【年末調整】配偶者控除等申告書の確認ポイント(記入事例付)

公開日:2019年04月17日
最終更新日:2022年07月12日

この記事のポイント

  • 配偶者(特別)控除は、給与所得者の合計所得金額が1,000万円以下であることが必要。
  • 配偶者控除は、配偶者の給与収入額が103万円以下であることが要件。
  • 配偶者特別控除は、配偶者の給与収入額が103万円超201万6,000円以下であることが要件。

 

配偶者控除とは、給与所得者と生計を一にする配偶者がいる場合に、一定の要件に該当するときに受けられる所得控除です。

サラリーマンなどの給与所得者は、年末調整の際に「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」に記入して会社に提出することで、配偶者控除・配偶者特別控除を受けることができます。

担当者は、各従業員から回収した「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」を確認し、記入もれやミスがないか確認します。

配偶者控除と配偶者特別控除

給与所得者と生計を一にする配偶者がいる場合には、一定の要件に該当すれば、配偶者の所得額に応じた所得控除を受けることができます。

配偶者控除と配偶者特別控除については、令和2年から創設された「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」を従業員から回収し、各事項を確認します。

(1)配偶者控除を受けるための要件

配偶者控除とは、所得者に控除対象配偶者がいる場合、その所得者本人の所得金額の合計額から48万円(給与収入額103万円以下)を限度として、所得金額に応じた金額が控除されるという制度です。
ここでいう「控除対象配偶者」とは、その年の12月31日時点において、次の5つの要件をすべて満たす配偶者のことをいいます。

①民法の規定による配偶者であること(いわゆる「内縁関係」などは該当しない)
②本人(所得者)と生計を一にしていること(同じ家で共に生活していること)
③控除を受ける年の配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入額103万円以下)であること
④本人(所得者)の合計所得金額が1,000万円以下であること(給与収入が1,950万円以下であること)
⑤青色申告の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと(個人事業主などの場合、妻に対して給与を支払っていると控除対象配偶者に該当しない)

(2)配偶者特別控除を受けるための要件

配偶者特別控除とは、合計所得金額が1,000万円以下の人が生計を一にする配偶者(控除対象配偶者を除く)がいる場合に、受けることができます。
配偶者特別控除を受けるためには、以下の全ての要件に該当していることが必要です。

①民法の規定による配偶者であること(いわゆる「内縁関係」などは該当しない)
②本人(所得者)と生計を一にしていること(同じ家で共に生活していること)
③控除を受ける年の配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下(給与収入額103万円超201万6,000円未満)であること
④本人(所得者)の合計所得金額が1,000万円以下であること(給与収入が1,195万円以下であること)
⑤青色申告の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと(個人事業主などの場合、妻に対して給与を支払っていると控除対象配偶者に該当しない)

(3)配偶者(特別)控除の控除額

控除額は、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額及び配偶者の合計所得金額に応じて次の表のようになります。

【配偶者控除】

配偶者の
合計所得金額
控除可能な
配偶者の年収
配偶者の
年齢
納税者本人の合計所得金額
900万円以下
(給料のみの場合は年収1,095万円以下)
900万円超
950万円以下
(年収1,095万円超
1,145万円以下
950万円超
1000万円以下
(年収1,145万円超
1,195万円以下
48万円以下 103万円以下 69歳以下 38万円 26万円 13万円
70歳以上 48万円 32万円 16万円
【配偶者特別控除】

配偶者の
合計所得金額
控除可能な
配偶者の年収
納税者本人の合計所得金額
900万円以下
(給料のみの場合は年収1,095万円以下)
900万円超
950万円以下
(年収1,095万円超1,145万円以下
950万円超
1,000万円以下
(年収1,145万円超1,195万円以下)
48万円超95万円以下 103万円超150万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超100万円以下 150万円超155万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超105万円以下 155万円超160万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超110万円以下 160万円超166万7999円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超115万円以下 166万7,999円超175万1,999円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超120万円以下 175万1,999円超183万1,999円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超125万円以下 183万1,999円超190万3,999円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超130万円以下 190万3,999円超197万1,999円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超133万円以下 197万1,999円超201万5,999円以下 3万円 2万円 1万円
133万円超 201万5,999円超 0円 0円 0円

(4)配偶者控除等申告書とは

給与所得者の配偶者控除等申告書は、令和2年から創設された「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に記入します。

(5)(あわせて知りたい)基礎控除申告書

「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」は、基礎控除申告書も兼ねています。

基礎控除は、基本的に年末調整を行うすべての人に該当しますので、全員に出してもらいます。
基礎控除は、令和2年より所得要件が設けられ、2,500万円超の場合には、ゼロとなりました。

合計所得 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

(6)(あわせて知りたい)所得金額調整控除申告書

所得金額調整控除とは、給与等の収入金額が850万円を超えている人であっても、以下のいずれかに該当する場合には、給与所得控除後の給与等の金額から、「所得金額調整控除」を差し引くことができるとするものです。

該当する要件にチェックを入れ、扶養親族等の名前や個人番号等を記入すると以下の控除額を給与所得控除後の給与等の金額から差し引くことができます。

所得金額調整控除額=(給与等の収入金額-850万円)×10%

なお、「23歳未満の扶養親族」は、その文字のとおり「23歳未満」であり、0歳から対象となります。
夫婦ともに850万円を超えていて、23歳未満の子どもがいる場合には、夫婦ともに所得金額調整控除を受けることができます。
したがって、「扶養控除の対象ではないが、所得金額調整控除の対象ではある」というケースもありますので、注意が必要です。

まとめ

以上、年末調整における配偶者控除と配偶者特別控除について記入する「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」の確認ポイントや記載事例について、ご紹介しました。

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