流動資産とは|貸借対照表での見方・分析方法

公開日:2019年12月11日
最終更新日:2022年07月22日

この記事のポイント

  • 「流動資産」とは流動性が高く現金化しやすい資産のこと。
  • 「流動資産」には、現金、預金、売掛金、製品、受取手形などが含まれる。
  • 「流動資産」は、貸借対照表の左側に表示される項目である。

 

「流動資産」とは流動性が高い、つまり現金化しやすい資産のことで、貸借対照表の左側に表示される項目です。
具体的には、流動資産とは企業が保有する資産のうちで主に1年以内に現金として回収されるものをいいます。
現金、預金のほかに、製品、売掛金、受取手形なども、この流動資産に区分されます。

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流動資産とは

流動資産とは、本来の営業活動で発生した売上債権や在庫などの資産と、1年以内に現金回収される予定の資産です。
流動資産は、貸借対照表の左側に表示される項目で、現金、預金のほかに、製品、売掛金、受取手形、有価証券などの資産が含まれます。

流動資産のすべてが順調に現金化できるとは限らないため、流動資産を見る時には、その内訳にも着目し「受取手形や売掛金は将来本当に回収できるのか」「在庫は商品が古くなったりしていないか」などもしっかりチェックしていく必要があります。

(1)流動資産は貸借対照表に表示される

流動資産は、貸借対照表に表示されます。
貸借対照表を見ると、資産の部は流動資産や固定資産に区分されています。
この「流動資産や固定資産」という区分は主に、「現金になりやすいかどうか」という視点で分けられます。

企業は、現金がなければ材料を仕入れることができず、従業員に給料を支払うこともできません。つまり資産の中でも現金は経営の基となるものであり、現金化しやすいものほど資産としての重要性は高くなります。
そこで、区分する時の具体的な基準のひとつに「1年以内に現金化されるか」という基準を設けたのです。そして、1年以内に現金化されるなら「流動資産」に区分し、そうでない場合には「固定資産」として区分することとされています。

(2)そもそも貸借対照表とは

流動資産について詳しく説明する前に、流動資産が表示される貸借対照表とはどのようなものなのかを見ておきましょう。

貸借対照表とは、決算書のうちのひとつで、会社のある時点(決算日)における財政状態を示します。
決算書には損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などがあり、それぞれの目的が異なります。

貸借対照表は財政状態を示す書類、損益計算書は会社がどうやって稼いだかを示す書類、キャッシュフロー計算書は、一事業年度のお金の流れを示す書類です。

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貸借対照表では、左側が「資産の部」、右側が「負債の部」「純資産の部」に分かれていて、右側と左側の金額は一致する仕組みとなっています。

左側の「資産の部」には、会社が所有している資産の内容(流動資産、固定資産)が示され、右側の「負債の部」には、借入金など他人から借りたものが示され、「純資産の部」には、資本金や利益剰余金など自己資本が示されます。
流動資産は、貸借対照表の左側の「資産の部」に表示されます。

(3)貸借対照表の流動資産のバランスの見方

貸借対照表の流動資産と流動負債のバランスに注目することで、短期的な支払い能力を見ることができます。

①流動資産と流動負債の2つの金額を見る

流動資産とは、1年以内に現金化される資産であり、反対に流動負債とは、1年以内に資金が流出する負債と考えられます。そこで、流動資産と流動負債のバランスを見ることで、「短期間における資金繰りに問題がないかどうか」をチェックすることができます。

流動資産>流動負債
流動資産は、現金や預金、売掛金など短期間に現金化できる資産です。一方、流動負債とは短期間に返さなければならない負債です。そこで、流動資産が流動負債より大きければそれだけ、余裕のある会社であるといえます。

②流動比率で短期的な支払い能力を数値化する

さらにこれを「流動比率」を見ることで、短期的な支払い能力と安全性を具体的な数字としてあらわすことができます。

流動比率 (%) = 流動資産 / 流動負債 × 100

流動比率は多ければ多いほど、短期的な支払い能力に優れているということになります。
流動資産が流動負債の2倍であれば、計算上は200%、3倍であれば300%となります。
一方、流動資産より流動負債が多ければ、100%を切ることになります。

③固定資産と固定負債の2つの金額を見る
固定資産に投入した資金は、長い期間をかけて回収されるものです。それにもかかわらず、回収より短い期間で返済しなければならない借金が含まれていたのであれば、資金繰りに苦慮することになるリスクがあります。
そこで固定資産と固定負債の2つの金額を見ることで、固定資産を無理して購入していないかを見ることができます。

固定資産<固定負債+純資産
固定資産とは、現金化するのに1年超する資産です。
固定資産が固定負債+純資産より小さければ、長く保有する「固定資産」を、安定した資金である「固定負債」と返す必要のない「純資産」の範囲内で購入したことを示していることになります。

もし、「固定資産」の方が大きいと、それは短期で返済しなければならない「流動負債」の資金を使っていくということを示しており、会社が不安定な財務状態になる可能性があります。

④固定比率で長期的な支払い能力を数値化する

「固定比率」を見ることで、長期的な支払い能力と安全性を具体的な数字としてあらわすことができます。

固定比率 (%) = 固定資産 / 自己資本 × 100

固定比率は100%を下回っていれば、固定資産をすべて自己資本でまかなえていることを意味しますので、長期的に見ても安全な会社ということができます。
一方、100%を上回れば、借金に依存しているということになります。

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流動資産を構成する勘定科目

貸借対照表の大まかなしくみと流動資産・固定資産の意味をとらえたところで、貸借対照表の「資産の部」に表示される「流動資産」の中身を見ていきましょう。
これまでご紹介してきたように、流動資産は貸借対照表の左側の「資産の部」に表示されるもので、「短期間で現金化できる資産」が含まれます。
現金や預金のほかに、商品や売掛金なども流動資産になります。
商品は売れれば現金化できますし、売掛金も回収できれば現金になるからです。

流動資産は、大きく「当座資金」「棚卸資産」「その他流動資産」に区分されます。

①当座資産
流動資産のなかでも、とくに現金化しやすい資産のことです。
たとえば、現金・預金、受取手形、売掛金、売買目的で保有している有価証券などが当座資金に該当します。

②棚卸資産
棚卸資産とは、販売を目的とした商品や製品のことで、いわゆる「在庫」にあたるものです。これらの資産は販売されて初めて現金化されるものですから、当座資金と比べると現金化には時間を要する資産といえます。

③その他流動資産
その他流動資産とは、当座資金、棚卸資産以外で、1年基準を基にした視点から流動資産に分類されたものです。
前渡金、短期貸付金、未収入金、仮払金、立替金などが該当します。

当座資産 現金 通貨、通貨代用証券
預金 預金、貯金
受取手形 通常の営業取引によって受け入れた手形
売掛金 商品、製品などの未収の販売代金など
有価証券 株券、社債券、国債証券など
棚卸資産 商品 販売目的で外部から仕入れた物品など
製品 販売目的で自社で生産した物品など
仕掛品 工場などで製造過程にある物品など
原材料 原料、材料、買入部品など
その他の
流動資産
前渡金 仕入先に対する商品・材料購入代金の前払金
短期貸付金 取引先、仕入れ先、関係会社、従業員などに対する貸付金
未収入金 固定資産、有価証券などの売却代金の未収金
仮払金 旅費交通費、交際費などの概算払金額
立替金 取引先、従業員などに対する一時的な立替払い
前払費用 翌期以降の費用の前払いとして当期に支払ったもの
未収収益 当期に発生した収益であるが未収のもの
繰延税金資産 税効果会計の適用によって、資産として計上される金額

(1)現金および預金

現金および預金とは、通貨や普通預金、当座預金ならびに1年以内に満期となる預金をいいます。
流動資産のなかでも、もっとも分かりやすい項目といえるでしょう。

(2)受取手形・売掛金

売掛金は、商品を販売していますがまだ代金が回収されていないもの、受取手形は、商品の販売の対価として受け取った手形債権をいいます。

受取手形・売掛金は、どちらも商品等を販売した場合に、代金を後から受領することができる債権で、分かりやすく言えば「ツケ」のようなものです。
これらは期日がくれば現金化できることから、流動資産に含まれます。

ただし、売掛金や受取手形がかならず回収できるとは限りません。取引先が倒産すれば、これらの債権は回収することができなくなってしまいます。
そこで、受取手形・売掛金について判断する際には、取引先の財政状態をチェックし、倒産した会社の債権(回収不能な債権)が含まれていないかなどをチェックする必要があります。

(3)有価証券

有価証券には、株式や債券などが含まれます。
売買目的で持っている有価証券と満期保有目的の有価証券のうち、1年以内に満期日の到来するものが含まれます。
有価証券については、その価値が貸借対照表に表示されているとおりのものであるか、つまり有価証券そのものの価値が下がっていないかをチェックするため、投資先の財政状態を確認する必要があります。
また、上場株式の場合には、現在の取引額はいくらかなどもあわせて確認する必要があります。

(4)商品・製品・原材料

棚卸資産には、商品、製品、原材料など、一般的に「在庫」と呼ばれるものが該当します。
商品とは、販売目的で他社から仕入れたもののうち、決算期末に残っている在庫のことです。
製品とは、販売目的で自社で生産したものです。
そして、原材料は、原料、材料、買入部品などが該当します。

在庫というものは、そのすべてが現金化できるとは限りません。
商品が古くなっていないか、競合商品が出てきたなどの理由で販売することが不可能となっていないかなど、在庫の中身については常にチェックしていくことが大切です。

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(5)前渡金

注文した商品が納入される前に、手付金として商品代金の一部または全部を支払った場合に計上します。材料費の前払い、商品の手付金、外注費の前払い、仕入れ代金の前払いなどが該当します。

(6)未収入金

未収入金とは、通常の取引に基づいて発生した売掛金以外の対価の未収額や、通常の取引以外の取引に基づいて発生した対価の未収額で、1年以内に現金化できると認められるものをいいます。
固定資産の売却代金の未収、有価証券売却代金の未収のほか、工具、備品、土地、機械、設備などの売却代金の未収金が該当します。

(7)仮払金

従業員が出張する際の「旅費交通費」や、接待のための「交際費」など、最終的な金額がはっきりしない費用を概算で支払った時の金額で、一時的に使用する勘定科目です。

(8)前払費用

継続的なサービスの提供を受ける契約で、数か月分あるいは1年分の代金をまとめて支払う場合があります。このような場合で支払い済の代金のうち、翌期に受けるサービスに対応する部分が、前払費用です。

(9)貸倒引当金

期末時点で残っている売掛金、受取手形、貸付金等の債権は、すべてが回収できるとは限りません。
取引先が倒産してしまえば、売掛金や受取手形は回収できなくなってしまうリスクがあります。
そこで、決算時において、売掛金などのうち一定の割合を過去に回収できなかった割合を示す貸倒実績率を参考にして計算し、「回収不能見込額」を貸倒引当金として計上しておきます。
これが、流動資産の一番下にある「貸倒引当金」です。

▶ 貸倒引当金って何?計算方法や節税効果を解説

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流動資産のチェックポイント

それでは、流動資産の中身をチェックし、改善させるためにはどのような対策が必要なのでしょうか。
事業を経営していくうえでは、一番大切な資産はやはり現金・預金です。
しかし、流動資産には、現金・預金だけでなく「将来的に、現金に変わるかもしれない資産」も含め構成されています。
資産として投資した分のお金はできるだけ有効活用することが大切です。なぜなら、現金・預金以外の流動資産が、少しでも将来の利益につながらなければ、それらはムダになってしまうからです。

そこで、流動資産のなかで最もチェックすべきなのは、在庫、そして不良債権予備軍ということになります。

(1)在庫は持ちすぎない!

まずは、流動資産の中に表示される棚卸資産「在庫」は持ちすぎないことを意識することが大切です。
在庫は、「取引先のニーズに迅速に応える」「まとめて仕入れると割引されるため、単価を抑えることができる」などの理由から、ついつい一定量を保有しようとしてしまいがちです。

しかし事業を経営するうえでは、在庫はできるだけ少ない状態で維持するべきです。なぜなら、在庫が増えるということはそれだけ現金・預金が減るということです。さらに在庫が増えれば増えるだけ、保有するためのスペースがかかりそのスペースの固定費を払う必要があります。また、在庫を持っていても現金を回収するまでは、それなりに時間がかかります。

時間とともに劣化する商品であれば、当然商品の価値は下がり、廃棄することになればさらにコストがかかります。
つまり健全な財政状態を維持するためには、しっかりとした在庫管理が必要なのです。

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(2)不良債権予備軍に注意する

次に、流動資産の中に表示される「売掛金や受取手形」の中身もしっかりチェックすることが大切です。
売掛金や受取手形は、一定の支払条件に従って支払ってもらえるはずのものですが、期末時支払条件どおりに入金されていない売掛金が残っているということは、不良債権予備軍のリスクを疑ってみることが大切です。

たしかに流動資産は「短期間のうちに現金化できる資産」ですが、このような売掛金なども流動資産に表示されます。
つまり、流動資産の額だけ見れば近いうちに現金化する良い資産をたくさん持っているように見えるかもしれませんが、売掛金や受取手形のなかには、不良債権予備軍が含まれている可能性もあるわけです。

したがって、流動資産の額だけでなくその内訳もまめにチェックして、売掛金や受取手形はできるだけ溜め込まないようにすることが、健全な財政状態を維持するために重要ということになります。

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「freee会計」の活用法については、以下の記事で説明しているので、あわせてご覧ください。

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まとめ

以上、流動資産の意味や内容、貸借対照表での表示などについてご紹介しました。
貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書は、それぞれの項目をチェックすることはもちろん大切ですが、これらの決算書を連携させると、さらに多くの経営分析の指標を用いて細かく分析することができ、事業の状態を細かくチェックすることができます。

決算書は、聞きなれない用語が多く出てきますが、事業の状態を正確に把握するためには、決算書の数字を理解することが不可欠です。

税理士に相談すれば、決算書をもとに経営分析を行い、会社の状況を正確に洗い出し、問題点があれば抽出し、迅速に改善点を提案してもらうことができます。

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この記事の監修者

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アトラス総合事務所

会計・税務・労務・法務の専門家集団が、会社・個人事業をトータルでサポートいたします!

流動資産は、会社の財政状態を表す表である「貸借対照表」に表示されます。
貸借対照表の資産の部は、流動資産と固定資産といった項目に分かれていますが、この区分は、主に「現金になりやすいかどうか」という視点から分けられます。
会社は、現金がなければ従業員に給料を支払うこともできず仕入を行うこともできません。つまり、資産のなかでも現金は経営の土台となるものですから、現金化しやすいものほど、資産としての重要度が高くなります。
貸借対照表を分析すると、会社が持っているお金やモノのほか、どのくらい借金があるのかを把握することができますし、損益計算書では会社が儲かっているのか損をしているのかを把握することができます。
中小企業では、税務申告を行うことを主な目的として決算書を作成しているケースが多いものですが、本当に大切なのは、貸借対照表や損益計算書といった決算書の内容から自社の経営成績や財政状態を把握して課題を明確にし、経営に役立たせることです。
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