公開日:2019年12月19日
最終更新日:2022年04月23日
最近は、経理をアウトソーシングする会社が増えています。
経理担当を雇用するよりもコストダウンすることができますし、経理のプロである税理士が経理作業を行うのですから、当然ミスもありません。
また、経営を行ううえで問題点があればすぐに指摘してもらうことができるなどのメリットもあります。
この記事では、経理のアウトソーシングで依頼できる作業や、メリット、追加で税理士に依頼できるサービスなどについてご紹介します。
経理のアウトソーシングとは、簡単に言えば、会社の会計部門を税理士などの専門家に委託することです。
経理というと、帳簿に記帳したり給与計算したり請求書を発行したりといったイメージを持つ人も多いでしょう。
これらの業務ももちろん経理の業務ではありますが、本来経理とは「経営管理」の略であり、帳簿の記帳や給与計算、請求書の発行以外にも、以下のような業務があります。
①日々の経理作業 売上代金や仕入代金の回収と支払いに関する管理、設備投資や保証金等の固定資産の管理などを行います。 ②決算作業 ③税務調査対応 ④所得税・住民税の納付手続き ⑤法定調書の作成 |
経理のアウトソーシングとは、これらの経理業務をすべて税理士にアウトソーシングできるサービスのことをいいます。
欧米では、1980年代から直接利益を生み出さないバックオフィス部門の業務については、積極的にアウトソーシングすることで効果を上げてきました。日本でも、データ入力業務やコールセンター業務などについてはアウトソーシングされるケースが増えていましたが、総務・経理・人事などのバックオフィス部門のアウトソーシングはそれほど行われていませんでした。しかし、日本のビジネス界は、欧米より10年遅れてトレンドがやってくるとも言われますから、今後ますますバックオフィスのアウトソーシングは増えていくだろうことが予想されています。
また、中小企業庁がアウトソーシングを活用している企業に行なったアンケートでは、アウトソーシングを活用しようと思った理由として「社内で実施するより、効率的に成果が得られる(28.3%)」「周辺業務を切り出すことで、従業員がコア業務に集中できる(24.1%)」といった点を挙げています。
このようにアウトソーシングの効果を実感する経営者も増えれば増えるほど、そしてさらに業務最適化による経営効率の向上を目指すためにも、より積極的にアウトソーシングを検討する必要があるといえるでしょう。
参照:中小企業庁「アウトソーシング活用の効果」 |
経理のアウトソーシングは、クラウド会計ソフトを活用することで、さらに加速化しました。
従来の会計ソフトでは、仕訳の種類などをすべて登録する必要がありましたが、「クラウド会計ソフト freee会計」なら、毎日の仕訳作業を大幅に効率化することができます。銀行取引明細やクレジットカードの利用明細も自動的に取り込んでくれます。
さらに登録された会計データは、IDとパスワードを入力すればどこからでも最新のデータを確認することができます。
領収書を丸投げするアウトソーシングよりもコストダウンすることができますし、離れた場所にいる税理士にも、すぐにデータを確認してもらうことができるので、ミスがあれば修正してもらい、不明点や疑問点についてもデータを見ながら質問することができます。
このような「クラウド会計ソフト freee会計」の登場で、経理のアウトソーシングはさらに効率化し、加速化したものと思われます。
前述したとおり、経理をアウトソーシングすることのメリットは、生産性の高い業務に集中することができるという点ですが、その他にもさまざまなメリットがあります。
経理を税理士にアウトソーシングすれば、経理作業は税理士が担当します。
税理士は、経理のプロですから当然ミスがなく、正確な経理作業を行ってくれます。
経理担当者が半日以上かけて行っていた業務でも、経理のプロなら2時間程度で行うことができます。
つまり、時間短縮と業務の質の向上が実現できるのです。
起業したばかりの会社などでは、社長自らが経理事務を担当しているケースが多いでしょう。けれども、社長にはやらなければならない仕事が山ほどあります。顧客を増やすために営業活動を行わなければなりませんし、新製品の開発が必要なこともあるでしょう。
そのうえで、煩雑な経理作業まで自分で行っているようでは、時間がいくらあっても足りず、大切な本業に割くべき時間を何時間も経理作業にとられてしまうことにもなりかねません。一人で何役もこなさなければならない社長が本業に専念するためには、経理のアウトソーシングは非常に効果的なはずです。
経理作業の特徴のひとつに、業務が属人化してしまうという点があります。
多くの中小企業では、経理担当者が1人以下というケースも多く、そのたった1人の経理担当が辞めてしまえば、請求書の発行や領収書の整理、月次決算などの経理作業が全面的にストップしてしまうリスクがあります。
経理担当が病気になって長期の休養を余儀なくされたり突然辞めたりした時に、代わりに経理が分かる人が誰もいなくなり、取引先に迷惑をかけた…という声も実際に多く聞かれます。
また、経理は仕事がブラックボックス化されることが多く、常に不正というリスクがつきまといます。ある会社では、経理担当が顧客に対し売上を水増しした請求書を作成し、会社の口座ではなく別の口座に入金されるようにしていました。お金を扱う仕事には、このようなリスクが常につきまとっているのです。
経理をアウトソーシングすれば、経理業務が「見える化」し、業務がストップしてしまうという事態を避けることができますし、経理担当の不正行為も防ぐことができます。
会社のお金の流れは、よく人間の血液にたとえられます。血液の流れが止まれば人間が生きていけないように、お金の流れが止まれば会社を継続させていくことができません。
経理のプロである税理士に経理作業を依頼すれば、お金の流れを把握したうえで、問題点があればすぐにアドバイスをもらうことができます。
さらに「今後どのような問題が発生するか」までアドバイスをしてもらうことができます。問題点が明確になれば、決算書や資金繰り表の数字から設備投資のタイミングや人件費の削減、銀行からの融資など必要な対策について、タイムリーに検討することができます。
社長の一番の悩みは、資金繰りです。
資金繰りの悩みは、お金の動きを知らないことから生まれるものです。
税理士に経理作業を依頼すれば、お金の動きを明確にしたうえで、予算編成、経費の見直し、銀行との折衝などまでサポートしてもらうことができます。曖昧な数字が明らかとなり「どの支払いにいくら足りないのか」「その不足しているお金はどこから調達すればいいのか」が分かれば、社長の悩みは大幅に減るはずです。
クラウド会計ソフトのメリットについては、先ほどご紹介しましたが、クラウド会計ソフトを導入すれば、これまで手作業で行っていた仕訳の登録をする必要がなくなり、クラウド会計側で自動仕訳した勘定科目が正しいかどうかという確認作業を行えば済むようになります。しかし、いざ導入しようとしても「設定が難しそう」「使いこなす自信がない」などの理由で、導入が後回しになってしまうケースも多いようです。
クラウド会計ソフトに精通している税理士に依頼すれば、面倒な初期設定や他の会計ソフトからの移行作業、銀行口座やクレジットカードとの連携などすべて対応してもらうことができ、経理作業の負担を大きく軽減することができます。
経理をアウトソーシングすると、確かにそれだけコストがかかります。
具体的にいくらかかるかについては、「どこまでアウトソーシングするのか」「取引先の数はどれくらいか」などによって異なりますので一概には言えませんが、いずれにせよ経理担当の正社員を雇用することと比較すれば、コストダウンにつながるケースがほとんどでしょう。
人を雇用するためには、多額の費用を支払い、求人広告を出す必要があります。また、採用してもすぐに稼働するわけではなく教育するために時間がかかります。
しかも、このような時間的、金銭的なコストは、直接会社の利益につながらないコストです。経理のアウトソーシングは、即戦力となる人材を、コストを抑えて雇用することと同じともいえます。即戦力にならない人材を、高いお金を使って雇用するより圧倒的に効率がよいと言えるのではないでしょうか。
経理をすでにアウトソーシングしている会社では、経理作業のほかにもさまざまなサービスを追加で依頼しているケースが多くみられます。
ここでは、税理士に経理をアウトソーシングするうえで、追加で依頼することができる主なサービスをご紹介します。
多くの中小企業の経理担当は、経理事務がメインの仕事になっていて財務管理の仕事はほとんど行われていません。
しかし、正確な経理というだけでは会社は続きません。社長には、予算と実績を数字に反映させ、経営目標達成のための対策を決定することが求められます。
経理のプロにアウトソーシングすれば、一般的な経理作業ではなく、経営目標達成のための財務管理まで依頼することができるのです。
税理士は、資金繰り対策に関して豊富なノウハウを持っています。
資金調達に精通している税理士であれば、金融機関でどのような審査が行われるのか、審査の際に重視される事業計画書はどのように作成すればいいのかも熟知しています。
さらに、金融機関と貸付条件などの交渉までサポートしてくれる税理士もいます。
安定した経営を維持するために必要な資金調達のサポートをしてくれる税理士は、経営者のよきパートナーとなってくれるはずです。
「節税対策になるから」と決算前に慌てて必要のない資産を購入したり、無駄な飲み会をしたりすることがあります。しかし、これはやってはいけない節税対策の代表例です。
あわてて経費を使い目先の税金を少なくしても、それは単なるムダ遣いであり、ただ単に資金繰りを悪化させてしまうだけです。
本来、正しい節税対策と言うのは、会社の資金繰りをよくするために行うものです
税理士に経理をアウトソーシングすれば、早めに利益予測を立てることができるので、本当に効果のある節税対策を計画的に提案してもらうことができます。
大企業の場合には、株主と経営者が一致していません。しかし、中小企業の場合には、株主と経営者が同じケースが多く、株主が自ら社長として経営を行っています。そのため、中小企業の事業承継で大切なのは、所有する株式を後継者にいかに承継するか、という問題と経営をどのように承継させるかという問題を同時に検討する必要があります。
事業承継に精通している税理士に相談すれば、円滑に事業が承継されるための事業承継計画策定から実行、相続対策まで確実にサポートしてもらうことができます。
以上、経理をアウトソーシングすることのメリットや、税理士に依頼することができるその他の主なサービスについてご紹介しました。
経理をアウトソーシングすれば、大幅に経理作業を軽減させることができるだけでなく、毎月の会計業務をしっかりとチェックし、万が一問題点や改善点が発覚した場合は、直ちに改善案を提案してもらうことができます。
また、経営計画書の作成や資金調達、税務調査対策などについてもサポートをしてもらうことができますし、人件費のコストダウンも実現することができます。
freee税理士検索では数多くの事務所の中から経理をアウトソーシングできる税理士・会計士の認定アドバイザーを検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、経理のアウトソーシングについて相談することができます。
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