個人事業主の経費|よく使う勘定科目一覧と仕訳ルール

公開日:2019年07月06日
最終更新日:2023年08月31日

この記事のポイント

  • 個人事業主は、原則として確定申告が必要である。
  • 確定申告をするためには、日々帳簿づけを行い1年間の収入と経費を集計しなければならない。
  • 帳簿づけの基本は「取引を仕訳すること」で、取引は2つの側面からとらえる。

 

個人事業主は、原則として確定申告が必要です。
確定申告の計算対象となる期間は、毎年1月1日から12月31日までの1年間です。この1年間で得た所得(収入-経費)を計算し、それをもとに自分で所得税の税額を計算して納める必要があります。

そして、この確定申告を行なうためには、売上や経費を集計しなければなりません。この集計作業のもととなるのが「取引を仕訳すること」です。この作業をしないと確定申告ができないと言っても過言ではありません。

この記事では、個人事業主の経理作業の基本である取引の仕訳、仕訳のルール、勘定科目などについてご紹介します。

 

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個人事業主の経理作業

個人事業主が確定申告をするためには、毎年1月1日から12月31日までの1年間の収入と経費を集計する必要があります。そして、そのために必要なのが日々の帳簿づけです。
具体的には、日々の取引を勘定科目ごとに仕訳をして、帳簿に記入する作業のことをいいます。

(1)そもそも「仕訳」とは

帳簿づけの基本は、「取引を仕訳すること」です。
この「取引」とは、日常でよく使う「○○会社と取引する」などで使う意味ではなく、「販売する商品を仕入れ、現金で代金を支払う」などといったお金やモノの増減が伴う取引だけでなく、「サービスの提供を受け、代金は後日支払う」といったお金やモノの増減が伴わない取引も含みます。

この取引を帳簿に記録する作業を「仕訳」といいます。
仕訳は、領収書、預金通帳、請求書などをもとに行います。「クラウド会計ソフト freee会計」では、①日付、②取引先名、③金額、④取引内容等を記入していきます。

(2)仕訳の基本ルール

取引を仕訳する際には、取引を2つの側面からとらえる必要があります。
たとえば「1,000円の書籍を現金で買った」という取引では、

①「書籍」という「資産」が増えた
②1,000円の現金が減った

という2つの出来事が同時に起きています。
このように、取引はプラスにしたものとマイナスになったものの2つに分けて、

①書籍が増える
②現金が減る

というように捉えます。そして現金が減ったら「貸方」に記載し、現金などの資産(書籍)が増加したら「借方」に記入します。

簿記の知識がないと「借方」「貸方」という言葉が出てきただけでも、とても難しく感じられるものですが、「これは簿記のルールだ」と割り切って、丸暗記してしまう方がよいでしょう。

また、ぜひ利用したいのが「クラウド会計ソフト freee会計」です。
会計ソフトによく発生する取引の仕訳のパターンを登録しておけば、次に同じ取引があった時には、この仕訳を呼び出してくれますので、金額だけを入力すれば仕訳は終了します。
さらに、クレジットカードやネットバンキングと連携すれば、仕訳も金額も自動で入力されるので、面倒な取引の仕訳作業がほぼ自動で行われます。

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(3)取引を区分する「勘定科目」って?

取引を2つの側面でとらえたら、それぞれに勘定科目に区分します。
勘定科目に区分することで、「このお金は何に使ったのか」「このお金はどこから入ってきたのか」ということが把握できるようになります。
この勘定科目に割り当てていく作業が、「仕訳」です。
たとえば、水道代や光熱費は「水道光熱費」という勘定科目に割り当て、仕事のための電車賃やタクシー代は「旅費交通費」に割り当てます。
勘定科目は、さらに「資産」「負債」「資本」「費用」「収益」のいずれかのグループに入り、このグループ分けによって、青色申告決算書が作成されます。

なお、仕訳をする時には、同一の取引の時には、必ず毎回同じ勘定科目にすることが大切です。青色申告特別控除を受けられるようになるだけでなく、1年の収支を見直す際にも価値のあるデータとすることができるからです。

(4)よく使う勘定科目一覧

青色申告決算書には、一般的な勘定科目があらかじめ印字されています。そこで、まずはこれに合わせて取引を仕訳するのがよいでしょう。もっとも、ここでご紹介する勘定科目のすべてを使う必要はありません。自分の事業で使うものさえ覚えれば、ほとんどの取引はそれで仕訳をすることができます。
「この支払は、どの勘定科目に振り分ければいいんだろう」と迷うこともあると思いますが、細かなルールは自分で決めて構いません。しかし、全く違う勘定科目に振り分けると、後で分かりにくくなってしまいます。
そこで、ここでは、主な勘定科目と、どのような場面で使う勘定科目なのかについてご紹介します。

区分 勘定科目 具体例
資産 現金 硬貨、紙幣、郵便為替証書、配当金領収書、送金小切手など
売掛金 取引先に商品やサービスを掛け売りしたときの代金を受け取る権利(1年以内に回収が見込まれるもの)
商品 在庫商品(店頭に並んでいる商品、倉庫に保管している商品)
建物 販売やサービスの提供を行う店舗、事務所などの建物
車両運搬具 乗用車、トラック、バイクなど
負債 買掛金 掛けで商品を仕入れたときの、代金を支払う義務
短期借入金 銀行からの借入、手形借入金、当座借越など(返済期限が1年以内)
長期借入金 銀行からの借入、手形借入金、当座借越など(返済期限が1年超)
未払金 水道光熱費の未払金、クレジットカード払いなど
前受金 手付金など
収益 売上高 商品の販売・サービス提供で得た収益
受取利息 有価証券利息、貸付金利息、普通預金利息など
費用 仕入高 商品の仕入代金、仕入時に発生する運賃など
外注費 業務委託費
賞与 ボーナス
福利厚生費 慶弔見舞金、通勤費、社内レクリエーション費用、健康診断費用など
消耗品費 ボールペン、ノート、コピー用紙、机、ロッカー、本棚など
貸借料 リース料、レンタル料
修繕費 建物や車両、備品などの資産にかかる修繕費
水道光熱費 電気代、水道代、ガス代など
接待交際費 得意先に対して行う接待費用
資本 元入金(もといれきん) 個人のお金から用意した開業資金や運転資金

 

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よくある疑問

取引の仕訳をするうえでは、領収書はどのようにもらえばいいのか、どこまでが経費になるのかなど、いろいろな疑問点や不明点が出てくるものです。
そこで、ここでは、取引の仕訳をする際のよくある疑問について、ご紹介します。

(1)領収書がないと経費にできない?

必要経費として支払いした時には、原則として領収書をもらいます。しかし、領収書がもらえないケースもあります。たとえば銀行口座からの支払いなどは領収書をもらうことができません。また、取引先に結婚式の祝い金を出した場合などは、領収書を下さいとは言えないものです。

このように領収書をもらえない支払いについては「出金伝票」を使って処理します。具体的には「支払った日時」「支払先」「支払額」「支払内容」などを記入します。

なお、経理関係の資料は、7年間保存しておく義務があります。
領収書は年ごとにまとめて保管すると、後から確認しやすくなりますのでおすすめです。
税務調査の時に調査官から指摘されても慌てないように、日頃からきちんと整理しておくとよいでしょう。

(2)「カフェで仕事」は経費になる?

仕事の打ち合わせで飲食店を利用した場合には「会議費」として経費にすることができます。
単に昼食や夕食をとる目的で利用した場合には、通常は経費にはなりませんが、その時間に実際に仕事をしていたのであれば、経費とすることができます。
領収書に「○○の仕事」などとメモを残しておくと、税務調査の時にきちんと説明することができます。

(3)マイカーを仕事で利用した場合

個人事業主がマイカーを仕事で利用した場合には、全体の費用に事業割合を掛けたものが経費になります。具体的には、一定期間の運行記録をとり、「1カ月の平均走行距離が1,000kmであり、そのうち事業で使用したのは700km」という場合には、事業割合は7割となります。

(4)仕事がらみの友人との親睦会

友人との親睦会でも、仕事がらみであれば、経費とすることができます。
参加費用について領収書が出なかった場合には、出金伝票を利用します。
また業界のパーティに出席した場合にも領収書が出ないケースがほとんどですが、その時にも出品伝票で金額や支払先を記入すればOKです。

(5)クレジットカードの明細は領収書になる?

クレジットカードを使って支払いを行い、領収書をもらっていない場合には、後から送られてくるカードの明細書を領収書として使うことができます。なお、クレジットカードで事業に必要なものを購入したときに、手数料や利子を支払っていることがありますが、これも経費とすることができます。

(6)自宅兼事務所は経費にできる?

自宅兼事務所の場合には、家賃を経費とすることができます。
自宅で仕事をしていれば、そこは仕事場となるからです。
生活部分と仕事部分は、合理的な基準で按分するとされています。たとえば、40㎡・家賃10万円の賃貸マンションに住んでいて、このうち20㎡を仕事で使っているのであれば、家賃10万円の半分の5万円を経費とすることができます。

(7)会社の方が節税になるってホント?

個人事業を営んでいる場合には、大きく所得税、住民税、個人事業税の3つの税金がかかります。
このうち所得税は、累進税率といって所得が上がるにつれて税率が徐々に上がるしくみになっています。
一方、会社を設立すると法人税、法人住民税、法人事業税などがかかりますが、法人税の税率は非常にシンプルで、年800万円超の部分は23.2%、年800万円以下の場合、中小企業であれば税率は15%です。
目安としては所得が400万円前後になってきたら、会社設立を検討してみましょう。
適用される特別控除や所得控除などの個々の状況によって異なりますが、所得が300万円~400万円以下程度の場合は、個人事業主の方が税率的に有利、所得が400万円以上の場合には、法人の方が税率的に有利になるケースが多いといえます。
 

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まとめ

以上、個人事業主がよく使う勘定科目や仕訳をする際のルールやポイントなどについてご紹介しました。
取引の仕訳は、確定申告を行なうための基本です。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、ここでご紹介したような仕訳の取引をほぼ自動で行うことができます。また、freeeの認定アドバイザーだと、freee会計の設定や入力方法などについてサポートを受けることができ、青色申告決算書や確定申告書の作成を依頼することができます。
日本全国からエリア別・業種別に検索することができるので、まずは気軽にお問合せをしてみてはいかがでしょうか。

個人事業主の勘定科目について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、個人事業主の勘定科目について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

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この記事の監修者:アトラス総合事務所

監修者

アトラス総合事務所

会計・税務・労務・法務の専門家集団が、会社・個人事業をトータルでサポートいたします!

個人事業主の所得税は、1年間の利益を確定し税務署に申告する申告納税制度です。つまり、自分で税額を決定させて納税まで行わなければなりません。
そのために必要なのが、正しい決算書を作成するための正しい仕訳の積み重ねです。そして、正しい仕訳を行うためには、関連する勘定科目について正しい知識が必要です。
さらに一歩進んで、会計処理や決算書のあるべき姿や目的を理解したうえで、事業の経営成績や財政状態を把握することができるようになれば、事業を行ううえでの意思決定に役立てることができます。
個人事業主は、よく「開業1年目が勝負」といわれています。勘や経験のみに頼っていては、コスト管理ができず資金不足に陥るリスクがあります。
失敗を防ぎ事業に力を注ぐためにも、開業したら早めに効率的な経理システムを構築して事業の状況を見える化し、本業に専念できる環境づくりを行うことが大切です。
アトラス総合事務所は、個人事業主の皆様の確定申告や経理の自計化から、事業計画書の策定、融資制度のご案内、労務、法務に至るまで、幅広いサポートをご提供しております。「常にお客様のために最善を尽くす」をモットーに、個人事業主の皆様が、事業を継続させ、成功するための支援を行います。

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