雑所得とは|計算方法は?確定申告は必要?

公開日:2021年08月24日
最終更新日:2022年03月28日

この記事のポイント

  • 雑所得とは、利子所得から一時所得までの9種類のいずれにも該当しない所得。
  • 雑所得は、公的年金等とそれ以外の所得に区分される。
  • 税制改正により、公的年金等による所得の計算方法が変わった。

 

雑所得とは、公的年金や個人年金、著述家や作家以外の人が受ける原稿料、講演料、印税、放送出演料、貸金の利子の収入、仮想通貨、アフィリエイト収入などによる所得です。

雑所得とは

雑所得とは、利子所得、事業所得、配当所得、不動産所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得までの9種類のいずれにも該当しない所得をいいます。

雑所得は、大きく「公的年金等による所得」と「それ以外の所得」に区分されます。

雑所得の金額は、下記①と②の合計額ということになります。

①その年の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額
②その年の雑所得(業務、その他)に関する収入金額から必要経費を控除した金額の合計額

雑所得は、原則として総合課税(1年間に得た所得のすべてを合計し、その合計額に対して超過累進税率によって課税する方法)ですが、定期積金の給付補てん金など特定の所得については、源泉分離課税となります。また、生命保険の満期保険金を一時金で受け取った時には「一時所得」ですが、年金で受け取る場合には「雑所得」となります。

雑所得の課税方式による区分は、以下のとおりとなります。

課税方式 確定申告の要不要 所得例
総合課税 公的年金等
(収入が400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要)
確定申告が必要 国民年金、厚生年金、老齢基礎年金、老齢厚生年金等
確定拠出年金の老齢給付金として支給される年金 など
公的年金等以外 ・還付加算金
・生命保険契約、損害保険契約等に基づく年金
・自己の職務に応じて取引先等から取得する金品
・事業から生じたと認められない所得(副業による所得、金銭貸付による所得、動産貸付による所得など)
・人格のない社団等から受ける収益の分配金
・FX取引による所得
申告分離課税 確定申告が必要 ・商品先物取引、有価証券先物取引、有価証券オプション取引、取引所金融先物取引による所得
源泉分離課税 確定申告できない ・定期積金の給付補てん金
・抵当証券の利息

(1)雑所得①「公的年金等の雑所得」

公的年金等とは、主に以下のような所得です。

・国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの老齢基礎年金、老齢厚生年金等
・確定拠出年金の老齢給付金として支給される年金、適格退職年金等の企業年金
・外国の法令に基づく社会保険制度に類する年金
など

公的年金等の場合には、必要経費に代わるものとして、年齢や公的年金等の収入金額に応じて定められた「公的年金等控除額」を公的年金等の収入金額から差し引くことができます(※後述)。

(2)雑所得②「それ以外の雑所得」

雑所得のうち、「公的年金等以外のもの」とは、主に以下のような所得です。
原稿料、作曲料、講演料、仮想通貨(ビットコインなど)の売却益など、副業による所得も雑所得に含まれます。

・還付加算金
・法人の役員等の勤務先預け金の利子
・人格のない社団等から受ける収益の分配金
・株主等である地位に基づき受ける経済的な利益
・事業から生じたと認められない所得(副業による所得など)
・生命保険契約、損害保険契約等に基づく年金
・自己の職務に関連して取引先等から取得する金品
・給与所得者が受ける支度金、引き抜き料、契約料
など

(3)雑所得と一時所得の違い

雑所得と一時所得は、ともに利子所得、不動産所得、事業所得に当てはまらないものです。両者の区別がつきにくいケースも多々ありますが、雑所得と一時所得は、以下のように区分しますので、参考にしてください。

一時所得 雑所得
共通点 利子所得、事業所得、配当所得、不動産所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得のいずれにも当てはまらない所得
相違点 所得の性質が、以下のいずれの性質をも有しない一時的な所得であること
①営利を目的とする継続的行為
②労務その他役務の対価性
③資産の譲渡の対価性
左記の一時所得に該当しないものであること
具体例 ①懸賞の賞金品、福引の当選金品
②競馬の馬券の払戻金(※娯楽目的の場合)
③法人からの贈与により取得する金品(継続的でないもの)
④遺失物拾得者が受ける報労金
⑤生命保険などに基づく一時金
①生命保険契約などに基づく年金
②国民年金法、厚生年金法などの公的年金等
③法人の役員などの勤務先預け金の利子で利子所得でないもの
④学校祭、組合費
⑤国税および地方税の還付加算金

 

雑所得の計算

雑所得の計算方法は、大きく公的年金等と公的年金等以外のもので異なります。

公的年金による所得の計算方法は、以前は計算区分がありませんでしたが、令和2年分より公的年金等控除額が一律10万円引き下げられ、公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合には上限が設定されましたので、注意が必要です。

(1)公的年金等の雑所得の計算方法

公的年金等の雑所得については、必要経費に代わるものとして、年齢や公的年金等の収入金額に応じて定められた「公的年金等控除額」を差し引くことができます。

公的年金等の雑所得の金額 = 収入金額 - 公的年金等控除額

税制改正により、公的年金による所得の計算方法が変わり公的年金等以外の所得金額によって、以下のとおり計算区分が分けられることになりました。また、年金収入から差し引くことができる公的年金等控除額についても10万円引き下げられました。

65歳以上の方

公的年金等以外の所得の合計所得が
1,000万円以下 1,000万円超
2,000万円以下
2,000万円超
公的年金の収入金額が 330万円未満 年金収入-110万円 年金収入-100万円 年金収入-90万円
330万円以上410万円未満 年金収入×0.75-27万5,000円 年金収入×0.75-17万5,000円 年金収入×0.75-7万5,000円
410万円以上770万円未満 年金収入×0.85-68万5,000円 年金収入×0.85-58万5,000円 年金収入×0.85-48万5,000円
770万円以上1,000万円未満 年金収入×0.95-145万5,000円 年金収入×0.95-135万5,000円 年金収入×0.95-125万5,000円
1,000万円以上 年金収入-195万5,000円 年金収入-185万5,000円 年金収入-175万5,000円
65歳未満の方

公的年金等以外の所得の合計所得が
1,000万円以下 1,000万円超
2,000万円以下
2,000万円超
公的年金の収入金額が 130万円未満 年金収入-60万円 年金収入-50万円 年金収入-40万円
330万円以上410万円未満 年金収入×0.75-27万5,000円 年金収入×0.75-17万5,000円 年金収入×0.75-7万5,000円
410万円以上770万円未満 年金収入×0.85-68万5,000円 年金収入×0.85-58万5,000円 年金収入×0.85-48万5,000円
770万円以上1,000万円未満 年金収入×0.95-145万5,000円 年金収入×0.95-135万5,000円 年金収入×0.95-125万5,000円
1,000万円以上 年金収入-195万5,000円 年金収入-185万5,000円 年金収入-175万5,000円

 
たとえば、65歳以上で年金収入が200万円の場合には、「200万円-110万円=90万円」となり、所得金額は90万円です。上記表で計算して結果がマイナスになる時には、所得は「0円」となります。

さらに、年金のほかに給料やアルバイト収入がある人には令和2年分から「所得金額調整控除」が創設されましたので、この点についても注意が必要です。所得金額調整控除は、給与所得から最大10万円を引くことができるので税負担が軽減されます。

所得金額調整控除額の計算方法

年金の所得金額+給与所得の金額-10万円=所得金額調整控除額

たとえば、公的年金等による所得が100万円、給与所得が70万円のケースでは、所得金額調整控除は10万円で、給与所得70万円から10万円を差し引くことができます。

10万円(年金の所得金額上限額)+10万円(給与所得の金額上限額)-10万円=10万円(所得金額調整控除)

給与所得
70万円-10万円(所得金額調整控除)=60万円

(2)公的年金等以外の雑所得の計算方法

公的年金等以外の雑所得の計算方法は、総収入金額から必要経費の額を差し引いて計算します。

公的年金等以外の雑所得 = 総収入金額 - 必要経費
総収入金額:所得の態様によって収入すべき金額および経済的利益の価額
必要経費:原則として総収入金額を得るために要した費用の額

必要経費については、原稿料であればその原稿を作成するために要した書籍、取材のために要した交通費などが該当します。先物取引の場合には、売買手数料なども必要経費です。

なお、生命保険会社や郵便局など個人年金がある人は、公的年金等とは別に雑所得を計算します。個人年金等の必要経費は保険会社などから送られてくる計算書等に記載されていますが、以下の計算式で計算されています。

個人年金等の必要経費
その年に支払いを受ける年金の額×(支払保険料総額/年金の支払総額)

(3)FX(外国為替証拠金取引)の雑所得の計算方法

FX(外国為替証拠金取引)などにより利益が生じた場合には、他の所得とは区分して「先物取引に係る雑所得」として、所得税15%(別途復興特別所得税)、地方税5%が課税されます。課税の方法は、申告分離課税です。

なお、FX(外国為替証拠金取引)により損失が発生した場合には、他の先物取引に係る金額とだけは、損益通算をすることができ、一定の要件のもとでその損失を翌年以降3年にわたって、先物取引に係る雑所得等の金額から控除することができます(繰越控除)。

雑所得の確定申告

雑所得は、原則として確定申告が必要ですが、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつその年金以外の他の所得が20万円以下の場合は、確定申告は不要です。
また、雑所得の金額が20万円以下であれば(たとえば、副業による所得が20万円以下)、確定申告は不要です。

(1)公的年金等の雑所得の確定申告

厚生年金や国民年金、確定拠出年金などの公的な年金収入は、「雑所得」として申告します。なお、公的年金のうち遺族年金や障がい年金は非課税となりますので、確定申告は不要です。
生命保険やかんぽ生命などの個人年金は、所得の計算方法が異なります(※後述)ので、注意してください。

公的年金等の雑所得の確定申告のために必要な書類は、以下のとおりです。

・公的年金等の源泉徴収票(添付は不要)
・確定申告書A(Bでも可)

先ほど、公的年金等の雑所得の計算方法でご紹介したように、令和2年分から公的年金等の雑所得の計算方法が改正されています。また、「所得金額調整控除」も創設されていますので、漏れのないように計算しましょう。

公的年金等の収入があっても、年金収入が400万円以下で、かつ年金以外の所得の合計が20万円以下である場合には、確定申告は必要ありません。しかし確定申告をした方が、所得税が戻ってくる可能性があります。
たとえば、多額の医療費がかかったり、生命保険や損害保険の保険料を支払ったり、社会保険料が年金から差し引かれていなかったりする場合には、確定申告で節税することができ、年金から差し引かれた税金が戻ってくる可能性があります。
このほか、年金の「扶養親族等申告書」を提出していない人も、扶養や配偶者に関する事情が年金から差し引かれる税金に反映されていないので、確定申告をすることで、税金が戻ってくる可能性があります。

①医療費を多く支払った場合
→金額によっては、医療費控除を受けることができます。

②災害や盗難などの被害に遭った場合
→雑損控除を受けることができます。

③夫婦の死別、離婚等があった場合
寡婦、ひとり親控除を受けられる可能性があります。

④住宅ローンを組んで住宅を購入もしくは増改築した場合
→住宅借入金等特別控除や、住宅特定改修特別税額控除を受けることができます。

⑤ふるさと納税などで寄付をした場合
→寄附金控除を受けることができます。※ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告をしないで寄付金控除を受けられます。

年金を支給する側は、上記のような事情を把握できていないので、受けられる控除が反映されずに税金を納めていることがあります。確定申告をすることで、払い過ぎている税金を取り戻すことができるので、上記のような事情がある時には、確定申告をしましょう。

(2)個人年金の雑所得の確定申告

生命保険会社やかんぽ生命などからの年金収入がある人は、前述した公的年金等とは別に「雑所得」を申告します。年金から税金を引かれている場合には、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性が高くなります。

確定申告の際には、支払先から送られてくる「支払年金額等のお知らせ」などが必要です。お知らせにある「年金の支払金額」は、確定申告書第一表の「収入金額等」の「その他」の欄に記入し、お知らせの「差引金額」を確定申告書第一表の「所得金額」の「その他」の欄に記入します。公的な年金ももらっている時には、その分の雑所得も合計します。

なお、1カ所からの給与所得があり、その給与所得と退職所得以外の所得の合計金額が20万円以下であれば確定申告は不要です。

(3)副業による雑所得の確定申告

原稿料、作曲料、仮想通貨による売却益など、副業による収入がある時も「雑所得」で確定申告をします。ただし、副業による所得が20万円以下であれば、確定申告は不要です。

雑所得は、収入から必要経費を差し引いて計算しますので、必要経費をもれなく差し引けば、その分所得が減り節税になります。
仮想通貨であれば、セミナー代や資料代は必要経費になりますし、原稿料であれば、取材費や取材のための交通費、参考書籍などが必要経費になります。
領収書が必要になるので、かならず保管しておきます。
なお、仮想通貨の取引で損失が出たら、他の雑所得の黒字の所得から赤字分を差し引いて通算することができます。

確定申告の際には、報酬の支払先から渡される報酬、料金、契約金の支払調書と必要経費の領収書、仮想通貨の取引明細、取引履歴、サラリーマンの場合には給与所得の源泉徴収票などが必要です。支払調書は、確定申告の添付書類台紙に添付する必要があるので、大切に保管してください。

なお、支払調書で税金が差し引かれている時には、所得が20万円以下で確定申告が不要なケースでも、税金が戻ってくる可能性が高いので必ず確認しましょう。

まとめ

以上、雑所得に該当するものや計算方法についてご紹介しました。
サラリーマンの副業で20万円以上の所得がある人は、確定申告が必要ですが、必要経費をもれなく計上することで節税することが可能です。
また、公的年金等についても雑所得となりますが、公的年金等については、令和2年分から所得金額の計算方法が大きく変わりましたので、注意が必要です。

何が必要経費となるのか、公的年金等の所得についての計算方法で所得税額がどのように変わるのか、どのような節税方法があるのかについては、早めに税理士に相談してアドバイスを受けるようにしましょう。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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