貸借対照表とは?表示上のルールや重視するべきポイント

公開日:2018年11月07日
最終更新日:2019年10月07日

目次

  1. 貸借対照表とは
    • 左側(資産)は会社の所有する資産をあらわす
    • 右側(負債・純資産)は資金の調達方法が分かる
  2. 貸借対照表の表示上のルール
    • 左側の合計額と右側の合計額は必ず一致する
    • 5つのブロックに分けて把握する
  3. 貸借対照表で重視するべきポイント
    • 5つのブロックのバランスが大切
    • 純資産÷総資本は大きいほど健全
    • 流動資産>流動負債
    • 固定資産<固定負債+純資産
  4. 貸借対照表を賢く作成する方法
  5. まとめ

貸借対照表は、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書と並ぶ主要な決算書です。

損益計算書が1期間(通常は1年間)の経営成績(損益)を表す決算書であるのに対して、貸借対照表は、決算日における財政状態(資産、負債の内容)が表示されています。
しかし、ひとくちに資産、負債といっても、その内容はさまざまです。そこで、これらの内容を理解することで、企業の財政状態を判断することができるようになるのです。

経営分析をする際には、損益が表されている損益計算書にばかり注目し、貸借対照表を軽視してしまう人もいます。
しかし、たとえ経営がうまくいっているようにみえても、貸借対照表の純資産の部の合計がマイナスであれば、実はその会社は他人から借りたお金で何とか会社を継続している状態に過ぎないということになります。

したがって、貸借対照表をしっかりと読み解くことができるようになるということは、会社の状態が把握するために非常に重要となります。

ここでは、貸借対照表の見方と表示上のルール、分析するときのポイントについて解説します。

貸借対照表とは

貸借対照表とは、決算日時点の財政状態を表す書類です。
一般的には、左側に資産の運用形態を示す「資産の部」が表示され、右側に資本の調達源泉である「負債の部」「資本の部」が表示されます。

資産
資産は、現金や売り物の商品、建物・土地などのことです。
しかし、その資産を手に入れるためには元手がかかっているはずです。そこで、その元手となる資金をどのように調達したのかを表しているのが右側の「負債」と「純資産」です。

負債
負債は、よそから借りているお金です(他人資本)。
会社がまだ支払っていない商品代金や借入金などのことをいいます。

純資産
純資産は、会社自体のお金です(自己資本)。
株主が出資した資本金や利益剰余金など、会社のこれまでの利益のことをいいます。

左側(資産)は会社の所有する資産をあらわす

これまで述べてきたように、貸借対照表は、左側(借方)と右側(貸方)に分かれていて、左側には、その会社の所有する資産を表示します。

資産には、現金、預金、有価証券、建物・土地など、財産として分かりやすい形態のもののほか、目に見えない著作権などの無形の資産も含みます。
貸借対照表の左側に表されている資産は、会社の資金がどのようにして使われているのか(運用されているか)を表しています。
なお、左側の資産の部は、さらに「流動資産」「固定資産」「繰延資産」に分かれています。
(※それぞれの意味については、後述します)

「損益計算書(P/L)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ」を読む

右側(負債・純資産)は資金の調達方法が分かる

貸借対照表の右側(貸方)には、負債と純資産が表されています。事業に使用する資産を入手するために、どのような方法で資金を調達したのかを表しています。そして、この調達方法によって、負債の部と純資産の部に分かれているのです。

負債
借入金や社債等の他人から調達した資金であり、必ず返さなければならない他人の借入金のことで、「流動負債」「固定負債」に分かれます。

純資産
原則として返す必要のない、株主からの出資や事業を通じて得た利益の蓄積等を表しています。資本金や剰余金等の自己調達した資金です。

負債か純資産は、借りたお金で返す必要があるお金なのか、返さなくてもいいお金なのか、という点で、財政状態に与える影響が大きく異なるのです。

貸借対照表の表示上のルール

これまで述べてきたように、貸借対照表は、会社の財政状態を明らかにする決算書です。
そして、この貸借対照表を理解するためには、貸借対照表に表示されている資産・負債・純資産がどのようなルールに基づいて表示されているのかについて理解する必要があります。

左側の合計額と右側の合計額は必ず一致する

貸借対照表の表示上のルールとして、必ず押さえておきたいのが「左側の合計額と右側の合計額は必ず一致する」というルールです。

貸借対照表の右側はお金の出どころ(調達)を表し、貸借対照表の左側はお金の使いみち(運用)を表しています。
右側と左側の関係の金額は一致し、下記の計算式が成り立ちます。

「資産」=「負債」+「純資産」

このように左右がバランスをとっていることから、貸借対照表は「Balance-Sheet バランスシート(B/Sビーエス)」とも呼ばれます。

5つのブロックに分けて把握する

貸借対照表は、大きく5つのブロックに分けて把握すると、財政状態を把握しやすくなります。
また、貸借対照表は、流動資産や流動負債の区分の中でも、流動性の高い項目を上位に表示します。流動性とは、簡単にいえば「容易か否か」という意味です。
例えば、資産の場合であれば、現金化しやすいものが流動資産、現金化しにくいものが固定資産です。負債であれば、1年以内に支払う債務が流動負債、1年を超えた時期に支払う債務が、固定負債です。

流動資産
流動資産は、会社の通常の営業サイクルの中で保有する資産か1年以内に現金化または費用化できる資産です。

例えば、現金・預金、売掛金、商品及び製品、貸倒引当金など1年以内に返済される貸付金などが含まれます。

「現金・預金」
現金と銀行に預けている預金のことです。小切手も現金・預金に含みます。

「売掛金」
売掛金とは、商品やサービスを販売したが、まだ回収していないお金のことをいいます。

「商品及び製品」
商品及び製品は、財務会計上、違う意味でとらえます。
商品は、仕入れたもののことで、製品は自社で作ったものです。
棚卸資産とは、一般的にいう在庫のことです。

「貸倒引当金」
売掛金のうち、回収不能となる可能性の高いものをいいます。
例えば、売掛金のある取引先が倒産した時には、その売掛金は回収できなくなるので、売掛金から減額します。
また、まだ倒産はしていないけれどもその可能性が高いという時には、原則として引当金に積むことになっています。

固定資産
固定資産は、1年以上の期間を経て現金化または費用化される資産です。会社で長期間にわたって使用するものが多く含まれ、具体的には、土地・建物・備品・投資有価証券等などが該当します。
ただし、不動産会社のように固定資産それ自体を販売して利益を得るような会社の場合には、土地・建物は、固定資産ではなく流動資産として計上されることになります。
なぜなら、不動産会社の場合には、土地・建物を、長期的に保有することを想定していないからです。

固定資産には、のれんやソフトウェアなどの無形固定資産(手で触れることができない資産)や、長期で保有している有価証券や長期貸付金などの投資その他の資産も含みます。

流動負債
流動負債は、会社の通常の営業サイクルの中で保有する負債か1年以内に支払う又は収益に振り替える負債のことをいいます。
例えば、買掛金、未払金、未払費用、短期借入金など、1年以内に支払うことが予定されている費用や損失のことをいいます。

「買掛金」
売掛金の逆で、本業のために商品や材料などを購入したものの、まだその代金を支払っていない債務のことをいいます。

「未払金」
本業以外の目的で購入した不動産屋消耗品などの債務のことをいいます。

「未払費用」
翌月払う給料などの未払い分などのことをいいます。

「短期借入金」
1年以内に返済する予定の借入金のことをいいます。

固定負債
固定負債は、1年以上後に支払うことになっている借金のことをいいます。
例えば、長期借入金、社債、長期前受収益などが含まれます。

純資産
純資産とは、株主からの出資棟と過去からの利益の蓄積です。
資産から負債を引いた差額であり、自己資本と呼ばれることもあります。
純資産は流動負債や固定負債と違い、返済をしなくてもよい資金なので、純資産がどれだけあるかが会社の健全性を判断する重要な指標となります。

純資産のうち、最低限理解しておきたいのが株主資本の意味です。

株主資本は、大きく、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式に分け表示されていますが、基本的には元手か利益の蓄積のいずれかに分けられます。
元手とは、事業を開始する際に、株主から出資を募ったお金のことで、資本金か、資本剰余金として処理されています。

そして、この元手を使って事業を行い蓄積された利益が利益剰余金となります。

貸借対照表で重視するべきポイント

貸借対照表は、会社の財政状態を示すものですが、その会社が健全化どうかを判断するためには、前述した、①~⑤の流動資産や固定資産、流動負債などの項目を1つ1つ見ていくのではなく、それぞれの項目同士のバランスを見ていくことが大切です。

5つのブロックのバランスが大切

流動資産・固定資産・流動負債・固定負債・純資産の項目は、バランスがとれていることが大切です。

もちろん、その会社の業種によって、どの項目がどれくらい大きいことが適切なのかは異なってきます。
例えば、場所や設備が必要な映画館やテーマパークなどは、固定資産が多いという特徴があります。不動産業は、不動産が棚卸資産となるので、流動資産が多いという特徴があります。また、一般的な製造業等では、それぞれの項目がバランスよい大きさであるのがよいと考えられています。

一般的には、総資本が小さい方が投資効率のよい会社であるとされています。
総資本は、貸借対照表の負債と純資産を合わせたもので、計算式では「総資本=(流動負債+固定負債+純資産)」であらわします。

負債は他人から調達した資本であり、純資産は自己調達した資本です。返済しなければならないかどうかの違いはありますが、どちらも会社のために調達した資金と考えることができます。
そして、会社を経営するうえでは、この総資本を大きくせず、収益やキャッシュ・フローを充実させることが大切とされています。

純資産÷総資本は大きいほど健全

貸借対照表から、その会社が安定して健全な経営をしているかどうかは、純資産を総資本で割った比率でみることができます。
純資産は返済の必要のない自己資本です。総資本の中に占める純資産の割合が大きければ大きいほど、返済の必要のない資金で会社が運営されていることを意味します。

逆にこの割合が小さいと、借金が多い会社と考えられるので、利息と元本の返済が会社の負担となっていると考えることができます。

流動資産>流動負債

貸借対照表では、資金繰りがうまくいっているかどうかをみるときには、流動資産と流動負債の大きさに着目します。
上記図の①の流動資産が③の流動負債より大きい会社は、「すぐに出て行くお金より、すぐに入ってくるお金の方が多い」ことを示しています。

流動資産はその会社の営業サイクル内か1年以内に換金可能な資産であり、流動負債はその会社の営業サイクル内か1年以内に返済すべき負債です。もし、流動負債が多く流動資産が少なければ、その会社は資金ショートをおこし経営状態が危うくなる可能性があります。
したがって、貸借対照表でみたときに、流動資産が流動負債より大きければ大きいほど、余裕のある会社といえることになります。

固定資産<固定負債+純資産

固定資産が、固定負債+純資産より大きいケースは、長く保有する固定資産を、安定した資金である「固定資産」と返す必要がない資金である「純資産」で購入したということを示しています。

この時、もし固定負債と純資産を合わせた金額より固定資産が大きいと、固定資産を購入するための資金に、短期的に返済しなければならない流動負債が含まれていることになります。

固定資産はすぐに現金化できない資産ですので、固定負債と純資産を合わせた金額より固定資産が大きいと、資金ショートを起こし経営状態が危うくなる可能性があります。

したがって、貸借対照表でみた時には、固定負債と純資産を合わせた金額より固定資産の方が小さい状態になっていることが大切です。

貸借対照表を賢く作成する方法

貸借対照表は、自社だけで作成しようとすると手間と時間がかかります。

しかし、会計ソフトを導入すれば、貸借対照表をほぼ自動で作成することができるだけでなく、貸借対照表の中の流動資産・固定資産・流動負債・固定負債・純資産のバランスや比率を数字として表示してくれますし、バランスや比率に問題点があれば、指摘してくれることもあります。

貸借対照表には、会社の財政状態を知るために必要な情報がたくさん含まれていますが、会社の経営成績を把握するためには、損益計算書も重視していかなければなりません。会計ソフトを用いれば、損益計算書と貸借対照表を同時に効率的・効果的に分析することができます。

会計ソフトを有効活用して、会社の経営成績と財政状態を把握し、分析結果をみて問題点を発見し、今後の経営に役立てていきましょう。

まとめ

以上、貸借対照表についてご紹介しました。
これまで述べてきたように、貸借対照表は経営を行うにあたって必要な情報がたくさん含まれていますので、正確に損益計算書や貸借対照表を作成し、経営分析を行ううえで大変重要です。
クラウドの会計ソフトfreeeを導入すれば、損益計算書や貸借対照表などの決算書は、自動的に作成することができます。

また、関連記事として損益計算書(P/L)について興味ある方は以下から併せてご覧ください。

損益計算書(P/L)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめを読む

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