現金過不足の処理|勘定科目や仕訳例をわかりやすく

公開日:2022年02月23日
最終更新日:2024年03月17日

この記事のポイント

  • 「現金過不足」は、一時的に使う勘定科目である。
  • 「現金過不足」という勘定科目は、期中しか使用しない。
  • 「現金過不足」は、期末に相殺処理する。

 

現金の帳簿上の残高と実際の残高は、原則として一致します。
しかし、記帳ミスや紛失などによってこれが一致しない場合があります。
このような場合には、仮勘定として「現金過不足」という勘定科目を使い、一時的に計上します。
 

現金過不足の豆知識

現金過不足とは、帳簿上の現金残高と実際の現金残高が一致していない場合の差額を処理する時の勘定科目で、差額を計上して帳簿残高を手許現金に合わせます。
差額は月末までに内容を精査しますが、内容が不明な場合は雑収入や雑損失に振り替えます。
事業を行っていると、ある程度の現金過不足の発生はどうしても避けられないものではあります。しかし、あまりに多いと、税務署や金融機関から管理が疎かだと見られてしまいます。
したがって、雑損失や雑収入といった処理は最終手段と考え過不足が出ないような管理方法を検討します。
たとえば、インプレストシステムです。
現金が必要な場合は、本社経理からその口座に送金処理を行い、現金と受領した領収書や伝票の合計は、送金額と常に一致するように管理します。
そして月末で締めて本社経理に報告し、本社から使用した現金と同額の現金を振り込んでもらい、金庫内の現金を当初の設定額と一致させます。
導入方法については税理士に相談して、個々の状況に応じた方法を導入できるようサポートしてもらいましょう。

現金過不足とは

現金過不足とは、帳簿上の現金残高と実際の現金残高が一致しないときに使う勘定科目です。
たとえば「実際の現金残高と帳簿の残高を確認したら、5,000円不足していた」「手許にある現金を確認したところ、会計ソフト(帳簿)上の金額より3,000円多かった」というような状態のときに使います。

(1)現金過不足は一時的に使う勘定科目

現金過不足とは、帳簿上の現金残高と実際の現金残高が一致しないときに一時的に使う勘定科目です。
期中は現金の実際の有高(ありだか:現在の額)と会計ソフト上の「現金」残高を合わせます。この「現金過不足」という勘定科目は、期中しか使用することはできません。

(2)現金過不足は期末に相殺処理する

現金過不足は、現金過不足の原因が分からないときに、期中に一時的に使う勘定科目です。
したがって、期末になっても現金過不足となった原因が不明なときには、現金不足の場合には「雑損失」、現金過剰の場合には「雑収入」に振り替えます。

(3)現金過不足が起こる原因とは

現金過不足が起こる原因としては、紛失や盗難といったケースもありますが、多くは現金の数え間違いや記帳ミスといったものです。

①現金の数え間違い
現金はやり取りの回数が多いほど、数え間違いをする可能性が高くなるものです。
したがって、できるだけ振込やクレジットカードを利用した方がよいでしょう。

②記帳ミス
受取小切手は「現金」で処理しますが、現金化するまでは手許残高が一致しません。
また、収入印紙や切手を代金の一部として受け取ることがありますが、これらは現金ではなく「租税公課」や「通信費」で処理をします。

(4)現金過不足は税務署や金融機関から問題視される

事業を続けていくうえでは、ある程度の現金過不足の発生は避けられないものではあります。
しかしとくに中小同族企業などでは、多額の現金過不足は交際費や役員賞与といった観点から、税務調査の際に問題視されるケースがあります。
また、現金過不足があまりに多いと、税務署や金融機関から見て管理がおろそかであると見られてしまうリスクもあります。

したがって、現金過不足はできるだけ発生しないように工夫します。
たとえば、レジの現金は定期的にチェックして金種表などを作成し、会計ソフト上の現金残高と照らし合わせるようにします。チェックする回数が多いほど現金過不足が発生したときに、その原因を追求しやすくなります。

(5)現金過不足を防ぐ「インプレストシステム」

インプレストシステムとは小口現金の管理方法で、「定額資金前渡制度」ともいいます。
一定期間の所要支払額を見積り、それを基礎に一定額を小口現金係に支給して、定期的(毎週、毎月等)に支払額を報告させ、それと同額を補給する方法です。

あらかじめ一定額の現金を各店舗や支店、営業所に前渡ししておいて、店舗や支店、営業所はその小口現金から経費の支払いを行います。
収入金額は銀行に預け入れるか本社に送金させるように指示し、収入金額を各種支払いに使用させないように徹底させます。
定期的(毎週、毎月等)に経費の報告を行い、支払った経費分だけ本社から補充するようにします。
このインプレストシステムを採用すれば、期間の初めには各店舗、支店に一定額の現金があることになり、期中は手許現金と領収書の合計額が一致することになりますので、現金過不足の発生を最小限にすることができます。

①小口現金係に資金を交付する

借方 貸方
小口現金 200,000 当座預金 200,000

②小口現金係から1週間の支払実績報告があり、資金を補給する

借方 貸方
交通費 120,000 当座預金 187,000
交際費 40,000
雑費 10,000
仮払消費税等 17,000

③期末に実在高35,000円を現金勘定に振り替える

借方 貸方
現金 35,000 当座預金 200,000
交通費 100,000
交際費 40,000
雑費 10,000
仮払消費税等 15,000

現金過不足の仕訳

現金過不足は、期中に一時的に使う勘定科目です。
現金不足時には、借方に「現金過不足」を使い、現金過剰時には貸方に「現金過不足」を使います。

(1)現金が不足していた

「現金残高を調査したところ、現金2,000円が不足していることが判明した。」

借方 貸方
現金過不足 2,000 現金 2,000

(2)現金が過剰であった

「現金残高を調査したところ、現金1,000円が過剰であることが判明した。」

借方 貸方
現金 1,000 現金過不足 1,000

(3)現金過不足の決算時の処理

①原因が判明せず、雑損失に振り替える場合
「現金過不足の原因を調査したが現金1,000円が不足した原因が判明しなかったため、雑損失に振り替えた。」

借方 貸方
雑損失 1,000 現金過不足 1,000

②原因が判明した場合
「現金過不足の原因を調査した結果、5,000円の不足分のうち2,000円は事務用品費を購入した時の記入もれであることが判明した。」

借方 貸方
事務用品費 2,000 現金過不足 2,000

まとめ

現金過不足は、実際の現金残高と会計ソフト上の残高が一致しないときに、一時的に使う勘定科目です。
決算時までに原因が判明しなかった場合には「雑収入」「雑損失」に振り替えて処理をします。
事業を続けていくうえでは、ある程度の現金過不足は避けられないものではありますが、税務署や金融機関から管理がおろそかであると見られてしまうリスクがあります。
適切に現金管理を行い現金過不足の発生を防ぐためには、記帳ミス等をなくし、インプレストシステム(定額資金前渡制度)等のシステムを活用することをおすすめします。

現金過不足の処理について相談する

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この記事の監修者:アトラス総合事務所

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実際の現金残高と帳簿の残高が一致しない時は、一時的に「現金過不足」という勘定科目を使って、現金勘定の残高を合わせます。そして、決算時までに原因が判明しなかった時は、「雑収入」や「雑損失」で処理をします。つまり、現金過不足という科目は、期中しか使用できないという点に注意が必要です。
現金過不足の発生原因は、現金の数え間違いによるケースが多いものですが、現金のやり取りの回数が少なければ、間違える可能性は低くなります。したがって、インプレストシステムを導入したり、振込を利用するなど、現金のやり取りをなるべく少なくするなどの対策が必要です。
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・足りない分手持ちの現金で支払ったため、過不足が生じています
「銀行口座と確定申告ソフトを連携させています。
銀行から10万円現金で引き出して、それを経費で使いました。
内訳が以下の4つなのですが、足りない分手持ちの現金で支払ったため、過不足が生じています。
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「同期できてない期間がある口座についてですが、途中からは同期されていて
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