そもそも「控除」って何?節税になる所得控除、税額控除とは

公開日:2019年07月08日
最終更新日:2020年01月27日

目次

  1. 控除とは
  2. 所得控除
    • 雑損控除
    • 医療費控除
    • 寄附金控除
    • 社会保険料控除
    • 小規模企業共済等掛金控除
    • 生命保険料控除
    • 地震保険料控除
    • 寡婦(寡夫)控除
    • 障害者控除
    • 勤労学生控除
    • 配偶者控除
    • 配偶者特別控除
    • 扶養控除
    • 基礎控除
  3. 税額控除
    • 住宅ローン控除
    • 配当控除
    • 外国税額控除
    • 源泉徴収税額
    • 災害減免額
  4. 控除を受けるためには
    • サラリーマンの場合
    • 個人事業主などの場合
  5. まとめ
    • 税理士をお探しの方

所得税は収入金額の全額に対して課税されるわけではありません。

所得から一定の金額を差し引いたものに対して計算されたり、税金から直接一定の額を差し引いたりされて税額が計算されます。

それでは、このように納税額を減らすことができる「控除」にはどのような種類があるのでしょうか。

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控除とは

控除とは、「一定の金額を差し引く」という意味です。
納税額を減らすことができる控除には、大きく「所得控除」と「税額控除」があります。
「所得控除」は、課税対象となる所得金額を減らすことができる制度で、「税額控除」は、税金そのものを減らすことができる制度です。

所得控除

所得控除とは、申告する人の個人的な経済事情を、税金の計算に反映させる制度です。
所得税は、所得金額に対して直接課税されるわけではありません。
「申告する人に、家族がいるか」「障害者がいるか」「家族に所得はあるか」など、個人的な経済事情が税金に反映されるのです。
所得控除は、全部で14種類あります。
サラリーマンは、会社が年末調整してくれるので、改めて所得控除を申告する必要はありません。しかし、医療費控除、雑損控除、寄附金控除の3つについて所得控除を受けるためには、必ず確定申告をしなければなりません。

雑損控除

災害、盗難、横領によって住宅家財などに損失が生じた時に損失金額を控除できます。
雑損控除を受けるためには、

 ① 被害に遭ったのが「通常の生活に必要な財産」であること
 ② 損害の原因が震災や火災、盗難、横領などであること

が必要です。
詐欺や恐喝による被害は対象外となりますので、被害が急増している振り込め詐欺などには、この雑損控除は適用されません。
また、別荘や書画などのぜいたく品や店舗や機械などの事業用資産は、「通常の生活に必要な財産」ではないので、雑損控除の対象とはなりません。

雑損控除を受けるためには、サラリーマンも確定申告が必要です。申告書には、災害関連支出の金額の領収書を添付する必要があります。

雑損控除の控除額は、下記のうちどちらか多い方です。

正味の損失額-総所得金額等×10%
災害関連支出額-5万円

医療費控除

多額の医療費(10万円超)がかかった人が受けられます。
自分だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払った治療費も控除の対象となります。健康診断や美容整形のための費用や、栄養ドリンクなどは医療費控除の対象とはなりません。

平成29(2017年)年1月1日から令和3年(2021年)までの間、健康診断、予防接種等を受けている人を対象にセルフメディケーション推進のための所得控除が創設され、いわゆるスイッチOTC医薬品について、12,000円を超えて購入した場合には、その購入費用のうち12,000円を超える額(88,000円が限度)が所得から控除されます。
ただし、このセルフメディケーション制度は、医療費控除と併用はできず、選択適用となります。

医療費控除の控除額は、下記のうちどちらか多い方です。

正味の医療費-10万円
正味の医療費-総所得金額等×5%

「セルフメディケーション税制とは」を読む

寄附金控除

国や公益法人などに特定の寄附金を支払った人が受けられます。

寄附であれば何でもOKというわけではなく、特定の個人や私的な団体だけに利益が及ばないように配慮する必要があります。

地方の特産品がもらえるとして人気の「ふるさと納税」も、この寄附金控除のひとつです。なお、ふるさと納税については、ワンストップ特例制度が創設されました。サラリーマンなどの給与所得者で5団体までの寄附を行った人は、確定申告不要で控除を受けることができます。

寄附金控除の対象となるものは以下の通りです

① 国または地方公共団体に対する寄附金
② 指定寄附金
③ 特定公益増進法人に対する寄附金
④ 特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
⑤ 政治活動に関する寄附金
⑥ 認定NPO法人に対する特定寄附金

寄附金控除の控除額は、下記のうちどちらか多い方です。

特定寄附金の額-2,000円
(総所得金額等×40%)-2,000円

「寄附金控除とは|控除額と控除を受けるための提出書類」を読む

「ふるさと納税のやり方|図入りで分かりやすくご紹介」を読む

「ワンストップ特例制度(ふるさと納税)の2つのメリット・2つのデメリット」を読む

社会保険料控除

社会保険料控除は、国民健康保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料、介護保険料、後期高齢者保険料などを負担している人が受けられます。
生計を一にする配偶者や扶養親族が負担する保険料を支払ったり、給与から控除されたりする場合には、その全額を納税者本人の所得から控除することができます。

社会保険料の範囲は、以下の通りです。

① 健康保険
健康保険料
国民健康保険料
国家・地方公務員共済組合掛金
介護保険料
後期高齢者医療保険料

② 年金
厚生年金保険料、厚生年金基金掛金
国民年金保険料、国民年金基金掛金
国家・地方公務員共済組合掛金
確定拠出年金

③ 労働保険関係
雇用保険料
労災保険の特別加入お検量

社会保険料控除の控除額

1年間に支払った全額

「社会保険料控除とは|年末調整で必要な作業と計算方法」を読む

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済掛金、確定拠出年金などを支払っている人が受けられます。
小規模共済とは、個人事業主の退職金制度のようなもので、一定の加入用件を満たした人が掛金を支払っていれば、退職金のようなものがもらえる制度です。

また、個人型確定拠出年金(iDeco)も毎月拠出する掛金が所得控除の対象となります。
受け取る時には、公的年金等控除または退職所得控除の対象となります。

小規模企業共済等掛金控除の控除額

1年間に支払った全額

「iDeCo(イデコ)|個人型確定拠出年金を知識ゼロから理解する」を読む

生命保険料控除

生命保険、個人年金、介護医療の保険料を支払っている人が受けられます。
控除を受けるためには、保険金の受取人のすべてが契約者本人または本人の配偶者、親族となっていることが必要です。

サラリーマンの場合には、控除額を給与所得者の保険料控除申告書の所定欄に記入して、会社に提出すれば、年末調整の際に控除を受けることができます。

生命保険料控除<の控除額

支払金額から計算(最高12万円)

「生命保険控除・地震保険控除|確定申告書の書き方・控除額の計算方法」を読む

地震保険料控除

地震保険などの損害保険料を支払っている人が受けられます。

居住用家屋、生活用動産を保険または共済の目的としていて、かつ地震等を原因とする火災などによる損害にかかる保険料または掛金の全額がその年分の総所得金額から控除されます(ただし最高5万円まで)。

地震保険料控除の控除額

支払金額から計算(最高5万円)

寡婦(寡夫)控除

配偶者と離婚または死別した寡婦(寡夫)が受けられます。

総所得金額が基礎控除額以下の子どもがいるか、または合計所得金額が500万円以下であれば、寡婦となります。寡夫の場合には、合計所得金額が500万円以下で、かつ扶養親族である子どもがいることが条件となります。

寡婦(寡夫)控除の控除額

27万円(特別の寡婦に該当する時は35万円)

障害者控除

自分や控除対象配偶者、扶養家族が障害者の場合に受けられます。
同居している扶養親族や控除対象配偶者が特別障害者である場合には、扶養控除、配偶者控除の額に35万円の控除を加算する措置について、年少扶養控除(満16歳未満)が平成23年(2011年)に廃止されたことによって、特別障害者控除額40万円に35万円を加算する特例が設けられました。

障害者控除の控除額

1人につき27万円
特別障害者は1人につき40万円
同居特別障害者は、1人につき75万円

勤労学生控除

納税者自身が勤労学生に該当する場合に受けられます。
アルバイトをしている学生本人が、自分の収入から勤労学生控除を差し引けるのは、給与収入が130万円までです。
勤労学生控除を受けるために確定申告をする時には、通っている学校が発行した証明書を確定申告書に添付する必要があります。

勤労学生控除の控除額

27万円

配偶者控除

合計所得が38万円以下の配偶者がいる人が受けられます。
平成30年(2018年)から、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、適用がなくなりました。
控除額は、納税者本人の合計所得金額によって異なります。

配偶者控除の控除額

納税者や配偶者の所得により異なる

配偶者特別控除

配偶者の合計所得が38万円超123万円未満で、配偶者控除を受けられない配偶者のいる人が受けられます。
この配偶者特別控除も、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、適用がなくなりました。

配偶者特別控除の控除額

納税者や配偶者の所得により異なる

「配偶者特別控除申告書【年末調整】の確認ポイント(記入事例付)」を読む

扶養控除

合計所得が38万円以下の子どもや両親、兄弟姉妹などの扶養親族のうち、控除対象扶養親族がいる人が受けられます。
扶養控除の額は、非扶養親族の年齢によって異なります。

扶養控除の控除額

年齢や同居の有無で異なる(38万円~63万円)

「扶養控除等申告書【年末調整】の記入事例と確認ポイントで解説!」を読む

基礎控除

基礎控除は、誰でも無条件に受けられる控除です。

基礎控除の控除額

38万円

「基礎控除とは|控除額・計算方法・還付の方法」を読む

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税額控除

税額控除は、控除額がそのまま直接所得税から差し引くことができる制度です。

所得控除は所得から一定額を差し引くことができる制度でしたが、この税額控除は、最終的に計算された所得税額から直接差し引けるので、所得控除より税額控除の方が節税効果は大きいということになります。

住宅ローン控除

住宅ローンを組んで、マイホームを新築・購入・増改築した人が受けられます。
控除額は住宅ローン残高をもとに計算します。
控除を受けるためには、サラリーマンも最初の年には確定申告をする必要があります。

また、住宅ローン控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
(※ただし、税改正によって要件が変更になることもありますので、要件については税理士に確認するようにしてください)。

①合計所得金額が3000万円以下であること
②ローン返済期間が10年以上であること
③所得または増改得してから6カ月以内に住むこと
(④住宅の床面積が50㎡以上であること
⑤中古住宅の場合は建築後20年以内、中古マンションの場合は建築後25年以内の物件であること(一定の新耐震基準等の適用あり)

住宅ローン控除の控除額

通常住宅の場合…最高40万円
認定住宅の場合…最高50万円

「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)|必要な手続き&記入例」を読む

配当控除

配当所得のある人が受けられます。
配当所得とは、法人から受ける利益の配当、基金利息、証券投資信託の利益の分配による所得のことです。

配当控除の控除額

課税総所得1,000万円以下…配当所得×10%(一定のものは5%)
課税総所得1,000万円超え…別の計算式で計算

外国税額控除

納付した外国所得税などがある人が受けられます。
これは、国際的な二重課税を防止するために設けられた制度です。

外国税額控除の控除額は、下記のうちどちらか多い方です。

その年の外国所得税額
その年分の所得税額×(その年分の国外所得総額÷その年分の所得総額)

「国際税務とは|海外進出する時に検討すべき事項とは」を読む

源泉徴収税額

源泉徴収制度は、国が会社に対して給与にかかる所得税の徴収事務を代行させている制度です。収入から天引きされ、会社などを通して既に支払った税額なので、支払い済の所得税と復興特別所得税を控除することができます。

源泉徴収税額の控除額

支払い済の所得税と復興特別所得税

「源泉徴収票の見方|項目別チェックポイント」を読む

災害減免額

自然災害や火災などで、住宅や家財に損害を受けた人が受けられます。
災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険等で補てんされる額を除く)が、その時価の2分の1以上で、かつ災害に遭った年の所得金額の合計額が1000万円以下であれば、災害減免法の適用を受けることができます。
ただし、所得控除の「雑損控除」とは選択適用となります。

災害減免額の控除額

所得金額の合計によって異なります。

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控除を受けるためには

所得控除や税額控除の適用を受けるためには、原則として確定申告が必要です。
サラリーマンも一定の場合には確定申告が必要となりますし、個人事業主は毎年確定申告をしなければ控除を受けることはできません。

サラリーマンの場合

サラリーマンは、会社で年末調整をしてくれるので通常は確定申告は不要ですが、医療費控除、雑損控除、寄附金控除の3つについては、確定申告をする必要があります。
また、住宅ローン控除の適用を受けるためには、最初の年だけ確定申告をする必要があります。

申告をすればその分税金が戻ってくるので、忘れずに申告するようにしましょう。
確定申告というと、難しいイメージを持つ人も多いと思いますが、会社からもらった源泉徴収票から書く数字を転記し、該当する控除を記入して税額を計算するだけで作成することができます。
以下の記事で、各パターン別に確定申告書の作成方法をご紹介していますので、参考にして下さい。

「年末調整しているサラリーマンで確定申告が必要な場合、した方がいい場合」を読む

個人事業主などの場合

個人事業主は、毎年確定申告をしなければなりません。
適用できる控除があるのに、確定申告で申告をし忘れてしまうと、その分多く税金を払うことになってしまいますので、注意しましょう。
個人事業主の確定申告についても、以下の記事で、各パターン別に確定申告書の作成方法をご紹介していますので、参考にして下さい。

「個人事業主の節税|経費を増やして税金を減らす11の方法」を読む

「個人事業主・フリーランスの確定申告に必要な書類、手続き」を読む

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まとめ

  • 控除とは、「一定の金額を差し引く」という意味。
  • 控除には大きく所得控除と税額控除がある。
  • 適用される所得控除や税額控除の種類や額が多ければ多いほど節税効果がある!

以上、「控除」の意味や、節税になる所得控除や税額控除についてご紹介しました。
所得控除と税額控除は、どちらも納税額を減らすことができる制度ですが、所得金額から一定額を差し引くことができるのが「所得控除」で、最終的な納税額から一定額を差し引くことができるのが「税額控除」です。
混同しないように注意し、適用できる控除はもれなく適用を受けるようにしましょう。

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