中小企業の経理業務とアウトソーシング事例

公開日:2019年04月04日
最終更新日:2019年04月05日

目次

  1. 会社の経理と周辺知識
    • 簿記の仕組みと会計ソフト
    • 決算書の意味
  2. 中小企業の日々の経理業務
    • 領収書の整理・入力
    • 売掛金・買掛金取引の入力
  3. 中小企業の月次の経理業務
    • 請求書の発行
    • 給与計算
    • 在庫取引の入力
    • 月次の残高チェック
    • 事業の進捗チェック
  4. 中小企業の決算業務と確定申告
    • 決算業務の概要
    • 収益と費用の繰延・見越し計上
    • 法人税・消費税等の申告
  5. 中小企業の経理業務アウトソーシング事例
    • 会計ソフトの導入支援だけ税理士に依頼
    • 会計ソフトで自計化しながら税理士と連携
    • クラウド会計で在宅勤務が可能に
  6. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 経理業務は、大きく「日々の経理業務」「月次の経理業務」「年に1度の決算業務」に分けることができる。
  • 日々の記帳業務の集大成が、賃借対照表と損益計算書という決算書の作成である。
  • クラウド会計ソフトを活用する場合も、内容が適切か否か税理士にアドバイスをもらうのが大切。

 

これまでは、経理業務のすべて税理士にアウトソーシング(外部委託)するケースが多かった中小企業の経理業務ですが、クラウド会計ソフトが普及したことで経理を自社で行なうケースが増えてきました。

もちろん、税務申告や経理指導などについては税理士の関与を受けた方がメリットは大きいですし、すべての経理業務を自社で完結することは現実的ではありません。
とはいうものの、それではどこまで自社で行い、どこからアウトソーシングするべきかというと、それはまた個々の事情によって異なります。

そこで、ここでは、中小企業の経理業務について「どこまでアウトソーシングするべきか」を検討するために、経理業務を
(1) 日々の経理業務
(2) 月次の経理業務
(3) 年に1度の決算業務

に分けてご紹介します。
「この経理業務なら、自社で行えそうだ」「この経理業務を自社で行うと、本来の業務に支障が出そうだから、アウトソーシングしよう」などといった目安にしていただければ幸いです。

会社の経理と周辺知識

経理とは、事業に必要なお金や物の出入りを記録して、経営状況を客観的な数値で表す業務のことですが、具体的な業務は入出金データの記載から決算書の作成まで、実に多岐にわたります。
経理作業で作成されたデータは、会社の経営では営業活動だけでなく経理業務も欠かせません。経理業務には、主に、税金を納めること、経営状況を客観的な数値で把握して改善につなげる経営判断の重要な指標とすることの2つの目的があります。

簿記の仕組みと会計ソフト

会社の経理では、複式簿記によって取引を記録します。複式簿記とは、取引を原因と結果に分けてそれらの増減を記録する方法です。

以前は手書きの伝票や帳簿を使って取引を記録して集計していましたが、クラウド会計ソフトの普及によって、経理業務は劇的に楽になりました。会計ソフトを活用すれば、集計は瞬時に行うことができ、ケアレスミスを防いで業務の効率を上げることができます。
またクラウド会計ソフトは、学習能力を備えているので、活用すればするほど、クラウド会計ソフトが仕訳を学習し、作業は楽になっていきます。
例えば、飲食店で「材料仕入」と「ABC商店」を自動リンクすれば、次回から「ABC商店」と入力しただけで、「材料仕入」に自動経理されます。

また、税理士とデータを共有することができるので、中小企業の経理仕訳で問題があれば、即時に税理士が修正指導を行うことができます。
この税理士による修正指導で、さらに学習効果が期待できます。

決算書の意味

日々の記帳業務の集大成が、賃借対照表と損益計算書という決算書の作成です。
決算書は、本来は株主や金融機関など利害関係者に経営状況を報告するための書類ですが、中小企業の場合には、経営者自身が株主を兼ねていることが多いので、金融機関への報告や税務申告のために作成されるケースがほとんどです。

賃借対照表は、決算日における会社の財政状態を示すものです。
賃借対照表は左右に分けられていて、左側の「資産」と右側の「負債+純資産」の数字が必ず合致することから、バランスシート(Balance sheet)、略して「B/S」と呼ばれることもあります。

「賃借対照表(B/S)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ」を読む

損益計算書とは、会社の利益の状況を示すもので、損益計算書が1年の利益を示す場合には、「年次決算書」と呼ばれることもあります。損益計算書は、英語で(profit and loss statement)なので、略して「P/L」と呼ばれることもあります。

「損益計算書(P/L)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ」を読む

なお、損益計算書とは別の観点で資金状況を開示し、企業の利益の質を評価できる計算書として、「キャッシュ・フロー計算書」があります。
キャッシュ・フロー計算書は、中小企業の場合には、作成が義務づけられているわけではありませんが、資金繰りを把握するためには、大変重要な計算書です。
企業の活動を営業・投資・財務に分けて、それぞれの入出金を計算したものです。
健全な企業の場合には、「営業」は「入金」を超えますし、「投資」と「財務」は、「出金」を超える状態になります。

経営管理の観点では、経営者自身が決算書の内容を分析して経営の改善に役立てる姿勢が大変重要になってきます。

クラウド会計ソフトを活用すれば、決算書については自動的に出力されますが、内容が適切かどうかについては、税理士の助言を受けるとよいでしょう。

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中小企業の日々の経理業務

これから、中小企業で日々行う主な経理業務についてお伝えします。
これらの業務は毎日行うことが理想ですが、取引が少ないのであれば週末や月末にまとめて処理するフローで行っても、差し支えありません。

領収書の整理・入力

仕入代金や経費を現金で支払った場合は、領収書をもとに仕訳を起票します。領収書は現金を支出して相手が受け取ったことを示す大切な証拠書類です。なくさないように注意しましょう。

また、現金の帳簿上の残高と実際の残高は、日々照合するようにしましょう。現金の出し入れは金額の誤りや記帳漏れなどケアレスミスが起こりやすいですが、ミスがあっても日々残高を照合しておくと、比較的簡単に原因を究明することができます。

なお、領収書は領収書に記載されている金額が5万円以上の場合には、収入印紙が必要になります(領収書の場合には5万円未満は印紙税がかからないので、収入印紙は不要です)。
※収入印紙:国が発行する証票で、手数料や税金、罰金の納付などの際に使用するものです。

売掛金・買掛金取引の入力

売上や仕入、売掛金の入金、買掛金の支払など、その日にあった取引について仕訳を起票します。売掛金や買掛金を管理する売掛帳・買掛帳を参考にします。

中小企業の月次の経理業務

次に、中小企業が月次で行う主な経理業務についてお伝えします。日々の処理を再確認するほか、請求書の発行や給与計算など1カ月単位で行う業務を実施します。また、事業の進捗もチェックします。

請求書の発行

売上を掛取引(代金を後でもらう取引)で行っている場合は、月末に請求書を発行して1か月分の売上代金を取引先に請求します。
請求書は、自社の締日や相手先の締日に応じて、月末や月の半ばなど、区切りの良い日にまとめて1カ月分を作成し、発行するのが一般的です。

複数の商品やサービスの取引があり、それらの合計額を集計して請求書を作成する場合には、それぞれの内訳が分かるように作成する必要があります。
営業の担当者がいる場合は、請求内容が間違っていないか確認してもらうようにしましょう。

会計ソフトを使用している場合は、請求書を発行した時点で売上と売掛金が計上されます。

給与計算

月間の従業員の勤怠の記録をもとに、給与を計算します。基本給に残業代を加算して、総支給額を確定し、総支給額から控除額を計算して手取り額を確定します。

税金と社会保険料を天引きするため、計算に時間がかかることもあります。給与計算を税理士や社労士などに依頼するケースもあります。

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在庫取引の入力

在庫は通常、仕入によって増え、売上によって減少しますが、会社の経理では売上や仕入のつど在庫の残高を動かすことはしません。月初に前月末の在庫金額を仕入高に組み入れ、月末の在庫金額を仕入高から振り替える形で調整します。

紛失や盗難で在庫が減ってしまった場合は棚卸減耗損を計上します。商品の金銭的価値が下がった場合は、商品評価損を計上することもあります。

月次の残高チェック

月ごとに現金預金や売掛金、買掛金などの残高をチェックします。
売掛金とは、商品やサービス販売時の掛取引のことですが、売上が予定通りに回収できないと、資金繰りに大きな影響が及ぶ場合もありますので、注意が必要です。

日々の処理を再確認するほか、収益や費用については予算や前年同月の実績と比較して、漏れや重複がないかを確認します。これらの業務は、決算で1年分まとめて行うと時間と労力がかかるため、月ごとに実施することをおすすめします。

事業の進捗チェック

月次では事業の進捗もチェックします。計画どおりに売上や利益が計上できているかを確認し、計画と異なる場合には、その原因を確認して対策を考える必要があります。月次でチェックをしなければ、業績の悪化に気づかないまま1年を終えてしまう恐れもあります。

中小企業の決算業務と確定申告

決算とは、会社が出した1年間のもうけを計算すること、及び期末日時点の財産や負債を確定することをいいます。
年度ごとの決算は法律で義務づけられているため、必ず実施しなければなりません。また、決算の結果に基づいた税務申告も必要です。

決算業務の概要

年次の決算業務は、基本的には月次の経理業務の延長にあると考えてよいでしょう。ただし、年次決算の結果は株主総会での報告や税務申告にも使うため、正確な処理が求められます。また、税額計算が必要な点も月次の業務とは異なるところです。
決算業務の大まかな流れは、以下のとおりです。

(1)各種帳簿を締め切る
(2)試算表の作成
(3)財産・債務の実地調査
(4)決算整理事項をまとめる
(5)試算表の作成
(6)決算書(賃借対照表・損益計算書など)の作成

収益と費用の繰延・見越し計上

収益や費用については、数カ月あるいは1年分をまとめて決済する取引があります。そのような取引については、年間の損益が適正になるように整理仕訳で調整します。

例えば、年度の途中で1年分の火災保険料を支払った場合は、保険料を月割計算して翌年度の保険料に該当する部分を繰り延べる処理をします。また、費用をまとめて後払いする取引では、当年度に該当する部分を月割計算して前もって費用計上します。

法人税・消費税等の申告

決算ができれば、法人税と消費税等の申告をします。年度の終了から2カ月以内に所轄の税務署に申告書を提出して納税します。

よほど知識があるか事業が小規模でない限り、税務申告を自力で行うことは難しく、特に起業したばかりの時には税理士に依頼しないで申告・納税を行うのはおすすめできません。
計算を間違っていれば、税務調査が行われて税額を追徴されることになってしまいます。正しく申告・納税するためには税理士の助言やチェックを受けるようにしましょう。

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中小企業の経理業務アウトソーシング事例

ここまで企業の経理業務についてご紹介しました。中小企業ではこれらの業務に人員を割り当てることができず、すべて税理士にアウトソーシングすることも多いでしょう。しかし、会計ソフトを使うことで経理を自社で行うことも可能になります。中小企業の経理業務はどこまでアウトソーシングすべきか、事例を3つご紹介します。

会計ソフトの導入支援だけ税理士に依頼

事業が小規模で毎月のサポートは特に必要ないという場合であれば、会計ソフトの導入支援だけ税理士に依頼するとよいでしょう。

「会計ソフトfreee」なら、簿記の知識がなくても直感的に仕訳の入力ができるようになっています。ただし、ソフトを導入するときには会社の実態に応じた初期設定が必要です。税理士に依頼して導入サポートを受けるのがおすすめです。

会計ソフトで自計化しながら税理士と連携

会計ソフトを使って自計化する一方で、税理士による継続したサポートを受けることもできます。
会計ソフトでは、ネットバンキングやクレジットカードと連携することで、仕訳が自動で起票できます。
前述したとおり、クラウド会計は、経営者も経理部も税理士も入力したデータもしくは自動で取り込まれた金融機関のデータなどについて、作業したらすぐに同じデータを同じタイミングで確認することができるので、資金繰りや節税対策の必要性について、いち早くアドバイスを受けることができるようになりました。

複雑な会計処理や経営状況のチェックなどは税理士に依頼して、それ以外の通常の経理業務は自社で行うといったアウトソーシングも可能となります。

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クラウド会計で在宅勤務が可能に

インターネットを活用したクラウド会計では、会社から離れた場所でも会計業務ができます。たとえば、常勤の経理担当者を置くほどの業務量がない場合では、ソフトへの入力業務だけをアウトソーシングすることも可能です。

また、経理担当者を在宅勤務にすることも可能となり、ワークライフバランスの充実にも寄与することができます。

まとめ

以上、中小企業の経理業務と、アウトソーシング事例などについてご紹介しました。
「会計ソフトfreee」は、クラウド上のソフトで直接処理がなされるため、自分のパソコンにインストールする必要がなく、税理士とそのデータをリアルタイムで確認しながらスピーディにサポートを受けることが可能となり、さまざまなアウトソーシングプランを選択することができるようになりました。
税理士検索freeeに掲載されている税理士に、自社の事情(取引内容や業務量、人員体制など)について相談すれば、最も効率の良いアウトソーシングプランを提案してもらうことができます。

「中小企業の経理業務とアウトソーシング事例」を読む

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また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
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