公開日:2018年10月30日
最終更新日:2020年11月27日
所得控除とは、「所得金額から控除できる金額」のことです。
所得税は、所得に課せられる税金なので、所得が増えれば所得税は増えますし、所得が減ればその分所得税も少なくなるのが原則です。
申告者は、個人によって経済事情はさまざまです。同じ年収であっても、一人暮らしで扶養する家族がいない人もいれば、子どもを育てながら障害者の両親を扶養している人もいます。
また、「申告者本人に扶養すべき家族がいるか」「家族のなかに障害者はいるか」など、個人的な事情は異なります。
このような個人的な経済事情を考慮し、税金計算に反映させる制度が「所得控除」と呼ばれるものです。
この所得控除は全部で14種類ありますが、原則として申告しなければ控除を受けることはできません。
所得控除は14種類ありますが、適用される控除の種類・金額は多ければ多いほど効果があります。つまり、所得控除される額が大きければ大きいほど、その分課税される所得金額が減るので、税額が減少することになります。
所得控除は、原則として申告しなければ控除を受けることができません。
適用できる控除があるのに、申告をしないままでいると、その分多く税金を払うことになってしまうので、注意しましょう。
会社員の場合は、会社が年末調整してくれていますから、原則として確定申告をする必要はありません。
ただし、雑損控除・医療費控除・寄付金控除の3つの項目については、会社は年末調整をしてくれないので、自分で確定申告をしなければなりません。
申告すればその分税金が戻ってくるので、忘れずに申告するようにしましょう。
・「確定申告の時期はいつ?確定申告期間中にすべきことは?」を読む
・「個人事業主・フリーランスの確定申告に必要な書類、手続き」を読む
どの控除を受けられるのかについては、申告者の事情によって異なるので、受けられる控除はすべて受けるようにしましょう。
なお、所得控除を受けるためには、「その支出を証明できる書類」として添付書類が必要になることもあります。確定申告をする際には、忘れずに一緒に提出するようにしましょう。
以下に、14種類の所得控除の必要条件や控除額の計算方法、必要書類などについて一覧にしてまとめました。自分がどのケースに該当するのか確認しましょう。
所得控除の一覧表
所得控除の種類 | 控除を受けられる人と控除額 | 控除額 | 必要書類・注意点 |
---|---|---|---|
基礎控除 | 誰でも無条件に受けることができます。 | 38万円(2020年分以降、所得2,400万円以下で控除額48万円) | |
雑損控除 | 震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの災害、空き巣などの被害に遭った場合に受けることができます。 | (差引損失額)-(総所得金額等)×10% | 災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類(火災の場合は消防署、盗難の場合には警察が発行する被害額届出用の証明書) |
医療費 控除 |
1年間で10万円以上の医療費(交通費や薬代なども含む)がかかった場合には、10万円を超える部分は所得控除できます。 また、申告所得が200万円以下の場合には、所得の5%を超える額を控除することができます。 |
支払った医療費)-10万円 (支払った医療費)-総所得金額等×5% のうち、どちらか多い方 |
医療費のレシート(交通費、薬代含む) |
社会保険料 控除 |
国民健康保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料などを負担している人が受けることができます。配偶者や扶養親族の分も含みます。 | 1年間に支払った全額 | ○国民年金控除証明書 11月上旬ころに、国民年金保険料の控除証明書が送られてきます。 見つからない場合には、日本年金機構に問合せ、再請求しましょう。○健康保険料 個人事業主やフリーランスの場合には、住んでいる地域の国民健康保険に加入しているか、職種に関連した国民年金組合に加入しているかと思います。 健康保険料は、証明書が届かないので忘れがちですが、確定申告書に記載すれば税金の負担を減らすことができます。○国民年金基金 掛金の全額を所得から差し引くことができるので、支払い証明書類を準備しておきましょう。 |
小規模企業共済掛金 控除 |
小規模企業共済・個人型拠出年に加入している場合には、掛金の全額を所得から差し引くことができます。 | 1年間に支払った全額 | 小規模企業共済・個人型拠出年の支払い証明書類 |
生命保険料 控除 |
生命保険、個人年金、介護医療の保険料を支払っている人が受けることができます。 | 支払った金額により算出。 原則としてそれぞれ4万円が限度で、合計12万円が上限です。 |
生命保険の掛金の控除証明書 |
地震保険料 控除 |
地震保険などの損害保険料を支払った人が受けることができます。 | 支払金額から算出。 (上限5万円。加入している保険の種類による) |
地震保険の掛金の控除証明書 |
障害者 控除 |
申告者本人が障害者と認定されているか、その家族(配偶者や扶養親族)が障害者の認定を受けている場合に受けることができます。 | 1人につき27万円、特別障害者は1人につき40万円、同居特別障害者は75万円 | 療育手帳 障害者控除認定書 同居の証明書 |
寄付金 控除 |
国や地方公共団体、認定NPO法人などに寄付した人が受けることができます。 | 特定寄付金の額ー2,000円 (総所得金額等×40%)-2,000円 のうち、どちらか多い方 |
|
寡婦(寡夫)控除 | 申告者本人が配偶者と離婚または死別した寡婦(または寡夫)の場合に受けることができます。 | 27万円 (※特別の寡婦に該当する時は35万円) |
特別の寡婦と 1.夫と死別し、または離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない人。 2.扶養親族である子がいる人。 3.受給者本人の所得金額が500万円以下であること。寡夫とは 1.妻と死別し、もしくは離婚した後婚姻をしていない人や妻の生死が明らかでない人。 2.生計を一にする子がいる人。この場合の子は、年間所得が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。 3.受給者本人の所得金額が500万円以下であること。 |
勤労学生控除 | 申告者本人が勤労学生に該当する場合に受けることができます。 | 27万円 (※ただし、合計所得金額が65万円以下などの要件を満たす必要があります。) |
学校教育法に定められている学校以外の勤労学生は証明書を添付・職業訓練を受ける訓練生の場合には、在学する学校又は法人等から必要な証明書の交付を受けて申告書に添付 |
配偶者 控除 |
申告者本人に配偶者(控除対象配偶者)がいる場合に受けることができます。 | 原則として38万円 (70歳以上の配偶者は48万円) |
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配偶者特別 控除 |
申告者本人の所得金額が1000万円以下で、配偶者の合計所得金額が38万円以上76万円未満の場合に受けることができます。 | 原則として38万円 (配偶者の所得によって異なります。) |
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扶養控除 | 扶養親族がいる場合、その人数分だけ受けることができます。 | 原則として38万円 (年齢や同居の有無で38万円~63万円) |
会社員の場合は、会社が年末調整をしてくれているので、所得控除を改めて申告する必要はありませんが、年末調整の手続きでも所得控除されない項目もありますので、注意が必要です。
・「サラリーマンの確定申告|年末調整をしていても確定申告必要な場合とは」を読む
以上、税額を減らす!14種類ある所得控除ー控除を受けられる人と控除額についてご紹介いたしました。
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