雑損失とは?雑費との違い・仕訳例

公開日:2022年04月02日
最終更新日:2024年03月15日

この記事のポイント

  • 雑損失とは、本業以外の支払いで金額が小さいものを処理する時に使用する勘定科目。
  • 雑損失には、消費税の課税仕入とならない取引もあるので、注意する。
  • 雑損失のうち、法人が支払う罰則金や違約金は損金算入できないので注意する。

 

「雑損失」とは、本業以外の支払いで金額が小さいものを処理する時に使用する勘定科目です。一方、「雑費」は本業の売上を上げるためにかかった経費のうち金額が少ないものを処理する時の勘定科目です。盗難による損失や現金不足、損害賠償金、弁償費用などの支出で金額が小さいものについては「雑損失」で処理をします。
 

雑損失の豆知識

雑損失は、本業以外の支払いで金額が小さいものに使う勘定科目です。
雑損失に該当するものとしては、現金不足や弁償費用、補償金の支払い、廃材処分損などのうち、金額が小さいものです。
雑損失と雑費は混同しがちですが、雑費は本業の売上を上げるためにかかった経費のうち金額が少ないもの、雑損失は本業以外の支払いで金額が少ないものです。
雑損失:本業以外の支払い
雑費: 本業の売上を上げるための経費
なお、雑損失も雑費も、質的・金額的に重要でないものをまとめる時の勘定科目ですから、金額が大きいものや内容が重要であるものについては適切な勘定科目を使って、後で検証できるようにしておくことが大切です。

雑損失とは

雑損失とは、本業以外の支払いで金額が小さいものを処理するときの勘定科目です。
本業とは関係ない取引から生じる費用で、かつ金額として重要性が乏しい取引を処理する時に使います。
たとえば、税金の延滞料、盗難による損失、現金不足などで金額が小さいものを処理するときには「雑損失」で処理をします。

(1)雑損失に該当するもの

雑損失に該当する支出には、主に以下のようなものがあります。

・違約金の支払い
・科料の支払い
・過料の支払い
・罰金の支払い
・スピード違反の罰金の支払い
・交通反則金の支払い
・損害賠償金の支払い
・補償金の支払い
・弁償費用
・リース契約の違約金
・廃材処分による支払い
・現金不足
・リース契約の違約金

(2)雑損失と雑費との違い

「雑損失」と「雑費」の違いは「本業の売上と関係があるかどうか」です。
「雑費」は、本業の売上を上げるためにかかった経費のうち、金額として重要性が乏しくあえて独立して勘定科目を設定する必要がないものを処理する時に使います。
一方「雑損失」は、本業の売上と関係なく発生した経費のうち、金額が少なく、あえて独立して勘定科目を設定する必要がない場合に使います。
「雑費」として処理する支出とは、主に以下のようなものです。

・消毒代
・ごみ処理費用
・廃棄物処理費用

(3)雑損失|個人事業主は「事業主貸」

個人事業主の場合には、本業の売上に関係ない(事業に付随しない)費用については、「事業主貸」で処理をします。
「事業主貸」とは、個人事業主が事業用の預金口座等から、事業経費以外の支出をしたときに使用する勘定科目です。
個人事業主が「事業用の普通預金から、生活費を引き出した」「事業用の普通預金から、廃材処分の支払いをした」というようなときには、「事業主貸」で処理をします。

(4)雑損失の消費税区分

雑損失のうち、違約金の支払い・科料の支払い・過料の支払い・罰金の支払いなどは、消費税不課税取引、つまり消費税のかからない取引となります。
ただし、雑損失の中には、消費税の課税仕入に該当する取引が含まれている可能性もあるため消費税を計算する際は注意が必要です。

(5)損金算入できない雑損失に注意

法人が支払う罰則金や違約金、延滞税、加算税は損金算入することができません。このようなペナルティが損金になるとすれば、それだけ所得が少なくなり法人税が軽減されてしまい、ペナルティの本来の目的が損なわれてしまうことになるからです。
そこで、このようなペナルティは損金不算入となります。

ちなみに、ペナルティという性質をもつわけではありませんが、法人税・住民税も損金とはなりません。なぜなら、法人税は所得に課される税金だからです。仮に法人税が損金となると、循環的に所得が変動して国の税収見込みが立たなくなってしまいますので、損金不算入となるわけです。

雑損失の仕訳処理

雑損失は、本業とは関係ない取引から生じる費用で、かつ金額が小さいものを処理する時に使います。ここでは雑損失のよくある仕訳例をご紹介します。

(1)機材を壊し修繕費を支払った

「取引先から借りていた機材を壊したため、修繕費として5万円を弁償した。」
弁償費用は、本業とは関係ない取引から生じる費用であり、かつ金額としても重要性が乏しいと判断されるため、「雑損失」で処理をします。

借方 貸方
雑損失 50,000 普通預金 50,000

(2)取引先訪問中に駐車違反をした

「取引先訪問中に駐車違反をしてしまい、1万円の罰金を支払った。」
罰金は、本業とは関係ない取引から生じる費用であり、かつ金額としても重要性が乏しいと判断されるため、「雑損失」で処理をします。なお「租税公課」という勘定科目を使用することもあります。

借方 貸方
雑損失 10,000 普通預金 10,000

(3)現金過不足を雑損失に振り替えた

「決算にあたり、原因が分からず現金のマイナスとして処理をしていた『現金不足』の2,000円を『雑損失』に振り替えた。」
現金不足は本業とは関係ない取引から生じる費用であり、かつ金額としても重要性が乏しいと判断されるため「雑損失」で処理をします。

借方 貸方
雑損失 2,000 普通預金 2,000

(4)利子税を納付した(重要性の低い場合)

「申告書の提出期限の延長に関する利子税10,000円を納付した。」
利子税とは、申告書の提出期限の延長の利子や延納利子です。つまり支払が猶予されたことについての利息ですから、営業外費用で処理をします。
利子税の金額が重要なものであれば別掲しますが、重要性の低い場合には、雑損失等で処理することも可能です。

借方 貸方
雑損失 10,000 普通預金 10,000

まとめ

雑損失は、本業とは関係のない取引から生じる費用で、かつ、金額としての重要性が乏しい取引を処理するときに使用する勘定科目です。
盗難による損失や、違約金、賠償金といった事業に付随して発生した費用は「雑損失」で処理をします。
なお、個人事業主の場合には事業に付随しない費用は「事業主貸」で処理をします。
似た勘定科目に「雑費」がありますが、雑費は、本業の営業活動の支払費用である点が異なります。雑損失と雑費を混同しないようにしましょう。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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