流動資産とは|貸借対照表での見方・分析方法

公開日:2019年12月11日
最終更新日:2021年04月16日

目次

  1. 流動資産とは
    • そもそも、貸借対照表とは
    • 貸借対照表の5つのブロックのバランスはどう見る?
  2. 流動資産を構成するもの
    • (1)現金および預金
    • (2)受取手形・売掛金
    • (3)棚卸資産
    • (4)有価証券
    • (5)貸倒引当金
  3. 流動資産を見る時はどこをチェックする?
    • 在庫は持ちすぎない!
    • 不良債権予備軍に注意する
    • クラウド会計の導入
  4. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 「流動資産」とは流動性が高い現金化しやすい資産のこと。
  • 流動資産には、現金、預金、製品、売掛金、受取手形などが含まれる。
  • 流動資産は、貸借対照表の左側に表示される項目である。

 

「流動資産」とは流動性が高いつまり現金化しやすい資産のことで、貸借対照表の左側に表示される項目です。
具体的には、流動資産とは企業が保有する資産のうちで主に1年以内に現金として回収されるものをいいます。
現金、預金のほかに、製品、売掛金、受取手形なども、この流動資産に区分されます。

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流動資産とは

流動資産とは、短期間(1年以内)に現金化できる可能性のある資産のことで、通常の営業サイクルによって生じる資産や1年以内に現金ができる資産が含まれます。
流動資産は、貸借対照表の左側に表示される項目で、現金、預金のほかに、製品、売掛金、受取手形、有価証券などの資産が含まれます。

ただし、流動資産のすべてが順調に現金化できるとは限りません。
流動資産を見る時には、その内訳にも着目し「受取手形や売掛金は将来本当に回収できるのか」「在庫は商品が古くなったりしていないか」などもしっかりチェックしていく必要があります。

そもそも、貸借対照表とは

流動資産について説明する前に、流動資産が表示される貸借対照表とはどのような書類なのかを見ておきましょう。

貸借対照表とは、決算書のうちのひとつで、会社のある時点(決算日)における財政状態を示します。
決算書には損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などがあり、それぞれの目的が異なります。

貸借対照表は財政状態を示す書類、損益計算書は会社がどうやって稼いだかを示す書類、キャッシュフロー計算書は、一事業年度のお金の流れを示す書類です。

「貸借対照表(B/S)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ」を読む

「損益計算書(P/L)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ」を読む

「銀行を安心させる「キャッシュフロー計算書」」を読む

貸借対照表では、左側が「資産の部」、右側が「負債の部」「純資産の部」に分かれていて、右側と左側の金額は一致する仕組みとなっています。

左側の「資産の部」には、会社が所有している資産の内容(流動資産、固定資産)が示され、右側の「負債の部」には、借入金など他人から借りたものが示され、「純資産の部」には、資本金や利益剰余金など自己資本が示されます。
流動資産は、貸借対照表の左側の「資産の部」に表示されます。

貸借対照表の5つのブロックのバランスはどう見る?

流動資産についてご紹介する前に、もう少し貸借対照表の仕組みについてご説明しましょう。先程ご紹介したように左側の「資産の部」、右側の「負債の部」「純資産の部」と大きく3つに区分されますが、貸借対照表を分析する時には、貸借対照表を5つのブロックに区分することが大切です。

その5つのブロックのバランスを見ることで、「この会社はどのような財産を持っているのか」「純資産(資本金や利益剰余金など)はどれくらいあるのか」など、会社のおおよその状態を把握することができます。

①流動資産>流動負債
流動資産は、現金や預金、売掛金など短期間に現金化できる資産です。一方、流動負債とは短期間に返さなければならない負債です。そこで、流動資産が流動負債より大きければそれだけ、余裕のある会社であるといえます。

②固定資産<固定負債+純資産
固定資産とは、現金化するのに1年超する資産です。
固定資産が固定負債+純資産より小さければ、長く保有する「固定資産」を、安定した資金である「固定負債」と返す必要のない「純資産」の範囲内で購入したことを示していることになります。もし、「固定資産」の方が大きいと、それは短期で返済しなければならない「流動負債」の資金を使っていくということを示しており、会社が不安定な財務状態をあらわしているといえます。

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流動資産を構成するもの

貸借対照表の大まかな仕組みをとらえたところで、貸借対照表の「資産の部」に表示される「流動資産」のなかみを見ていきましょう。

これまでご紹介してきたように、流動資産は貸借対照表の左側の「資産の部」に表示されるもので、「短期間で現金化できる資産」が含まれます。
現金や預金のほかに、商品や売掛金なども流動資産になります。
商品は売れれば現金化できますし、売掛金も回収できれば現金になるからです。

(1)現金および預金

現金および預金とは、通貨や普通預金、当座預金ならびに1年以内に満期となる預金をいいます。流動資産のなかでも、もっとも分かりやすい項目といえるでしょう。

(2)受取手形・売掛金

売掛金は、商品を販売していますがまだ代金が回収されていないもの、受取手形は、商品の販売の対価として受け取った手形債権をいいます。
受取手形・売掛金は、どちらも商品等を販売した場合に、代金を後から受領することができる債権で、分かりやすく言えば「ツケ」のようなものです。
これらは期日がくれば現金化できることから、流動資産に含まれます。

ただし、売掛金や受取手形がかならず回収できるとは限りません。取引先が倒産すれば、これらの債権は回収することができなくなってしまいます。
そこで、受取手形・売掛金について判断する際には、取引先の財政状態をチェックし、倒産した会社の債権(回収不能な債権)が含まれていないかなどをチェックする必要があります。

(3)棚卸資産

棚卸資産とは、商品、製品、原材料など、一般的に「在庫」と呼ばれるものが該当します。ただし、在庫があってもすべてが現金化できるとは限りません。
商品が古くなっていないか、競合商品が出てきたなどの理由で販売することが不可能となっていないかなど、在庫の中身についてもチェックしていくことが大切です。

「在庫管理とは|基礎知識から決算書との関係まで」を読む

「棚卸(たなおろし)とは|棚卸の作業方法のポイントと評価方法」を読む

(4)有価証券

有価証券には、株式や債券などが含まれます。
売買目的で持っている有価証券と満期保有目的の有価証券のうち、1年以内に満期日の到来するものが、この項目に含まれます。
有価証券については、その価値が貸借対照表に表示されているとおりのものであるか、つまり有価証券そのものの価値が下がっていないかをチェックするため、投資先の財政状態を確認する必要があります。
また、上場株式の場合には、現在の取引額はいくらかなどもあわせて確認する必要があります。

(5)貸倒引当金

先ほどもご紹介したように、期末時点で残っている売掛金、受取手形、貸付金等の債権は、すべてが回収できるとは限りません。
取引先が倒産してしまえば、売掛金や受取手形は回収できなくなってしまリスクがあります。
そこで、決算時において、売掛金などのうち一定の割合を過去に回収できなかった割合を示す貸倒実績率を参考にして計算し、「回収不能見込額」を貸倒引当金として計上しておきます。
これが、流動資産の一番下にある「貸倒引当金」です。

「貸倒引当金って何?計算方法や節税効果を解説」を読む

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流動資産を見る時はどこをチェックする?

それでは、流動資産の中身をチェックし、改善させるためにはどのような対策が必要なのでしょうか。
事業を経営していくうえでは、一番大切な資産はやはり現金・預金です。
しかし、流動資産には、現金・預金だけでなく「将来現金に変わるかもしれない資産」も含め構成されています。
資産として投資した分のお金はできるだけ有効活用することが大切です。なぜなら、現金・預金以外の流動資産が、少しでも将来の利益につながらなければ、それらはムダになってしまうからです。

そこで、流動資産のなかで最もチェックすべきなのは、不良債権予備軍、そして在庫ということになります。

在庫は持ちすぎない!

まずは、流動資産の中に表示される棚卸資産「在庫」は持ちすぎないことを意識することが大切です。
在庫は、「取引先のニーズに迅速に応える」「まとめて仕入れると割引されるため、単価を抑えることができる」などの理由から、ついつい一定量を保有しようとしてしまいがちです。しかし事業を経営するうえでは、在庫はできるだけ少ない状態で維持するべきです。なぜなら、在庫が増えるということはそれだけ現金・預金が減るということです。さらに在庫が増えれば増えるだけ、保有するためのスペースがかかりそのスペースの固定費を払う必要があります。また、在庫を持っていても現金を回収するまでは、それなりに時間がかかります。
時間とともに劣化する商品であれば、当然商品の価値は下がり、廃棄することになればさらにコストがかかります。
つまり健全な財政状態を維持するためには、しっかりとした在庫管理が必要なのです。

「在庫管理とは|基礎知識から決算書との関係まで」を読む

不良債権予備軍に注意する

次に、流動資産の中に表示される「売掛金や受取手形」の中身もしっかりチェックする必要があります。
売掛金や受取手形は、一定の支払条件に従って支払ってもらえるはずのものですが、期末時支払条件どおりに入金されていない売掛金が残っているということは、不良債権予備軍のリスクを疑ってみることが大切です。

たしかに流動資産は「短期間のうちに現金化できる資産」ですが、このような売掛金なども流動資産に表示されます。
つまり、流動資産の額だけ見れば近いうちに現金化する良い資産をたくさん持っているように見えるかもしれませんが、売掛金や受取手形のなかには、不良債権予備軍が含まれていることもあるわけです。
したがって、流動資産の額だけでなくその内訳もまめにチェックして、売掛金や受取手形はできるだけ溜め込まないようにすることが、健全な財政状態を維持するために重要ということになります。

クラウド会計の導入

クラウド会計ソフトを活用すると、経理、記帳業務等をほぼ自動化することができますが、それ以外にも会計が自社の財務状況をリアルタイムで把握できるというメリットがあります。
「クラウド会計ソフトfreee」では、記帳業務がそのまま債権管理につながるようなしくみになっています。つまり取引を記帳していくことで、入金管理レポートに債権の発生金額がそのままデータに反映されるのです。

入金管理レポートでは、「売掛金」や「未収入金」など債権の勘定科目の確認・管理を行うことができ、取引先ごと、または決済期日ごとに個別債権の決済状況を把握することができます。売掛金などの債権発生後、現時点で何か月経過し、いくら残高が残っているかなどの情報を確認することができるので、入金されていない売掛金もひとめで把握することができるので、不良債権となりそうな売掛金があればすぐに必要な対策をとることができます。

クラウド会計ソフトfreee「売掛金管理」

また、財務状況は、さまざまな視点から分析されたレポートで確認することができるので、そのデータを確認しながら必要な対策をとることができます。

クラウド会計ソフトfreee「会計freeeで確認できるレポート」

クラウド会計の活用法については、以下の記事で説明しているので、あわせてご覧ください。

「クラウド会計で企業の経理を「見える化」するメリット」を読む

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まとめ

以上、流動資産の意味や内容、貸借対照表での表示などについてご紹介しました。
貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書は、それぞれの項目をチェックすることはもちろん大切ですが、三表をつなげてさまざまな経営分析の指標を用いて細かく分析することで、事業の状態を細かくチェックすることができます。
決算書は、聞きなれない用語が多く出てきますが、事業の状態を正確に把握するためには、決算書の数字を理解することが不可欠です。
税理士に相談すれば、決算書をもとに経営分析を行い、会社の状況を正確に洗い出し、問題点があれば抽出し、迅速に改善点を提案してもらうことができます。

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