長期借入金とは?短期借入金との違い・よくある仕訳

公開日:2022年01月26日
最終更新日:2024年05月28日

この記事のポイント

  • 「長期借入金」とは、決算日の翌日から起算して1年を超えて返済する借入金のこと。
  • 長期借入金の返済期限が1年以内となったら、「短期借入金」に振り替える。
  • 決算日後1年以内に返済期日が到来する金額は「1年以内返済予定の長期借入金」とする。

 

「長期借入金」とは、決算日の翌日から起算して1年を超えて返済する借入金のことです。一方、決算日の翌日から起算して返済期日が1年以内に到来しない借入金は「短期借入金」に区分します。
 

長期借入金の豆知識

長期借入金は、基本的に設備投資などの長期にわたる資金のための借入で、返済期限が1年を超える借入金です。
決算日後1年以内に返済期限が到来する金額については、「1年以内返済予定の長期借入金」として流動負債の部に計上しなければなりません。
関係会社からの借入金は、他の長期借入金とは区別して表示する必要があります。長期借入金に含めて記載する場合には、貸借対照表注記が必要です。これは、グループ企業内での資金の融通を第三者に明確にするためです。
また、借入金の担保に提供されている資産がある場合には、貸借対照表の注記として担保提供資産と対応する債務額(借入金残高)を記載する必要があります。
なお業績が悪化した会社の救済措置として、貸付金を株式に交換する「DES」という手法があります。
これは、長期借入金が資本に交換され、返済や利息の支払いが不要となり、利益が出た段階で配当することになります。
詳細については税理士に相談してみましょう。

長期借入金とは

長期借入金とは、決算日から1年を超えて返済期限が到来する借入金です。
借入金は、1年基準(ワン・イヤー・ルール)を適用して「短期借入金」と「長期借入金」に区分され、決算日(貸借対照表の日付)から起算して返済期限が1年超の借入金は、「長期借入金」となります。

(1)長期借入金に該当するもの

長期借入金に該当するものとしては、以下のようなものがあります。

・銀行からの借入金
・関連会社からの借入金
・役員からの借入金
・個人からの借入金
・親会社からの借入金

通常、借入金といえば金融機関からの借入金ですが、設立して間もない時期は金融機関からの借入が難しく、関係会社や役員、従業員から資金を借り入れる場合もあります。
このような場合には、会社の外部からの借入と区別するために「関係会社長期借入金」「役員長期借入金」「従業員長期借入金」のように区分表示するか、貸借対照表に注記するようにします。

(2)「1年以内返済予定長期借入金」とは

長期借入金は、通常は分割返済となります。
そこで、決算日後1年以内に返済期日が到来する金額については「1年以内返済予定の長期借入金」として、流動負債の部に計上します。
通常は、長期借入金全額を長期借入金として残高管理をして、決算時に組替仕訳によって流動負債に組み替える方法が便利でしょう。

(3)長期借入金は貸借対照表の「固定負債」

長期借入金は、貸借対照表の「固定負債の部」に区分されます。
貸借対照表の「負債の部」には、将来支払う債務が表示されていて返済期限が1年以内のものを「流動負債」とし、1年超のものを「固定負債」として区分します。

流動負債と固定負債を区分する基準には、「1年基準(ワン・イヤー・ルール)」と「正常営業循環基準」があります。
「正常営業循環基準」とは、商品の仕入れなど通常の営業循環過程にあるものを流動負債に分類するという基準です。この基準によって正常営業循環過程にある買掛金や支払手形は流動負債に区分されます。

一方「1年基準(ワン・イヤー・ルール)」とは、貸借対照表の日付(決算日)から1年以内に返済しなければならない負債を「流動負債」とし、1年超の負債を「固定負債」と区分します。

このように流動負債と固定負債を区分する基準には、「1年基準(ワン・イヤー・ルール)」と「正常営業循環基準」がありますが、まずは「正常営業循環基準」に基づいて流動負債を決定し、それ以外のものについて「1年基準(ワン・イヤー・ルール)」で流動・固定の分類をします。

負債の部の主な勘定科目

流動負債
支払手形 買掛金債務の支払いのために振り出した約束手形や引き受けた為替手形
買掛金 原材料や商品を購入することで生じた支払先に対する債務
短期借入金 銀行から借り入れた借入金等で、決算日から1年以内に返済予定のもの
未払金 主な営業取引から生じる債務である買掛金以外の固定資産の購入代金や有価証券の購入代金の未払額
未払法人税等 法人税、道府県民税、事業税、市区町村民税の未払額
預り金 報酬、給与から差し引いた源泉所得税や営業上生じた短期の預かり保証金
賞与引当金 次期になって支払う予定の賞与の当期負担見積額
固定負債
社債 社債の発行により外部から調達した資金
長期借入金 貸借対照表の日付から起算して返済期限が1年超の借入金
退職給付引当金 従業員の退職一時金、退職年金のための引当金

借入金の安全分析

会社は、売上の減少などの理由でお金が思うように入ってこなくなってくると、商品代金や給与の支払のために、借入を行います。
しかし、借入できるお金には限度というものがあり、銀行からお金を借りられなくなると会社は倒産してしまいます。

そこで、会社の借入金が適正な範囲なのか否かは、常に把握しておくことが重要です。
このように借入金の適正範囲を見る指標として、代表的なものに「自己資本比率」「固定比率」「固定負債比率」などがあります。

(1)自己資本比率

会社の借入金が適正な範囲なのか、そうではないのかを判断する指標として「自己資本比率」があります。

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資本 × 100

総資本とは、「自己資本+他人資本」です。
「他人資本」とは、会社が他人から調達した資金であり、自己資本とは、第三者に返済する必要のない資金です。したがってこの比率が高い会社ほど、返済不要の資本を元手に事業を行っているということになり、長期の安全性は高く経営が安定することになります。

▶ 自己資本比率|会社経営の「安全性」をあらわす指標

(2)固定比率

長期的な視点から安全性を見る指標として、「固定比率」があります。
固定比率は、固定資産を自己資本で割って計算します。

固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100

固定資産は、いちど購入すれば数年間は使用しますし、事業に使用してお金を生み出す期間も長期にわたります。
そこで設備投資などの固定資産は、「できるだけ借入金ではなく返済義務のない自己資金や株主からの出資で工面するのが望ましい」という考え方ができるわけです。

▶ 固定比率とは|計算式・業界平均値・分析の視点

(3)固定負債比率

固定負債比率とは、固定比率から流動負債を除外して、長期的な借入金を自己資本によってどれだけ担保しているかをあらわす指標です。
固定負債比率は、固定負債を自己資本で割って計算します。

固定負債比率 = 固定負債 ÷ 自己資本 × 100

財務体質を強化するためには、短期借入金から長期借入金へと、借入金をシフトしていくことが大切ですが、そうは言ってもあまりに固定負債比率が高い場合は、企業の資本構造について見直す必要があります。

長期借入金のよくある仕訳

長期借入金は、借入先が複数ある場合には、借入先ごとに補助科目を設定し管理します。
借入時には、契約書に添付する印紙や手数料、そのほかの諸費用が先に惹かれるので、それらは区別して処理をします。

(1)長期借入金について諸費用が差し引かれ振り込まれた

「銀行から600万円を借入期間3年で借入れた。印紙代1万円と初回の利息4,000円、信用保証料50万円、事務手数料1万800円が控除され、普通預金口座に入金された。」
借入時には、契約書に貼付する印紙や手数料、その他の費用が先に差し引かれて振り込まれることがあり、それぞれの勘定科目で仕訳をします。
借入時に控除された信用保証料は、いったん長期前払費用に計上し、期末に返済した月数に対応する分を按分計算して、支払利息に振り替えます。

借方 貸方
普通預金 5,475,200 長期借入金 6,000,000
支払利息 4,000
租税公課 10,000
長期前払費用 500,000
支払手数料 10,800

「長期借入金のうち返済期日を迎えた20万円が、利息3,000円とともに普通預金口座から引き落とされた。」

借方 貸方
長期借入金 200,000 普通預金 203,000
支払利息 3,000

(2)「1年以内返済予定の長期借入金」に振り替えた

「銀行から1,200万円を借入期間5年で借入れた。決算時に1年以内返済予定の長期借入金を計上した。利息は3.5%である。」

「借入時」

借方 貸方
普通預金 12,000,000 長期借入金 12,000,000

「返済時」

借方 貸方
借入金 200,000 普通預金 231,145
支払利息 31,145

「決算時」

借方 貸方
長期借入金 2,400,000 1年以内返済予定の長期借入金 12,000,000

まとめ

長期借入金は、決算の翌日から起算して1年を超えて返済することが予定されている借入金です。長期借入金のうち、決算日後1年以内に返済期日が到来する金額については、「1年以内返済予定の長期借入金」として流動負債の部に計上します。
返済時には、元本の返済と利息の支払いが一緒に行われるので、返済予定表などを確認して、それぞれの金額がいくらなのか確認し、勘定科目を間違えないように注意します。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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