公的年金等控除とは|令和2年分から公的年金の所得税はどう変わった?

公開日:2021年09月14日
最終更新日:2021年10月11日

目次

  1. 公的年金等控除とは
    • (1)公的年金等控除の改正
    • (2)公的年金の税金はどう変わる?
  2. 公的年金の確定申告
    • (1)公的年金の確定申告をした方がお得なことがある
    • (2)公的年金の確定申告で住民税の課税所得を下げよう
  3. まとめ
    • 公的年金等控除について相談できる税理士をさがす

この記事のポイント

  • 公的年金控除額については、令和2年分より一律10万円引き下げられた。
  • 公的年金等の雑所得の金額は、65歳未満と65歳以上で計算が異なる。
  • 公的年金等は雑所得であり、確定申告した方が節税になることがある。

 

令和2年分から公的年金等控除の改正が行われました。
また、公的年金等の雑所得の金額について以前は区分がありませんでしたが、65歳未満と65歳以上でそれぞれ区分が設けられ、計算方法が変わりました。

公的年金等控除とは

「リタイアした後は、年金生活で悠々自適の生活を送ろう」と考えている人も多いと思います。しかし、この年金にも税金がかかります。
年金は、雑所得として課税されますが、公的年金については大幅な控除の制度が設けられています。それが公的年金控除です。

公的年金の所得金額は、受け取った年金の収入金額から公的年金控除額を差し引いて計算することができます。

公的年金の所得金額 = 公的年金の収入金額 - 公的年金控除額

なお、公的年金等とは、以下の法律に基づき支払われる老齢給付年金などをいいます。

・国民年金法
・厚生年金保険法
・国家公務員等共済組合法
・恩給法および過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金
・小規模企業共済法
・確定給付企業年金法
・中小企業退職年金共済法
・確定拠出
・年金法
など

(1)公的年金等控除の改正

公的年金控除額については、令和2年分より一律10万円引き下げられました。
※公的年金等に係る雑所得以外の所得にかかる合計所得額が、1,000万円を超え2,000万円以下である場合には20万円、2,000万円を超える場合には30万円引き下げ。

また、公的年金等の収入金額が1,000万円超の場合には、上限が設定されました。
なお、公的年金控除額は、65歳以上と65歳未満では計算方法が異なりますので注意が必要です。

【65歳未満の方】

公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額
1,000万円以下 1,000万円超
2,000万円以下
2,000万円超
130万円以下 60万円 50万円 40万円
130万円超410万円以下 A×25%+27.5万円 A×25%+17.5万円 A×25%+7.5万円
410万円超770万円以下 A×15%+68.5万円 A×15%+58.5万円 A×15%+48.5万円
770万円超1,000万円以下 A×5%+145.5万円 A×5%+135.5万円 A×5%+125.5万円
1,000万円超 195.5万円 185.5万円 175.5万円

【65歳以上の方】

公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額
1,000万円以下 1,000万円超
2,000万円以下
2,000万円超
330万円以下 110万円 100万円 90万円
330万円超410万円以下 A×25%+27.5万円 A×25%+17.5万円 A×25%+7.5万円
410万円超770万円以下 A×15%+68.5万円 A×15%+58.5万円 A×15%+48.5万円
770万円超1,000万円以下 A×5%+145.5万円 A×5%+135.5万円 A×5%+125.5万円
1,000万円超 195.5万円 185.5万円 175.5万円

※A=公的年金等の収入金額

(2)公的年金の税金はどう変わる?

税制改正により、公的年金による所得の計算方法が変わりました。
先ほどご紹介したように、公的年金等控除額は、従来は区分がありませんでしたが、公的年金等の収入金額および公的年金等以外の所得の合計所得の額によって、細かく区分されています。
また、公的年金等控除額は、65歳未満と65歳以上で計算方法が異なります。

たとえば、65歳以上で年金収入が200万円のケースで考えてみましょう。

65歳以上で年金収入が200万円の場合には、公的年金等控除額は110万円です。

200万円(年金収入)-110万円(公的年金等控除額)=90万円(所得)

したがって、90万円の所得に所得税が課税されることになります。
所得が195万円以下の所得税率は5%ですから、所得税額は下記のように計算します。

90万円(所得)×5%=4万5,000円(基準所得税額)

平成25年(2013年)から25年間は、東日本大震災からの復興施策として、復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が課税されますので、復興特別所得税額を計算します。

4万5,000円(基準所得税額)×2.1%=945円(復興特別所得税額)

したがって、求める所得税額は以下のとおりとなります。

4万5,000円(基準所得税額)+945円(復興特別所得税額)=4万5,945円

なお、公的年金等収入のほかに給与所得がある人は、「所得金額調整控除」にも注意が必要です。給与所得を計算する時に、給与所得から最大で10万円を差し引くことができます。
これは、公的年金等と給与収入の控除額がそれぞれ10万円引き下げられたことで、両方の所得がある人は20万円の所得アップとなってしまうことに配慮された措置です。

両方所得がある人の所得アップが10万円で済むように、所得が調整できるようになりました。

所得金額調整控除額の計算方法

年金の所得金額+給与所得の金額-10万円=所得金額調整控除
※それぞれの所得が10万円を超える時には、所得は10万円として計算(上限額)

公的年金の確定申告

公的年金については、平成24年度から「年金所得者に係る確定申告不要制度」が導入され、以下のケースに該当する人は、確定申告をしないで済むようになりました。

①年金収入が400万円以下
年金以外の所得の合計が20万円以下

なお、源泉徴収制度の対象とならない外国政府等から受ける公的年金などは、収入金額が400万円以下でも、確定申告不要制度は適用されません。

(1)公的年金の確定申告をした方がお得なことがある

ただし、年金生活者が確定申告とまったく無関係というわけではなく、確定申告をした方がおトクになることもあります。

たとえば多額の医療費がかかった場合には、医療費控除を受けることができます。

医療費控除額:
①正味の医療費-10万円
②正味の医療費-総所得金額等×5%
※①、②のどちらか多い方

生命保険や地震保険の保険料を支払っている場合には、生命保険料控除・地震保険料控除を受けることができます。

生命保険料控除額:支払金額により最高12万円
地震保険料控除額:支払金額により最高5万円

年金から差し引かれていない社会保険料がある場合には、社会保険料控除を受けることができます。

社会保険料控除額:1年間に支払った金額

ふるさと納税などで寄付した場合には、寄付金控除を受けることができます。
※ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用している場合には、確定申告をしないで寄付金控除を受けることができます。

寄付金控除額:
①特定寄附金の額-2,000円
②(総所得金額等×40%)-2,000円
※①、②のどちらか少ない方

上記のような事情がある場合には、確定申告をすることで節税になったり年金から差し引かれている税金が戻ってきたりする可能性があります。
また、年金の「扶養親族等申告書」を提出していない人も、扶養や配偶者などに関する事情が、年金から差し引かれる税金に反映されていないので、確定申告をすると税金が戻ってくる可能性があります。

(2)公的年金の確定申告で住民税の課税所得を下げよう

確定申告によって課税所得を下げるという意味では、住民税も同様です。
収入が年金だけという人は、所得税の税率が5%の人が多いのですが、住民税の税率は10%です。したがって、確定申告をして所得控除を受ければ、住民税の税負担が軽減されます。
さらに、国民健康保険料や介護保険料の負担割合は、所得によって決まります。したがって、確定申告をすることで、所得税だけでなく住民税や保険料まで軽減される可能性があるということになります。
受けられる所得控除がある場合には、モレなく確定申告を行うようにしましょう。

まとめ

以上、公的年金等控除についてご紹介しました。
公的年金等控除については、令和2年分から一律10万円引き下げられ、65歳以上、65歳未満で計算方法が異なります。
また、公的年金以外の給与所得がある場合には、所得金額調整控除の適用を忘れないように注意する必要があります。
不明点や疑問点がある場合には、税理士に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。

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