小規模宅地等の特例とは|要件・意味を分かりやすく

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2023年02月03日

この記事のポイント

  • 小規模宅地等の特例とは、マイホームの評価額を下げられる制度。
  • 小規模宅地等の特例は、一定の面積まで大きな軽減措置がある。
  • 小規模宅地等の特例の適用を受けられる土地は、3種類。

 

小規模宅地等の特例とは、被相続人のマイホームの税金が大きく軽減される相続税の特例です。
一定の要件を満たす被相続人の不動産(土地)の評価額を50%~80%減額できるので、税負担が大きく軽減されます。

小規模宅地等の特例とは

都心であれば、わずかな土地でも数億円という評価がつくことがあり、その相続税を支払うために居住用の土地や事業用用地まで手放さなければならなくなるケースがあります。そこで、一定の要件を満たす被相続人の不動産の評価額を一定の面積まで一定の割合で減額できることが認められることになりました。これが「小規模宅地等の特例」です。
「小規模宅地の特例」は、被相続人(亡くなった人)の自宅敷地を、特定の相続人が相続した場合で一定の条件に該当する時には、その土地の評価額を50%~80%減額にするという制度です。

(1)小規模宅地等の特例は3つのタイプがある

小規模宅地等の特例が適用される土地には、居住用(特定居住用宅地)、事業用(特定事業用宅地)、貸付事業用(貸付事業用宅地)の3つがあります。

評価減の割合は、居住用(特定居住用宅地)、事業用(特定事業用宅地)は80%、貸付事業用(貸付事業用宅地)は50%になるので、大変大きな割合を占めることになります。

たとえば、1㎡の評価額が100万円である自宅の敷地300㎡を相続した場合には、相続税評価額が3億円となってしまうこともあり、相続税を納税するために自宅を手放さなければならなくなるケースが出てきます。

小規模宅地等の特例は、このように「相続税を支払うために自宅を手放さなければならなくなる」というケースに考慮したものです。

首都圏に自宅があるケースであれば、この特例を適用できるかできないかで、相続税の課税の有無や相続税額の差に、大きな影響を与えることになります。

2015年(平成27年)の相続税改正では、特定居住用宅地の上限が240㎡から330㎡まで拡大され、ますます利用しやすくなりました。

(2)特定居住用宅地(上限330㎡)

特定居住用宅地とは、被相続人や生計を共にしていた親族が住んでいた土地で、330㎡までの評価額が80%も減額されます。

主な要件は、以下のとおりです。

配偶者が相続する場合には、特に条件なし
同居していた親族が相続する場合には、引き続き住み続けその後も所有すること(※申告期限まで)。
③別居していた親族が相続する場合には、相続開始前3年以内に自分や配偶者名義の家、三親等以内の親族などが所有する家に住んでいないこと。
その家を過去に所有していたことがないこと。

参照:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

(3)特定事業用宅地(上限400㎡)

特定事業用宅地とは、被相続人が事業用に使用していた土地で、なおかつ相続人が申告期限までに取得し、事業のために使用する土地のことです。上限400㎡までの評価額が80%減額されます。

主な要件は、以下のとおりです。

相続した人が事業を引き継ぎ、その後もその土地を所有すること(※申告期限まで)
事業開始が相続開始前3年以内ではないこと。

参照:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

(4)貸付事業用宅地(上限200㎡)

貸付事業用宅地とは、被相続人が貸していた賃貸不動産や駐車場などの土地も対象となります。上限は200㎡までの評価額が50%減額されます。

主な要件は、以下のとおりです。

相続した人が事業を引き継ぎ、その後もその土地を所有すること(※申告期限まで)
事業開始が相続開始前3年以内ではないこと。

小規模宅地等の特例を利用するためには

小規模宅地の特例の適用を受けるためには、相続税の申告が必要です。相続税の申告は、相続税額がゼロになる場合でも必要となりますので注意が必要です。また、期限までに遺産分割が確定している必要があります。

(1)相続税の申告をすること

小規模宅地の減額特例を受けるためには、相続税の申告書に、小規模宅地の減額特例を受ける旨を記載して、所定の必要書類を添付して、相続税の申告を行なうことが必要です。

(2)申告期限までに遺産分割協議がまとまっていること

申告期限までに遺産分割協議が成立しなかった場合には、小規模宅地の特例が適用できなくなってしまいます。
実際、申告期限までに、相続人間の遺産分割協議がまとまらないために、小規模宅地評価減制度の適用ができないケースは多々あります。

たとえば、子供がいない夫婦で夫が亡くなり、残された妻と夫の兄弟で遺産分割協議がまとまらず、せっかくの特例が受けられなくなってしまいます。

※ただし、申告期限までに「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出していて、3年以内に遺産分割協議が成立した場合には、小規模宅地の特例を適用して申告し直すことができます。

参照:国税庁「相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続」

また、3年以内に遺産分割協議が成立しなかった場合でも、調停や裁判が長引いているなどの事情がある場合には、期限が延長されることもあります。

(3)区分所有権がないこと

家を建てた時には原則として登記が必要になります。
なかでも、二世帯住宅の場合の登記としては、主に以下の3つの登記方法が考えられます。

①単独登記
二世帯住宅の所有権を1人の名義で登記すること。

②共有登記
二世帯住宅の所有権を複数の名義で登記すること。

③区分登記
二世帯住宅を2戸に分け、それぞれの所有権を登記すること。

この時、③区分登記のように、1階部分は父名義、2階部分は子ども名義など、建物を区分所有の登記にしている場合には「同居の親族」という要件を満たさず別々の建物とみなされてしまい、小規模宅地の特例が適用されません。
小規模宅地の適用を受けるためには、相続開始前までに区分登記を解消し、共有名義に、登記を変更する必要があります。
以前は、二世帯住宅を建築したりリフォームしたりする時には、別々にローンを組むことができるからという理由で、ハウスメーカーなどから区分所有登記を勧められることが多かったのですが、①単独登記かあるいか②共有登記をしなければ、二世帯住宅であっても、特例が適用されなくなってしまいますので、注意が必要です。
風呂と台所が1階にあり、親子が共有しているようなケースであれば、区分登記でも同居と認められる余地もありますが、必ず認めてもらえるとは限らないので、区分登記は、避けた方が無難でしょう。

小規模宅地等の特例よくあるQ&A

小規模宅地等の特例は、相続税対策としてとても有用な制度ですが、いずれのケースでも適用条件については十分な注意が必要です。
ここでは、小規模宅地等の特例に関するよくあるQ&Aについてご紹介します。

(1)「家なき子特例の厳格化」とは何か

–「家なき子特例の要件が厳格化されたと聞いたが、どういう意味か。」

「家なき子の特例」とは、被相続人(亡くなった方)の自宅を同居していなかった親族が相続する場合でも「小規模宅地等の特例」の80%減額を使えるようにするという特例です。
この「家なき子の特例」については、平成30年度税制改正大綱が公表され、2018年(平成30年)4月1日から、この相続税における小規模宅地等の特例について要件が見直され「家なき子特例」が厳格化されることになりました。

通常、小規模宅地の特例を受けるためには、被相続人と同居していなくてはなりません。しかし、家なき子特例については、被相続人に配偶者と同居親族がいない場合、亡くなる前の3年以内に自分または配偶者のマイホームを所有していない別居親族が相続する場合には、特例の適用を受けることができました。しかし平成30年度税制改正で、この「家なき子特例」の要件が厳格化され、「亡くなる前3年以内に、3親等内の親族または特別な関係にある法人が所有する家屋に住んでいないこと」「亡くなった時に相続人が住んでいる家を、その相続人が過去に所有していたことがないこと」などの要件が追加されることになりました。

(2)親が老人ホームに入っても適用が認められるか

–「親が、老人ホームに入った場合にはどうするのか。」
二世帯住宅を相続税対策に活用しようと思っても、途中で親が老人ホームに入った場合にはどうするのか、という質問は以前からありました。

せっかく二世帯住宅を建てても、親が老人ホームに入居したら特例を使えないというリスクもあったのです。
この点についても、改正後は、親が老人ホームに入居しても所定の要件を満たしている場合には、特例の適用が認められることになりました。

まとめ

以上、小規模宅地等の特例についてご紹介しました。
相続財産の中で、大きなウェイトを占めるのが土地ですが、特定居住用宅地であれば330㎡までの評価額が80%も減額され、特定事業用宅地であれば400㎡までの評価額が80%減額され、貸付事業用宅地であれば200㎡までの評価額が50%減額されます。
この特例の適用を受けるためにはいくつかの要件を満たす必要がありますし、事前に適切な相続対策が必要となります。
相続税の負担を軽減し円滑な相続を実現させるためにも、ぜひ早めに相続税に精通した税理士に相談することをおすすめします。

小規模宅地等の特例について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、小規模宅地等の特例について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

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この記事の監修者:アトラス総合事務所

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アトラス総合事務所

会計・税務・労務・法務の専門家集団が、会社・個人事業をトータルでサポートいたします!

相続や遺贈によってもらった財産のなかに、被相続人や被相続人の親族が事業用に使用していた、または住まいとして使用していた宅地がある場合には、その宅地のうち、200㎡までの部分、330㎡までの部分、または400㎡までの部分について、評価額が減額されます。これは、事業用として使用していた宅地を、そのまま評価して相続税を計算すると、事業が続けられなくなってしまう、住まいとして使用していた宅地をそのまま評価して相続税を計算すると、その宅地を売らなければ相続税が払えなくなってしまうというケースに配慮したものです。
小規模宅地等の特例は、事業承継に配慮された制度でもあります。つまり、被相続人が事業に利用していた特定事業用宅地等の評価額は、一定の要件を満たせば、400㎡までの部分について、80%減額されるのです。つまり、本来の評価額の20%であり、相続税が大幅に軽減されることになります。
この記事でご紹介した小規模宅地等の特例以外にも、相続税を軽減させるための対策は数多くありますが、個々の状況に応じて最適な対策は異なります。
アトラス総合事務所では、相続税の負担を軽減し円滑な相続を実現させるためのサポートを行っております。他士業とも連携し、相続手続きから相続トラブル回避のための対策までサポートいたします。お悩みやご質問等がございましたら、お気軽にお問合せください。

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