
市町村民税 均等割 資本金・従業員数などに応じて課税される
法人税割 法人税額を基礎として課税される

(2)法人住民税の均等割

法人住民税の「均等割」とは、法人の所得が黒字か赤字かを関係なく、資本金や従業員数に応じて課税されるものです。
均等割は、資本金の金額と従業員の数によって異なり、道府県民税が最低2万円から、市長村民税が最低5万円から10段階に区分されています。
均等割も法人税割とも、税率は地方公共団体ごとに定められますが、標準は以下のとおりです。

資本金等の金額 従業員数 道府県民税 市町村民税
50億円以上 50人超 80万円 300万円
50人以下 41万円
50億円以下10億円超 50人超 54万円 175万円
50人以下 41万円
10億円以下1億円超 50人超 13万円 40万円
50人以下 16万円
1億円以下1000万円超 50人超 5万円 15万円
50人以下 13万円
1,000万円以下その他の法人等 50人超 2万円 12万円
50人以下 5万円

参照:東京主税局「法人都民税の申告書記載の手引(令和2年改正)」

(3)法人住民税の法人税割

法人住民税の「法人税割」とは、個人住民税の「所得割」に当たるもので、原則として国に納付する法人税額をもとにして課税されます。税率は地方公共団体ごとに、「標準税額」と「制限税率」の範囲内で決められています。
法人税割額は、法人税額をもとに計算するので、もし会社が赤字となった場合は、法人税が課税されませんので、法人税に対して課せられる法人税割も0円となります。

なお、平成26年の消費税増税時に「地方法人税」が創設され、税率について法人住民税法人税割が5.9%引き下げられたことに伴い、5.9%引き上げて、同年10月1日以降に開始する事業年度から10.3%となっています。

【法人住民税の法人税割・地方法人税】

道府県民税 市町村民税
法人税割 1.0% 6.0%
地方法人税 10.3%

 

法人住民税は、地方公共団体によって一定の範囲で税額、税率が変わりますので、不明点等は税理士に相談することをおすすめします。

なお、以前は法人住民税に「利子割」という預貯金の利子に課税される道府県民税がありましたが、廃止されました。

(4)法人税割+均等割が課税されるケース

都道府県、市区町村内に事務所・事業所を有する会社は、均等割・法人税割の両方が課税されます。そして資本金の額または出資金の額によって、適用される税率は変わります。

(5)均等割のみ課税されるケース

都道府県、市区町村内に、事務所・事業所がなくても、寮などがある場合には、均等割額のみが課税されます。
東京都の場合には
①都内の特別区のみに事務所等を有する法人
②都内の特別区と市町村に事務所等を有する法人
③都内の市町村のみに事務所等を有する法人
によって、税率が異なります。

引用:東京主税局「法人都民税の申告書記載の手引(令和2年改正)」

法人住民税の申告と納付

法人住民税と個人住民税は、計算方法や納付方法が違います。
法人住民税は、法人税と同じように事業年度末から原則として2カ月以内に申告を行ない、計算した税額を納付しなければなりません。

一方、個人住民税は前年所得に基づいて計算された税額が翌年以降から徴収されることになります。個人住民税の徴収方法は大きく分けて「特別徴収」と「普通徴収」の2つの方法に区分されます。

(1)申告納付期限は、法人税と同じ

申告納付期限は、法人税と同じで各事業年度終了の日の翌日から2カ月以内です。ただし、申告期限については、会計監査の監査を受けるなどの理由があり2カ月以内の決算が難しい場合には、事業年度の終了の日までに申請書を提出すれば、1カ月間申告期限を延長することができます。
また、新型コロナウイルス感染症の影響により同期(または前々年同期)に比べて概ね20%以上減少している場合や、入院等で多額の費用を要した場合、消毒作業などで相当な損失が生じた場合など、納税が困難な場合には、徴収猶予の制度を利用することができます。

引用:東京主税局「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方に対する猶予制度について」

(2)中間申告が必要な法人とは

法人住民税には、「中間申告制度」があり、事業年度が6カ月超える法人の場合には、6カ月を超えた日から2カ月以内に中間申告書を提出して、住民税を納付する必要があります。

(3)複数の地域に営業所がある場合には

複数の都道府県や市町村に営業所がある場合には、当期の法人税額を各営業所の従業員数で按分し、次に各地方公共団体で定められた税率をそれぞれ按分した法人税額に欠けて法人税割を計算します。
均等割については、営業所が所在する都道府県や市町村で規定された税額を納めることになります。

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まとめ

以上、法人住民税についてご紹介しました。
会社には、法人税、法人事業税、法人住民税、消費税などいろいろな税金がかかってきて、基本的には自分で申告をしなければなりません。
それぞれの税金は、計算方法や税率が異なり、法人住民税は都道府県に対するものと市町村に対するものがあり、均等割や法人税制割など、従業員数や資本金の金額によって税率などが異なります。
そして、これらの税金は、適切な節税対策を行うことで、税負担を大きく軽減することができます。
どのような節税対策を行うべきかについては、個々の会社の状況によって異なりますので、法人税などに詳しい税理士に相談し、アドバイスを受けることが大切です。

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