流動比率|意味・計算方法・判断する際のポイント

公開日:2019年11月11日
最終更新日:2022年11月18日

この記事のポイント

  • 流動比率とは、流動資産と流動負債の比率から会社の安全性を判断するための指標。
  • 基本的には、流動比率は高ければ高いほどよい。
  • 長期的な視点から安全性を判断するためには、流動比率とあわせて当座比率のチェックも必要。

 

流動比率とは、流動資産と流動負債の比率から会社の安全性を判断するための指標です。
この流動比率が100%ないと、資金繰りに注意する必要があります。ただし、流動比率が100%以上あったとしても、流動資産の内容が本当に価値のあるものかについて確認することが大切です。

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流動比率とは

流動比率とは、流動資産を流動負債で割ったもので、貸借対照表の流動資産と流動負債の比率から、会社の短期的な安全性を判断するための指標です。

流動資産とは、本来の営業活動で発生した売上債権や在庫などの資産と1年以内に現金回収される予定の資産であり、流動負債とは、営業活動で発生した仕入債務などの負債と、1年以内に返済する予定の負債です。

流動比率とは、この流動資産と流動負債のバランスから、短期的な支払い能力を判断するための指標です。

流動資産
現金預金、受取手形、売掛金、棚卸資産など基本的に1年以内に現金化される資産

流動負債
買掛金、未払金、借入期間が1年以内の短期借入金などが該当します。

(1)流動比率の計算式

流動比率は、この貸借対照表の左側にある流動資産を右側の流動負債で割って計算します。

流動比率(%) = 流動資産 / 流動負債 × 100

流動資産は1年以内に現金化される資産であり、流動負債は1年以内に返済しなければならない負債ですから、安定した資金繰りを考えるなら、流動負債の額を超える流動資産を持つ方がよいということになります。

流動比率は、流動資産の額を流動負債の額で割ったものなので、流動資産の額が流動負債の額を超えているならば、流動比率は100%を超えるはずです。つまり流動比率は、1年以内に返済すべきお金を流動資産で賄えているかを示すということになります。

(2)流動比率と当座比率との違い

流動比率と同じように会社の短期的な安全性を見るための指標として、「当座比率」があります。当座比率は、流動資産のなかでも換金性の高い当座資産を流動負債で割ることで計算します。

当座比率(%) = 当座資産 / 流動負債 × 100

当座資産とは、現金や預金のほか、売上債権(売掛金や受取手形)、有価証券などすぐに換金可能な資産をいいます。
当座資産が流動負債を超えているかどうかを見て、当座資産が流動負債を超えていれば、すぐに換金可能な当座資金で流動負債の全額を返済できることになるので、資金繰りの心配はないだろうと判断できるわけです。

この当座比率は、流動比率と比較すると「より現金化しやすい当座資産だけを見る」ことから、流動比率より短期の安全性をシビアに判断する指標といえます。

(3)流動比率以外の「安全性分析」の指標

流動比率や当座比率は、短期的な視点で安全性を判断するための指標でしたが、長期的な視点から安全性を判断するための指標としては、固定比率自己資本比率などがあります。
流動比率や当座比率のように支払い能力を見る指標ではありませんが、流動比率や当座比率の数値が悪い時に、固定比率や自己資本比率によって借金の依存度などについてチェックする際に活用することができますので、あわせて理解しておきましょう。

固定比率
固定比率は、固定資産を自己資本で割って計算します。

固定比率(%)=固定資産 / 自己資本 × 100

固定資産とは、工場の土地や建物、機械設備などすぐに現金化されるわけではない資産が該当します。そのため、固定資産の購入資金はできるだけ借入金ではなく、株主から投資を受けたお金や会社が稼いだ利益といった返済する必要がない自己資本で工面するのが望ましいということができるのです。

固定資産を取得するための資金が、どうしても自己資本だけでは賄えない時には、安全性の視点から見れば、できる限り長期の借入金で賄うことが重要といえます。

自己資本比率
自己資本比率は、自己資本を総資本で割って計算します。

自己資本比率(%) = 自己資本 / 総資本 × 100

自己資本比率とは、会社の借金が適正な範囲なのか、それとも危険水域に入ったかを示す指標です。
自己資本とは、株主が払い込んだ資本金や会社が設立してからの会社の儲けのなかから蓄積されてきた利益などのことで、返済不要の資本をいいます。

自己資本比率が高いということは、その会社は返済不要の資本を元手に事業を行っていることを意味しますので、自己資本比率が高ければ経営が安定していることを意味します。
自己資本比率は業種によって異なりますが、一般的には40%以上であれば、安全性に問題はなく20%を切ると危険水域レベルと判断することができます。

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流動比率の目安・分析

流動比率は高いほど安全性が高いということができ、一般的には200%を超えていれば流動負債の2倍の金額に相当する流動資産を所有しているということになり、かなり安全性が高いと判断されます。一方で100%を下回ると危険水域と判断されます。

しかし、流動比率が高ければそれで必ず安全性が高いと判断できるわけではありません。流動資産のなかには、現金以外のさまざまな資産が含まれていて、そのなかには実は換金しづらい資産が多く含まれている可能性があるからです。
また、流動比率は業種によって差があり、流動比率が低くてもそれほど安全性に心配はないという業種もあります。

ここでは、流動比率の業種別の平均値や、分析する時のポイントなどについてご紹介します。

(1)業種別で見る流動比率

流動比率は、業種によって差があります。
情報通信業やサービス業は、200%を超えていますが、卸売業や小売業などは流動比率が低くなる傾向があります。
同業他社と比較して流動比率が低ければ、改善するための対策を検討するようにしましょう。

業種別流動比率

業種 流動比率
令和元年度 令和2年度
建設業 178.8% 200.1%
製造業 189.6% 198.7%
情報通信業 244.8% 245.5%
運輸業,郵便業 160.3% 180.5%
卸売業 158.9% 172.9%
小売業 147.4% 160.7%
不動産業,物品賃貸業 151.1% 176.9%
学術研究,専門・技術サービス業 168.3% 189.2%
宿泊業,飲食サービス業 97.2% 154.9%
生活関連サービス業,娯楽業 148.3% 172.0%
サービス業(他に分類されないもの) 186.2% 183.0%

参照:e-Stat「中小企業実態基本調査 / 令和3年確報(令和2年度決算実績) / 確報」

(2)流動比率が100%を下回ると危険か?

流動比率は100%を上回るかどうかが、ひとつのポイントとなります。
流動比率が100%を下回ると、危険信号を発しているといえます。流動比率が100%を下回るということは、1年以内に資金が足りなくなり資金ショートを起こすリスクがあるといえるからです。
ただし小売業(スーパーなど)のように毎日現金が入ってくる業種であれば、流動比率が100%を下回っていたとしても、資金ショートを起こしづらい業種もあります。
また、電力会社も流動比率が低くなることが多いのですが、料金の回収はほぼ確実で資金化が早いので、安全性は問題ないと見ることができます。

(3)流動比率は流動資産の中身のチェックも必要

流動比率は高ければ高いほどよいと先程ご紹介してきましたが、流動比率が高ければ全く心配がないというわけではありません。
なぜなら、流動資産には商品などの在庫や仮払金、短期貸付金なども含まれますが、これらの資産は1年以内に資金化されるとは言いきれないものが多く含まれている可能性があるからです。たとえば、商品などの在庫は売れなければ現金化されません。つまり、「いざ流動資産を換金しようとしても、実は貸借対照表に計上されている帳簿価額の半額程度でしか売却できなかった」ということもあり得るわけです。

したがって、商品などの在庫や仮払金、短期貸付金などの流動資産が大きいために流動比率が高くなっているだけという場合には注意が必要です。

(4)当座比率でシビアなチェックも必要

流動比率より安全性をシビアに判断する当座比率は、100%を超えていれば安全と言われています。しかし、当座比率が高くても、当座資産に含まれる売上債権が、流動負債のなかの仕入債務と比較して極端に多額である場合には、それほど安心することはできません。
当座資産には、回収不能な売掛金などが含まれていることがあるからです。
したがって当座比率が高い場合も、流動比率の時と同じように当座資産の中身まで、しっかり確認する必要があります。

(5)「流動比率が高い=無借金」はベストか

これまで流動比率は高いほど会社の安全性は高いとご紹介してきましたが、実は流動比率が高ければよいとは言い切れないケースもあります。
たとえば、信用力がないために掛け取引ではなく現金決済となっている場合には、流動負債が少なくなります。その結果流動比率が高くなっているというのであれば、それはそれで問題があります。

また、単に、流動負債が極端に少ないから流動比率が高くなっている場合もあります。たとえば、無借金経営をしている会社は銀行などからの借入がないので流動負債が少なくなり、流動比率が高くなります。しかし、事業を大きくするためには必ずしも負債がゼロであることがベストとはいえないこともあります。無借金経営が良いとされるのは、競合が少ない業種や独占企業の場合です。競合が多い業種では、無借金経営をしていては事業を拡大するのに遅れをとってしまい、競争に負けてしまうリスクがあります。

したがって、無借金経営をしているせいで流動比率がよくても、将来競争に負けてしまう可能性があるようでは、ビジネスセンスという意味においてリスクがあるともいえます。

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流動比率を改善する方法

流動比率が100%を超えていない時には、資金ショートに注意が必要です。
流動資産や流動負債の中身を見直して短期的な資金調達先を確保し、売上債権の回収期間を短くしたり支払いまでの期間を長くしたり、決済条件の見直しをはかったりして、資金ショートを起こさないように対策を講じましょう。

(1)流動資産を増やす

流動比率を改善する方法として、「流動資産を増やす」という方法があります。
もっとも理想的なのは、「事業で利益を出して現金預金を増やす」ということですが、事業で利益を出すことは、それほどたやすいことではありません。そこで、不要な固定資産などを売却して現金化することを検討します。不要な固定資産を売却することで得たお金は流動資産となりますので、結果として流動資産が増えて、流動比率を改善することができます。

(2)流動負債を減らす

流動比率を改善する方法としては、「流動負債を減らす」ことも有効です。
理想的なのは、「事業で利益を出して買掛金や短期借入金などを返済すること」ですが、こちらも言うは易く行うは難しです。そこで、短期借入金を長期借入金に借り換えて流動負債を減らすことなどを検討します。長期借入金に借り換えることができれば、その分資金繰りに余裕を持つことができます。

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まとめ

流動比率は200%を超えていれば安全であり、少なくとも100%を超えている場合には、ひとまず安心できると判断できます。しかし、流動資産のなかに回収できそうもない売上債権がないか、使う見込みのない材料や部品はないか、短期貸付金の回収に問題はないか、などしっかり確認する必要があります。
また、流動比率が100%を下回っている時には、早めに対策を検討することが大切です。
税理士などに相談して、売上債権の中身を確認してもらい、必要な対策についてアドバイスを受けることをおすすめします。

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この記事の監修者:アトラス総合事務所

監修者

アトラス総合事務所

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流動比率とは、流動資産と流動負債との割合で、流動資産による流動負債の支払い能力を表すものです。
流動資産が1年以内の支払手段であり、流動負債は1年以内の支払義務であることから見て、流動比率は100%を超えていることが望ましいといえます。
ただし、流動資産のなかに不良資産があると表面的に流動比率が高く見えますし、スーパーなど短期の現金回収が早く支払いは掛け仕入で行うなど、相対的に決済が長い業種は、流動比率が低くなる傾向があります。
したがって、流動比率を見る場合には資産や負債の中身を正しく把握することや同業他社の指標と比較することが大切です。
会社が存続し続けるためには、最低限のキャッシュ・フローを稼ぎ続けなければなりませんから、常に将来を見据えた行動が大切ですが、そのための指標となるのが、流動比率などの決算書を活用した経営分析です。
収益性、安全性、成長性、生産性といった適切な経営指標を用いれば、会社の現状が把握、分析できるようになるだけでなく、将来の方向性や潜在的なリスクについて理解することができるようになり、経営者として意思決定し、戦略を実行することができるようになります。
アトラス総合事務所は、税務から労務、法務に至るまで、各分野の専門家が集結して法人・個人事業経営の総合サポートをご提供しております。
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