副業、株取引…会社員でも確定申告する必要がある人、確定申告しないと損する人

公開日:2018年10月30日
最終更新日:2018年10月31日

目次

  1. 確定申告とは
  2. 会社員でも確定申告が必要な人
    • ①副収入が20万円を超える人
    • ②給与が2,000万以上の人
    • ③2カ所以上から給与をもらっている人
    • ④不動産(土地、建物)を売却した人
    • ⑤年金を受け取った人
    • ⑥贈与を受けた人
    • ⑦空き家となっていた実家を売却した人
    • ⑧年の途中で退職して再就職していない人
  3. 確定申告をしないと損する人
    • ①10万円を超える医療費がかかった人
    • ②株取引で損をした人
    • ③マイホームを取得した人
    • ④配偶者と離婚・死別した人
    • ⑤災難・盗難に遭った人
    • ⑥ふるさと納税などの寄付をした人

会社員などの給与所得者は、原則として確定申告をする必要はありません。
通常、会社員の場合には、毎月給料から所得税が源泉徴収されていて、会社が年末に年末調整を行うことで、所得税の納税手続きが完了しているからです。
しかし、会社員でも、副業などの収入が20万円を超える人や2カ所以上から給与をもらっている人、給与が2,000万円以上の人などは、確定申告を行う必要があります。

また、医療費控除寄付金控除雑損控除は年末調整では計算されないので、これらの控除に該当する人は、確定申告をすると税金が戻ってくる可能性があります。

確定申告とは

確定申告とは、個人や法人が所得税を納めるために税務署に申告する手続きです。
ただし、確定申告はすべての人が行わなければならない手続きというわけではありません。

例えば会社員などの給与所得者は、勤務する会社が代わりに申告・納税を行ってくれるので、原則として自分自身で確定申告を行う必要はありません。

※会社は、社員の給料や賞与から税金(所得税と住民税)と社会保険料を徴収し、税務署や市区町村、年金事務所に納めています。
さらに年末には「年末調整」を行って、それまで納めてきた所得税が多すぎたり少なすぎたりしないよう、徴収した所得税との過不足を調整しています。

年末調整の際には、1年間に支払った給与と社員が届け出た家族の数や生年月日、支払っている生命保険料や損害保険料などに基づいて1年分の所得税の額を計算し、徴収した所得税との過不足を調整するなどの作業を会社がまとめて行ってくれているのです。

会社員でも確定申告が必要な人

前述した通り、会社員は、原則として自分自身で確定申告を行う必要はありません。
しかし、以下のようなケースでは、確定申告を行なう必要があり、もし申告をしないでいると、無申告加算税というペナルティが科されてしまいます。

①副収入が20万円を超える人
②給与が2,000万以上の人
③2カ所以上から給与をもらっている人
④不動産(土地、建物)を売却した人
⑤年金を受け取った人
⑥贈与を受けた人
⑦空き家となっていた実家を売却した人
⑧年の途中で退職して再就職していない人

また、確定申告を行う必要がない人でも、申告することで税金の還付(税金が戻ってくること)を受けたり、税金を支払わなくて済んだりする場合もあります。
確定申告をすると得する人は、意外と多いのですが、それを知らないまま確定申告をしなかったため、恩恵を受けられないのは大変もったいないことです。

まずは、自分が確定申告すべきか否かについて確認し、該当する場合には、忘れずに申告をするようにしましょう。

「確定申告書のしくみ・種類・トクする書き方や相談方法」を読む

「確定申告の時期はいつ?確定申告期間中にすべきことは?」を読む

①副収入が20万円を超える人

執筆やアフィリエイト、FXなどで20万円以上の副収入がある人は、会社員でも「雑所得」として確定申告をする必要があります。所得税は、1年間の合計所得に対して課税されるからです。

この所得は収入から経費を差し引いた額なので、まずは経費がいくらかかったのか、所得金額がいくらになるかを確認することが必要です。
例えば商品を仕入れて売った場合には、仕入れの金額や送料などが経費になりますし、執筆業の場合には、調査のために購入した書籍などが経費になります。

なお、講演や執筆などの仕事の場合には、所得税が報酬からすでに源泉徴収されていることが多いので、その場合には確定申告することで払い過ぎた所得税が還付されることがあります。

※雑所得となる所得とは
他のいずれにも該当しない所得のことで、アフィリエイト・FX取引・原稿料・年金・恩給などが該当します。

なお、副業について確定申告をすると「会社に知られてしまうのではないか」と心配する方もいらっしゃると思います。
この場合、確かに確定申告をすると原則として副業の所得に対する住民税額が会社に通知されますので、副業のことが会社に知られることになります。
サラリーマンの場合には、住民税は特別徴収であり、給与から天引きされるのですが、確定申告をすると、原則として副業の所得も合わせた住民税額が会社に通知されるからです。

しかし、この時、確定申告する際に申告書第二票「住民税に関する事項」の「自分で納付」に○をつけておけば、会社に通知がいかなくなりますので、副業について会社に知られることはありません。後日税務署から副業分の住民税の納税通知書が届くので、案内に従って、自分で納付しましょう。

ただし、副業による収入が会社などからの給与所得の場合には、特別徴収でまとめられてしまうため、その場合には、会社に副業の件が知られてしまうことになります。
※副業の収入が給与である場合には、後述する「2カ所以上から給与をもらった人」のケースとなります。

②給与が2,000万以上の人

1年間の給与収入が2,000万以上の人は、年末調整が行われないので自分で確定申告をしなければなりません。
つまり、年末調整で行う社会保険料控除や配偶者控除などの計算がされていないので、自分で確定申告を行って所得控除を行わなければならないのです。
この際、所得が給与所得だけのケースであれば、税金が還付されるのがほとんどでしょう。

なお、確定申告しなければならない所得は、すべての給与、配当所得、不動産所得、原稿料、株式の売却益などです。
副収入で20万円以下の場合には、本来確定申告する必要はありませんが、すべての所得を合計した結果、確定申告が必要となった場合には、たとえ20万円以下の所得についても申告する必要がありますので、注意しましょう。

ただし、利子所得(預金などの利息)や、上場株式の配当(ただし、大口株主や申告分離課税を選択した場合には申告する必要があります)、非上場株式の少額配当、株式の売却(この場合は、上場株式を証券会社の源泉徴収ありの特定口座で売却している場合)などの所得は、申告する必要はありません。

③2カ所以上から給与をもらっている人

2カ所以上から給与をもらっている場合には、各会社で源泉徴収や年末調整をしても、正しい納税額を計算することができません。
そこで、給与を得ているすべての会社から源泉徴収票をもらって給与を合算し、給与所得を計算し直して自分で確定申告をする必要があります。
ただし、メインで働いている会社の給与以外の所得と退職所得以外の所得が20万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。

④不動産(土地、建物)を売却した人

不動産(土地、建物)を売却して利益が出た人は、譲渡所得として税金がかかるので、確定申告をする必要があります。
不動産の譲渡所得は、譲渡した年の1月1日時点で、その不動産を所有していた期間によって税率が異なります。
5年を超える土地・建物等は「長期譲渡所得」、5年以下の土地・建物等は「短期譲渡所得」となります。そして、「短期譲渡所得」で税率は39%(所得税30.63% 住民税9%)、5年を超えていれば「長期譲渡所得」になり税率は20%(所得税15.315% 住民税5%)となります。そして、長期譲渡所得のなかでも10年を超えている場合には、税率は14%となります。

譲渡した不動産が自分の住んでいるマイホームであった場合には、譲渡益が3,000万円までは税金がかかりません。さらに10年以上所有していたマイホームを譲渡した場合には、譲渡所得6,000万円までの税率が14%まで軽減されます。

さらに、マイホームを売却して損失が出た場合には、確定申告をすると給与などほかの所得から控除することができます。
※買替えで損が出た場合の特例は「マイホームを買い替えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」といいます。
また、住宅ローンが残っているマイホームを売却して損失が出た時の特例は「特定のマイホーム所の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」といいます。

これらの特例を使うと、損失額をその年の給与所得等から控除できます。そして、その年の所得から控除しきれなかった損失額は、最大3年間繰り越して控除することができます。
ただし、これらの特例を使うための要件は厳しく定められているので、適用されるか否かの判断は困難です。特別控除を適用したい場合には、税理士に相談するようにしましょう。

・「不動産にノウハウを持つ税理士一覧」を見る

⑤年金を受け取った人

給与のほかに、年金も受給している場合には、確定申告をする必要があります。公的年金などの収入が400万円超の人、400万円以下でも、その他の雑所得が20万円超えの人は、確定申告をする必要があります。
年金所得を確定申告する際、医療費控除や雑損控除があれば、払い過ぎた所得税が還付されます。
なお、給与をもらいながら年金を受け取る場合、給与の額によっては年金が調整され、支給が一部または全部ストップされることがあります。これを在職老齢年金制度といいます。

⑥贈与を受けた人

親などから110万円を超える贈与を受けた人は、贈与税の申告が必要です。
しかし、住宅を購入する場合に贈与を受けた場合には、「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」を利用すると贈与税がかかりません。基礎控除100万円と限度額700万円を足した810万円までが非課税になります(省エネ等住宅の場合は1,310万円まで)。

⑦空き家となっていた実家を売却した人

平成28年度の税制改正で、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が新設され、平成28年4月1日から平成31年12月31日までに相続して空き家となっていた実家を売った場合で、一定の要件を満たした場合には、確定申告をすると3,000万円の特別控除を受けることができます。
必要となる要件は数多くあって分かりにくいので、早めに税理士に確認するとよいでしょう。

「個人確定申告にノウハウを持つ税理士一覧」を見る

⑧年の途中で退職して再就職していない人

年の途中で退職して再就職していない人は、毎月の給料から所得税が源泉徴収していたのに、年末調整を受けていないことになります。
源泉徴収税額は、月々の給料から控除されますが、その給料は「年間を通して受け取った」と仮定した場合の所得税をベースに、計算しています。
このような場合には、多くのケースで税金を払い過ぎているので、年の途中で退職して再就職していない人は、確定申告をすると所得税が戻るケースが多いです。
なお確定申告をすれば、改めて市区町村に住民税の申告をする必要はありません。

確定申告をしないと損する人

所得控除とは、所得金額から控除できる金額のことですが、医療費控除、寄付金控除、雑損控除の3つは、年末調整で計算されません。ですから、これらの控除に該当する人は確定申告をすると税金が戻ってくることになります。
確定申告によって所得税が戻る場合には、最高で5年間は確定申告をすることができますので、早めに確認をするようにしましょう(ただし、確定申告をしていなかった年度に限ります)。

①10万円を超える医療費がかかった人

病気やケガなどで医療費(交通費、薬代含む)に該当する出費が、年間で10万円を超えるか所得の5%以上の医療費を支払った場合には、医療費控除を受けられる可能性があります。
控除額の上限は再考200万円までで、「医療費の額-保険金などで補てんされる金額-10万円」もしくは「合計所得金額の5%」のいずれか低い方が控除されます。

医療費控除の計算方法
「1年間に支払った医療費」-「保険金ほか各種補てん金」-「(給与所得金額200万円以上の人)10万円」もしくは「(給与所得金額200万円未満の人)総所得金額×5%」=「医療費控除 最高200万円」
例えば、出産費用として65万円を支払った場合で、加入している健康保険から出産育児一時金として42万円が給付された場合であれば、65万円から42万円を差し引いた額、つまり23万円からさらに10万円を差し引いた15万円が医療費控除として受けられる額になります。
年末調整では医療費控除はされないので、確定申告をしなければ税金はもどってきません。もれなく確定申告をするようにしましょう。なお、医療費控除は、自分の医療費だけでなく家族の医療費をすべて合計して申告することができます。
※インフルエンザなどの予防接種費用や美容上の費用、人間ドックの費用などは医療費控除の対象とはなりません。

「医療費控除|確定申告に必要な医療費控除の知識と還付を受けるために必要な手続き」を読む

②株取引で損をした人

株取引については、1年間のすべての取引を集計します。
株取引で損をした場合には、翌年以降の株式の売却益から損失を控除できるので、確定申告をして損失を繰り越した方がよいでしょう。
控除しきれなかった損失は繰り越して、翌年以降3年間の利益から控除することができます。
この制度を利用するためには、損失となった年度でも確定申告をする必要があります。

③マイホームを取得した人

住宅ローンを組んで自宅を購入すると、住宅ローン控除(住宅借入金特別控除)で税負担を軽減することができます。
ただし、すべての住宅ローンが対象となるわけではありません。
この住宅ローン控除の対象となるのは①返済期間が10年以上で、建物を購入するために金融機関から借り入れた借入金です。
親から借金した場合は、返済期間が10年未満の場合には、住宅ローン控除の対象にはなりません。また、土地だけ購入した場合も、対象となりません。

会社員の場合は、最初の年に確定申告をすれば、翌年からは務めている会社の年末調整で引き続き控除を受けることができます。

④配偶者と離婚・死別した人

配偶者と離婚・死別した人は、寡婦(寡夫)控除を受けられる場合があります。
下のチャートで寡婦(寡夫)控除を適用できるかチェックしてみましょう。

⑤災難・盗難に遭った人

台風や火災などで住宅や家財に損害を受けた場合には、税金を軽減する制度があります。住宅や家財に損害を受けた場合には、税金を軽減する制度があり、雑損控除(所得控除)と災害減免額(税額控除)のどちらかの控除を受けることができます。
両方適用することはできません。
また、合計所得が1,000万円を超える人は、雑損控除のみの適用となります。

⑥ふるさと納税などの寄付をした人

ふるさと納税をした人や、法律で定められた特定の団体や組織に寄付をした人は、寄付金控除を受けることで、税金が戻ってくる可能性があります。
個人住民税の還付金額は限度があるので、所得金額や寄付金額によっては、寄付金全額が戻るわけではありません。
なお、寄附金控除は「納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、『特定寄附金』を支出した場合には、所得控除を受けることができる制度です。
なお、専業主婦は所得税や住民税を納めていないので、「納税者」ではありません。いくらふるさと納税をしてもその他の寄付を行ったとしても、税制上のメリットを得ることはできません。

「ふるさと納税の確定申告|確定申告の方法と申告用紙の書き方まとめ」を読む

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