分離課税|総合課税との違いは?「源泉分離課税」とは?

公開日:2019年10月26日
最終更新日:2019年12月17日

目次

  1. 分離課税とは
    • 課税方法は2つある
  2. 分離課税の特例「源泉分離課税」
    • 「源泉分離課税」は確定申告不要
  3. 分離課税の対象となる所得
    • 配当所得
    • 退職所得
    • 山林所得
    • 譲渡所得(土地建物・株券)
    • 利子所得
  4. 分離課税の確定申告
  5. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 所得税の課税方法には、「総合課税」と「分離課税」の2つの方法がある。
  • 分離課税の対象となる所得については、他の所得とは合算しないで計算する。
  • 分離課税の特例として、源泉分離課税がある。

 

所得税の課税方法には、「総合課税」と「分離課税」の2つの方法があります。
総合課税の対象となるのは、事業所得や給与所得などの所得で、これらの所得は合算して合計額に対して累進課税により課税します。

しかし、分離課税の対象となる所得については、他の所得とは合算せずにそれぞれの所得ごとに定められた税率により課税されることになります。

▶ 確定申告に強い税理士を探す

分離課税とは

分離課税とは、退職所得や山林所得などの特定の所得については他の所得と合計しないで、その所得だけに独自の税率をかけて所得税の計算をする方法です。

たとえば、退職所得(退職する際に支給される退職金)は分離課税の対象です。
退職金は、老後の生活資金ともなることから、他の給与所得や事業所得と合算して課税してしまうと納税額が大きくなり不適当である、という配慮から税負担を軽くする措置がとられています。

課税方法は2つある

所得税とは、1月1日から12月31日までの個人の所得に課される税金ですが、この所得は「どのようにしてその所得を得たか」によって、「事業所得」や「給与所得」など、10種類に分類されています。
そして、その所得の種類によって「総合課税」で計算するか「分離課税」で計算するかも決められています。

総合課税:1年間のその人が得た所得を合計して課税の対象とする計算方式。
総合課税の対象となる所得については、そのすべての所得を合計したうえで、各種の所得控除を差し引き、適切な累進課税率を掛けて納税額を計算します。

分離課税:他の所得と合計しないで独自の税率を掛けて税金を計算方式。
退職金を得た時や家を売却した時などに総合課税とすると、税負担が著しく大きくなってしまいます。そこで、税負担を軽くするために特別に分離課税が設けられているのです。
したがって、確定申告を行なう時には、自分の所得が何に該当するのか、そしてその所得が総合課税の対象か分離課税の対象かをまず確認する必要があります。

「所得税とは?10種類の所得税率と計算方法!」って何?」を読む

総合課税 分離課税
対象となるすべての所得を合計し、その合計金額が課税対象となる。 所得の種類ごとに個別に課税される
事業所得
配当所得
不動産所得
給与所得
山林所得
一時所得
雑所得
山林所得
土地建物等の譲渡による譲渡所得
株式等の譲渡所得
所定の利子所得及び一定の先物取引による雑所得等
配当所得
退職所得

▶ 確定申告に強い税理士を探す

分離課税の特例「源泉分離課税」

分離課税の特例として、源泉分離課税があります。
源泉分離課税の対象となる所得は「利子所得」で、利子や割引債の償還差益、金融類似商品などの利差益などが該当します。これらはそれぞれの税率で受取時に税金が天引きされています。

「源泉分離課税」は確定申告不要

「源泉分離課税」の最大の特徴は「確定申告をしなくてもよい」という点です。
分離課税の対象となる所得を得た場合には、原則として確定申告をする必要がありますが、源泉分離課税では、収入が支払われる時に税金が差し引かれ、その収入を支払った支払元(法人など)が代わりに税金を納めるので、その時点で課税が完結します。

したがって、「利子所得」は分離課税の対象ですが、ふつうの分離課税と違って確定申告をする必要はありません。ただし、課税上の効果は変わりません。

▶ 確定申告に強い税理士を探す

分離課税の対象となる所得

分離課税の対象となる所得は、配当所得、退職所得、山林所得、譲渡所得(不動産屋株式の売却益)、利子所得(源泉分離課税)です。
前述したとおり、分離課税は所得ごとに定められた税率によって課税されますので、ここでは所得の種類ごとに内容や計算方法についてご紹介していきます。

配当所得

配当所得とは、株主や出資者が、株数や出資額に応じて法人から受ける剰余金の配当、投資信託の収益分配、みなし配当、基金利息などによる所得です。

①剰余金の配当、利息の配当
②剰余金の分配(出資に係るものに限る)
③基金利息
④投資信託(公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託を除く)の収益の分配
⑤特定樹液証券発行信託の収益の分配
⑥みなし配当

【計算式】
収入金額-その元本を所得するために要した借入金の利子

配当所得は原則として総合課税ですが、一定のものについては確定申告をしないで源泉徴収のみで課税を完了させる方法や申告分離課税を選択することもできます。

内容 源泉徴収税率 申告不要 申告分離課税 総合課税/th>
上場株式等の配当等
(公募株式投資信託の収益の分配含む)
大口株主が受け取る配当等を除く
20.315% 源泉徴収のみで課税完了 上場株式等の譲渡損との損益通算可能 配当控除可能
上記以外の配当等
(大口株主が受け取る配当・非上場株式の配当 など
20.42% 少額配当は所得税の確定申告は不要(住民税の申告は必要) 配当控除可能

退職所得

退職所得とは、退職する際に受ける退職金、一時金、またはこれらと同様の性質をもつ所得をいいます。
退職金は、長年の働きへの感謝という意味から支給されるものであり、また老後の生活を保障するという意味も持つことから、税金の負担が軽減される措置が設けられています。

【計算式】
(収入金額-退職所得控除額)×1/2

※平成25年から、会社の役員等で勤続年数が5年以下の場合には、1/2とする措置は廃止されました。

※退職所得控除は、以下のように計算します

勤続年数
20年以下:40万円×勤続年数(80万円以下は80万円)
20年超 :70万円×(勤続年数-20年)+800万円←40万円×20年分
1年未満の端数は1年に切り上げます。

なお、退職金を受け取る時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、退職金を支払う時の源泉徴収によって税金の清算は完了しています。しかし、この退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合には、税金を納め過ぎている可能性が高いので、確定申告することで税金が戻ってきます。

山林所得

山林所得とは、以下の所得をいいます。

①山林を伐採して譲渡したことによって生じた所得
②山林を伐採しないで譲渡したことによって生じた所得

※②の場合、山林所得に含まれるのは「木の部分」の譲渡による所得のことで、「木の部分」とともに譲渡した「土地部分」の譲渡による所得は、譲渡所得に含まれます。
山林を所得してから5年以内に譲渡した場合には、事業所得か雑所得となります。

【計算式】
総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)×1/2

譲渡所得(土地建物・株券)

譲渡所得とは、資産の譲渡による所得のことです。ただし、金銭債権や棚卸資産の譲渡による所得、山林の伐採または譲渡による所得は含まれません。
なお、譲渡には通常の売買のほか、交換や法人に対する贈与も含まれます。
これらの譲渡所得のうち、分離課税となるのは、土地等建物の譲渡、株式等の譲渡です。

【計算式】
収入金額(所得費+譲渡費用)-特別控除
※特別控除がある場合には、その額を引く。

利子所得

利子所得とは、公社債の利子や郵便局の預貯金の利子、合同運用信託や公社債投資信託の収益の分配にかかる所得をいいます。
前述したとおり、利子所得は源泉分離課税なので、確定申告などは不要です。
ただし、以下の利子収入には所得税はかかりません。

①納税準備預金の利子
②元本350万円以下の障碍者等の少額預金等の利子
③元本550万円以下の勤労者財形貯蓄(住宅または年金)の利子

【計算式】
利子所得の金額=収入金額

▶ 確定申告に強い税理士を探す

分離課税の確定申告

確定申告書の基本は、第一表、第二表の2枚ですが、分離課税をしなければならない所得がある時には、「申告書第三表(分離課税用)」という用紙も必要になります。

確定申告書第一表、第二表、第三表の記入方法については、以下の図を参考にしてください。



確定申告書Bの詳しい書き方については、以下の記事でご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。

「確定申告書Bの書き方を解説!確定申告書AとBの違いも」を読む

▶ 確定申告に強い税理士を探す

まとめ

以上、分離課税の意味や総合課税との違い、分離課税の対象となる所得などについてご紹介しました。
所得は10種類に分類され、それぞれ違う方法で税額を計算します。
まずは、自分の所得が何に当てはまるのかをまず確認し、そのうえでその所得が分離課税か総合課税か確認してから、税額計算を行なうようにしましょう。
所得の種類や計算方法を間違えてしまうと、税金を払い過ぎてしまうこともあります。自分の所得が何に該当するか分からない場合には、税理士に確認することをおすすめします。

税理士をお探しの方

税理士検索freeeでは2,000以上の事務所の中から個人の確定申告に強い税理士の認定アドバイザーを検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

確定申告に強い税理士を探す

確定申告のみ対応にノウハウを持つ税理士を探す

地域から確定申告のみ対応に実績がある税理士を探す

より細かいカテゴリから税理士を探す

人気記事

タグ一覧

業種

その他

PageTop