確定申告書の書き方を解説!2023年から確定申告書Aは廃止!

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2023年02月20日

この記事のポイント

  • 確定申告書は、2023年(2020年分)から、様式が一本化された。
  • サラリーマンでも、雑損控除・医療費控除・寄附金控除は確定申告が必要
  • 所得控除を受けるためには「証明できる書類」として添付書類が必要になることも

 

確定申告書は、2021年分までは、主に確定申告書A、確定申告書Bに分かれていましたが、
2023年(2022年分)から、確定申告書Aが廃止されて様式が一本化されました。

ここでは、2023年の改正ポイントをふまえながら、確定申告書の項目の説明と記入方法についてご紹介します。

確定申告書とは

確定申告書とは、確定申告を行う際に税務署に提出する申告書です。
確定申告で総合課税の申告をする人は、第一表と第二表を使用し、分離課税を申告する人は、加えて第三表も使用します。

総合課税とは、対象となるすべての所得を合計して課税する方法で、分離課税とは、退職所得や山林所得、株取引、FX取引のように、他の所得とは区分して計算し課税する方法を指します。そして、分離課税をしなければならない所得がある時には、「申告書第三表(分離課税用)」という用紙も必要になります。


参照:国税庁「申告書第一表・第二表【令和4年分以降用】」
参照:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和4年分以降用】」

(1)2023年から確定申告書が一本化

確定申告書は、以前は確定申告書A、確定申告書Bに分かれていました。
申告書Aは、主にサラリーマンや公的年金等を受給している人が使用し、申告書Bは、個人事業主は不動産賃貸収入のある人が使用していました。

しかし、2023年(2022年分)からは、確定申告書Aが廃止され、確定申告書Bの様式に一本化され、確定申告書のタイトルもA、Bという表記がなくなりました。

なお確定申告とは、個人事業主など自分で事業を行っている人が、自身で税金の計算をして税金を納めるための手続きのことを指します。

サラリーマンの場合には原則として、自分で税金を計算して税金を納める必要はありません。なぜなら、勤務先が税金の計算をして給与からその税金を天引きし、年末調整で過不足分の精算まで行ってくれているからです。
しかし、サラリーマンでも給与所得以外に所得がある人や、1年間の収入が2,000万円を超える人などは会社が行う年末調整の対象となりませんので、確定申告が必要です。

また、サラリーマンでも医療費を年間で10万円以上払った人や、住宅ローンを抱えている人、株取引で損失が出た人など、一定の出費や損失があった人は、確定申告をすることで、税金が戻ってくることがあります。

(2)確定申告書の基本は第一表・第二表

確定申告書は、基本的には第一表と第二表を使用します。
確定申告書は、最寄りの税務署や還付申告センターでもらうこともできますし、郵送してもらうこともできます。また、国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。

参照:国税庁「申告書第一表・第二表【令和4年分以降用】」
参照:国税庁「申告書第三表(分離課税用)【令和4年分以降用】」

(3)確定申告書第三表が必要となる場合とは

山林所得や退職所得、土地建物等の譲渡所得や株式等の譲渡所得など、個別に税額を計算する分離課税の所得がある場合には、確定申告書第三表(分離課税用)の作成が必要になります。
この分離課税用の用紙を使う時も、第一表と第二表は必要となります。


A:収入金額(該当する欄に収入金額を記入)
B:所得金額(該当する欄に収入金額から必要経費等を差し引いた所得金額を記入)
C:税金の計算(申告書第一表から転記)
D:税金の計算(所得に対応した税率で税金を計算)

確定申告書の記入ポイント

確定申告書には第一表と第二表があります。この第一表と第二表はワンセットで考え、まずは第二表を下記の順で記入します。
なお、確定申告書の作成は、先に青色申告決算書を作成しておくと便利です。青色申告決算書に記入した内容を第二表に転記し、さらに第二表の内容を第一表に転記していきます。

申告書を記入する前に、申告書の構成に合わせて再度納税額を計算するための記入ポイントを理解しておきましょう。

(1)確定申告書第二表の記入ポイント

確定申告書第二表の記入ポイント

A:住所・氏名
提出時の住所・氏名を記入します。押印は不要です。

B:所得の内訳
所得の種類・給与などの支払い者の名称、源泉徴収税額などを記入します。

C:総合課税の課税所得、一時所得に関する事項
総合課税の譲渡所得、一時所得に関する収入金額、必要経費、差引金額を記入します。

D:特例適用条文
住宅ローン控除などを受ける場合に、その特例適用条文を記入します。
特例適用条文は、下記国税庁のホームページで確認することができます。

参照:国税庁「確定申告書等作成コーナー 特例適用条文一覧」

E:配偶者や親族に関する事項
配偶者や親族のマイナンバー12桁や生年月日等を記入します。

F:事業専従者に関する事項
事業専従者がいる人が、記入します。

G:住民税・事業税に関する事項
確定申告から地方税を算出するための項目です。該当する欄に〇をして、金額を記入します。
前年度の開廃業については、個人事業主などで初めて確定申告をする場合には「開始」に〇をして、その月日を記入します。

H:保険料控除等に関する事項・本人に関する事項など

〇保険料控除等に関する事項
社会保険料控除とは、国民健康保険料、国民年金保険料などの社会保険料を支払った時に受けられる所得控除で、1年間に支払った全額を所得から控除することができます。
小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済掛金、確定拠出年金法の個人型、企業型年金加入者掛金、iDeCoの掛金などを支払ったときに受けられる控除で、1年間に支払った全額を所得から控除することができます。

生命保険料控除とは、生命保険、個人年金保険、介護医療保険の保険料を支払った時に受けられる所得控除です。支払金額等によって異なりますが、控除額は最高12万円です。
地震保険料控除とは、地震保険などの損害保険料を支払った時に受けられる所得控除で、支払金額等によって異なりますが、控除額は最高5万円です。

〇本人に関する事項
寡婦控除とは、自身が寡婦である時に受けられる所得控除で、控除額は27万円です(合計所得金額が500万円以下)。
参照:国税庁「寡婦控除」

ひとり親控除とは、自身がひとり親である時に受けられる所得控除で、控除額は35万円です(合計所得金額が500万円以下)。

参照:国税庁「ひとり親控除」

障がい者控除とは、本人や同一生計の配偶者、扶養親族が障がい者である時に受けられる所得控除で、障がい者1人につき27万円(同居特別障がい者以外の特別障がい者である場合には40万円、同居特別障がい者である場合には75万円)を所得から控除できます。

参照:国税庁「障害者控除」

勤労学生控除とは、本人が勤労学生である場合に受けられる所得控除で、控除額が27万円です。

参照:国税庁「勤労学生控除」

〇雑損控除に関する事項
本人や家族の資産が、災害や盗難、横領などで損害を受け、その損失額が一定額を超える場合に、その超える部分を所得から控除できます。
控除額は、以下のAとBいずれか多い方の金額となります。

(A) (損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%

(B) (災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

参照:国税庁「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」

〇寄附金控除に関する事項
寄附金控除とは、国や公益法人などに特定の寄附金を支払った時に受けられる所得控除で、
控除額は、次のいずれか低い金額-2,000円の金額となります。

(A) その年に支出した特定寄附金の額の合計額

(B) その年の総所得金額等の40パーセント相当額

〇住民税・事業税に関する事項
確定申告から地方税を算出するための項目です。該当する欄に〇をして、金額を記入します。
前年度の開廃業については、個人事業主などで初めて確定申告をする場合には「開始」に〇をして、その月日を記入します。

(2)確定申告書第一表の記入ポイント

確定申告書第二表を作成したら、確定申告書第一表にその内容を転記していきます。

確定申告書第一表の記入ポイント

A:住所・氏名
提出時の住所・氏名を記入します。押印は不要です。
生年月日は、明治→1、大正→2、昭和→3、平成→4です。
個人事業主などは、必要に応じて屋号などを記入します。
青色申告の人は「青色」に〇をつけます。

B:収入金額
該当する項目について記入します。
個人事業主は「事業所得」、不動産賃貸業は「不動産所得」となります。
個人年金や暗号資産は、雑所得の「その他」の欄に数字を記載します。
収入は、個人事業主の場合は売上金額、サラリーマンの場合は、サラリーマンは、源泉所得税や社会保険料を差し引く前の給与額です。

C:所得金額
所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。
サラリーマンの場合は、給与所得控除額を差し引いた金額です。

D:所得から差し引かれる金額
該当する所得控除の欄に、控除額を記入し、所得から各控除を差し引いた金額に税金が課されます。
自身が適用される所得控除については、以下の記事で確認してください。

▶ 所得控除(15種類)と控除額の計算方法を分かりやすく

E:税金の計算
所得金額を所得税の速算表にあてはめて計算します。
該当する税額控除の欄にも、忘れずに金額を記入します。
税額控除とは、求めた税額から直接差し引くことができる控除で、大きな節税効果があります。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

F:その他
延納の申出や還付金の振込口座を記入します。
公的年金等の収入がある人は、公的年金等以外の合計所得金額を記入します。
また、青色申告特別控除額を、忘れずに記入します。

(3)確定申告書が自動作成される「freee会計」

「クラウド会計ソフト freee会計」は、銀行口座やクレジットカードと同期することができるので、各種経費が自動で入力されます。
日付や金額だけでなく、勘定科目についても推測して自動入力する機能があり、簿記を知らなくてもすぐに利用を開始することができます。
必要事項を入力すれば、確定申告書類も自動で作成されます。
書類に記載される内容は直接編集することもできますので、記入漏れがある場合には、すぐに修正をすることができます。

▶ freee会計で行う確定申告の流れ

まとめ

確定申告書は、総合課税の申告をする人は第一表と第二表を使用し、分離課税を申告する人は、加えて第三表を使用します。
いずれの申告においても第二表から書き始めるのが、原則です。
第二表には、源泉徴収票や控除証明書などをもとに所得の内訳や配偶者控除、生命保険料控除などの所得控除について記入し、第二表から第一表に必要事項を抜粋して記入していきます。

自分がどの確定申告書を使うのかよく確認し、ミスなく記入するようにしましょう。

確定申告書について相談する

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また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

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この記事の監修者:アトラス総合事務所

監修者

アトラス総合事務所

会計・税務・労務・法務の専門家集団が、会社・個人事業をトータルでサポートいたします!

確定申告書には、確定申告書Aと確定申告書Bがありましたが、2023年(令和5年)1月から申告書Aは廃止、申告書Bに一本化されました。確定申告書は、はじめに第二表に記入し、次に第一表に転記をしていくのが、記入上のポイントです。
確定申告では、所得金額を計算し、所得金額から各種所得控除を差し引いた課税所得金額に税率を掛けて所得税額を算出します。さらに、住宅ローン控除などを税額控除し、源泉徴収された税額があれば差し引く計算を行う必要もあります。
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