退職所得の受給に関する申告書|提出しないと税額計算が変わる理由

公開日:2019年12月23日
最終更新日:2019年12月23日

目次

  1. 退職所得の受給に関する申告書とは
    • 提出の有無で退職金の税額が大きく変わる
  2. 退職所得の受給に関する申告書を提出している場合
    • 退職所得控除を適用して税額計算する
  3. 退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合
    • 所得税と復興特別所得税は一律20.42%の税率
    • 確定申告すれば差額の還付が受けられる
  4. 退職所得の受給に関する申告書の記載例
    • 提出しなかった場合の確定申告の方法
  5. まとめ
    • 税理士をお探しの方
    • 会計ソフトの活用

この記事のポイント

  • 「退職所得の受給に関する申告書」とは、会社を退職して退職金を受け取る時に、退職前に勤務先に提出する申告書。
  • この申告を行わないと、退職所得控除が適用されない。
  • 提出の有無で、退職金の税額が大きく変わるので注意が必要。

 

会社を退職した時に退職金を支給された場合には、通常は退職する前に「退職所得の受給に関する申告書」を提出します。この申告書を提出した場合には、「退職所得控除」を適用した退職所得の計算が行われるため、税額が大きく軽減されます。
もし、この申告書を提出していない場合には、確定申告を行なうことで還付金を受けられる可能性があります。

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退職所得の受給に関する申告書とは

「退職所得の受給に関する申告書」とは、会社を退職して退職金を受け取る時に、退職前に勤務先に提出する申告書です。
記載すべき事項は所得税法で定められていて、国税庁ホームページからダウンロードすることもできますし、勤務先から用紙を渡されることもあります。この申告を行わないと、退職所得控除が適用されず、その退職手当等の金額につき20.42%の税率による源泉徴収が行われることとなります。


参照:国税庁「退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)」

提出の有無で退職金の税額が大きく変わる

「退職所得の受給に関する申告書」は、法律上必ず提出しなければならないというものではありません。
けれども、この申告書を提出した場合と提出しなかった場合とでは、所得税の計算方法が大きく異なります。

退職所得は、長年の働きに感謝し、その後の生活を保障するという意味合いも持つため、税金の負担が軽減される配慮がされています。「退職所得の受給に関する申告」を提出していれば、退職所得控除を適用することができるので大きく税金が軽減されます。
けれども、この「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、一律に退職金の20.42%の税率で計算した金額が源泉徴収されるので、税金を払い過ぎてしまうのです。
つまり、「退職所得の受給に関する申告書」は、退職金の税金を安くするための軽減制度の適用を受けるために必要な申告書ということになります。

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退職所得の受給に関する申告書を提出している場合

「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合には、退職所得控除を適用した退職所得の計算が行われます。

退職金は、従業員に対する慰労金もしくは給与の後払い的な性格をもっていて老後の生活を保障する意味合いもあります。
そこで、他の給与所得などとは区別して特別の軽減を図ることになっています。

退職所得控除を適用して税額計算する

退職金を受け取ると、一時的に高額な収入を得ることになりますが、それをそのまま給与などと同じ所得として計算すると、所得税率が高くなってしまいます。
そこで、退職金は「退職所得」として一般の所得とは分けて計算する分離課税方式がとられています。

退職金にかかる所得税は、退職所得の金額に税率を掛けて算出しますが、退職金に課税される税額は「退職所得控除」が適用されるので、大きく税金が軽減されます。

退職金から控除する所得税の計算例

(退職金の金額-※退職所得控除額)×1/2=課税退職所得金額
課税退職所得金額×税率=退職所得税

※退職所得控除は、以下のように計算します

勤続年数が
20年以下:40万円×勤続年数(80万円以下は80万円)
20年超 :70万円×(勤続年数-20年)+800万円←40万円×20年分
1年未満の端数は1年に切り上げます。

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退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、前述した「退職所得控除」が使えません。そこで、所得税および復興特別所得税は一律20.42%の税率で計算した金額が源泉徴収されてしまうことになります。
ただし、確定申告をすることで差額の還付を受けることができます。

所得税と復興特別所得税は一律20.42%の税率

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、所得税および復興特別所得税は一律20.42%の税率で計算した金額が源泉徴収されます。

退職金×20.42%=所得税および復興特別所得税

住民税は、「退職所得の受給に関する申告書」の提出があった時と同じ税額で源泉徴収されます。

たとえば、「退職所得の受給に関する申告書」の提出があった時とない時で比較してみましょう。
勤務年数は34年5カ月で、退職金2,500万円を受け取ったものとします。

「退職所得の受給に関する申告書」の提出があった時
退職所得控除を受けることができるので、以下の計算式で計算します。

退職所得控除額
70万円×(35年―20年)+800万円=1,850万円

課税退職所得金額
(2,500万円-1,850万円)×1/2=325万円

所得税および復興特別所得税
(325万円×10%-9万7,500円)×1.021=23万2,277円(1円以下切捨て)

「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合

2,500万円×24.42%=602万円

上記のように、「退職所得の受給に関する申告書」を提出して退職所得控除の適用を受けた場合には、大きく税額が軽減されることになります。

確定申告すれば差額の還付が受けられる

「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったために20.42%の税率で源泉徴収されます。その源泉徴収税額が退職所得控除の適用を受けて計算した金額より少ない時には、確定申告をすることで、差額の還付を受けることができます。
つまり、確定申告をすれば払い過ぎた税金を取り戻すことができるので、忘れずに申告するようにしましょう。

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退職所得の受給に関する申告書の記載例

「退職所得の受給に関する申告書」は、国税庁のホームページでダウンロードすることができます。また、勤務先から申告書を配布されることもあります。

①住所・氏名
退職し、退職金を受けた年(課税年)を記入します。氏名、住所、課税年の1月1日時点の住所を記入し、押印します。

②支払いを受けることになった年月日
一時金請求書を提出する日を記入します。

③申告書の提出先から受ける退職手当等についての勤続期間
対象となる期間を記入します。1年未満の端数は切り上げます。

④課税年中に他から受けた退職金等がある場合
対象となる勤続期間を記入します。

⑤重複期間について
③と④を合わせた重複期間を記入します。1年未満の端数は切り上げます。

⑥過去の退職手当
過去に退職手当等を受け、今回の退職手当等を計算するにあたり、過去の勤務期間を通算している場合に、記入します。

⑦源泉徴収
課税年中に他から退職手当等を受けた時に交付された退職所得の源泉徴収票に記載された内容を記入します。その源泉徴収票等は添付します。

提出しなかった場合の確定申告の方法

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、退職所得控除が適用されていません。また、退職した年の収入が少ない場合には、扶養控除や配偶者控除、基礎控除などの各種所得控除が控除しきれていないことがあります。
このような場合には、確定申告をした方が税金が戻ってくる可能性があります。「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておらず、確定申告をすることで差額の還付を受けたい場合には、退職所得の源泉徴収票を見ながら、以下のとおり確定申告書を作成して税務署に提出します。

確定申告書上の記入欄

記入する内容

ページ

大項目

中項目

小項目

No.

第二表

所得の内訳

収入金額

源泉徴収票の「支払金額」

所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額

源泉徴収票の「源泉徴収税額」

第三表

収入金額

退職

(ニ)

源泉徴収票の「支払金額」

所得金額

退職

(69)

以下を計算した金額

(源泉徴収票の「支払金額」-「退職所得控除額」)× 1/2

税金の計算

課税される所得金額

(69)対応分

(77)

(9)-(25)が黒字の場合は、(69)の1,000円未満の端数を切り捨てた数字

(9)-(25)が赤字の場合は、(69)+(9)-(25)の計算結果から1,000円未満の端数を切り捨てた数字

税額

(77)対応分

(85)

国税庁のサイトに記載された税率をもとに計算した税額を記入

退職所得に関する事項

所得の生ずる場所

源泉徴収票の「支払者」の「氏名又は名称」

収入金額

源泉徴収票の「支払金額」

退職所得控除額

源泉徴収票の「退職所得控除額」

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まとめ

以上、「退職所得の受給に関する申告書」についてご紹介しました。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、退職所得控除の適用を受けることができるので、所得税などが大幅に軽減されます。
ただし、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった時も、確定申告をすれば、払い過ぎた税金を取り戻すことができます。
源泉徴収票を見ても、退職所得控除が適用されているか分からない場合や、退職所得の受給に関する申告書・確定申告書の作成方法について不明点などがある場合には、税理士に相談してアドバイスを求めましょう。

税理士をお探しの方

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会計ソフトの活用

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クラウド会計ソフトfreee「退職金を受け取った場合の記入方法」

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