雑損控除とは|確定申告をして節税しよう

公開日:2019年04月16日
最終更新日:2020年01月15日

目次

  1. 雑損控除とは
    • そもそも所得控除とは
    • サラリーマンも確定申告が必要
  2. 雑損控除を受けるためには
    • 雑損控除を受けるための2つの要件
    • 損害の原因は5種類
    • 災害による損害は「災害減免法」と有利な方を選べる
  3. 雑損控除の確定申告
    • 雑損控除を選んだ場合
    • 災害減免法を選んだ場合
  4. まとめ
    • あわせて読みたい

この記事のポイント

  • 雑損控除は14種類ある所得控除のひとつ。確定申告すると節税になる。
  • 自然災害や火災、盗難、横領などによって損失があった人が受けられる。
  • 雑損控除の適用を受けるためには、サラリーマンも確定申告が必要。

 

雑損控除とは、「台風や地震で家屋が損壊してしまった」といった災害に遭った場合や「盗難や横領などで資産を失った」といった被害を受けた場合に、所定の金額を所得から控除(差し引く)ことができる制度です。

雑損控除は14種類ある所得控除のひとつで、適用される所得控除は多ければ多いほど、税負担が軽くなります。

サラリーマンは会社で年末調整をしてくれるので、通常は所得控除を改めて申告する必要はありませんが、雑損控除、医療費控除、寄付金控除の3つについては会社で年末調整をしてくれないので、自分で確定申告をしないと損をしてしまいます。
確定申告をすれば所得税が還付されますので、忘れずに申告を行なうようにしましょう。

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雑損控除とは

雑損控除とは、自然災害や火災、盗難、横領などによって損失があった人が受けられる控除で、所定の金額を所得から控除することができる制度です。本人や家族が日常生活に必要な住宅や家財、現金など生活財産の損害に限り、適用されます。災害に関連して、家を取り壊したり除去した場合の費用や、住宅などの被害の拡大や防止に必要な措置を講ずるための支出も含めることができます。

30万円を超える貴金属や書画、骨とう品などのぜいたく品は対象となりません。また、別荘や事業用資産も対象とはなりません。

控除される額は以下のどちらか多い方となります。

正味の損失額-総所得金額等×10%
災害関連支出額-5万円

※正味の損失額とは「損失金額+災害関連費-損失を補てんする保険金等」です。

参照:国税庁「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」

そもそも所得控除とは

雑損控除とは、14種類ある所得控除のうちの1つです。
そこで、雑損控除について詳しくご紹介する前にこの「所得控除」についてご紹介します。
所得控除とは、個々の事情を考慮しその事情に税金計算を反映させる制度です。必要経費のようyに、所得金額から一定額が差し引かれます。

所得税は、所得金額に対して直接課税されるわけではありません。「家族が何人いるのか」「家族に障害者はいるか」などといった、個々の事情が考慮されます。
このように申告する人の個人的な経済事情を税金計算に反映させる制度が「所得控除」です。
所得控除は14種類あって、雑損控除もこの所得控除のひとつです。適用される控除の種類・金額が多ければ多いほど、その分所得控除の金額が増えて、課税される所得金額が減り税金も減少します。払い過ぎた税金があれば戻ってきます。
ですから、適用される所得控除があれば、もれなく適用を受けるようにしましょう。

所得控除 控除額
①雑損控除 その年の所得の10%を超える損害額。
※サラリーマンも確定申告が必要
②医療費控除 10万円を超える医療費を支払った場合に、その超えた部分。
※サラリーマンも確定申告が必要
③社会保険料控除 保険料の全額
④小規模企業共済掛金控除 掛金の全額
⑤生命保険料控除 平成23年までは一般生命保険料控除と個人年金保険料控除(各最高5万円、合計最高10万円)平成24年から介護医療保険料控除が創設され、控除額の上限は各4万円
⑥地震保険料控除 保険料または掛金の全額(最高5万円)
⑦寄付金控除 その年の所得金額の40%が上限(支払額と所得の40%のどちらか少ない方-2,000円)
⑧寄付金控除 その年の所得金額の40%が上限(支払額と所得の40%のどちらか少ない方-2,000円)
※サラリーマンも確定申告が必要(ふるさと納税のワンストップ特例制度を除く)
⑨障がい者控除 27万円(特定障がい者は40万円)
⑩寡婦(寡夫)控除 27万円(特定寡婦は40万円)
⑪勤労学生控除 27万円
⑫配偶者控除 配偶者の合計所得金額が48万円以下(令和2年~)の時、0円~38万円。老人控除対象配偶者は、0円~48万円
⑬扶養控除 成年扶養親族1人につき38万円(老齢者特例あり)など
⑭基礎控除 すべての納税者につき38万円。(令和2年から0円~48万円)

なお、所得控除と混同しやすいものに「税額控除」があります。
税額控除は、最終的に計算された税額から一定額を差し引くことをいいます。税額控除は、一般的に所得控除より節税効果は高いので、税額控除についてもチェックしてみましょう。

「損をしない!14種類ある所得控除の受けられる人と控除額」を読む

「税金が安くなる「税額控除」|所得控除との違いは?節税効果は?」を読む

サラリーマンも確定申告が必要

個人事業主などの自営業者が所得控除の適用を受けるためには、確定申告でその旨の申告を行うことが必要ですが、サラリーマンは、通常は会社で年末調整をしてくれるので、所得控除を改めて申告する必要はありません。
しかし、①雑損控除、②医療費控除、③寄付金控除の3つについては、会社で年末調整をしてくれないので、自分で確定申告をしないと損をしてしまいます。
「自然災害か火災などの被害に遭った」「自分や家族の医療費を10万円以上支払った」「寄付をした」などの事情がある場合には、忘れずに申告を行なうようにしましょう。

「医療費控除とは|平成29年の改正点・控除額の計算方法など」を読む

「医療費控除の確定申告に必要な計算方法と還付を受けるための手続きとは」を読む

「寄付金控除とは|控除額と控除を受けるための提出書類」を読む

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雑損控除を受けるためには

雑損控除は、泥棒や災害にあった時にいつでも適用されるわけではなく、一定の要件を満たしていることが必要です。また、雑損控除の「損害」の原因は、① 自然災害(震災、風水害、冷害、雪害、落雷など② 火災、火薬類などの爆発などの災害③ 害虫などの災害④ 盗難⑤ 横領5種類に限定されています。

雑損控除を受けるための2つの要件

雑損控除を受けるためには、以下の2つの要件を満たしている必要があります。

(1) 被害に遭ったのが「通常の生活に必要な財産」であること
(2) 損害の原因が震災や火災などによるものであること

対象となるのはあくまで「通常の生活に必要な財産」であり、具体的には住宅と家財(自動車、現金など)に受けた損失です。財産の所有者は、納税者本人はもちろん、生計を一にする配偶者やその他の親族であっても控除の対象となります。ただし、納税者本人以外の財産である場合には、その所有者のその年の総所得金額等が38万円以下である必要があります。
なお、事業用の財産は対象とはなりませんので注意しましょう。

損害の原因は5種類

雑損控除の「損害」の原因は5種類に限定されています。
詐欺や恐喝などによる被害は対象外です。したがって、被害が急増している振り込め詐欺(オレオレ詐欺)などは雑損控除は適用されません。同様に株や不動産を売却して損失を被った時にも、雑損控除は適用外です。

(1) 自然災害(震災、風水害、冷害、雪害、落雷など
(2) 火災、火薬類などの爆発などの災害
(3) 害虫などの災害
(4) 盗難
(5) 横領

災害による損害は「災害減免法」と有利な方を選べる

災害によって受けた住宅が家財の損害金額(保険金等で補てんされた金額を除く)がその時価の2分の1以上で、かつ災害にあった年の所得金額の合計が1,000万円以下であれば、災害減免法の適用を受けることができます。

つまり、合計所得が1,000万円を超える人は雑損控除のみの適用となります。また、盗難や横領による損害は雑損控除のみの適用となります。

災害減免法と雑損控除は、同時に適用を受けることはできず、どちらかを選択しなければなりません。どちらが有利かは、ケースバイケースですが、一般的には損害金額が大きい時は雑損控除の方が得することが多いようです。
災害減免法は税額控除なので税金から直接控除できますが、1年限りの適用となりますが、雑損控除はその年で控除しきれなかった金額を3年にわたって所得から控除することができるからです。災害減免法は、所得金額の合計額が500万円以下なら税金が全額免除になるというメリットがありますが、その年しか受けることができません。

参照:国税庁「災害減免法による所得税の軽減免除」

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雑損控除の確定申告

雑損控除の適用を受ける際も災害減免法の適用を受ける際にも、確定申告が必要になります。どちらの適用を受けるかで、計算方法や確定申告書の記入方法が異なります。

雑損控除を選んだ場合

雑損控除の適用を受ける場合には、以下のように確定申告書を作成します。

①まず確定申告書第二表の「雑損控除」の欄に、損害金額、保険金などで補填される金額、差引損失額のうち災害関連支出の金額を記入します。

②確定申告書第一表の「差し引かれる金額」の「雑損控除」の欄に、①で記入した損害金額を記入します。

災害減免法を選んだ場合

災害減免法の適用を受ける場合には、以下のように確定申告書を作成します。

①減免額は、所得金額の合計額で決まります。そこで、まず確定申告書第一表の「所得金額」を確認します。そして、所得金額に応じて以下の計算式で計算をします。

②上記①で計算した災害減免額を、「税金の計算」の欄の「災害減免額」の欄に記入します。

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まとめ

以上、雑損控除の内容や適用を受けるための要件、災害減免法との選択適用、確定申告の方法や記入例などについてご紹介しました。
雑損控除は、適用を受けるためには、普段確定申告が必要ないサラリーマンも確定申告が必要なので、期限内に忘れずに申告を行なうようにしましょう。
また、災害減免法とどちらが有利なのか分からない場合には、早めに税理士に相談してアドバイスを受けるようにしましょう。

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あわせて読みたい

なお前述したとおり、雑損控除以外にも医療費控除と寄付金控除はサラリーマンも確定申告をしないと所得控除されません。
医療費控除と寄付金控除の適用要件については、以下の記事もあわせてご覧ください。

「医療費控除の確定申告に必要な計算方法と還付を受けるための手続きとは」を読む

「寄付金控除とは|控除額と控除を受けるための提出書類」を読む

確定申告の意味や申告書の作成方法については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。

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