医療費控除の確定申告に必要な計算方法と還付を受けるための手続きとは

公開日:2018年10月30日
最終更新日:2019年03月06日

目次

  1. 医療費控除とは
    • 通院・入院・治療時の医療費控除
    • 通院・入院・治療に関わる医療費控除が認められるもの・認められないもの一覧
    • 妊娠・出産時にかかわる医療費控除が認められるもの・認められないもの
    • 保険金や給付金が下りた場合は?
    • 医療費控除の計算方法
    • セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
  2. 医療費控除の還付を受けるためには
    • 還付を受けるには確定申告が必要
    • 会社員も確定申告が必要
    • 5年まで遡って申告できる
  3. 確定申告の方法
    • 明細書の書き方
    • 申告書の提出方法
  4. まとめ

この記事のポイント

  • 確定申告しないと還付されないので忘れないよう注意しましょう
  • 紹介している手順に沿って書けば、書類が完成します
  • 医療費控除する時は領収書を5年分保存する決まるがあります

医療費控除とは

医療費控除とは、申告者本人と生計を一にする家族にかかった医療費について、一定の金額(200万円が限度)を控除できる制度です。
所得控除は全部で14種類ありますが、この医療費控除と寄付控除、雑損控除の3項目については、年末調整で所得控除されません。
従って、この3つの項目について所得控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。

医療費控除は、申告者自身の医療費だけではなく、生計を一にする家族の分の医療費も対象になります。
この「生計を一にする」とは「家計が同じ」という意味で、同居している配偶者や子供の医療費などはもちろん、別居している子供でも仕送りなどしていて生活費を負担していれば、生計を一にしているということができます。
なお、家族に所得のある人が福祉要る場合には、所得の高い人が申告をした方が、戻ってくる額が大きくなるのでお得です。

通院・入院・治療時の医療費控除

医療費とは、治療のための費用だけではなく、薬局などで購入した薬代や治療を受けるための交通費なども、医療費として認められます。
ここでいう交通費には、バス・鉄道などの公共の交通機関の交通費、公共交通機関での移動が困難な時のタクシー代も含まれます。また、付き添いが必要な場合には、付添人の交通費も含まれます(自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代、通常の通院時のタクシー代は含まれません)。
ただ、病院等に支払った費用ならば、すべてが控除対象というわけではありません。
また、保険適用の治療だけは控除の対象となるわけではなく、自費治療であっても控除の対象となるものがあります。

通院・入院・治療に関わる医療費控除が認められるもの・認められないもの一覧

項目 控除が認められるもの 控除が認められないもの
一般的な治療
  • ・医師による診察費、治療費
  • ・出産費用
  • ・予防接種、人間ドック、健康診断
    (ただし、人間ドックや健康診断で重大な疾病が発見されて、その後治療が必要になった場合には、人間ドックや健康診断について控除が認められる)
  • ・担当医や担当看護婦への謝礼
入院
  • ・入院した部屋代
  • ・医師の指示による必要な出費の差額(ベッド代、水枕など)
  • ・入院中の治療のための食事代
  • ・自己都合による差額のベッド代、加湿器など
  • ・パジャマ、洗面具など入院するための身の回りの品の代金
  • ・付き添いの親族の食事代や入院中の外食代、謝礼など
  • ・治療のために必要な医薬品
  • ・医師の処方にもとづいた漢方薬代
  • ・健康増進のためのビタミン剤、栄養ドリンク、漢方薬などの代金
歯科・眼科
  • ・視力回復レーザー手術(レーシック手術)の費用
  • ・角膜矯正療法(オルソケラトロジー)の費用
  • ・緑内障・白内障の治療費や眼鏡代
  • ・近視や乱視、遠視用の眼鏡、コンタクトレンズや付属品の代金
マッサージ・鍼灸
  • ・治療のためのあん摩、マッサージ、鍼、灸、柔道整復師らによる施術費(有資格者への支払い分のみ)
  • ・疲れをとるためや美容目的などの施術代
  • ・無資格者による施術費用
交通費
  • ・通院や入院するためにかかった交通費(バス・電車などの公共の交通機関)
  • ・電車やバスでの移動が困難な時に利用したタクシー代
  • ・付き添いが必要な場合には、その付添人の交通費
  • ・通常の通院のためのタクシー代
  • ・自家用車で通院した場合には、ガソリン代や駐車料金などの諸費用も対象となる
器具類
  • ・義手、義足、松葉づえ、補助浮き
  • ・おむつ代(医師発行の「おむつ使用証明書」が必要)
  • ・ストーマ(人工肛門)用装具(医師発行の「ストーマ用装具使用証明書」が必要)
  • ・治療に関係のない日常に使用する眼鏡代
  • ・医師の診断で使用していない高齢者用の補聴器
  • ・病気の予防や健康増進のための体温計・血圧計の代金

妊娠・出産時にかかわる医療費控除が認められるもの・認められないもの

妊娠・出産時の検査費用や出産費用も、医療費控除の対象となります。

項目 控除が認められるもの 控除が認められないもの
検査・検診
  • ・妊娠中の定期検診や検査費用
  • ・不妊治療費
  • ・人工授精にかかる費用
  • ・妊娠中絶費用
  • ・人間ドック、健康診断、予防接種
入院
  • ・入院した部屋代
  • ・医師の指示による必要な出費の差額(ベッド代、水枕など)
  • ・入院中の治療のための食事代
  • ・自己都合による差額のベッド代、加湿器など
  • ・パジャマ、洗面具など入院するための身の回りの品の代金
  • ・付き添いの親族の食事代や入院中の外食代、謝礼など
交通費
  • ・通院や入院するためにかかった交通費(バス・電車などの公共の交通機関)
  • ・電車やバスでの移動が困難な時に利用したタクシー代
  • ・緊急時以外のタクシー代
  • ・実家へ帰省するための交通費
報酬・その他
  • ・助産婦への謝礼
  • ・妊娠用の下着やブラジャー
  • ・紙おむつなどの育児用品
  • ・妊娠検査薬の購入代金

保険金や給付金が下りた場合は?

保険金が下りた場合や給付金が給付された場合には、医療費控除の計算をする際にその金額を差し引くことになっています。差し引かなければならない主な保険金は、次の通りです。

○生命保険契約等で支給される医療保険金、入院給付金
○健康保険から給付を受ける給付金(出産育児一時金、高額療養費)

なお、健康保険法の規定により支払いを受ける傷病手当金や出産手当金は、上記の差し引かなければならない保険金には該当しないので、その点は注意が必要です。

医療費控除の計算方法

医療費控除というと、支払った医療費が全額戻ると勘違いしている人も多いようです。
しかし、医療費控除として受けられる金額は、実際に支払った医療費から保険金などで補充された金額を差し引き、さらにそこから10万円を差し引いた額です。そして医療費控除額に応じて、税金の一部が還付されます。

・【医療費控除(最高200万円)】=【医療費の額】-【保険金などで補てんされる金額】-10万円
・もしくは、所得金額の5%のいずれか低い方

たとえば、出産費用として60万円支払った場合で、加入している健康保険から「出産育児一時金」として42万が給付された場合には、(60万-42万)-10万の8万円が医療費控除として受けられる金額になります。
(※実際には、通院するために支払った交通費や診察代、薬代も一緒に計算します)

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)

平成29年にセルフメディケーション税制がスタートしました。
セルフメディケーション税制とは、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、「特定一般用医薬品等購入費」の合計額(保険金等により補填される部分の金額を除く)のうち、1万2千円を超える部分の金額(8万8千円が限度)を控除額とする制度です。
「特定一般用医薬品等購入費」には、申告者自身が使用した特定一般医薬品だけでなく、生計を一にした配偶者や、その他親族が使用した特定一般医薬品も含みます。

「特定一般医薬品」には、医師によって処方される医薬品のほか、薬局やドラッグストアで購入できる「OTC医薬品(いわゆるスイッチOTC医薬品)」に転用された医薬品も該当します。

なお、この税制を受けるためには、下記の要件のいずれかを満たしている必要があります。

①加入している健康保険の健康診断を受けている
②「メタボ診断」を受けている
③予防接種を受けている
④がん検診を受けている

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例なので、医療費控除とセルフメディケーション税制を同時に使うことはできず、どちらを選択するかは自身で判断することになります。

「セルフメディケーション税制とは」を読む

医療費控除の還付を受けるためには

これまで述べてきたように、医療費控除とは、申告者や生計を一にする家族の医療費の分も含めて、1年間に支払った医療費が基準額を超える時に、税金の一部が還付される制度です。
医療費控除の還付を受けるためには、確定申告をする必要があります。

還付を受けるには確定申告が必要

医療費控除の還付を受けるためには、確定申告をする必要があります。
確定申告とは、個人や法人が納税すべき税額を税務署に申告する手続きです。
毎年2月16日から3月15日(土日の場合は翌月曜日)までに税務署に申告・納税します。

そして、医療費控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。確定申告をしないと、医療費控除を受けることはできませんし、還付金ももらえません。

「確定申告してから還付金を受け取るまでのスケジュール」を読む

会社員も確定申告が必要

会社員の場合には、各種控除は会社が年末調整して従業員に代わって申告・申請くれるので、原則として自分自身で確定申告をする必要はありません。
ただし、医療費控除と、雑損控除、寄付金控除については、会社で年末調整をしてくれないので、還付を受けるためには、自分自身で確定申告をする必要があります。

「サラリーマンの確定申告|年末調整をしていても確定申告必要な場合とは」を読む

5年まで遡って申告できる

確定申告は、5年前までさかのぼって申告をすることができます。
もし申告し忘れた医療費があれば、領収書などを探してみましょう。
また、医療費控除は受けていたけれど、追加で医療費にかかった領収書が出てきた場合などには、「更正の請求(正しい金額に修正するための手続き)」という手続きをとることができます。

確定申告の方法

確定申告をする際には、申告書と医療費控除の明細書を作成する必要があります。

ここでは、確定申告の際に必要な申告書と明細書の書き方についてご紹介します。

明細書の書き方

これまでは、確定申告時に医療費の領収書を提出する必要がありましたが、平成29年分の確定申告から領収書の提出は不要となり、「医療費控除の明細書」の添付に変更となりました。
ただし、医療費の領収書は自宅で5年間保存する決まりとなっています。
5年を経過する日までは、医療費の領収書(医療費通知を添付したものを除きます。)について税務署から提示または提出を求められる場合があります。

画像の1から順番に11まで書けば明細書を記載できます。

申告書の提出方法

確定申告書は、毎年2月16日から3月15日(土日の場合は翌月曜日)までの間に提出しなければなりません。早く申告すると、それだけ早く税金が還付されることもあるようです。
税務署に提出できない場合には、郵便局から郵送することもあります。また、「e-Tax」を利用して申告することもできます。
ただし前述したように、医療費が還付になる場合であれば、最長5年以内であれば、確定申告をして税金を取り戻すことができます。

また、確定申告書の書き方や相談方法は下記記事がおすすめです。

「確定申告書のしくみ・種類・トクする書き方や相談方法」を読む

まとめ

医療費控除の確定申告について紹介しました。確定申告はやらなければいけないことが多く、慣れないうちは手が止まってしまうことが多いかと思います。
サラリーマン、個人事業主はクラウド会計ソフトを使うのがおすすめです。質問に答えていくだけで確定申告に必要な書類を作成し、提出まで簡単に終わらせることができます。また、日々の経理ではスマホアプリでレシートの写真をとるだけで簡単に経理処理もできます。
詳細は下記でご紹介しています。併せてご覧ください。

 

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