損益計算書(P/L)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ

公開日:2018年11月07日
最終更新日:2018年11月07日

目次

  1. 損益計算書とは
    • 会社の業績を段階的に表している
    • どうやって利益を出したかを読み取るのが大切
  2. 損益計算書の5つの利益
    • ①売上総利益
    • ②営業利益
    • ③経常利益
    • ④税引前当期純利益
    • ⑤当期純利益
  3. 損益計算書の表示上のルール
    • 損益とお金の動きは一致しない
  4. 損益計算書のポイント
    • 売上高は「お客さまからの評価」
    • 売上高と売上原価の勘定科目
  5. 売上総利益と営業利益
    • 経常利益は最も重要
  6. 損益計算書の作成と分析に役立つ!会計ソフトのメリット
  7. まとめ

主な決算書としては、賃借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書がありますが、このうち損益計算書とは、企業の経営成績が明らかになる書類です。
1年間でどれくらい儲かったのか、または損したのかを把握することができます。

損益計算書に表示されている利益は、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益の5つに分けられています。そして、売上高などの収益をどのくらい獲得することができたのか、それに対して仕入れ代金や人件費、家賃などの費用がどのくらいかかったのか、それらの結果として利益や損失がどれくらい出たのかが把握できるようになっています。

損益計算書について理解できなければ、正しく経営状態を把握することができません。
ここでは、損益計算書とは何か、損益計算書に表示されている利益の意味、損益計算書を読み解くためのポイントについて解説します。

損益計算書とは

損益計算書は、賃借対照表、キャッシュ・フロー計算書と並んで重要となる、決算書です。1年間でどのくらい儲かったのか、または損したのかといった経営成績を表すために作成されます。

損益計算書とは:「収益」-「費用」=「利益」

会社の業績を段階的に表している

損益計算書では、収益と費用の内容を段階的に表示していて、売上高からさまざまな費用を順番に引いているだけの書類です。
費用をすべて引いた結果、残高が残っていたらそれが利益になり、マイナスになったら赤字ということになります。

損益計算書であらわされる利益は、企業の活動別に売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益といった5段階にわけて表しています。

この5段階にわけて表示した利益を見ることで、売上高に対応するコストはどれくらいかかったのか、広告宣伝費や人件費など本業に関わる費用はどれくらいかかったのかなどが分かるようになっています。

どうやって利益を出したかを読み取るのが大切

では、なぜ会社の業績を段階的に分類し把握する必要があるのでしょうか?

会社の利益は、収益から費用や損失を差し引くことで計算することができます。しかし、単に収益から費用や損失を引いて利益を出したところで、企業のどのような活動で、どれくらいの損益が発生したのかを把握することができません。
しかし、経営状況を正確に把握するためには、どのような原因で収益、費用、損失が発生したのかを把握する必要があります。

損益計算書では、利益を5段階に分類することで、商品の仕入れ額など、直接売上高に対応するコストを差し引いた粗利益を把握し、広告宣伝費や人件費など本業に関わる費用を差し引いた営業利益(本業で稼ぎだした利益)などが把握できるようになっています。

たとえば、「売上を計上するためにいくらの原価がかかって、いくらの管理費がかかって、その結果としていくらの利益が出たのか」は売上純利益を見れば分かりますし、「今期は災害があったために損失がたくさん出てしまったが、通常の営業活動では利益が出ているのかどうか」は、営業利益や特別利益などを見れば把握することができるようになっています。

損益計算書の5つの利益

前述したとおり、損益計算書は、利益を5つの段階的に表示することで、どのようにして利益が出たのか何にどれくらいのコストが発生したのかを把握することができるような仕組みになっています。
5つの利益がどのような特徴をもつ利益なのかを理解すれば、収益から費用を差し引いた損益を明らかにすることができます。ここでは、それぞれの利益をみていきましょう。

①売上総利益

売上総利益は、「売上高」から売上高に直接対応する商品の仕入れ額や製品の製造コストなどの売上原価を差し引いた、いわゆる「粗利益」のことをいいます。

売上総利益=「売上高」-「売上原価」

売上原価は、売上高に直接対応する原価が計上されます。
例えば、卸売業であれば、商品の仕入れ原価が売上原価となりますし、製造業であれば、販売した製品の製造原価が売上原価となります。

この売上総利益は、経営がうまくいっているかどうかのおおよその目安をつけるのに、非常に重要な指標となります。売上高のうち売上総利益の占める割合を、売上総利益率といいます。適正な売上総利益率は業種ごとに異なりますが、一般的にサービス業では高く、小売業では低いといわれています。

②営業利益

営業利益は、本業で稼ぎだした利益を示します。
売上総利益から人権費やその他営業活動に必要な経費である「販売費及び一般管理費」を差し引いて計算します。

営業利益=「売上総利益」-「販売費及び一般管理費」

「販売費及び一般管理費」は、売上原価に入らない通常の業務にかかる費用で、例えば、営業部員の給与や本社の費用などです。

③経常利益

経常利益は、その会社の通常の企業活動における総合的な収益力を意味します。つまり、その会社の本業による収益力を表している営業利益に対し、経常利益は本業以外の企業活動も含めた収益力を表しています。

経常利益は、営業利益に営業外収益をプラスし、営業外費用を差し引いて計算します。

経常利益=「営業利益」+「営業外収益」-「営業外費用」

営業外の収益や費用にはどのようなものがあるかというと、一般的には金利です。
お金を貸したり、預金をしてそこから金利を得たりした場合には、それは「営業外収益」になります。逆に借金の金利を支払ったら、それは「営業外費用」になります。
つまり、借入が多く支払利息が高額になると、経常利益が少なくなります。

営業外収益には、受取利息・受取配当金・有価証券利息・有価証券売却益・雑収入等が含まれます。
営業外費用には、支払利息・割引料・社債利息・有価証券売却損等が含まれます。

④税引前当期純利益

税引前当期純利益とは、税金を差し引く前のその会社の臨時的な利益や損失まで加味した利益で、経常利益から特別利益をプラスし、特別損失を差し引いて計算します。

税引前当期純利益=「経常利益」+「特別利益」-「特別損失」

上記の「特別利益」や「特別損失」には、通常の企業活動では発生しないような臨時的な利益や損失が含まれます。
例えば、「昔購入した土地が高く売れた」という場合には、それは「特別利益」に当たります。
また、「台風で会社の向上が被害に遭った」という場合には、それは「特別損失」に当たります。

⑤当期純利益

当期純利益は、税引前当期純利益から法人税等の税金を差し引いた後の利益です。
企業活動を行ううえでは、法人税、住民税、事業税、固定資産税など、
さまざまな税金が課せられます。そして、これらの税金も、会計上は費用として取り扱うことになります。
ただし、税引前当期純利益の下に記載される「税金」に含まれるのは、法人税、住民税、事業税の所得割のみで、これらをまとめて「法人税、住民税及び事業税」と表示します。
そして、これ以外の税金は「租税公課」として販売管理費に計上します。

当期純利益=「税引前当期純利益」-「法人税等」

当期純利益は、その会社の最終的な利益となります。
会社が今後も存続し続けていくためには、この当期純利益がプラスになっている必要があります。マイナスの当期純損失の状態が長く続くと、会社の経営が悪化していきます。

このように、売上高から、さまざまな費用を差し引き、本業以外の収益や税金等を調整して、最終的に会社に利益が出たのか、損失が出たのかを計算したものが「損益計算書」です。

損益計算書の表示上のルール

損益計算書には、いくつかの表示上のルールがあります。
損益計算書を理解するためには、前述した、5つに分類された利益の意味を理解するとともに、損益計算書の特徴である表示上のルールを知ることが大切です。

損益とお金の動きは一致しない

まず、最低限知っておくべきなのが、損益計算書に計上されている収益や費用は、実際の収入・支出とは異なるというルールです。

会計のルールでは、収益は「実現主義」、費用は「発生主義」を原則としています。そして、損益計算書では、その会社の収益力を判断するための情報が表示されやすいように工夫されています。

つまり、実際の収入・支出は、実際のお金の出入りがあった時点で計上することになりますが、収益・費用となると、「その収益が実現した時点」「その費用が確定した時点」で計上することになります。

例えば商品を販売しても代金が未回収な場合、実際にはお金は入ってきていなくても、損益計算書では売上が計上され収益力に反映されることになります。
つまり「お金が入ってきた」という事実がまだなくても、「商品を販売した」という事実が反映されるようになっているのです。

したがって、損益計算書だけ着目していると、実際の資金繰りの状態が把握できなくなってしまいます。
商品は順調に売れていて、損益計算書上では、「収益がアップしている」ように見えていても、実際には売上代金が未回収ばかりだったりすると、損益計算書上黒字にもかかわらず資金ショートを起こすいわゆる「黒字倒産」という事態に陥ってしまいます。

損益計算書と実際の資金繰りの状態は別だということはしっかりと念頭に置き、実際の資金繰りについては、「キャッシュ・フロー計算書」で確認するようにしましょう。

損益計算書のポイント

損益計算書は、経営者が経営分析を行い経営改善していくための重要なツールとなります。そこで、損益計算書を経営に役立てていくための3つのポイントについて、ご紹介します。

売上高は「お客さまからの評価」

売上高は、「お客さまから評価された結果」です。
したがって、売上高が下がったということは、その商品やサービスに対するお客様の評価が下がったことになります。
そして、売上高が増えれば利益も増えるのが一般的です。したがって、売上高が伸びているのに利益が増えない場合には、経営上どこかに問題がある、ということを意味します。

売上高と売上原価の勘定科目

売上高は、会社の主な営業活動から生じる収益です。
そして、売上原価は、売上高に直接かかわる費用で、売れた商品やサービスに関してかかった費用のことをいいます。
ここで大切なのは、「売上原価は、売れた分の原価だけ計上する」という点です。
売れずに残っている商品の原価は、この売上原価には入らず、売れ残り商品の原価は貸借対照表の「棚卸資産」に入ります。
売上原価を見る時には、かならず併せて貸借対照表の「棚卸資産」もチェックしなければいけません。

損益計算書では、売上総利益が増えて売上原価が下がっていて、素晴らしく見えている場合でも、実は棚卸資産が増えていることもあります。

棚卸資産が増えている場合には、必要以上の在庫が売れ残りとして倉庫に眠っているリスクがあります。これらは不良在庫となってしまうこともありますし、大量の原材料を購入したことで資金繰りに影響を与えることもあります。

売上総利益と営業利益

売上総利益は、売上高から売上原価を引いたものです。
売上総利益は「粗利」と呼ばれることもあり、これが大きければ大きいほど、営業利益や経常利益を大きくする力が強くなるといえます。

営業利益は、売上総利益から「販売費及び一般管理費」を差し引いたものです。
販売費及び一般管理費には、売上原価に含まれない人件費や水道光熱費などが含まれますので、それらを差し引いた営業利益は、会社の本業から生み出された利益である、その会社の「経営力」を表します。

売上総利益や売上総利益率が高くても、売上をあげるための諸費用がかかり過ぎれば、営業利益は低くなります。
営業利益を良くするためには、販売費および一般管理費の内容を分析し、見直すことが必要です。

ただし、この時やみくもに経費を節約するのではなく、売上をあげるために本当に必要な費用は何かという点を考えることが必要になります。

経常利益は最も重要

経常利益は、その会社の実力を利益で表したものといえます。
経常利益は、借入にかかる費用まで考慮した利益なので、資金繰り状態が悪化して高い利息を払っている状態になると、経常利益は低くなります。
反対に、営業利益が低い状態でも資金運用がうまくいき経常利益が高くなるケースもあります。

会社が存続していくためには、営業活動だけでなく投資、財務活動まで含めた会社の総合的な力を維持していく必要があり、この経常利益はその会社の実力を判断するために最も大切な利益となります。

損益計算書の作成と分析に役立つ!会計ソフトのメリット

損益計算書は、自社だけで作成しようと思うと手間と時間がかかります。しかし、その会社にあった会計ソフトを導入することで、作成が簡単になるだけでなく、損益計算書から売上総利益率・経常利益率等の経営分析の指標となる数値を自動的に作成することができます。

なお、出力した損益計算書では、前期と当期を対比させて確認できますので、当期と前期の業績を比較することができます。

freeeヘルプセンター「決算書を作成する〜損益計算書」を読む

まとめ

以上、損益計算書に表示される5つの利益の意味や、表示上のルールについて、ご紹介しました。
これまで述べてきたように、損益計算書は経営を行うにあたって必要な情報がたくさん含まれていますので、正確に損益計算書を作成し、経営分析を行ううえで大変重要です。
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