年末調整における扶養控除等申告書の記入例と確認するべきポイントを解説

公開日:2019年04月01日
最終更新日:2019年10月07日

目次

  1. 年末調整で配布・回収する書類
    • 扶養控除等(異動)申告書
    • 配偶者特別控除申告書
    • 保険料控除申告書
    • 住宅借入金等特別控除申告書
  2. 扶養控除等申告書の記入例と確認するべきポイントを解説
    • 必要な扶養控除等(異動)申告書は「当年分」と「翌年分」の2枚
    • まず住所地を確認する
    • 扶養親族の年齢は「年末時点」
    • 障害者の扶養親族欄には人数も記入
    • 16歳未満の障害者は扶養控除対象
    • 「所得の見積額」は控除後の「所得」を記入
    • 配偶者特別控除
    • 年金受給者の場合の処理
  3. まとめ
    • 年末調整を依頼したい方

年末調整で配布・回収する書類

年末調整を行う際に、必ず事前に「扶養控除等(異動)申告書」「配偶者特別控除申告書」「保険料控除申告書」「住宅借入金等特別控除申告書」を準備し確認しなければいけません。
なかでも、「扶養控除等(異動)申告書」は、扶養控除人数の出し方など分かりにくい箇所が多く、記入漏れや記入ミスの多い書類です。
年末調整では、これらの書類を回収し添付書類とあわせて、記入漏れや記入ミスがないかをチェックする作業が非常に重要になります。

扶養控除等(異動)申告書

扶養控除等(異動)申告書は、全員必須で提出してもらう書類です。
従業員が氏名、生年月日、所得、12月31日時点の控除対象配偶者、控除対象扶養親族、障害者、寡婦、夫、勤労学生などを記入します。
年末調整はこの申告書をもとに行いますので、従業員で提出し忘れている人がいる場合には、早急に提出するよう指導をするようにしましょう。(詳細は後述)

配偶者特別控除申告書

配偶者特別控除申告書は、給与の支払を受ける人(給与所得者)が、年末調整で、配偶者控除や配偶者特別控除を受けるために必要な書類です。
合計所得金額が1,000万円を超える給与所得者については、配偶者控除の適用を受けることはできません。また、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は38万円超123万円以下となりました。

保険料控除申告書

保険料控除申告書は、生命保険料や地震保険料の他、個人型確定拠出年金(個人型401k)の掛金などを払った人が、所得控除を受けるために使います。
給与で天引きされている以外の健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料については、記入不要です。

住宅借入金等特別控除申告書

住宅借入金等特別控除申告書は、住宅ローンを利用して家を購入したり、新築・増改築したりした場合に、控除を受けるために必要な書類です。

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扶養控除等申告書の記入例と確認するべきポイントを解説

年末調整は、原則として「扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員全員について行われます。
ただし、給与総額が2,000万円以上の人、中途退職者で再就職の予定がある人、2カ所以上から給与を受けている人で、扶養控除申告書を自社以外に提出している人などは、年末調整の対象となりません。

必要な扶養控除等(異動)申告書は「当年分」と「翌年分」の2枚

申告書は実務上、当年分と翌年分の2枚を配布・回収します。
前年回収した扶養控除等(異動)申告書は、当年の扶養控除で使われます。同じ用紙を年末に再度配布し、従業員に記入してもらうことで、変更があった場合の差額を年末調整で調整することになります。
翌年分は、翌年の毎月の給与計算の扶養控除額に使用します。

まず住所地を確認する

扶養控除等(異動)申告書でまず確認すべきなのは、従業員本人の住所です。
住所地は、年末調整をした翌年1月1日の住所となります。
2019年の年末調整であれば、2019年分も2020年分も、2020年1月1日の住所になります。
引越しをしたのに、昨年と同じ住所のままで提出してしまうこともありますので、しっかり確認を行うようにしましょう。

扶養親族の年齢は「年末時点」

所得控除の対象となる扶養親族には、年齢要件があるものがあります。そして、年齢によって以下の通り控除額が変わってきます。
扶養控除等(異動)申告書では、控除対象扶養親族(または特定扶養親族、同居老親、その他の老人扶養親族)や、障害者の数、寡婦、寡夫、勤労学生などの確認を行うことになります。
申告された控除対象扶養親族や障害者などが、控除の対象となるかどうか確認するようにしましょう。

(1)扶養親族および控除対象扶養親族
扶養親族とは、所得者と生計を一にする次に掲げる人で、合計所得金額が38万円以下の人をいいます。
① 親族(配偶者を除きます)
② 児童福祉法の規定により里親に委託された原則として18歳未満の児童
③ 老人福祉法の規定により養護受託者に委託された原則として65歳以上の人

控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、年齢16歳以上の人をいいます。
控除額は、その年分の合計所得金額から控除対象扶養親族1人につき38万円です。

(2)特定扶養親族
特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、年齢19歳以上23歳未満の人をいいます。
控除額は、その年分の合計所得金額から控除対象扶養親族1人につき63万円です。

(3)老人扶養親族
老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち年齢70歳以上の人をいいます。
控除額は、その年分の合計所得金額から控除対象扶養親族1人につき48万円です。

(4)同居老親親族
同居老親親族とは、老人扶養親族のうち、次のいずれにも該当する人をいいます。
① 所得者またはその配偶者の父母や祖父母
②所得者または配偶者のいずれかと同居している人

(5)障害者
障害者控除の金額は、障害者、特別障害者、同居特別障害者かで、控除額が異なります
「障害者」とは、所得者本人や控除対象配偶者、扶養親族で、児童相談所や知的障害者更生相談所などで知的障害者と認定された人などをいいます。
「特別障害者」とは、所得者本人や控除対象配偶者、扶養親族で精神上の障害により弁識する能力を欠く状況にある人をいいます。
「同居特別障害者」とは、特別障害者で、所得者本人、その所得者の配偶者またはその所得者と生計を一にするその他の親族のいずれかと同居している人です。
控除額は、障害者1人つき27万円、特別障害者1人つき40万円、同居特別障害者1人つき75万円です。

(6)寡婦(寡夫)
寡婦とは、夫と死別、離婚したあと婚姻をしていない人、夫の生死が明らかでない人をいいます。所得が500万円以下の場合には、「特別の寡婦」となります。
控除額は、その年分の合計所得金額から控除対象扶養親族1人につき27万円(特別の寡婦の場合は35万円)です。特別の寡婦に該当するか否かは、その年の12月31日の状況で判断します。

(7)勤労学生
勤労学生とは、次の①~④のすべての要件に該当する人です。
① 次のいずれかに該当すること
・学校教育法に規定する学校の学生、生徒、児童
・国や地方公共団体、私立学校法に規定する学校法人またはそれに準ずるものにより設立された専修学校・各種学校の生徒
・職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練学校の訓練生

②自己の勤労に基づく所得があること
③給与所得以外の所得後合計が10万円以下であること
④合計所得金額が65万円以下であること

控除額は、その年分の合計所得金額から27万円です。

障害者の扶養親族欄には人数も記入

障害者がいる場合には、番号に○印をつけて内容を記入します。
控除対象となるのは、本人、控除対象配偶者、扶養親族です。
本人と配偶者の欄には、○印だけつけますが、扶養親族欄には○印だけでなく人数も記入します。

16歳未満の障害者は扶養控除対象

税法上、16歳未満の子どもは扶養控除の対象となりません(そのかわり、児童手当が支給されます)。しかし、16歳未満でも障害者の場合には、扶養控除の対象となります。その場合には、「住民税に関する事項」の欄に記入します。
障害者の扶養親族欄にも○印と人数を記入します。
さらに「左記の内容」欄に、氏名や障害の状態(障害者手帳の種類や交付年月日」についても記入します。

「所得の見積額」は控除後の「所得」を記入

扶養親族の「所得の見積額」は、最も記入ミスの多い項目で。
控除対象となるのは、配偶者、扶養親族とも年間所得が38万円以下の場合です。
給与所得(103万円)-給与所得控除(65万円)=給与所得(38万円)であれば、「所得の見積額」には、給与収入ではなく、給与所得控除後の給与所得38万円を記入しなければなりません。
例えば、配偶者の見積額が50万円と記載されている場合、「50万円+65万円=115万円」となり103万円を超えてしまうので、配偶者控除から外れてしまうことになります。

配偶者特別控除

配偶者の年間所得は、38万円以下でないと配偶者控除は受けられません(ただし、合計所得金額が1,000万円を超える所得者は、配偶者控除の適用は受けられません)。
しかし、38万円を超えても配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下であれば、配偶者特別控除を受けることができます。
配偶者特別控除は、所得に応じて以下のように異なります。

引用:国税庁「改正後の配偶者控除額及び配偶者特別控除額の一覧表」

年金受給者の場合の処理

年金受給者の場合は、公的年金控除(65歳未満70万円、65歳以上120万円)があるため、公的年金の収入だけの場合は、65歳未満108万円以下、65歳以上158万円以下の人が控除対象となります。
なお、障害年金や遺族年金は非課税なので、所得見積額は0円と記入します。

まとめ

以上、年末調整における「扶養控除等(異動)申告書」の確認ポイントをご紹介しました。
所得控除の対象となる扶養親族には、対象となる親族が限定されていますし、年齢要件があり年齢によって控除額が変わってくるなど、分かりにくい点が多々あります。
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年末調整を依頼したい方

年末調整の依頼金額は事務所によって異なりますが、基本的には人数×1,000~3,000円ほどで対応してくれる場合が多いようです。
また、税理士事務所によっては顧問料に含んでいるケースもあるので顧問税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

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